こうして倒産した

2023年(令和5年)11月度こうして倒産した・・・
(株)有明清算
  • 東京
  • ミニチュアミュージアム運営
負債総額
39億円
 

 (株)有明清算(旧:(株)SMALL WORLDS、TSR企業コード:022948406、法人番号:4010901039074江東区有明1-3-33、設立2016(平成28)年11月、資本金1億1250万円)は11月14日、東京地裁に破産を申請し同日、破産開始決定を受けた。
 破産管財人には小畑明彦弁護士(麴町パートナーズ法律事務所、千代田区麹町4-2-1)が選任された。
 負債総額は債権者36名に対して39億円。
 (株)SMALL WORLDSの商号で、ミニチュアフィギュア展示をメインコンテンツとしたミュージアム「SMALL WORLDS」(江東区)を運営していた。
 準備期間を経て2020年6月にオープンした施設は、「宇宙センターエリア」「世界の街エリア」「関西国際空港エリア」などテーマごとに分かれ、また、「美少女戦士セーラームーンエリア」「エヴァンゲリオン格納庫エリア」「エヴァンゲリオン第3新東京市エリア」など、人気アニメ作品とタイアップしたミニチュア展示も話題を集めていた。
 営業収入の大半は一般個人向けのチケット販売で、このほか教育団体や一般企業向けにも積極的に拡販。館内レストランやグッズ販売も充実させ、実質的な開業1期目となる2020年12月期は売上高3億7079万円を計上した。
 しかし、「新型コロナウイルス」感染拡大による事業環境の悪化で開業当初より厳しい集客が続いていたうえ、投資負担も重く、採算が低迷。開業以降、黒字転換は難しい状況で、2022年12月期は売上高5億336万円に対して8億9421万円の最終赤字を計上し、債務超過が続いていた。この間、増資による資金調達を図り経営を維持してきたが、別会社に事業を譲渡して当社は2023年10月31日付けで現商号に変更し、今回の措置となった。

(株)ヤマコン
  • 愛知
  • 海藻類加工品製造販売
負債総額
23億円
 

 (株)ヤマコン(TSR企業コード:400269112、法人番号:9180001023016、名古屋市熱田区切戸町3-162、設立1986(昭和61)年11月、資本金5000万円)は11月9日、名古屋地裁より破産開始決定を受けた。
 破産管財人には長谷川龍伸弁護士(長谷川龍伸法律事務所、名古屋市中区丸の内2-17-22)が選任された。
 負債総額は23億円。
 1953年3月、水産乾物の販売を目的に山下商店の屋号で創業。海藻類問屋として顧客基盤を構築し、ピークとなる1992年4月期には売上高約35億2900万円をあげていた。
 近年は自社加工製品への傾注により卸売部門が縮小し、メーカー機能を強めていたが、コロナ禍での飲食店向け需要の減少による影響もあり、業績は低迷していた。また、昆布相場の高値推移の一方で価格転嫁が遅れるなど、コスト負担の増加により採算も悪化。厳しい業況のなか資金繰りが限界に達し、今回の措置となった。

セブン(株)
  • 東京
  • 着火器具製造販売
負債総額
22億3586万円
 

 セブン(株)(旧:サナーエレクトロニクス(株)、TSR企業コード:292108168、法人番号:7010701023184、千代田区九段北1-15-14、設立1985(昭和60年)7月、資本金8950万円)は11月17日、東京地裁から特別清算開始決定を受けた。
 負債総額は22億3586万円(2022年9月期決算時点)。
 ガス石油器具の着火装置や安全装置、高圧電源装置、電球・照明器具の部品などの製造を手掛けていた。国内最大手のガス器具メーカーや建材メーカー、ホームセンターなど販売先は大手を中心に多岐にわたっていた。
 一時期はベトナムなど海外にも子会社を展開し、OEM製造を多数手掛け、ピークとなる2014年9月期には売上高43億6232万円をあげていた。しかし、その後は為替変動によるデリバティブ損失が発生するなどして経営が悪化。借入返済のリスケジュールや金融ADRを通じた金融債務の一部カットを実施していた。
 また、海外法人の閉鎖など経営のスリム化を進めていたが、「新型コロナウイルス」感染拡大により取引規模が減少し2020年9月期以降は売上高が15億円台で推移。こうしたなか、2023年3月1日付で当社の事業をグループ会社のサナーエレクトロニクス(株)(旧:サナー(株)、TSR企業コード:134778006、法人番号:8010701023183、千代田区)に吸収分割により承継。当社は現商号へ変更し6月1日、株主総会の決議により解散していた。

(株)プラスアルファほか1社
  • 東京
  • 人材派遣業
負債総額
21億2663万円
 

 (株)プラスアルファ(TSR企業コード:297296108、法人番号:8011001056080、渋谷区神泉町8-16、設立2008(平成20)年4月、資本金5000万円)と、関連のマックスアルファ(株)(TSR企業コード:297989847、法人番号:2012801008433、立川市曙町2-34-6、設立2009(平成21)年6月、資本金1500万円)は11月10日、東京地裁より破産開始決定を受けた。
 負債はプラスアルファが12億7262万円(2022年3月期決算時点)、マックスアルファが8億5401万円(2022年12月期決算時点)、2社合計21億2663万円。
 プラスアルファは、コールセンターやシステム会社などへの人材派遣を中心に展開していた。大手コールセンターや通信会社などと取引実績を有し、都内のほか、埼玉や大阪、福岡、広島などにも支店を出店するなど順調に事業規模を拡大させ、2022年3月期には売上高45億1723万円をあげていた。
 マックスアルファは、物流業界に特化した人材派遣を展開していた。アマゾンや楽天などインターネット通販大手の物流センターでの作業請け負いで業績を伸長させ、2022年12月期はピークとなる売上高51億6731万円をあげた。
 しかし、売上拡大の一方で、派遣単価の上昇などにより採算が低下。資金繰り悪化から2023年10月分の派遣人材への給与未払い問題がSNSを中心に広がり、注目を集めていた。

