導入事例

【実質的支配者情報をオンラインで即時取得】
直感的に利用可能なUI/UXで
実質的支配者の調査業務の効率化と負担軽減を実現

QUICK FACT
- 法令で義務化されていない取引先の実質的支配者を含む情報収集が困難であった
- 従来使用していた他社サービスでは年1回の限られた時期にしかデータ取得ができず、新規案件等緊急時の対応が困難だった
- データ取得時期が固定されていたため、業務負荷が一時期に集中していた
- 自社調査では入手困難な実質的支配者を含む企業情報を入手することが出来た事で、リスク評価に活用することができた
- オンラインツールを導入した事で、必要な時に必要な分だけ確認する事が出来るようになり、業務の平準化が実現した
- 直感的な操作性により、少ない情報から素早く実質的支配者情報を取得できるようになった
- バルク取得、トランザクション取得どちらでも対応出来るようになった事で、業務に応じて適時かつ柔軟にデータ活用出来るようになった
お話をうかがった方
-
MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社
コンプライアンス部部長
兼 三井住友海上火災保険株式会社松田 健志 さま -
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
コンプライアンス部課長補佐青木 尚子 さま -
三井住友海上あいおい生命保険株式会社
コンプライアンス部次長三浦 正 さま -
三井住友海上プライマリー生命保険株式会社
コンプライアンス部主任市川 直仁 さま
※所属および役職は、取材時点のものとなっております。
事業内容
~国内外でトップシェアを誇る生損保事業を展開~

MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社(以下、MS&ADホールディングス)は、直接出資する5つのグループ国内保険会社と、8社の関連事業会社を有する上場持株会社です。グループ国内保険会社は、損害保険会社3社と生命保険会社2社で構成されています。特に国内損害保険事業では、2023年度の正味収入保険料シェアが国内No.1となりました。グローバルでのポジションを見ても、ASEAN10カ国で元受事業を行っている唯一の損害保険グループであり、2022年度のASEAN域内総収入保険料は第1位です。
マネーロンダリング対策が世界的に強化される中、金融機関にとって取引先の実質的支配者を把握することは必須の取り組みとなっています。MS&ADホールディングスも特定事業者として、マネロンガイドラインに沿った対応が求められています。
「保険会社グループとして特定事業者にあたりますので、マネロンガイドラインで求められている実質的支配者を把握しなくてはいけません。今後、FATF第5次審査に向けて、金融庁からは自らのマネロン対策の有効性検証が重要だとも言われています。法人の実質的支配者を把握することは、マネロン対策の最重要ポイントの1つと認識しています。損保3社においては、犯罪収益移転防止法(以下、犯収法)上、取引時確認の対象となる取引は限られていますが、金融庁が求めるリスクベースで犯収法上の義務を超えて法人の実質的支配者を確認しています。現状の国の制度、自社調査の限界などを鑑みて、現状取り得るベストな方法を採用していますが、その有効性は継続的に検証していくことになるでしょう。」
課題・背景
~得られるデータの質や提供時期に課題~
――実質的支配者の調査において、MS&ADホールディングスは以前他社のサービスを利用していましたが、以下3点で課題を感じていたそうです。
- 海外企業の実質的支配者調査
- スポット対応に伴う業務負荷の集中
- 運用の柔軟性
「D&B Onboard」は、D&Bの持つグローバル最大級6億件超のデータの中から、目当ての企業を検索し、実質的支配者情報を取得出来るオンラインサービスです。
「海外企業の実質的支配者データについては、ヒット率が低いという課題もありました。海外の方がマネロンリスクは高いと言われている中、海外企業の正確なデータを知ることは重要です。
『コンプライアンス・ステーション® UBO+』は犯収法に準拠した国内企業の実質的支配者を特定することが出来るオンラインサービスであり、必要な時に必要な情報を取得いただけるようにしています。以前は年1回のスポットでデータの提供を受けておりました。あらかじめ対応が必要な時期は決まっているとはいえ、他の業務も忙しい時期のため、もう少し業務負荷を平準化する必要性を感じていました。」
――MS&ADホールディングスが「コンプライアンス・ステーション® UBO+」と「D&B Onboard」を選んだ決め手は、従来の課題を解決できる点にあったからだといいます。
「1年の中で、自社の都合に合わせて柔軟にデータを取得できるという点が非常に利便性の高さを感じる部分です。また、緊急で実質的支配者情報を知りたいときに、個別に調査できるというところも非常に助かっています。」
今回導入いただいたサービスの概要
国内向け
コンプライアンス・ステーション® UBO
TSRが保有する国内最大級1,000万件超の企業データベースの情報から、コンプライアンス・データラボ社が開発した独自アルゴリズムで「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)」に準拠した実質的支配者や資本系列を瞬時に特定できるオンラインサービス。


