• TSR速報

丸住製紙(株)ほか2社

丸住製紙の本社

丸住製紙の本社

 丸住製紙(株)(四国中央市) と、関連2社は2月28日、民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。
 申請代理人は大川剛平弁護士(長島・大野・常松法律事務所、千代田区丸の内2-7-2)。
 監督委員には伊藤尚弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所、千代田区丸の内1-9-2)が選任された。
 丸住製紙の負債総額は約590億円(2024年11月期決算時点)。
 
 1919年7月創業の業歴100年を超える老舗企業。手漉き和紙で創業し、その後新聞用紙など出版・印刷・情報・加工用の様々な洋紙の製造を手掛けてきた。四国中央市内に2カ所の主力工場を設置し、地元を代表する製紙会社として知名度を有し、ピークの2008年11月期には売上高約743億3500万円をあげていた。  しかし、電子書籍やオンラインニュースなどのデジタル媒体の需要が高まる一方、当社が扱う新聞や出版物などの紙媒体の需要減など市場環境の変化から業績は次第に低迷した。そのため2019年以降、ペーパータオルやウエットティッシュなど衛生用品のほか、コスメ分野への新規進出といった新商材への取り扱いを強化した。この間、積極的な設備投資も実施し、2023年4月には約90億円を投じて大江工場に設置した衛生用紙抄紙機および加工設備が稼働していた。 


 一方で、近年は新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の停滞に加えて原材料、エネルギー価格の高騰なども重なり、多額の損失が発生。2022年11月期は約117億1100万円、翌2023年11月期も約150億円の最終赤字を余儀なくされた。リストラ実施や金融機関からの支援、スポンサー支援などを模索して経営改善を目指した。こうしたなか、2月に入って主力の洋紙事業からの撤退を取引先に通知するなど動向が注目されていた。


 同時に民事再生法の適用を申請した丸住製紙グループは以下の通り。
 ※丸住製紙(株)(TSR企業コード:810006448、法人番号:5500001014778、四国中央市川之江町826、設立1946(昭和21)年2月、資本金12億円)
 ※丸住ライン(株)(TSR企業コード:810065126、法人番号:7500001014784、四国中央市川之江町大江348-8、資本金4800万円、設立1972(昭和47)年6月)
 ※丸住エンジニアリング(株)(TSR企業コード:812015274、法人番号:7500001015114、四国中央市川之江町141-4、資本金1000万円、設立2007(平成19)年11月)
 

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【解説】秀和システムの法的整理、異変察知は「船井電機より前」

(株)秀和システム(TSRコード:292007680、東京都)への問い合せは、船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府)の破産の前後から急増した。ところが、あるベテラン審査マンは「ERIが弾けた時からマークしていた」と耳打ちする。

2

  • TSRデータインサイト

2025年3月期決算(6月27日時点) 上場企業「役員報酬1億円以上開示企業」調査

2025年3月期決算の上場企業の多くで株主総会が開催された。6月27日までに2025年3月期の有価証券報告書を2,130社が提出した。このうち、役員報酬1億円以上の開示は343社、開示人数は859人で、前年の社数(336社)および人数(818人)を超え、過去最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

1-6月の「訪問介護」倒産 2年連続で最多 ヘルパー不足と報酬改定で苦境が鮮明に

参議院選挙の争点の一つでもある介護業界の倒産が加速している。2025年上半期(1-6月)の「訪問介護」の倒産が45件(前年同期比12.5%増)に達し、2年連続で過去最多を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

船井電機の債権者集会、異例の会社側「出席者ゼロ」、原田義昭氏は入場拒否

破産手続き中の船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府)の第1回債権者集会が7月2日、東京地裁で開かれた。商業登記上の代表取締役である原田義昭氏は地裁に姿を見せたものの出席が認めらなかった。会社側から債務者席への着座がない異例の事態で14時から始まった。

5

  • TSRデータインサイト

1-6月の「人手不足」倒産 上半期最多の172件 賃上げの波に乗れず、「従業員退職」が3割増

中小企業で人手不足の深刻な影響が広がっている。2025年上半期(1-6月)の「人手不足」が一因の倒産は、上半期で最多の172件(前年同月比17.8%増)に達した。

TOPへ