(株)Crowd Lease(TSR企業コード:016377834、法人番号:5010401121471、港区東新橋2-9-7、設立2015(平成27)年11月、資本金1億円、武谷勝法社長)ほか2社は3月17日、東京地裁に破産を申請し4月1日、破産開始決定を受けた。破産管財人には福田大助弁護士(山王シティ法律事務所、港区赤坂2-2-21、電話03-5545-5750)が選任された。負債総額はCrowd Leaseが一般投資家3784名を中心に56億568万円、3社合計で約120億円。
ソーシャルレンディング大手のmaneoマーケット(株)(TSR企業コード:297202863、法人番号:5010401091384、千代田区)のプラットホームを活用し、「Crowd Lease(クラウドリース)」を展開していた。高金利を背景に顧客を獲得し、2017年9月期は売上高3億2850万円をあげていた。しかし、ファンドを募集管理しているmaneoマーケットが2018年7月、ファンドの取得勧誘に関する表示やファンド管理の不備から金融庁より業務改善命令を受けた。このため、Crowd Leaseのファンド管理も厳格化され、一部ファンドの借り換えが困難となり、借り手の返済延滞が多発した。2019年に入り、ファンドの募集も困難となり信用が低下し、動向が注目されていた。
こうしたなか、maneoマーケットは、Crowd Leaseに対して延滞解消の方策を求めていたが、十分な回答が得られなかったとして債権者破産を申し立てた。その後、一部投資家からも破産を申し立てられていた。
同時に破産を申請したのは以下の通り。
(株)Crowd Capital(TSR企業コード:016749740、法人番号:4010401122132、同所、設立2015(平成27)年12月、資本金5400万円、丸一靖司社長、負債総額約30億円)。
(株)Crowd Fund(TSR企業コード:017233968、法人番号:6010401123062、同所、設立2016(平成28)年2月、資本金1万円、同社長、負債総額約30億円)。
(株)真秀コールド・フーズ(TSR企業コード:014791552、法人番号:1150001019965、五條市住川町888-9、設立2015(平成27)年5月、資本金4300万円、浦島申次社長、従業員50名)は3月2日、奈良地裁に民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。申請代理人は植村淳子弁護士・田中成憲弁護士(弁護士法人関西法律特許事務所、大阪府大阪市中央区北浜2-5-23、電話06-6231-3210)。監督委員には北岡秀晃弁護士(古都の風法律事務所、奈良市高天町19-1、電話0742-20-0510)。負債総額は保証債務なども含め約50億円。
奈良県などが出資する第三セクター企業である奈良市場冷蔵(株)(TSR企業コード:620087633、法人番号:3150001005955、大和郡山市)の役員などが中心となって設立。県や金融機関からの協調支援のもとで、2017年3月には総額約36億円をかけ、奈良県五條市の「テクノパーク・なら工業団地」内に奈良県内最大級となる移動ラック型冷凍保管庫を有する冷食炒飯・冷凍ピラフ・冷凍おにぎりなどの冷食米飯製造工場を開設した。
しかし、工場開設以降、計画通りに受注を確保できなかったうえ、機械設備の不具合などもあり、収益体質を築くまでには至っていなかった。多額の先行投資負担を吸収できず、資金環境は急速に悪化。相次ぐ代表の交代など社内体制も整っていなかった。
金融機関に対して返済猶予を要請するなど経営改善に努めてきたが、ここへきて資金繰りも限界に達し、自力再建を断念した。
(株)シティーヒル(TSR企業コード:570989965、法人番号:2120001081117、大阪市中央区博労町4-5-9、設立1988(昭和63)年6月、資本金5000万円、中田勉社長)は3月16日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は猿木秀和弁護士(弁護士法人三宅法律事務所、大阪市中央区今橋3-3-13、電話06-6202-7873)ほか。監督委員には加藤清和弁護士(梅田総合法律事務所、大阪市北区堂島1-1-5、電話06-6348-5566)が選任された。負債総額は49億9600万円。
18~34歳をターゲットとしたヤングカジュアルを主体にレディースアパレルの企画販売を展開。当初は卸中心だったが、その後、店頭小売業に転換。1995年に直営1号店の「マジェスティックレゴン」をオープンした。以降、ファッション誌やメディアを活用した積極的なブランド開発や店舗展開を進め、主要ブランドの「マジェスティックレゴン」のほか、「ルクールブラン」、「ペルルペッシュ」を持つ。販売チャネルも店頭小売に加え、ECサイトの活用などで業容を拡大し、ピーク時の2016年2月期の売上高は143億9736万円をあげていた。
しかし、ここ数年は流行の変遷から主要ブランドの小売店舗での売れ行きが鈍化。著名ファッション通販サイトとの関係強化でEC向けは好調に推移したが、売上高は頭打ちの状況になっていた。2019年2月期は、テレビドラマ「帰ってきた家売るオンナ」で女優の北川景子さんが「マジェスティックレゴン」を着用し、知名度が向上したが、地震や台風などの天災で一部店舗が運営できない事態も生じ、売上高は137億2839万円に低迷した。
また、収益も在庫処分や不採算店舗の退去費用などが嵩んだほか、EC販売強化に伴う経費増などで2017年2月期から3期連続で赤字を計上、資金繰りが逼迫していた。このため、2019年秋に金融機関へ借入金返済のリスケジュールを要請していた。
