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「日系企業の中国進出状況」調査

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公開日付:2019.05.10

 米中間の貿易摩擦問題が激しさを増している。米国は中国の知的財産権の侵害を理由に、制裁として中国からの追加関税導入を決定した。2019年5月5日にトランプ大統領が制裁措置を拡大した第3弾を表明。約6千品目の関税を10%から25%に引き上げる方針を示した。対象品目は自動車関連や機械、家電、家具類など多岐にわたる。深刻な米中貿易摩擦は、米中両国の景気を押し下げる懸念だけでなく、中国に進出した日系企業の業績にも暗い影を落とす可能性もある。
 東京商工リサーチ(TSR)は、保有する国内企業データベースとDun & Bradstreet(ダンアンドブラッドストリート、本社・米国)の世界最大級の海外企業データベースを活用し、日系企業の中国進出状況を調査した。これによると、中国には1,891社の日系企業が進出し、4,380カ所の拠点を展開していることがわかった。進出企業の産業は製造業が最多で、米中貿易摩擦の過熱は電機、自動車など日本経済をリードする日系企業にも大きな影響を及ぼしかねない。


  • 本調査はDun & Bradstreetの「WorldBase」とTSRが保有する企業データベースを活用。「WorldBase」から中国の事業拠点(以下、拠点)を抽出し、拠点を管轄する企業の支配権(議決権・所有権)の50%超を有している企業を特定した。特定された企業がグループの頂点企業でない場合、同様の方法で改めてグループ最上位企業を特定した。特定されたグループ最上位企業のうち、本社が日本所在の企業を日系企業とした。このため、支配権が50%未満の場合は集計対象外とした。
  • 業種分類は、SICコード(Standard Industrial Classification Code)の1987年版を採用した。

産業別 製造業が5割を占める

 中国に進出している日系企業4,380拠点のうち、産業別の最多は製造業で、2,187拠点(構成比49.9%)と半数を占めた。
 製造業は、中国の安価で豊富な労働力と、大きな成長市場を狙い生産拠点を中国に進出したケースが多い。
 次いで、卸売業の1,068拠点(同24.3%)、サービス業の678拠点(同15.4%)と続き、上位3産業で全体の約9割(同89.7%)を占めた。

「中国進出」日系企業 産業別拠点構成比

業種別 卸売業(耐久消費財)がトップ

 産業を細分化した業種別では、最多は卸売業(耐久消費財)の716拠点(構成比16.3%)だった。自動車や電機の大手メーカーが中国市場を重要視していることが窺える。
 次いで、情報処理サービスや広告代理業などの事業関連サービス業の456拠点(同10.4%)、電気機械器具製造業の415拠点(同9.4%)だった。

「中国進出」日系企業 業種別拠点構成数ランキング

支配権最上位企業の本社 東京都がトップ

 4,380拠点の支配権最上位企業は、全国で1,891社あった。支配権最上位企業の本社所在地別では、東京都が最も多く687社(構成比36.3%)。次いで、大阪府の304社(同16.0%)、愛知県の176社(同9.3%)の順で、東京、大阪、愛知の周辺県も上位に入った。


 中国に進出している日系企業は1,891社で、4,380拠点に達することがわかった。現地拠点の産業別は、製造業が2,187拠点(構成比49.9%)と最も多く、次いで卸売業の1,068拠点(同24.3%)、サービス業の678拠点(同15.4%)で、大半を占めた。また、業種では自動車部品、家具、電気機械器具などを含む耐久消費財の卸売業が716拠点(同16.3%)と最多だった。単なるコスト削減だけでなく、大市場をターゲットにした“地産地消”を狙っていることも進出の背景に見え隠れする。
 中国政府は2015年5月、最先端分野で世界首位を目指す製造業強化戦略「中国製造2025」を発表した。次世代情報技術や新エネルギー車などの重点分野と品目ごとに国産比率を設定、製造強国を打ち出した。このなかで日系企業との協力や提携も進んでいる。トヨタ自動車は、中国での新工場建設など大規模な投資を含めた増産を打ち出し、三菱電機は中国政府直轄の研究所とパートナーシップ締結し、人口知能(AI)など先端技術を中国の製造業の智能化拡大を支援するビジネスを発表している。
 このように中国市場への期待感が高まっているが、米中貿易摩擦によって中国進出している日系企業への影響が危惧される事態になっている。一部の日本メーカーは、中国での生産見直しや移転などの動きを見せ、さらに様々な業界に広がる可能性もある。日系企業のなかには日本国内より中国市場での売上高比率が高い企業もあり、事業戦略の抜本的な見直しも必要になっている。米中貿易摩擦が日系企業にチャイナリスクとして降りかかることも懸念されるだけに、追加関税を巡る米中協議から目が離せなくなってきた。

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