こうして倒産した

2014年(平成26年)こうして倒産した・・・
エヌ・エス・アール(株)
  • 東京
  • 土地売買・不動産賃貸ほか
負債総額
1650億円
 

 エヌ・エス・アール(株)(TSR企業コード:140187804、中央区八重洲1-4-18、設立昭和52年5月、資本金1億円、代表清算人:山本忠行氏)は1月31日、東京地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には大塚正和弁護士(りべる総合法律事務所、中央区日本橋兜町7-16、電話03-3249-1081)。負債総額は届出債権の元本のみで約654億円、損害金を含めると1650億円。
 宮城県仙台市で設立、昭和63年6月山万アーバンフロント(株)に変更し、仙台市宮城町(現青葉区錦ケ丘)地区の大規模開発を開始した。平成1年9月に宅地400区画と建物9棟を分譲し、平成1年11月期に売上高127億9836万円を計上していた。
 バブル崩壊後も継続して宅地開発などを行い、10年3月期の売上高は約104億円を計上、12年8月にアーバンフロント(株)に商号変更し、同年11月に子会社4社を合併するとともに東京都中央区に本店を移転した。
 しかし、その後は不動産不況と金融引き締めの影響を受けて11年3月期の売上高が32億4749万円にダウン。21億4267万円の赤字に陥り約81億円の債務超過に転落。以後、14年1月に住宅販売部門を分社し、土地売買を中心に「錦ケ丘ニュータウン」内の施設賃貸管理および施設内でのスーパー経営にシフトしたことで、14年3月期の売上高が44億2000万円に減少。所有する土地の評価損他で100億円余の赤字が続き債務超過が拡大していた。
 こうしたなか15年3月、取引金融機関が持つ債権を整理回収機構(RCC)に譲渡。以降、RCCの再生スキームに沿って事業運営が行われてきたが、債務整理が一段落したことで事業清算を行うべく、22年12月10日の株主総会の決議により解散していた。なおこの間、19年6月現商号に変更、25年10月に現在地に本店を移転していた。

(株)インターナショナルイーシー
  • 東京
  • 不動産賃貸
負債総額
485億5300万円
 

 (株)インターナショナルイーシー(TSR企業コード:292054262、文京区後楽1-2-2、設立昭和59年9月、資本金1億円、戸澤茂社長)は12月5日、東京地裁から破産開始決定を受けた。破産管財人には竹村葉子弁護士(三宅・今井・池田法律事務所、新宿区新宿1-8-5、電話03-3356-5251)が選任された。負債総額は債権者17名に対し485億5300万円。
 当初はコスモ・ワールド(株)の商号で事業を開始し、建築関連のソフトウェアの販売・リースを手掛けるほか、平成2年のバブル景気時にはゴルフ場開発などにも手を広げて、同年5月期には売上高65億9439万円をあげていた。しかし、バブル崩壊以降は、赤字決算が続き、4年10月には他社に事業譲渡し、所有不動産の賃貸業務を主力として事業を継続してきた。その後、新規事業として空調システム開発に着手したが、計画通りの成果が上がらず、過去の不動産投資などによる借入金の負担もあって資金繰りが再び悪化。実質的に事業休止状態にあったなかで今回の措置になった。

(株)白元
  • 東京
  • 防虫剤・防臭剤ほか製造販売
負債総額
254億9400万円
 

 (株)白元(TSR企業コード:290737460、台東区東上野2-21-14、設立昭和25年1月、資本金43億2473万8302円、鎌田真社長、従業員399名)は5月29日、東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。監督委員には腰塚和男弁護士(東京まどか法律事務所、千代田区神田須田町1-13-8)が選任された。なお、問い合わせ先として(株)白元再生対策室(電話03-3835-7563)が開設されている。負債総額は254億9400万円(平成26年3月31日時点)。


