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全国の「第三セクター等」7,503法人 経営状況調査(2016年度決算)

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公開日付:2018.10.02

  • 本文を訂正いたしました(2018年10月2日20:00)。

 全国の「第三セクター等」の数は7,503法人(2016年度)で、この10年で1,396社(15.7%)減少したことがわかった。政府の抜本的改革の推進に伴い、徐々に経営改善が進んでいるが、債務超過の法人はまだ245法人ある。これまで低下が続いた「経常赤字法人率」は36.6%と、前年度より1.1ポイント上昇、「債務超過法人率」も3.9%(同0.1ポイント上昇)とこの10年で初めて前年度を上回った。
 2016年度に地方自治体から第三セクター等に交付された補助金の総額は5,686億円にのぼり、自治体からの借入や損失補償・債務保証、出資金の総額は12兆2,693億円に達している。
 自立した経営が難しくても処理を先送りされた第三セクター等は、地方自治体にとって大きな財政リスクになっており、第三セクター等を巡る課題は残されたままになっている。


  • 本調査は、総務省が2018年2月公表の「第三セクター等の出資・経営等の状況」(最新は2016年度決算データ)に基づき、業績が判明した「第三セクター等」を対象にした。各年3月末の数値データは年度で表記した。
  • 「第三セクター等」は次の法人と定義した。(1)法律等の規定に基づき設立された一般社団法人、一般財団法人および特例民法法人のうち、地方公共団体が出資している法人 (2)株式会社、合名会社、合資会社、合同会社 および特例有限会社のうち、地方公共団体が出資している法人 (3)地方住宅供給公社、地方道路公社、土地開発公社 (4)地方独立行政法人。

不振「第三セクター等」の整理進む

 第三セクター等は、地方振興の旗振り役を担って各地で相次いで設立されたが、景気低迷の長期化などを背景に当初の事業計画が軌道に乗らず、経営不振から抜け出せない第三セクター等が続出した。
 政府は自治体の財政健全化を促すため、2009年度から5年間の時限措置で「第三セクター等改革推進債(以下、三セク債)」を創設し、経営改善が見込めない第三セクター等の整理に積極的に乗り出した。

この10年で約1,400社減少した第三セクター等

 総務省が2018年2月に公表した「第三セクター等の出資・経営等の状況調査」によると、全国の第三セクター等は2016年度末で7,503法人(前年度比0.3%減)だった。第三セクター等の法人数は、2007年度末に8,899法人あったが、この10年で1,396社(15.7%)減少したことになる。

「第三セクター等」の法人数推移

土地開発公社が10年で3割減

 第三セクター等を法人区分でみると、最多は第三セクター(社団法人・財団法人、会社法法人)の6,608法人(構成比88.1%)。次いで、地方三公社が764法人、地方独立行政法人が131法人の順。第三セクターでは、社団法人・財団法人が3,147法人、株式会社などの会社法法人が3,461法人で、ほぼ拮抗している。
 2007年度からの10年間で第三セクターは1,078法人減(14.0%減)、地方三公社も411法人減(35.0%減)と減少が目立つ。地方三公社の内訳は、地方住宅供給公社が28.1%減(57→41法人)、地方道路公社が21.4%減(42→33法人)、土地開発公社が35.9%減(1,076→690法人)で、土地開発公社の減少率が際立って大きい。
 一方、公共性の高い事業を効率的に行うため自治体から分離・独立して運営される地方独立行政法人は244.7%増(38→131法人)と3.4倍増だった。地方独立行政法人には、病院や医療センター、公立大学法人、産業技術センターなど、地域の核になる施設が多く含まれている。

収益額(売上高) 前年度比4.6%増

 2016年度の第三セクター等の総売上高を示す収益総額は6兆2,529億円(前年度比4.6%増)で、3年連続で前年度を上回った。内訳は、第三セクターが前年度比1.8%増、地方独立行政法人が同9.9%増と伸びた。このほか、収益(売上高)減少が続いていた地方三公社も同8.4%増と4年ぶりに増加に転じた。これは経営不振に陥った公社の整理淘汰が進んだことも影響したとみられる。

