全国企業倒産状況

2023年2月の全国企業倒産577件

2月の倒産 11カ月連続で前年同月を上回る、3年ぶりに500件超え


 2023年2月の全国の企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が577件(前年同月比25.7%増)、負債総額は965億8,000万円(同36.0%増)と、件数と負債ともに増加した。
 件数は、前年4月から11カ月連続で前年同月を上回った。11カ月連続の増加は、2008年6月-2009年4月以来、13年10カ月ぶり。2022年12月から前年同月比20%以上の増加率が続き、件数自体は低水準だが増勢を強めている。
 この結果、2022年度(4-2月)は6,071件に達し、2021年度(4-3月)の5,980件を超えた。
 負債総額は、2月としては2年連続で前年同月を上回ったが、2020年(712億8,300万円)から4年連続で1,000億円を下回った。(株)ダイナミクス(東京・破産、負債112億3,100万円)をはじめ負債10億円以上16件(前年同月9件)、同1億円以上5億円未満108件(同91件)と中堅規模の倒産が徐々に増加している。ただ、同1億円未満は436件(同340件)と7割超(構成比75.5%)を占め、小・零細規模の倒産を主体にした推移に変化はない。
 2023年2月の「新型コロナウイルス」関連倒産は228件(前年同月比57.2%増)で、前年同月の約1.6倍に急増。200件台は6カ月連続で、2020年2月からの累計は5,232件に達した。



企業倒産月次推移


・「後継者難」29件(前年同月30件)、「求人難」6件(同1件)、「従業員退職」4件(同1件)
・形態別件数:破産が516件。法的倒産の構成比は95.8%
・都道府県別件数:前年同月を上回ったのが28都道府県、減少13県、同数6県
・負債別件数:負債1億円未満の構成比75.5%、100億円以上が2カ月ぶりに発生
・業種別件数:飲食料品卸売業、飲食業、道路貨物運送業などが増加
・従業員数別件数:10人未満の構成比が86.1%、300人以上は2カ月連続で発生せず
・中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)は5カ月連続で100.0%

産業別 10産業のうち、8産業で前年同月を上回る


 2023年2月の産業別件数は、8産業で前年同月を上回った。
 最多はサービス業他の190件(前年同月比19.4%増)で、6カ月連続で前年同月を上回った。月次倒産に占める構成比は32.9%(前年同月34.6%)だった。
 このほか、製造業が60件(前年同月比15.3%増)で7カ月連続、運輸業36件(同125.0%増)と情報通信業27件(同28.5%増)が5カ月連続、不動産業が24件(同118.1%増)で4カ月連続、建設業が115件(同43.7%増)で2カ月連続、卸売業が66件(同8.1%増)で2カ月ぶり、金融・保険業が4件(前年同月ゼロ)で7カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。増加率が最も大きい運輸業では、道路貨物運送業が25件(前年同月比127.2%増)と、燃料価格の高止まりや人手不足などが大きく影響した。
 一方、農・林・漁・鉱業が4件(同50.0%減)で、7カ月ぶりに前年同月を下回った。小売業は前年同月と同件数の51件だった。

2023年2月 産業別倒産状況

主要産業倒産件数推移

地区別 倒産件数、北陸、四国を除く7地区で増加


 2023年2月の地区別件数は、9地区のうち北陸と四国を除く7地区で前年同月を上回った。
 関東200件(前年同月比4.1%増)が、10カ月連続で前年同月を上回った。このほか、九州55件(同61.7%増)が8カ月連続、北海道18件(同28.5%増)と中部81件(同113.1%増)、近畿142件(同37.8%増)が3カ月連続、中国21件(同40.0%増)が2カ月連続、東北36件(同16.1%増)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
 一方、北陸が12件(同29.4%減)で6カ月ぶり、四国が12件(同20.0%減)で5カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。



2023年2月 都道府県別倒産

※地区の範囲は以下に定義している。
東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
北陸(富山、石川、福井)
近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
四国(香川、徳島、愛媛、高知)
九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

1.(株)ダイナミクス/東京都/飲食店経営/112億3,100万円/破産
2.KiSCO(株)/兵庫県/医療機器卸/65億8,700万円/特別清算
3.(株)トガシ技研/山形県/産業用機械製造/56億円/民事再生法
4.(株)ビーリンク/兵庫県/総合物流業/54億5,700万円/破産
5.(株)チェンジ・ザ・ワールド/山形県/太陽光発電システム販売/38億4,000万円/破産

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「人材派遣業」倒産、1-3月は過去最多の29件 ~ 「円高」、「トランプ関税」でさらに増加も ~

人手不足で人材の獲得競争が厳しさを増すなか、人材派遣会社(労働者派遣業)の倒産が急増している。

2

  • TSRデータインサイト

コメ農家の倒産・休廃業が過去最多 ~ コメ作りの「あきらめ」、さらに増加も ~

コメ価格の高騰が止まらない。農水省が18日に発表した3月の米価格(相対取引価格)は2万5,876円で、1年前の約2倍の高値だ。 政府は備蓄米を放出したが、小売業者にはなかなか届かず、韓国産やアメリカ産の輸入拡大も検討されている。

3

  • TSRデータインサイト

大型連休は「博物館・美術館」がオススメ? ~ 物価高でも魅力的な入館料が追い風、業績も回復 ~

コロナ禍で打撃を受けた博物館・美術館が物価高のなかで健闘している。体験型やデジタル対応など新しい取り組みや、比較的安価な入館料で集客力を高めている。

4

  • TSRデータインサイト

次世代電池のAPB、経営騒動の舞台裏 ~ APB・大島麿礼社長 単独インタビュー ~

次世代リチウムイオン電池「全樹脂電池」の開発や製造を手がける技術系ベンチャーのAPB(株)が注目を集めている。大島麿礼社長が東京商工リサーチの単独取材に応じた(取材日は4月10日)。

5

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

TOPへ