 大正12年にナフタリン防虫剤の製造で創業。以来、長年の業歴を重ねるとともにパラゾールやミセスロイド、ノンスメル、アイスノン、ホッカイロ、ソックタッチなどのヒット製品を次々と生み出し業容を拡大。平成21年3月期には売上高301億1400万円と初めて300億円を超えた。また、関係会社として国内では大三(株)(TSR企業コード:830023801、高知県香南市、設立昭和40年3月、資本金9800万円、岡田守男社長、従業員70名、衛生用品・化粧品ほか製造販売)と(株)マザーズ(TSR企業コード:296505897、東京都墨田区、設立平成14年10月、資本金1000万円、大沼弘明社長、従業員7名、医薬部外品・カー用品製造販売)の2社、海外では香港白元有限公司深セン工場(中国、日用雑貨製造)、白元家庭用品(深セン)有限公司本社(中国、日用雑貨販売)、UNI-KING OF HAWAII,INC(アメリカ、家庭・日用品の輸入卸)の3社でグループを構成していた。


 その後、業績は順調推移していたが、25年3月期には保冷剤関連で猛暑による在庫不足と新規参入業者との競合から売上高は304億8668万円に落ち込み、事業再構築関連費用などで特別損失6億9804万円を計上し、3億6958万円の赤字となった。この赤字により財務は悪化し25年5月、住友化学(株)(TSR企業コード:570098572、東京都中央区)に対し第三者割当増資を行い、同社が19.5%を出資する筆頭株主となった。26年1月には、日本国内での使い捨てカイロ事業を大手医薬品製造販売の興和(株)(TSR企業コード:400028000、名古屋市中区)への譲渡を発表した。
 同社が51%、白元が49%を出資する興和白元古河ファクトリー(株)(TSR企業コード:282296603、茨城県古河市、設立平成25年12月、資本金5000万円)で26年1月からカイロ製造を開始した。時期を前後して当社の決算内容に信憑性の問題が浮上。これに伴い取引金融機関と支援策について継続的に協議を重ねる事態に発展し、金融機関に対し26年3月末から6月末まで借入金の返済猶予などを要請した。その一方で、各金融機関は日常の資金繰り支援を進め、26年5月頃には監査法人によるデューデリジェンスが行われる事態となった。しかし、金融機関との再建策がまとまらず、民事再生手続きによる会社再建を目指すことになった。

一般社団法人京都府森と緑の公社
  • 京都
  • 育林業
負債総額
227億8300万円
 

 一般社団法人京都府森と緑の公社(TSR企業コード:641478569、京都市上京区出水通油小路東入丁風呂町104-2、設立昭和42年9月、代表理事:小田一彦氏)は6月5日、民事再生法の適用を申請した。申請代理人は古家野泰也弁護士(弁護士法人古家野法律事務所、同市中京区三条通烏丸西入御倉町85-1、電話075-223-2788)。負債総額は227億8300万円(平成26年3月期時点)。
 京都府が74.9%(平成25年3月期時点)を出資する第三セクター。土地(山林・4652ヘクタール・13市町村・277事業所)の所有者と契約を行い、育林業として管理などを行ってきた。
 平成25年3月期の売上高は4億3610万円を計上していたが、借入依存度は高く、同期決算時点で借入金は226億7746万円を抱え大きな負担となっていた。今後も債務削減が見込めず、将来的には大幅な債務超過に陥る可能性があることから、今回の措置となった。
 京都府は当社への貸付金については全額放棄し、残りの負債については「第三セクター等改革推進債」を利用して京都府が返済、債務金額は確定したうえで精算し解散させる予定。また、現状の森林は土地所有者にも経費負担を求めたうえで、京都府が管理あるいは希望に応じて返還する予定。民事再生開始決定を受けた後、再生計画案を9月頃をめどに提示し、12月以降に再生計画を実施する計画としている。

(株)笠屋町不動産
  • 大阪
  • 貸ビル・賃貸マンション経営
負債総額
200億円
 

 (株)笠屋町不動産(TSR企業コード:570384982、大阪市北区西天満3-4-4、設立昭和27年6月、資本金8208万円、代表清算人:松村安之氏)は7月30日、大阪地裁より特別清算開始決定を受けた。負債総額は金融債務を中心に200億円。
 昭和22年12月個人創業。当初は不動産賃貸業からスタートしたが、貸ビルや賃貸マンションの経営に進出した。全国主要都市の繁華街にレジャービルを主体とする不動産賃貸を手がけ、順調に業容を拡大。バブル崩壊直後の平成4年5月期は売上高約110億円を計上していた。
 しかし、バブル景気の崩壊に伴い入居する飲食店などテナントの退出が相次いだほか、家賃の下落圧力もあって売上は下降推移をたどり、平成16年5月期の売上高は48億5955万円にまで低下した。一時170棟のビル・マンションを所有していたが、不採算の不動産を売却し金融債務の圧縮を進めた。その後も資産売却を加速し事業規模は年々縮小、19年頃から休眠状態となっていたが、26年4月末の株主総会決議をもって解散し今回の措置となった。

