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「かぼちゃの馬車」スマートデイズの届出債権は1,053億円

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公開日付:2019.02.20

 2月19日、シェアハウス「かぼちゃの馬車」などを販売管理していた(株)スマートデイズ(TSR企業コード:294730672、東京都中央区、2018年5月破産)の第1回債権者集会が、都内で開かれた。席上、破産管財人が届出債権は1,053億円にのぼることを明らかにした。

 債権者集会に先立ち、シェアハウスオーナー(以下、オーナー)ら約100名が午前9時から金融庁前で陳情デモを行った。
 シェアハウス資金の融資時に、フリーローンの契約や定期預金が事実上セットだったことから、「シェアハウス被害者の早期救済を」とシュプレヒコールをあげた。 オーナーらはその後、スルガ銀行東京支店前でも10時15分頃から代物弁済による早期の解決などを訴えた。

金融庁前のデモ(2月19日午前9時過ぎ)

金融庁前のデモ(2月19日午前9時過ぎ)

債権者集会 200名超が参加

 債権者集会は破産手続きの1つで裁判所の管理下で開催される。裁判官のほか、破産管財人の清水祐介弁護士(ひいらぎ総合法律事務所)、破産者のスマートデイズを代表して赤間健太氏、破産者代理人の南賢一弁護士(西村あさひ法律事務所)らが出席。シェアハウスオーナーを中心に200名を超える債権者が詰めかけた。スルガ銀行・スマートデイズ被害弁護団の河合弘之弁護士(さくら共同法律事務所)や山口広弁護士(東京共同法律事務所)らも出席した。
 集会は14時に始まり、大きな混乱もなく15時20分に終了した。

破産管財人の説明要旨

◇「脱法シェアハウス」を手掛けていた
 当社は設立当初、いわゆる「脱法シェアハウス」や「違法貸しルーム」と言われるものを手掛けていたようだ。中古マンションの一室を購入し、中を蜂の巣状に数人分の居住スペースに区切って利回り物件として売るというものだ。「脱法シェアハウス」は、その後社会問題になり、2013年9月6日に国交省が通達を出し建築基準法上、寄宿舎とした。
 これで(脱法シェアハウスは)違法となった。通達の影響は大きく、業界では「9.6ショック」と呼ばれた。これを受け当社は方針を転換、合法の寄宿舎としてシェアハウスを建築して投資物件として売るようになった。

◇実質的経営者はA氏
 当社を設立したのは、Aと言う人物。Aは役員として登記されたことはない。株主名簿に載ったこともない。しかし、当社は実質的にAが支配する会社として設立され、Aがオーナー経営者だった。Aの名刺の肩書きには「社主」と書いてある。当社の代表取締役を一時務めていたBはAの義理の弟だ。

◇2015年2月に倒産しかけた
 スルガ銀行は、2015年2月に当社が絡む(全面に出る)不動産取引への融資をやめた。スルガ銀行に当社の実質的経営者について通報があり、「出入り禁止」になった。この時、当社は倒産しかけた。
 地主から土地を買う契約では、代金決済日は少し先になっていて、それまでに土地を売るオーナーを見つけて、オーナーへの融資を基に地主へ決済していた。当社とオーナーとの取引に対して融資がつかなくなると、地主に対する債務不履行が多発することになる。しかし、倒産しなかった。すでに土地を買ったオーナーの案件で、当社を元請としてシェアハウスが建築中だったが、当社が倒産すると大変なことになるので、下請(施工会社)が売れなくなった土地をいくつか買った。これでスマートライフは土地の決済代金を確保した。
 この2カ月後の2015年4月、CはAに招かれ、2人代表の1人として当社の代表に就任する。もう1人の代表はB。ただし、実質オーナーはA。

◇「ダミー会社」の存在
 Aは(株)アマテラス(TSR企業コード:014152630)というダミー会社を作った。当社がアマテラスに売り、アマテラスはオーナーに売るというスキームを作り、当社が表に出ないようにしてスルガ銀行の融資を得られるようにした。ただ、「アマテラスはダミー会社」との告発があり、2カ月でこのスキームもダメになる。 ここから(売買の)間に複数の販売会社を入れるようになる。こういった、いわゆる三為、四為取引はこれ以前もあったかもしれないが「意図的に間に(他の業者を)入れることが原則」という点で、他のそれとは質的に大きく違う。
 当社がシェアハウス用地を直接売却する先は、株主関係会社のアマテラス、(株)トウキョウ運河(TSR企業コード:014885786)、(株)イノベーターズ(TSR企業コード:016324510、後の(株)NEXT LIFE、2019年2月12日破産)などだった。