「黒字法人率」は愛知県、「赤字法人率」は香川県が最高

 東京商工リサーチは2016年度の第三セクター等の経常損益状況(対象6,112法人)を分析し、都道府県別に黒字法人と赤字法人を抽出した。
 この結果、47都道府県すべてで黒字法人数が赤字法人数を上回った。一方、金額では新潟県、三重県、富山県、奈良県の4県で赤字額が黒字額を上回った。第三セクター等の赤字は、大半が自治体の負担増に直結することも多く、早急な改善策が求められる。

 「黒字法人率」の全国平均は62.6%で、24都道府県で全国水準を上回った。黒字法人率が最も高かったのは愛知県の70.9%(158法人中112法人)。次いで、東京都69.6%(230法人中160法人)、群馬県68.9%(103法人中71法人)、鹿児島県68.4%(117法人中80法人)、岩手県67.9%(156法人中106法人)、山梨県67.6%(68法人中46法人)と続く。

 一方、「赤字法人率」が最も高かったのは、香川県の49.4%(81法人中赤字40法人)だった。次いで、鳥取県49.0%(98法人中赤字48法人)、佐賀県47.8%(67法人中赤字32法人)、富山県46.0%(124法人中のうち赤字57法人)、三重県44.7%、福岡県43.6%、静岡県43.4%と続く。

第三セクター等の債務超過 北海道、岐阜県、新潟県などで目立つ

 都道府県別に抽出した2016年度の債務超過の第三セクター等は243法人にのぼり、債務超過額の合計が1,770億円に達した。債務超過の第三セクター等は前年(239法人)より4法人増えた。
 債務超過の内訳は、第三セクターが200法人(債務超過額953億円)、地方三公社が37法人(同691億円)、独立行政法人が6法人(同124億円)だった。
 債務超過額の平均は、第三セクターの4億7,667万円に対し、地方三公社は3.9倍の18億7,012万円で、地方財政の悪化を背景にした地方三公社の苦境を浮き彫りにした。
 地方三公社のうち、土地開発公社は自治体に代わって公用地の先行取得を目的に設立されたため、土地の取得資金が膨らんでいる。資金は主に金融機関からの借入で賄われ、多くは自治体が債務保証している。だが、取得用地を売却できず保有期間が長期化した「塩漬け」の土地を抱える土地開発公社は多く、自治体にとっては財政上の重い課題になっている。
 都道府県別の債務超過の第三セクター等は、最多は北海道の24法人。次いで、岐阜13法人、新潟12法人、青森・長野・広島・山口が各9法人、宮城・秋田・鹿児島が各8法人、京都・兵庫・福岡が各7法人と続く。
 債務超過の地方三公社は、長野が4法人、北海道・岐阜・奈良が各3法人の順。債務超過の地方三公社は地方で目立つが、大阪、兵庫、宮城など24府県は債務超過の地方三公社がゼロだった。

「経常赤字法人率」は36.6%、前年度より1.1ポイント上昇

 「第三セクター等の出資・経営等の状況調査」によると、2016年度の第三セクター等(対象:6,253社)の経常赤字法人率(全体法人数に占める経常赤字法人数の比率)は36.6%で、前年度(35.5%)より1.1ポイント上昇した。
 経常赤字法人率は、2010年度が39.4%、11年度が40.4%、12年度が40.1%、13年度が39.6%、14年度が39.9%と10年度以降、40%前後で推移していた。15年度は35.5%で、6年ぶりに35%台まで低下したが、2016年度は再び比率が上昇した。

「第三セクター等」の経常赤字法人率

「債務超過法人率」は3.9%、この10年で初めて前年度を上回る

 2016年度の第三セクター等の債務超過の法人数は245法人(対象:6,253社)で、債務超過法人率(全体法人数に占める債務超過法人数の比率)は3.9%になり、前年度(3.8%)より0.1ポイント上昇した。
 ここ10年の債務超過法人率では、2007年度は5.6%だったが、業績不振が続く第三セクター等の経営改善、整理に向けて、2009年度から政府が三セク債の起債などを活用した「抜本的改革」を求めたことで、比率低下に年々拍車がかった。しかし、2016年度はこの10年で初めて前年度より比率が上昇した。

