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売上高100億円以上の「小売業」動向調査 ~ 「ホームセンター、家電」 10年前に比べ売上高平均1.7倍増 ~、信用調査、与信管理、倒産情報は東京商工リサーチ。

公開日:2012.12.26

売上高100億円以上の「小売業」動向調査 ~ 「ホームセンター、家電」 10年前に比べ売上高平均1.7倍増 ~

 小売業はリーマン・ショック以降、消費低迷とデフレで我慢が続いている。年間売上高100億円以上の小売業者数は2007年度の1,499社をピークに減少をたどっている。だが、2011年度は小売業者の売上高合計および1社あたりの売上高平均が増加し、復調の兆しも見え始めた。中堅・大手小売業者は冷え切った個人消費を喚起し、未曾有の不況を乗り越えつつある。だが、その背景には統合やM&Aで規模を拡大した大手の姿があり、単独での生き残りが厳しいことを示している。2012年11月にはTVショッピング「日本直販」で有名な(株)総通(大阪市中央区)が粉飾に手を染め破綻した。販売チャネルが多様化する中、いかに消費者のニーズを汲み取り競合に打ち勝つかが存続のカギとなる。


※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(267万社)から抽出した売上高100億円以上の小売業を対象とした。対象決算は、2002年4月-2003年3月期決算を「2002年度」とし、2011年4月-2012年3月期決算の「2011年度」までを集計した。変則決算は年換算した。業態はTSRが独自に分類し、「百貨店」~「ガソリンスタンド」の各業態に該当しないものは「その他」とした。ただし、丸井、福田屋百貨店等、日本百貨店協会の非加盟百貨店は「その他」に分類している。「通信販売」には訪問販売を含んでいる。

売上高100億円以上の小売業者数 2007年度が1,499社で最多

 2002年度-2011年度のうち、年間売上高100億円以上を計上した小売業者数は2002年度が最少の1,356社だが、2002年度以降増加傾向となり2007年度は1,499社でピークとなった。リーマン・ショックが起きた2008年度は個人消費にブレーキがかかった結果、売上高100億円以上の小売業者数は1,479社(前年比1.3%減)とマイナスに転じた。以降、2009年度が1,420社(同3.9%減)、2010年度が1,411社(同0.6%減)、2011年度が1,396社(同1.0%減)と社数は減少推移をたどり、例年の売上高が100億円強で推移していた企業の業績回復が遅れたことが推測される。


売上高合計 2008年度が最大

 年間売上高100億円以上の小売業者の売上高合計は2002年度が最少で58兆1,545億円。以降は増加傾向となり、2008年度は72兆3,190億円にのぼった。リーマン・ショックを挟んで2009年度は69兆2,132億円(前年比4.2%減)、2010年度は68兆9,672億円(同0.3%減)と減少したが、2011年度は70兆8,501億円(同2.7%増)と復調の兆しが見え、10年間で最大だった2008年度の水準に近づいた。

 リーマン・ショック後の景気低迷で個人消費が抑制され売上高100億円以上の企業数は減少したが、1社あたりの売上高平均は増加を続けた。中小企業が苦戦するなか、スケールメリットを生かし価格競争で優位に立つ大手が業績を伸ばしている。


売上高100億円以上小売業 社数・売上高合計推移


売上高平均 「ホームセンター、家電」は10年前に比べ1.7倍増

 業態別の売上高平均では、「ホームセンター、家電」が大きく伸ばしている。家電最大手の(株)ヤマダ電機(高崎市)が各地の量販店を買収するなどして急速に成長し、売上高平均は2002年度の714億円から2011年度は1,220億円(70.8%増)で10年前に比べ1.7倍増となった。また、「ドラッグストア」、「スーパー、コンビニ」もM&Aや積極的なチェーン展開で、売上高平均は全般的に伸びの動きを見せている。安さや利便性が消費者のニーズに合致し、生活必需品の消費は進んでいる。

 一方、「百貨店」はリーマン・ショック直後の2008年度に売上高平均は大幅に縮小した。一部の百貨店では統合の効果で売上規模が拡大したが、長引く景気低迷や低価格帯商品との競合で不振から抜け出せない地方百貨店が全体を押し下げていると見られる。ただし、2011年度の売上高平均は904億円で、2010年度の862億円と比較すると4.8%増加し、贅沢品への消費が上向きかけていることも示している。

