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東証1部・2部上場メーカー422社  2012年3月期「為替差損」調査~為替差損額1,224億円 前年同期より約6割減~ 、信用調査、与信管理、倒産情報は東京商工リサーチ。

公開日:2012.05.28

東証1部・2部上場メーカー422社 2012年3月期「為替差損」調査~為替差損額1,224億円 前年同期より約6割減~ 

2012年3月期上場企業の決算が出揃った。ここ数年、高水準の円高が業績に影響を与えたが、上場各社は想定為替レートの見直しなどで、2012年3月期決算は円高の影響は限定的となった。

 東証1部、2部に上場する主なメーカー422社のうち、2012年3月期の営業外費用で為替差損を計上した企業は、246社(構成比58.2%)と、前年同期より60社減少した。為替差損の総額は1,224億4,000万円で、前年同期に比べ1,803億500万円(59.5%)圧縮された。

 2012年3月1日から4月30日までに業績修正を開示した上場企業598社のうち79社は、修正理由に「為替相場の変動」をあげているが、51社は上方修正要因だった。

 円高は高止まりしているが、2012年2月後半から3月末にかけ、対米ドルが想定レートより円安に振れたことで為替差損額は圧縮された。しかし、円高は国際競争力の低下や産業空洞化、雇用など、国内経済に深刻な影響を及ぼすことに変わりはなく、まだ為替動向には目を離せない。

※本調査は、東京証券取引所1部・2部に上場する主な電気機器、自動車関連、機械、精密機械メーカー(3月決算)を対象に実施。

為替差損は246社 差損総額1,224億円

上場メーカー422社のうち、2012年3月期に為替差損を計上したのは246社(構成比58.2%)だった。前年同期(306社)より60社(19.6%)減少した。為替差損の総額は1,224億4,000万円で、前年同期(3,027億4,500万円)より1,803億500万円(59.5%)と大幅に圧縮された。

 為替差損を計上した246社のうち、東証1部は205社(前年同期252社)、差損総額は1,193億3,000万円(同2,903億5,000万円)。東証2部は41社(同54社)、差損総額は31億1,000万円(同123億9,500万円)だった。為替差損を計上した企業数は、東証1部、2部上場企業ともに前年同期を下回った。また、差損総額は東証2部の減少幅が大きかった。


為替差損額上位10社のうち6社が差損額増加

 為替差損を計上した246社のうち、差損額が最も大きかったのは任天堂で277億6,800万円(前年同期494億2,900万円)。次いで、スズキが55億5,700万円(前年同期:為替差益59億9,400万円)、三菱重工業が50億9,400万円(前年同期145億5,600万円)だった。2012年3月期で為替差損額上位10社のうち、6社が前年同期より為替差損額が増加(スズキとソニーは前年同期は為替差益を計上)した。ただ、100億円以上が1社(前年同期4社)にとどまったため、差損額の総額は圧縮された。

為替差益は78社 差益総額865億円

 上場メーカー422社のうち、2012年3月期に為替差益を計上したのは78社(構成比18.4%)で、前年同期(29社)より約2.7倍(49社増)に増えた。為替差益の総額は865億2,700万円で、前年同期(767億1,200万円)より98億1,500万円(12.7%)増加した。

 為替差益が判明した78社のうち、東証1部は70社(前年同期28社)、差益額は864億円2,300万円(同767億500万円)。東証2部は8社(同1社)、差益額は1億400万円(同700万円)だった。

 東証1部、2部の上場企業は、そろって為替差益を計上した企業数が前年同期を上回った。


為替差益額上位10社のうち7社が差益額増加

 為替差益を計上した78社のうち、差益額が最も大きかったのはトヨタ自動車で371億500万円(前年同期143億500万円)。次いで、日産自動車が147億5,600万円(前年同期:為替差損288億5,400万円)、京セラ45億3,300万円(前年同期38億2,400万円:為替換算差益)の順だった。

 為替差益額の上位10社のうち、日産自動車、富士重工業、セイコーエプソン、新光電気工業の4社は、前年同期の為替差損から一転して、為替差益を計上した。また、上位10社のうち、5社を自動車メーカーが占めた。いち早い想定為替レート見直しのグローバル戦略が奏功したようだ。

◇    ◇    ◇

 2012年3月期は想定為替レートを米ドルで2012年3月期の期初80円に対し、2012年1-3月期には75~77円、ユーロは期初115円に対し2012年1-3月期には95~100円に、それぞれ見直した企業が多かった。2月後半から3月末に為替相場は一時的な修正局面に入ったが、再びギリシャを始め欧州の債務問題が再燃し円高傾向をみせている。

 電機・半導体関連メーカーでは、エルピーダメモリが会社更生法の適用を申請したほか、ルネサスエレクトロニクスが工場売却や1万2000人以上を削減する方針を打ち出すなど、円高の影響は深刻さを増している。同様にソニー、日本電気、シャープなども従業員の削減計画を発表した。

 国際競争力の強化に向け大手メーカーでは、生産拠点の海外移転や工場の閉鎖・再編を進めている。大手の収益改善は想定為替レート見直しにとどまらず、下請けや納入業者への単価切り下げや人員削減の裏返しとも言える。円高は景気回復への足取りに影響するだけでなく、大手企業と中小企業、都市部と地方で、景気の二極化を加速する可能性も出てきている。

為替差損益計上社数

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