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東京商工リサーチ、東京大学大学院経済学研究科にて寄付講座「政策・ビジネスのためのデータ分析」を開講~3年目に突入。当講座でのレポートから本格的な研究に発展し、海外セミナー等で論文発表される事例も出ています~

株式会社東京商工リサーチ(以下 「TSR」)と国立大学法人東京大学(本部:東京都文京区、総長 藤井 輝夫、以下、東京大学)は、TSRが保有する企業情報を用いて、公共政策やビジネスの意思決定において有用な分析を行うための手法を学習することを目的として、2023年4月より寄付講座「政策・ビジネスのためのデータ分析」を東京大学大学院経済学研究科に設置しています。
2年目の2024年度は実践的なデータ分析はもちろんのこと、外部講師も招きながらバックグラウンドとなる企業金融・会計の体系的な理解を深めるなど、実務・理論の両面での教育体制を強化。当講座でのレポートから本格的な研究に発展し、海外セミナー等で論文発表される事例も出ました。
本年は3年目に突入し、大学院進学やプロの研究者を目指す学部生にも門戸を開放。2年間で蓄積したノウハウ・成果をベースにさらなる研究水準向上を目指すなど進化を続けています。

背景と目的

TSRは、2019年9月に東京大学大学院経済学研究科と、実証分析に基づく政策形成(Evidence Based Policy Making:以下、EBPM)の研究を行うための共同研究契約を締結し、実証研究を実施してきました。
統計的な知識を用いた分析の重要性がますます高まる中、TSRは東京大学の大学院生を対象に、公共政策やビジネスの意思決定における有用な分析手法を活用した分析を行う機会を提供するため、寄付講座「政策・ビジネスのためのデータ分析」を設置しました。実際のデータを用いた分析を行い、社会的に意義のあるレポートを作成することは、実践的な経験を積む人材育成に寄与すると考えております。
本講座の受講者は、国内最大級の企業データ(※1)を分析の対象として活用することができるとともに、TSRの分析事業(※2)で取り組んでいるデータ分析プロジェクトの知見を学ぶことができます。TSRはこの講座を通じて、時代に求められるデータ分析人材の育成支援により、日本経済のさらなる発展に貢献することを目指しています。

寄付講座概要

科目名 政策・ビジネスのためのデータ分析
開講期間 2023年4月~2025年7月(3年間)
開講場所 東京大学国際学術総合研究棟
対象 東京大学大学院経済学研究科・経済学部を中心とする大学院生ならびに学部生

講師

講師写真

寄付講座に期待すること

植田 健一 東京大学大学院経済学研究科 教授

TSRと東京大学、とりわけ政策評価研究教育センター(CREPE)は2019年以来、EBPMの実現を目指した共同研究を行っており、提供されたデータを用いて数多くの研究成果を上げてきました。これらの研究成果は国際学術雑誌に掲載されるのみならず、政府や自治体が行う政策を評価した結果はEBPMの推進にも貢献してきました。また、金融教育研究センター(CARF)も関わり、企業と金融の関係を明らかにし、特に中小企業向けの政策の意義をとらえてきています。
2023年度からは協働の範囲を教育の側面にまで広げました。企業に関するミクロデータを用いた実証分析を政策立案やビジネスの意思決定に生かすことの重要性は広く社会で認識されていますが、学生が生のデータを用いて実証分析を経験できる機会はまだまだ希少です。本講義では実務の第一線で用いられているデータを学生が直接触ることができるのが特徴です。講義に当たっては、TSRからデータ分析の経験が豊富な方々にもご参加いただき、学生の発表にコメントをしていただいています。東京大学とTSRの担当者がチームとなり、データ分析のハンズオン教育を行っています。この授業を受講して卒業した学生は、金融機関、商社、官公庁などに就職しており、実際の政策やビジネスの場で役立てていることと思います。また、大学院博士課程への進学者もおり、この分野の研究の裾野を広げています。

(※1)国内最大級の企業データ
TSR企業情報データベースは、日本全国の企業を対象に、地域に密着した調査担当者による調査取材を基に構築された国内最大級の企業情報データベースであり、2025年3月現在では約1,006万件の企業情報を提供しています。 原則として全ての企業に対して年1回以上の調査取材(対面・電話聞き取り)を行っており、鮮度の良い、網羅性の高いデータベースとして、多くの企業や官公庁、研究機関に活用されています。

(※2)TSRの分析事業
TSRの分析事業は、保有するデータベースや分析のノウハウを活かし、官公庁や企業に対してサービス展開しています。EBPMやDX化の流れを受けて近年案件数が増加しており、TSRが注力する分野の一つとなっています。分析結果は、多くの企業の課題解決のみならず、例えば経済産業省の「中小企業白書」に多数掲載されるなど、我が国の経済の実態を表す資料としても活用されています。

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