大型倒産(原則負債総額30億円以上)および注目企業の動向
TSR速報
2017/04/21(金)
民事再生法申請
負債総額約16億6500万円
~記者会見を開催「次年度も園児を募集する」~
森友学園本部
まず籠池千浪理事長より「本日、民事再生法の適用を申請した。心配、迷惑を掛けて申し訳ない」との謝罪があった後、「学園と幼稚園を存続させたい」との意向が語られた。続いて、中井弁護士より民事再生法の適用を採用した理由について、「現状は大変混乱した状況にある。原因は当学園にあるが、債権者、利害関係人、監督官庁などそれぞれの意向があり、個別に権利行使が行われるとさらに混乱が増す。解決の道筋を考えるうえで、関係者の間で『休戦状態』をもたらし、その間に話し合いで権利関係を調整するために申請した」旨を説明。さらに、「①裁判所が利害関係のない公平な第三者である弁護士を管財人として選任し、公正で透明性の高い手続ができる。②債権者の利害を調整して適切に対処できる。③幼稚園の適切な教育環境を確保できる」などと管理型民事再生を選択した理由の説明があった。
負債は金融債務約5億5900万円、土地売買代金債務約1億600万円、校舎建築・造園・廃棄物処理費用等の債務約10億円の合計約16億6500万円だが、建築工事の出来高の算定が出来ていないため、金額が増大する可能性があるとした。
今後は4月25日(火)に債権者に対する説明会を実施。その後裁判所により再生手続の是非につき判断が行われる予定。また、塚本幼稚園は、弁護士の指導、監督のもと運営を継続。運営資金は確保しており、次年度も園児を募集する。前理事長の籠池康博氏は園長および理事、同氏の妻は副園長をそれぞれ退任する。小学校の土地は国による担保設定と買戻特約の登記がある。また、建物(校舎)は藤原工業(株)(TSR企業コード:571004563、法人番号:4120901009982、吹田市)が占有している。今後、管財人において、公正かつ適正で合理的な処理を目指す。
主な質疑応答は次の通り。
Q.民事再生法を選んだ理由は?
A.幼稚園を残したい思いが強く、4月に理事長に就任して以降、自身が判断した。前理事長には一切相談していない。
Q.なぜ民事再生法を申請しなければいけなかったのか?
A.小学校を開校できなかったため。また、幼稚園の再スタートを切りたいため、今回の措置をとった。
Q.支払いが滞りそうになったから民事再生法の適用を申請したのではないか。
A.小学校の建築資金は払えないが、幼稚園運営費用は現預金の範囲で賄える。
Q.破産に移行する可能性は?
A.仮定の話はできないため、回答を控える。
Q.前理事長と連絡をとっているのか?
A.一切取っていない。また、中井弁護士が申請代理人を引き受ける条件として、前理事長とは関係を遮断することを挙げ、それを受け入れた。
Q.補助金申請の違法性など、指摘されている不正行為に関する認識はあったか。
A.小学校の契約などには一切関わっておらず、認識はなかった。
Q.校舎建築・造園・廃棄物処理費用等の内訳、変動の可能性は?
A.造園工事約1000万円、廃棄物処理費用約1億円、校舎建築などに約10億円。ただし、建築については出来高査定が終わっていないため、金額は増える見込み。
Q.藤原工業による支払訴訟と民事再生申請の関係は?
A.藤原工業により預金が仮差押となっている。民事再生手続を行うことでこれが失効する。幼稚園の存続のため申請した。
Q.債権者の人数は?
A.25名。そのうち10数社は少額債権者である。債権額としては藤原工業が過半数を占める。労働債権、公租公課の未払いはない。
Q.第三者への経営譲渡は検討したか?
A.考えていない。
Q.今後の見通しは?
A.小学校の跡地問題の解決如何による。そのため、国、藤原工業などの協力を得つつ、最善の方法を考えたい。現在、建物が完成間近であり、それを取り壊して原状回復するのは社会的にも、経済的合理性としても疑問がある。関係者の方向性に大きな相違はないと思う。その調整に全力を傾けたい。
Q.今後の見通しは?小学校の土地には転売禁止の条項があるが?
A.こちらはあくまで要望する立場。国の判断となるため、理解を得られるよう努める。
Q.前理事長に対する責任追及は?
A.前理事長の個人資産の問題、不正、負債を見極めながら客観的に判断する。裁判所とも協議していく。
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