音羽印刷(株)
  • 東京
  • 印刷業
負債総額
19億3300万円
 

 音羽印刷(株)(TSR企業コード:292373180、法人番号:1010001013115、新宿区東榎町10-3、登記上:千代田区内神田2-14-12、設立1981(昭和56)年2月、資本金6000万円)は再度の資金ショートを起こし11月24日、行き詰まりを表面化した。
 なお、債務整理を舘野幸二弁護士(舘野幸二法律事務所、港区西新橋1-13-5)に一任している。
 負債総額は19億3300万円(2023年1月期決算時点)。
 老舗の印刷業者。オフセット印刷やフルカラーCTP印刷から製本まで一貫して行い、埼玉県の自社工場の最新印刷設備も活用し顧客ニーズに対応していた。雑誌や並製本、上製本、チラシ、パンフレット、カレンダー、美術写真等の商業印刷物のほか、名刺・クリアファイル印刷や圧縮印刷も手掛け、2020年1月期には売上高約15億8200万円をあげた。
 しかし、「新型コロナウイルス」感染拡大の影響により受注が落ち込んでいたうえ、ペーパーレス化による印刷物の需要減や業界内の競争も激しく、2023年1月期の売上高は約11億6900万円にとどまった。この間、赤字を計上するなど厳しい業況に陥り、資金繰りがひっ迫。新たな資金調達も困難となり、今回の事態となった。

(株)エフ・エフ・アルファ
  • 東京
  • 飲食店経営ほか
負債総額
18億7900万円
 

 (株)エフ・エフ・アルファ(TSR企業コード:298476037、法人番号:3011101059384、新宿区西新宿4-32-13、設立2010(平成22)年8月、資本金5000万円)は11月27日、東京地裁に民事再生法を申請し、監督命令を受けた。
 申請代理人は本多一成弁護士(TF法律事務所、千代田区平河町2-7-5)。
 負債総額は18億7900万円。
(株)プラスアルファ(TSR企業コード:297296108、法人番号:8011001056080、渋谷区、11月10日破産開始決定)の関係会社として、飲食店の経営を手掛けていた。都内繁華街に「淡路島と喰らえ」などの店名で和食料理店などを展開し、2018年12月期には売上高11億5830万円をあげていた。しかし、「新型コロナウイルス」感染拡大以降は、外食需要の低迷により来店客数が急減し、2020年12月期には売上高は5億3404万円まで落ち込み、3億8566万円の赤字を計上していた。
 宅配需要の拡大に伴い、ハンバーグやタレカツなどを扱うデリバリー専門店を都心を中心に相次いで出店したものの、業況の改善には至らなかった。こうしたなか、プラスアルファなど関係会社の破産により当社の信用が大きく低下、資金繰りも限界に達し、今回の措置となった。

戦後歴代の大型倒産

日本の戦後歴代の大型倒産を
負債額順にまとめた記事はこちら

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「人手不足」企業、69.3%で前年よりも悪化 建設業は8割超が「正社員不足」で対策急務

コロナ禍からの経済活動の再活性化で人手不足が深刻さを増し、「正社員不足」を訴える企業が増加している。特に、2024年問題や少子高齢化による生産年齢人口の減少などが、人手不足に拍車をかけている。

2

  • TSRデータインサイト

「食品業」倒産 2年連続増加の653件 原材料やエネルギー価格、人件費上昇が負担

歴史的な円安が続くなか、歯止めが掛からない食材の価格上昇、人件費などのコストアップが食品業界の経営を圧迫している。2023年度(4-3月)の「食品業」の倒産(負債1,000万円以上)は653件(前年度比16.3%増)で、2年連続で前年度を上回った。

3

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】テックコーポレーションと不自然な割引手形

環境関連機器を開発していた(株)テックコーポレーションが3月18日、広島地裁から破産開始決定を受けた。 直近の決算書(2023年7月期)では負債総額は32億8,741万円だが、破産申立書では約6倍の191億円に膨らむ。 突然の破産の真相を東京商工リサーチが追った。

4

  • TSRデータインサイト

2024年の「中堅企業」は9,229社 企業支援の枠組み新設で、成長を促進し未来志向へ

東京商工リサーチの企業データベースでは、2024年3月時点で「中堅企業」は9,229社(前年比1.2%増、構成比0.7%)あることがわかった。うち2023年の中小企業が、2024年に「中堅企業」に規模を拡大した企業は399社だった。一方、「中堅企業」から「中小企業」へ規模が縮小した企業も311社みられた。

5

  • TSRデータインサイト

「経営者保証」 75%の企業が「外したい」 保証料率の上昇、金融機関との関係悪化を懸念する声も

資金調達時の経営者(個人)保証について、「外したい」と回答した企業が75.5%にのぼり、経営者保証に拠らない融資へのニーズが大きいことがわかった。ただ、保証料率の上乗せや金融機関との関係悪化を懸念して経営者保証を外すことに慎重な企業も多い。

記事カテゴリを表示
記事カテゴリを閉じる

プリントアウト

RSS

CLOSE
TOPへ