クロスシード(株)
  • 東京
  • 貸付債権回収
負債総額
136億2900万円
 

 クロスシード(株)(TSR企業コード:291298320、旧:ネオラインキャピタル(株)、中央区東日本橋2-16-4、設立昭和44年11月、資本金6000万円、五十嵐信社長)は平成25年9月17日、債権者から大阪地裁に破産を申し立てられ12月26日、破産開始決定を受けた。破産管財人には土岐敦司弁護士(成和明哲法律事務所、港区虎ノ門4-3-1)と服部敬弁護士(はばたき綜合法律事務所、大阪市北区西天満4-4-18)が選任された。なお、電話連絡先として管財人室コールセンター(電話03-4330-3630、受付時間:9時~18時(土日祝日を除く))が設置されている。負債総額は平成23年3月期決算時点では約136億2900万円だが、過払い金債権者などもいて膨らむ可能性がある。
 昭和44年11月に設立。平成16年10月12日に株式交換により(株)ライブドア(TSR企業コード:293194785、東京都港区、(株)LDHとして23年8月解散)の子会社となり、19年2月にかざかファイナンシャルグループの1社となった。その後、藤澤信義氏がMBOにより株式を取得しネオラインホールディングス(株)(現:JTインベストメント、TSR企業コード:800081005、東京都港区)の1社となり、20年11月にネオラインキャピタル(株)に商号を変更。その後は積極的にM&Aを行い、21年4月には消費者金融大手の子会社を買収するとともに、同社の営業貸付債権を譲り受けた。
 一般消費者向けを主体に事業者向けの債権を買い取っていたが、貸金業法の改正などから業界を取り巻く環境は厳しさを増し、また親密な関係にあった日本振興銀行(株)(TSR企業コード:299000370、現:日本振興清算(株)、千代田区)が22年9月10日、東京地裁に民事再生法の適用を申請したことで、多額の焦げ付きが発生するなどし、資金繰りは厳しい状況となっていた。
 24年3月期に入り新たな債権買取は行わず、過去に買い取った債権回収のみの事業展開となり、24年1月に現商号に変更するとともに(株)ネオラインホールディングスとの資本関係を解消した。しかし、過払い金関連での多くの訴訟を抱えるなどして、25年9月に債権者から破産を申し立てられていた。

(株)リンク・イノベーション
  • 東京
  • 販売促進コンサルティング
負債総額
98億1600万円
 

 (株)リンク・イノベーション(TSR企業コード:294280308、港区南青山3-8-37、設立平成12年5月、資本金3000万円、代表清算人:池田龍哉氏)は6月23日、東京地裁から特別清算開始決定を受けた。負債総額は98億1600万円(平成23年12月期末時点)。
 12年5月に(株)ベンチャー・リンク(TSR企業コード:570975018、現商号:(株)C&I Holdings、24年3月民事再生法申請)の出資を受けて設立された。当初はポスター、写真、チラシ等の印刷サービス店「impresse」のFC事業や印刷関連サービスを展開していたが、設立以来、赤字経営が続き事業が軌道に乗らなかった。
 C&I Holdingsの連結子会社として、その後は、美容室などをターゲットとしたセールスプロモーションや販売促進コンサルティングなどを主軸事業としていたが、16年5月期は売上高28億3200万円に対し、58億5600万円の最終赤字を計上するなど大幅な累積損失を抱えていた。23年12月末時点では98億518万円の大幅な債務超過となっていたが、24年3月に親会社のC&I Holdingsが民事再生法の適用を申請。再生手続きに沿ってグループ再編を進めるなかで26年4月15日に株主総会で解散を決議していた。

