太陽殖産(株)(岡山市北区下石井1-2-3、設立昭和21年12月、資本金2400万円、福田惠温社長、従業員20名)は、5月25日東京地裁に会社更生法の適用を申請した。更生管財人には松嶋英機弁護士(西村あさひ法律事務所、港区赤坂1-12-32アーク森ビル、電話03-5562-8500)が選任された。負債総額は保証債務、関係会社間取引を含め、417億5800万円。
同社は、バイオ事業等を展開する林原グループの1社で、土地の有効活用や地域開発、自社及びグループ会社名義で有する全国各地のビル、ホテル、駐車場等の賃貸管理といったグループ全体の不動産関連業務を主体に保険代理等も行い、最近は10~11億円の年商を計上していた。
平成23年1月に同社と(株)林原、(株)林原生物化学研究所、(株)林原商事のグループ4社が事業再生ADR手続の利用を申請したが、2月2日これを取り下げて林原、林原生物化学研究所、林原商事が会社更生法の適用を申請し、太陽殖産は債務超過状態にないとの理由で除外された。
しかし3社の更生手続が進められる中、太陽殖産としても一部所有不動産売却等による負債圧縮を図っていたが、グループ企業間での資金貸借や保証等もあり、グループの一体的な事業の再建・再構築には太陽殖産も含めた会社更生手続による再建計画立案が必要と判断した。
特定目的会社芦屋シニアレジデンス(名古屋市中区錦2-2-13、設立平成20年8月、特定資本金1億円・優先資本金30億円、木村優代表)は、5月30日付けで神戸地裁尼崎支部から破産開始決定を受けた。破産管財人は小松陽一郎弁護士(小松法律特許事務所、大阪市北区中之島2-2-2、電話06-6221-3355)。負債総額は約99億4400万円。
同社は、不動産開発の(株)ゼクスが企画開発した介護付有料老人ホーム「チャーミング・スクウェア芦屋」の施設不動産(総数578室)を取得し、直接の運営は外部に委託していた。
ただ、不動産取得前から課題であった施設入居率の低さは最近においても一向に改善せず、投資に関わる費用が重荷となり、経営は安定性を欠いた状態にあった。入居者からも今後のサービスの安定、経営の堅実性に対しての懸念が囁かれる中、事業の再構築を意図した債権者から破産を申し立てられた。なお、「チャーミング・スクウェア芦屋」は別途運営法人とスポンサーによって今後も運営は継続される。
岩見沢都市開発(株)(岩見沢市4条西3-1、設立昭和61年11月、資本金1億円、代表清算人橋本昭夫氏)は、5月17日に札幌地裁から特別清算手続開始決定を受けた。代表清算人には橋本昭夫弁護士(橋本・大川法律事務所、札幌市中央区北4条西20-1、電話011-631-2300)が選任された。負債総額は約65億円。
同社は、岩見沢市中心部の再開発のため岩見沢市、地元地権者及び金融機関等の出資により設立された。昭和63年にはテニスコートやボウリング場も併設した大型複合商業施設「ポルタ」を新築し、キーテナントなる量販店には「西友」の誘致に成功した。さらに、平成3年には分譲マンションの販売に乗り出したが完売には4年を費やし、同5年3月期には年商約8億円に対して金融債務が約80億円にまで膨らみ、4億円を超える債務超過に陥っていた。
大規模リストラによる収益改善策とともに金融機関からの金利減免や返済条件の緩和などの支援策により支えられてきたが、岩見沢市中心街の空洞化にともない減収に歯止めがかからなかった。こうした中、同21年3月にはキーテナントである「西友」が撤退したため、同22年3月期には売上高が1億7360万円にまで落ち込み、赤字計上から維持運営が行き詰まった。
このため、岩見沢市が中心となって整理方針を策定し、商業施設と隣接する駐車場を買い取るために新会社の(株)ポルタを設立して債権者との話し合いを進めていた。
長野工業(株)(千曲市八幡3297-2、設立昭和43年12月、資本金5000万円、山岸正人社長、従業員142名)は、5月27日に長野地方裁判所へ民事再生法の適用を申請した。申請代理人は井上愛朗弁護士(森・濱田松本法律事務所、千代田区丸の内2-6-1丸の内パークビルディング、電話03-5223-7744)。負債総額は約58億円。
同社は建設機械製造業者。県内2カ所に工場を有し、高所作業機、ミニショベルを製造していた。さらに英国の子会社を通じて、欧州市場を主体にミニショベルの輸出も手がけていた。 平成5年には、主力得意先の破産申請により多額の売掛金が回収不能となり、財務が大幅に悪化した。このため同16年から銀行主導による抜本的な再建計画を実行し、新しい経営陣の下で再スタートを切った。その後、ヨーロッパ市場でミニショベル需要が活発化し業績が回復基調を辿り、同19年3月期には売上112億9381万円、純利益4億9397万円を計上した。
しかし、平成20年秋に生じたリーマン・ショック等により販売不振となり、多くの在庫を抱えこんだ。また在庫解消のため販売を強化したが、簿価を下回る価格での販売を余儀なくされた。 収益性を確保するため製造コストの削減努力を行うとともに、遊休資産売却、人員削減等など経費削減策を実行してきたが、世界的な景気後退の影響による受注減少に加え、欧州における急速な円高の影響で輸出で多額な損失を出した。同22年3月期売上は16億802万円にまで落ち込み、最終赤字8億6434万円に膨らんだ。厳しい資金状況の中、金融機関に対する元本及び利息の支払い条件変更などで凌いできたが、遂に支え切れず自主再建を断念した。
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