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「東日本大震災」東北4県津波浸水地域の実態調査 ~津波浸水地域に本社を置く企業7,734社が浸水~、信用調査、与信管理、倒産情報は東京商工リサーチ。

公開日:2011.08.11

「東日本大震災」東北4県津波浸水地域の実態調査 ~津波浸水地域に本社を置く企業7,734社が浸水~

 (株)東京商工リサーチ東北地区本部では、東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた青森県・岩手県・宮城県・福島県4県の沿岸部44市区町村(仙台市は宮城野区、若林区、太白区の3区)に焦点をあて、震災前の経済規模と津波浸水地域の経済規模の比較調査を試みた。

 東北4県の沿岸部44市区町村に本社を置く企業2万8,928社のうち、東日本大震災の津波で浸水した企業は7,734社、44市区町村全体の26.7%の企業が被災した。多くの企業は未だ事業再開できておらず、機会喪失による経済損失(売上規模)は最大2兆2,167億円、9万1,577人に離職の恐れが生じている。

 地震や津波で建物や機械設備が直接被災する一次損失に加え、営業機会喪失による売上・利益の損害、あるいは雇用喪失などの二次損失など、地域経済に与えた損失は計り知れない。被災した多くの企業は、建築規制等が足かせとなり、未だ営業が本格的に再開できておらず、復興計画が遅れれば遅れる程、損失額は拡大していく。早期復興のためにも、今後の政府による大胆な財政出動や一刻も早い復興計画の策定が待たれるところだ。

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[調査方法]

 日本地理学会災害対応本部津波被災マップを利用して津波の遡上範囲を把握。手作業によって町名単位で区分けを行ったほか、調査員が企業リストのチェックを実施し津波浸水地域の企業を特定した。また、(株)東京商工リサーチの企業データベース(250万6,268社)から東北4県の44市区町村に本社を置く企業を抽出し、企業数、業種、売上高、従業員数別に津波浸水地域の企業を比較し集計した(データは平成23年4月時点)。

 なお、対象企業には個人企業を含むが、漁業・農業などを営む個人企業は含まれない。

 

東北4県のうち沿岸部44市区町村の津波浸水地域の経済規模

 東北4県の沿岸部44市区町村の津波浸水地域に本社を置いていた企業は7,734社、44市町村全体の2万8,928社に占める割合は26.7%に及んだ。この7,734社の年間売上高の合計は2兆2,167億1,328万円、従業員数(正社員)の合計は9万1,577人にのぼった。

県別 宮城県が5,115社で最多

 県別で見ると、宮城県が5,115社で最多、全体の7,734社に対するウエートは66.1%を占めた。売上高の合計は1兆3,873億円(構成比62.6%)にのぼり、従業員数(正社員)は5万7,730人(同63.0%)に及ぶなど、その被害の甚大さが窺える。

 岩手県が1,954社(構成比25.3%)、売上高の合計は4,121億円(同18.6%)、従業員数は1万9,961人(同21.8%)だが、浸水率は社数別で55.1%、売上高で62.3%、従業員数で57.2%と半数を超えるなど、産業集積が沿岸部に集中していたことが裏付けられた。

 青森県は237社(構成比3.1%)、売上高合計が2,809億円(同12.7%)、従業員数が7,979人(同8.7%)。福島県は428社(同5.5%)、売上高合計が1,362億円(同6.1%)、従業員数は5,907人(同6.5%)だった。

 国土地理院が4月18日に公表した東北4県の津波浸水範囲面積は521.5k㎡、県別の浸水範囲面積と浸水率は次項の表の通りである。宮城県の浸水範囲面積が327.5k㎡であり、対象となる15市町全体に占める浸水率は16.4%に及んでおり、結果的に31.5%の企業が被災した。一方、岩手県の浸水範囲面積の浸水率は僅か1.2%だが、半数を超える企業が被災しており、沿岸部への産業集積が集中し過ぎていたため、明暗を分けたかたちだ。

社数別 津波浸水地域の企業は7,734社

 東北4県44市区町村の津波浸水地域に本社を置く企業は7,734社、全体の26.7%に及んだ。業種別にみると、建設業が1,943社(構成比率25.1%)と最も多く、次いで小売業の1,502社(同19.4%)、サービス業ほか1,474社(同19.1%)、製造業956社(同12.4%)、卸売業852社(同11.0%)、運輸業443社(同5.7%)、不動産業257社(同3.3%)と続く。業種別の浸水率は、一次産業が44.6%と最も高く、次いで運輸業の38.7%、製造業34.4%、小売業32.1%、卸売業30.0%の順。業種別で最多の企業数となった建設業の浸水率は22.3%となっている。

 

売上高別 津波浸水地域企業の売上高合計は2兆2,167億1,328万円

 津波浸水地域に本社を置く7,734社の年間売上高の合計は2兆2,167億1,328万円、44市区町村全体10兆168億9,498万円に占めるウエートは22.1%となった。

 業種別では、製造業の6,033億7,109万円が最大、次いで卸売業の4,717億5,044万円、サービス業ほか3,485億2,966万円、建設業2,486億7,377万円、小売業2,345億1,828万円、運輸業1,968億2,641万円と、6業種で1,000億円を超えた。以下、一次産業739億1,922万円、不動産業185億9,026万円、金融保険業175億8,328万円、情報通信業29億5,084万円と続く。

 

従業員数別 津波浸水地域企業の従業員合計は9万1,577人

 津波浸水地域に本社を置く7,734社の従業員数(正社員)の合計は9万1,577人、沿岸部44市区町村全体の37万4,002人に対するウエートは24.5%にのぼった。

 業種別では、製造業が2万2,216人で最多、次いでサービス業ほかが1万7,076人、建設業1万4,738人、運輸業1万2,854人、卸売業1万1,630人と、5業種で1万人を超えた。以下、小売業7,511人、一次産業3,755人、不動産業855人、金融保険業670人、情報通信業272人と続く。

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 3月11日14時46分、三陸沖を震源とする巨大地震が発生した。マグニチュードM9.0の地震は、関東大震災(大正12年・M7.9)や北海道東方沖地震(平成6年・M8.2)、阪神・淡路大震災(平成7年・M7.3)をはるかに超える巨大地震となり、太平洋三陸沖の東北4県に壊滅的な被害を及ぼした。

 東北4県の沿岸部44市区町村の地元企業が津波による被害を蒙っており、売上規模でも2兆円を超えるなど、今回の津波が地域経済に与えた被害の大きさを裏付けている。

 仮に、東日本大震災で被災し、企業活動が停止したまま1年間が経過すると、東北4県44市区町村の地元企業に及ぼす経済損失は最大2兆2,167億円に達する可能性がある。

 また、事業の再開が見込めないとなれば、従業員の解雇もあり得る訳で、地元企業に従事する9万人以上に離職の恐れが生じている。

 本社の建物や工場施設などが津波で流された一次損失に加え、営業機会喪失による売上や利益の損失、あるいは雇用喪失などの二次損失など、地域経済に及ぼした損失は計り知れない。被災後、少しずつ歩み始めている企業もあるが、一方で建築規制等が足かせとなり、未だに営業を再開できない企業も多い。今後、政府による大胆な財政出動や復興計画の策定など、早期進行が望まれ、これらが遅れれば遅れるほど、損失額は拡大していく。

 

 なお、本調査では、東北4県の44市区町村以外に本社を置き、この44市区町村に支店・営業所・工場などの出先事業所を置いている企業は対象としていない。また、対象企業には個人企業を含むが、漁業・農業などを営む個人企業は含まれておらず、これら含めると、さらに経済損失は膨らむことになる。

 


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