 「アパレル」はトップを走る(株)ユニクロ(山口市)が2005年に(株)ファーストリテイリングより会社分割されたことで2006年度以降の売上が急激に拡大し、全体の平均を引き上げる要因となった。


業態別 売上高平均推移

業態別の社数・売上高状況

 「百貨店」は2008年度、2009年度に社数、売上高ともに急激に減少している。リーマン・ショック後の景気低迷により高価格帯商品を買い控える消費者の動きを色濃く反映した結果となった。だが、2010年度には社数、2011年度には売上高も復調しており、消費抑制の反動と消費者の我慢疲れが浮き彫りとなった。

 (株)そごう・西武(TSR企業コード350431906、千代田区)は2009年8月にミレニアムリテイリング、そごう、西武百貨店の3社が合併、翌9月にロビンソン百貨店を吸収合併した効果で、2009年度以降売上高が大幅に上昇した。また、(株)大丸松坂屋百貨店(TSR企業コード400016974、江東区)も2010年3月に松坂屋と大丸が統合し、売上高を急激に伸ばした。


 消費者の日常に直結する「スーパー、コンビニ」は2008年度以降、社数の落ち込みが続き2011年度は前年度比5.8%減(359社→338社)と過去10年間で最も減少幅が大きかった。ただし、売上高は2011年度で増加に転じ、1社あたりの売上高平均も増加している。中・小規模スーパーの買収やプライベートブランドの拡充等で大手が勢いをつけている。また、消費者の購買意欲が徐々に回復していることも示している。

 2002年度に売上高トップだった(株)ダイエー(TSR企業コード570118310、江東区)は経営不振に陥り、2004年から産業再生機構の支援を受けた。その後、筆頭株主となった丸紅のもと食品を中心としたスーパーへ転換。不採算店舗を閉鎖した影響などから売上高は2006年度に急激に落ち込むこととなった。


 「ホームセンター、家電」の社数は2008年度以降、なだらかな減少推移をたどっている。長引く消費低迷でリーマン・ショック前の売上高水準を確保できず脱落した企業が増えた。一方、2009年5月にエコポイントが導入された結果、売上高は家電量販店を中心に2009年度で一時的に増加したが、需要が一巡し2010年度、2011年度は減少している。

 家電業界トップを走る(株)ヤマダ電機(TSR企業コード270114270、高崎市)は各地の量販店を買収するなどして急速に成長してきた。省エネ家電、タブレット型パソコン、スマートフォン等の需要で業績を伸ばしてきたが、エコポイントの終了、地デジ化に伴うテレビ需要が一巡し、2011年度は減速した。


 「ドラッグストア」は社数で若干の乱高下があるが全般的には増加傾向で、売上高は2002年度以降伸び続けている。ドラッグストアは1997年に定価販売を義務付ける法律が廃止されたことから、低価格を武器にシェアを拡大している。医薬品だけでなく化粧品、日用品雑貨、食品を取り揃えスーパーとの差別化を図っている。ただし、2009年6月に改正薬事法が施行され登録販売員制度が導入されたため今後、スーパーなどとの競合が激しくなっていくことも予想される。

 小規模都市型ドラッグストアを展開する(株)マツモトキヨシ(TSR企業コード320079376、松戸市)は、一部の地区の店舗運営を会社分割した結果、2008年度は減収に転じた。


 「アパレル」の社数は2006年度をピークに減少している。低価格帯商品、ファストファッションの流入で中堅・大手クラスの中でも競争が激しいが、売上高は一定水準が維持されている。また、売上高平均は増加傾向で、1社あたりの売上増が全体の売上高を押し上げていることがわかる。

 トップを走る(株)ユニクロ(TSR企業コード770133959、山口市)は、ファーストリテイリングより会社分割され、2005年度を境に急激に売上規模が拡大した。また、(株)しまむら(TSR企業コード310015561、さいたま市北区)は、ファストファッションチェーンとして知名度抜群で好調を維持している。


 「自動車関連」は社数、売上高ともに2008年度以降、乱高下している。2008年はリーマン・ショックの影響で急激に市況が悪化したが、2009年6月に導入されたエコカー補助金が消費を喚起し、2009年度の売上増に結びついた。その反動で2010年度は落ち込んだが、エコカー補助金が延長されたこともあり、2011年度の売上高は再び増加している。

 メルセデス・ベンツをはじめとした輸入自動車を取り扱う(株)ヤナセ(TSR企業コード291014534、東京都港区)は販売低迷で2007年度-2009年度にかけ売上高が急落した。カー用品販売の(株)イエローハット(TSR企業コード291004628、東京都中央区)は出店増もあり2011年度は盛り返した。