余裕のない資金繰りが続くなか、2020年も「新型コロナウイルス」の感染拡大の影響で、2月以降の売上が減少。手形の決済資金を確保できず、今回の措置となった。
瀬戸給食(株)(TSR企業コード:722076126、法人番号:4240001040819、福山市手城町3-26-18、設立2011(平成23)年4月、資本金100万円、小川國司社長)は3月31日、広島地裁に民事再生法の適用を申請した。また、関連のハゴロモ(株)(TSR企業コード:720051495、法人番号:3240001034359、福山市曙町3-25-11、設立1953(昭和28)年11月、資本金3000万円、同社長)は3月31日、同地裁に破産を申請し同日、破産開始決定を受けた。申請代理人は堀口真弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所、東京都中央区八重洲2-8-7、電話03-3273-2600)ほか。監督委員および破産管財人には中尾正士弁護士(鯉城法律事務所、広島市中区八丁堀8-20、電話082-227-2411)が選任された。負債は、瀬戸給食が約13億9800万円、ハゴロモが約28億8800万円で、2社合計で約42億8600万円。
瀬戸給食は、2011年4月に瀬戸興業(株)から会社分割され、ハゴロモの子会社として設立。事業所向けの給食弁当製造を主体に社員食堂の運営なども手掛け、2019年3月期の売上高は約11億1600万円を計上した。
しかし、西日本豪雨で高梁工場(岡山県)が被災して閉鎖を余儀なくされ、3期連続で赤字を計上。また、既往の設備投資から借入金への依存度も高く苦しい運営が続いていた。さらに、代表者が高齢で後継者も不在であったたため、今回の措置となった。スポンサーを募り、再建を目指す。
ハゴロモは1898年創業で、過去には府中味噌の老舗メーカーとして西日本地区を中心に営業基盤を築いていた。近年はむすびや寿司、佃煮、寿司舎利などの製造を主体に、美容院やマッサージ店、不動産賃貸業も手掛け、2014年3月期には売上高約38億3800万円をあげていた。
しかし、給食事業を瀬戸給食へ移管したことや同業者との競合から、2019年3月期の売上高は約14億4600万円まで落ち込んだ。利益も2期連続で赤字を計上するなど厳しい業況が続いていた。
過去の本社建物の改修や機械設備の購入、他業種への参画による営業権や投資有価証券、子会社株式など投資等資産への資金投下も大きく、多額の借入金を抱えていた。2020年3月期も業績回復には至らず、金融機関からの支援も限界に達し、事業継続を断念した。
奥井建設(株)(TSR企業コード:290524580、法人番号:5011801006650、足立区梅田2-9-4、設立1955(昭和30)年1月、資本金9000万円、奥井広大社長)は3月23日、東京地裁に破産を申請し同日、破産開始決定を受けた。破産管財人には高松薫弁護士(隼あすか法律事務所、千代田区霞が関3-2-5、電話03-3595-7070)が選任された。負債総額は27億700万円。
1947年創業。90%以上を官公庁案件が占め、公共施設、公園土木工事や都営住宅などの建設を主体に豊富な実績を有していた。また、東日本大震災以降は東北の復興工事需要なども積極的に取り込み業績を拡大、2017年10月期は完工高55億2660万円をあげていた。その後も公共工事を中心に受注を獲得し、2019年9月期(決算期変更)は完工高54億7100万円を計上した。
一方で、2018年1月、東京都より受注した「駒沢オリンピック公園総合運動場硬式野球場」の増築・改修工事でトラブルから下請業者への支払遅延が発生。また、複数の取引先から請負代金請求訴訟を起こされるなどしたことで資金面に関する信用が低下していた。
こうしたなか、主に積算部門の人手不足で予定していた受注を確保できず業況が悪化。資金調達のめども立たず、今回の事態となった。
関連サービス
人気記事ランキング
「人材派遣業」は大手企業がシェア席巻 黒字企業が8割も、コロナ後初の減益
深刻な人手不足と賃上げを背景に、転職市場が活況を呈している。だが、その一方で人材派遣業は、人手不足による人件費上昇などで利益が追い付かず、大手と中小事業者の業績格差が年々拡大している。
2
ひと足早く始まった低金利の終焉、金利上昇が加速へ
2024年3月、日本銀行は2016年2月に始まったマイナス金利政策の解除を決定した。 コロナ禍も利下げは止まらず、ピークの2023年3月末は、金利0.5%未満が貸出金全体の37.0%を占めた。金融機関は10年余りの間、本業での収益悪化が続いたが、コロナ禍を経て状況が一変した。
3
船井電機、登記変更と即時抗告と民事再生
10月24日に東京地裁へ準自己破産を申請し同日、破産開始決定を受けた船井電機(株)(TSR企業コード:697425274)を巡って、大きな動きが続いている。
4
脱毛サロンなどエステ業の倒産が過去最多ペース 1-10月累計87件、初の年間100件超も視野に
脱毛サロンなど、エステ業界の倒産が急増している。2024年は10月までに87件に達した。現在のペースで推移すると、2024年は過去最多の2023年の年間88件を上回ることは確実で、100件を超える勢いだ。
5
登記上の本社同一地の最多は4,535社 代表ひとりが兼任する企業の最多は628社
全国で同じ住所に法人登記された社数の最多は、「東京都港区南青山2-2-15」の4,535社だった。 また、1,000社以上が登記しているのは14カ所で、上位10位までを東京都の港区、渋谷区、中央区、千代田区の住所が占めた。