姫路土地(株)
  • 大阪
  • ボウリング場経営ほか
負債総額
98億円
 

 姫路土地(株)(TSR企業コード:570737540、大阪市東淀川区豊新5-3-15、設立昭和51年1月、資本金1600万円、代表清算人:谷口謙一氏)は12月9日、大阪地裁へ特別清算を申請し12月22日、特別清算開始決定を受けた。申請代理人は増田智彦弁護士(東京丸の内法律事務所、千代田区丸の内3-3-1、電話03-3213-1081)ほか1名。負債総額は金融債務を中心に約98億円。
 平成26年5月、(株)ヒメカンから社名変更した半世紀余の業歴を有する元パチンコ店の運営業者。大規模郊外店舗を主体として最盛期には40店舗以上を運営していた。
 ピークとなる平成11年12月期には売上高558億9600万円を計上し、グループの中核企業として事業を展開してきた。しかし、バブル景気時に借入金に依存した店舗展開に伴う資金負担が長年、重荷となっていた。
 このため、不採算店舗の撤退や各店舗の運営を関連会社に譲渡するなど、事業規模の縮小を図ってきた。25年12月期は売上高約20億円に対し、不動産評価損および売却損等を計上し約15億円の最終赤字を計上した。
 その後、ボウリング場の経営会社となり、ここ1年間は金融機関等との協議を重ねながら金融債務の圧縮を中心とした事業再編に着手していた。以前のグループ各社は第三者へ売却するなどで対応が一段落したことから、26年10月25日付で解散していた。

(株)テイー・シー・ワークス
  • 東京
  • 展示会装飾の企画・設計・施工
負債総額
93億円
 

 (株)テイー・シー・ワークス(TSR企業コード:293146780、千代田区大手町1-3-7、設立平成3年、資本金1億円、代表清算人:竹内敏氏)は11月6日、東京地裁より特別清算開始決定を受けた。負債総額は約93億円。
 (株)日本経済新聞社(TSR企業コード:291140327、同所)の事業部が独立して設立。プロモーション事業(セミナー・展示会・イベントスペースの企画・設計・施工)、商業施設事業などを展開。親会社およびグループ会社を主体に販路を構え、平成12年12月期に売上高106億8578万円を計上した。しかし、12年頃から元経営陣による架空取引などの不正経理疑惑が浮上し、その後、親会社を巻き込んだ騒動に発展。総額約100億円の不正手形が流通するなどして15年11月、当時の社長以下、経営幹部が特別背任容疑で逮捕された。この間、親会社の全面支援の下、経営再建を進めていたが、事件の影響を受けて13年12月期の売上高が57億9965万円にダウン。さらに14年12月期には売上高が27億9241万円に落ち込み、赤字が続き債務超過が約96億円にまで拡大した。業績回復が望めないことから事業継続を断念し、17年2月28日の株主総会の決議により解散していた。

(株)一関カントリー倶楽部
  • 岩手
  • 資産管理業
負債総額
86億7800万円
 

 (株)一関カントリー倶楽部(TSR企業コード:170079686、一関市萩荘字黒木1-4、設立昭和53年4月、資本金6100万円、東道男社長)は6月30日、東京地裁へ破産を申請した。破産管財人には大川康平弁護士(大川法律事務所、中央区八重洲1-7-15、電話03-3274-2571)が選任された。
 負債総額は債権者5667名に対し86億7800万円。
 一関カントリークラブの運営を目的に設立。27ホールの個性的なコースを持つゴルフ場として人気を博し、年間売上高は約10億円をあげていた。平成6年1月にはクラブハウスを新築し、宿泊施設、会議室・コンペルーム等、最新の設備で利用客の増加を図った。
 バブル崩壊以降、利用客は減少し、競争激化でプレー料金の値下げを余儀なくされ、年間売上高は落ち込んだ。16年1月には不動産を差し押さえられるなど厳しい経営を余儀なくされ、17年1月に関連の大地商販(有)(TSR企業コード:295614021、一関市、6月30日破産申請)に一関カントリー倶楽部の運営を譲渡し、不動産等の資産管理業となった。既往の設備投資による借入負担が資金繰りを圧迫し、今回の措置となった。

戦後歴代の大型倒産

日本の戦後歴代の大型倒産を
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