 「通信販売」の売上高は全般的に増加傾向にある。無駄な支出を抑えるために外出を控えた消費者のニーズをとらえた。ECサイトの増加に加え、インターネットで自由に価格、質、使い勝手などを比較できる点が有利に働いた。他の業態が落ち込んだ2008年度と2009年度で唯一、社数を伸ばした。

 TVショッピングで有名な(株)ジャパネットたかた(TSR企業コード920179223、佐世保市)がトップ。2010年度はデジタルテレビの駆け込み需要で過去最高の売上高を計上した。(株)ベルーナ(TSR企業コード310181828、上尾市)は顧客のニーズを捉えた商品展開で2010年度、2011年度と売上高を伸ばした。


 「ガソリンスタンド」の業績は取扱量にかかわらず原油価格に左右されやすい。リーマン・ショック以降、原油価格が急落した影響で2009年度は社数および売上高が大幅に減少したが、以降は価格上昇に伴い徐々に上向いている。

 出光リテール販売(株)(TSR企業コード330086944、中央区)は2009年7月に16社を統合し販売事業を統括したことから2009年度の売上高が急拡大した。


 「その他」の小売業には、スポーツ用品大手の(株)アルペン(TSR企業コード400429110、名古屋市中区)、玩具小売チェーンの日本トイザらス(株)(TSR企業コード350937800、川崎市幸区)、「無印良品」を展開する(株)良品計画(TSR企業コード292845502、豊島区)、スポーツ用品のゼビオ(株)(TSR企業コード150009887、郡山市)、(株)紀伊國屋書店(TSR企業コード290039118、目黒区)など。

利益合計額 2005年度が最大

 売上高100億円以上の小売業者のうち利益が判明した企業の利益合計額は、2005年度が1兆2,770億円で最も金額が大きかった。一方、最も小さかったのは2004年度の1,255億円。2004年度は(株)ダイエー(江東区)が産業再生機構からの支援決定を受け構造改革損失など巨額の特別損失を計上、1社単独で4,736億円の赤字を出し全体の利益合計を引き下げる要因となった。一方、2005年度にダイエーは3,698億円の黒字に回復し、ダイエー1社の利益は「スーパー、コンビニ」の利益合計6,746億円の54.8%、全業態の利益合計1兆2,770億円の28.9%を占めた。

 リーマン・ショックが起きた2008年度の利益合計額は6,014億円(前年比31.6%減)で前年度を下回ったが、翌2009年度以降は増加推移となった。「百貨店」は消費者の贅沢品への支出抑制が直撃し、2009年度の利益合計額が802億円の赤字で落ち込みが目立った一方、エコポイントの恩恵を受けた「ホームセンター、家電」や低価格商品を強みとする「ドラッグストア」、「通信販売」では利益を伸ばし、明暗が分かれた。


赤字率が最も高いのは2008年度 5社に1社が赤字

 赤字社数の割合を示す赤字率は、2008年度が22.4%で最も高く5社に1社が赤字を計上したことになる。中でも「百貨店」が38.8%、「自動車関連」が34.5%、「通信販売」が33.3%で全体の赤字率を引き上げる要因となった。「百貨店」は消費低迷による売上減少が採算面に影響したほか、ディーラーを中心とする「自動車関連」も消費者の買い替えを控える動きから2008年度の売上高は大幅に減少し、赤字企業の割合が増えた。「通信販売」は2008年度は売上高を伸ばしたが、為替差損の影響で赤字を計上した企業もあり10年間の中で最も赤字率が高かった。

 「百貨店」は、2009年度の赤字率が50.0%にのぼり、2社に1社の割合で赤字を計上した。個人消費の落ち込みに加え、リストラ費用が嵩んだことや、繰延税金資産の取崩し、固定資産の減損処理など特別損失の計上などで、1社あたりの赤字幅も膨らんだ。「アパレル」は、2010年度の赤字率が32.5%で最も高かった。資産除去債務を1年前倒しで適用し始めた企業があったことも赤字率増加の要因となった。

 全体の赤字率が最も低かったのは2011年度で11.3%。「自動車関連」の赤字率が0.7%と圧倒的に低かったほか、「ドラッグストア」、「ホームセンター、家電」が各7.5%で低水準だった。2011年度は全体の売上高が増加する中で、黒字回復する企業が増えた。


利益合計・赤字率推移

 


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