◇関係会社との「業務委託契約」
 2015年7月にCが20%を保有する株主になった。そして、単独の代表取締役になった。このころ、Aが実質的に支配する会社との間で業務委託契約が締結され、多い時で毎月8,000万円が2016年10月まで支払われている。支払先は、(株)起業開発研究所(TSR企業コード:014684330)、(株)スタートアップビルダー(TSR企業コード:016324544)、(株)家賃だけ(TSR企業コード:014451026)、トウキョウ運河、ギンザーラ(株)、のちの創業支援機構(株)(TSR企業コード:300207581)などで、支払総額は22億5,800万円。
 業務委託の内容は、不動産の資金決済や支払業務の委託、転売不動産の取得のための情報提供、入居者の募集の広告、新規の事業開発などだ。不動産の資金決済や支払業務は確かにやっていた。不動産取得情報の提供も実績がある。新規事業開発や入居者募集広告の業務実態は現在調査中。

◇シェアハウスの入居率
 シェアハウスの入居率だが、結論から言うと信頼できるデータがない。入居率の分母は管理戸数、正確にいうとサブリース賃料の負担が始まっているものに絞ることが良いと思われる。これは信頼できるものがある。
 一方、分子となる入居者の数。シェアハウスの特性上、入退去が激しいが、(これを追う)システムが脆弱だった。2017年頃にようやく改善されているので、これを前提に算出すると、2017年7月の入居率は43.7%、10月は43.9%、2018年1月は44.6%となる。

◇サブリースは慢性的に逆ザヤ
 サブリース賃料の逆ザヤについて。2015年7月期で1.5億円、2016年3月期(決算期変更)は5億円、2017年3月期は36億円だ。
 こうした中、株主が変わる。2017年7月に(株)オーシャナイズ(TSR企業コード:296564656)が出資し、75%を保有する株主になる。残りはC。時系列ではこの年の10月にスルガの融資が完全に止まる。なぜ出資したのかオーシャナイズに聞くと、「スルガの融資が急に止まるとは思っていなかった」とのこと。2017年2月よりテレビCMを開始するが、これを広告代理店として担当していたのがオーシャナイズだ。

◇業務委託料=キックバック?
 シェアハウス建設事業について。当社は当初、自ら土地を仕入、自らオーナーに売却し、シェアハウス建築は「元請」として手掛けていた。オーナーが当社に支払う請負代金には、下請への支払いや設計費、スマートライフの粗利が入っていた。しかし、2015年2月にスルガ銀行が、当社が全面に出た取引の融資を止めたので、これが出来なくなった。このため、下請(だった企業)が元請のポジションになり、オーナーと建築請負契約を結ぶようになる。しかし、当社はシェアハウス事業の原資が必要なので、業務委託料として施工会社(下請)より受け取ることで捻出するようになる。報道などで「キックバック」と言われているものだ。
 では、オーナーが支払った建築請負代金のうち、業務委託料として当社にいくら支払われたのか。参考値となるが、オーナーと施工会社の契約額に対して施工会社から当社に払われる業務委託料は平均43%。このうち、半分ぐらいが業務上必要な実際のコストで、残る半分が当社の利益だと思う。

◇届出債権は1,000億円超
 被害弁護団を経由した届出は、サブリース全期間に支払われるべき賃料総額から既払い分を除いた額と、スルガ銀行の融資額に弁護士費用を加算した額が出されており、多い方を採用している。その結果、届出債権の総額は1,053億円と1,000億円を超えた。

 その後の質疑応答で、「スマートデイズが土地を仕入れ、転売により中間搾取した金額はいくらか」、「業務委託料の内訳詳細を開示して欲しい」、「役員報酬の支払い実績詳細を開示して欲しい」などの質問や要望が出された。これに対し、清水弁護士は破産配当のみが焦点とはなっていないことに理解を示した上で、「破産手続きの厳正・中立・公平が求められる中で、破産管財人として何が出来ることかを常に考えて対応している。結果をお約束することは出来ないが、要望についても誠実に検討する」と述べた。

取材に応じる山口弁護士(左)と河合弁護士

取材に応じる山口弁護士(左)と河合弁護士


 債権者集会の終了後、被害弁護団の山口弁護士は報道陣に、「キックバック全体の数字が示され、組織的で詐欺的なスキームなことが明らかになった。これを活かして被害者の救済、根本的な解決に向けスルガ銀行との交渉に生かしたい」と述べた。
※記事中の伏字は東京商工リサーチによる

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年2月21日号掲載「Weekly Topics」を再編集)

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