海外向け
D&B Onboard
D&Bが保有する全世界6億件超の企業データベースを基に、企業の実在性確認、実質的支配者や資本構成の把握、受益者を含めた株主情報、メディア・公知情報とのスクリーニングなど、コンプライアンスチェックに必要な情報をワンストップで取得できるオンラインサービス。


コンプライアンスチェック業務のフローや関連サービスについてはこちらのページもご覧ください
効率的なコンプライアンスチェックとTSRのソリューション解決・成果
~サービスの使いやすさと手厚いサポートで業務の効率化を実感~
――MS&ADホールディングスでは、グループ全体で「コンプライアンス・ステーション® UBO+」と「D&B Onboard」を導入いただいています。当初からグループ全体での導入を前提に考えていたそうですが、各グループ会社の担当者がサービスの説明を聞き、スムーズに導入の合意に至ったそうです。導入いただいた後にはシステムの操作説明会を開催し、スムーズに運用を始められるようにサポートしました。
「コンプライアンス・ステーション® UBO+」と「D&B Onboard」は直感的に操作ができるUI/UXとなっているため、一度説明を聞くだけで問題なく日常業務で使っていただけているとのことです。

「私は今年度異動してきて初めて『コンプライアンス・ステーション® UBO+』を使いました。最初に説明会で操作方法を聞いてからしばらく使うまでに期間が空いてしまったのですが、直感的に操作可能なUI/UXのおかげで実質的支配者がすぐに特定できました。操作方法がとても簡単で助かっています。」
――実際に操作した印象も好評をいただいています。
「比較的少ない情報による検索でも候補企業がヒットし、さまざまな実質的支配者のデータが一気に見られるため、とても便利だと感じました。以前は対象法人を検索、特定するための情報が足りず、他部署に依頼して調べてもらうケースがありました。しかし、その部門が忙しい時期だと検索対象法人のリスト作成が期限間近になってしまいます。それが改善されたのは嬉しいですね。」
――両サービスを導入したことで、MS&ADホールディングスは業務効率の向上を実感されています。特に、実質的支配者のような把握が難しいデータをいつでも取得いただける点が、業務負荷の軽減や平準化に貢献できているとのことです。
「毎年決められた時間の中でデータを準備する必要がありましたが、今は自分たちのペースで作業を進められるようになりました。自分たちで他業務との兼ね合いを見て計画立てながら準備できるのは大きなメリットです。」
――操作性に優れている両サービスですが、不明点やエラーが発生した際はすぐに対応できるよう、当社ではサポート窓口を設けています。
「MS&ADホールディングス全体で使用しているブラウザの問題でコンプライアンス・ステーション® UBO+が一時期使えない状態になってしまったことがありました。この際には、サポート窓口に連絡したところ、迅速に対処していただき、10日ほどですぐに使える状態になりました。」
今後の展開
~今後は実質的支配者情報の取得以外にも効果的に活用していきたい~
――自社で実質的支配者の情報を得る場合、調査対象である取引先に直接聞くしかありません。対象法人数が少なければ問題ないかもしれませんが、MS&ADホールディングスのように調査対象が多い企業は、『コンプライアンス・ステーション® UBO+』や『D&B Onboard』をご利用いただくのが効率的です。

「保険契約手続きの中で取引時確認が必要であれば確認していますが、取引時確認が必要のない契約の場合は一手間増えてしまいます。私たちは、ほとんど保険代理店経由で保険契約手続きをしているので、実質的支配者情報の取得には保険代理店の理解を得て、協力頂くところから始めなければなりません。そもそも調査の対象法人が10万社以上あるので、個別に確認していくのは現実的ではありません。」
――MS&ADホールディングスでは、今後さらに対象を広げて実質的支配者を調査していくことや、活用の幅を広げることを考えられています。
「グループとしては、現在リスクの高いところから優先して調査していますが、必ずしも取引先全ての法人を調査できているわけではありません。今後は対象を広げていき、より実効性のある対策にしていきたいと考えています。また、現在は『コンプライアンス・ステーション® UBO+』も『D&B Onboard』も実質的支配者を調べることに限定して利用しています。新たなご提案をいただく中で、有用性の高い機能があれば積極的に導入を検討し、より効果的に活用していきたいです。」