「第三セクター等」の債務超過法人率

依然として補助金で支えられる「第三セクター等」

 「第三セクター等の出資・経営等の状況調査」によると、2016年度決算が判明した6,253法人の経常利益の黒字法人比率は63.4%、赤字法人比率は36.6%だった。また、利益額合計は3,341億1,400万円、赤字額合計は667億9,400万円で、2,673億2,000万円の利益超過となっている。
 この数値だけをみると第三セクター等の業績改善は順調にみえるが、2016年度に自治体から補助金を交付された第三セクター等は2,746法人で、補助金の合計額は5,686億円に達する。
 2,746法人のうち、2,558法人が補助金を経営収益に繰り入れており、その合計は第三セクター等への補助金の92.7%にあたる5,272億円、利益超過額の約2倍に達する。このことからも第三セクター等の経営は補助金に支えられており、三セク全体の実質的な経常収支は赤字とみることもできる。

赤字法人が4割を占める地方三公社

 第三セクター等の赤字法人の区分別構成比では、「地方三公社」が最も高率の41.1%を占めた。次いで、「第三セクター」(社団法人・財団法人、会社法法人など)が36.1%、「地方独立行政法人」(病院、医療センター、公立大学法人、産業技術センターなど)が32.8%だった。
 また、第三セクター等の全体では、資産超過の法人数の構成比が96.1%で、債務超過は3.9%だった。このうち、債務超過の法人区分別では、「地方三公社」が5.1%、「地方独立行政法人」が4.6%、「第三セクター」が3.7%を占めた。

自治体が抱える「第三セクター等」の財務リスク

 第三セクター等の自治体からの借入金残高は、4兆1,632億円に達する。このほか、金融機関などに自治体が損失補償・債務保証する債務残高は3兆2,240億円にのぼる。
 さらに、自治体の出資総額(4兆8,820億円)を加えると、総額12兆2,693億円もの資金を第三セクター等への財政支援として自治体が負担している。このことは第三セクター等の自助努力に限界があり、運営資金の大部分を自治体に依存し自立できていない状況を浮き彫りにしている。
 換言すると、第三セクター等の経営の動向によっては、今後自治体が第三セクター等に多額の不良債権、保証債務を背負い込む財政リスクを負っていることを意味している。


 政府は2009年度から2013年度に自治体が集中的に「第三セクター等」の抜本的改革を行うことを要請し、第三セクター等の経営健全化に取り組んできた。この抜本的改革期間の実績(総務省発表)では、地方公共団体が行う損失補填・債務保証が45.5%減(7.5兆円→4.0兆円)、債務超過法人数が31.1%減(409法人→282法人)なったことを挙げ、相当の成果があったとしている。
 2014年度以降も第三セクター等の見直しが進み、10年で1,396法人が減少した。さらに、2016年度の第三セクター等の収益総額(総売上高)は3年連続で前年度を上回り、2017年の第三セクター等の倒産は2件(前年10件)にとどまるなど、経営改善が進んでいるようにみえる。

 こうした反面で5,687億円の補助金が投入され、その92.7%が第三セクター等の経営収益に計上されている。また、地方自治体からの借入金や金融機関への損失補償・債務保証、出資金など、地方自治体が負担する金額は総額12兆2,693億円に達し、地方自治体からの補助金等に依存した構図に変わりがない。
 また、2016年度の「経常赤字法人率」が前年度比1.1ポイント上昇の36.6%、「債務超過法人率」も同0.1ポイント上昇の3.9%になり、いずれも比率が前年度より悪化している。
 2017年12月、政府の経済財政諮問会議は、民間議員から『第三セクター・公社については、依然多くの赤字団体、巨額の累積債務等が見られることから、「第三セクター等の経営健全化等に関する指針に基づく」取組を全体としてフォローアップし、各自治体がこうした団体に対する抜本的な経営改革方針を策定すべき』との提言がなされた。第三セクター等の経営健全化の推進には、今後も不断の改革が不可欠になる。

 自立もできず処理も先送りされた第三セクター等は、自治体財政へのリスクとして跳ね返ることが懸念される。第三セクター等にも民間企業と同様、事業として成り立つかの『事業性評価』が適用すべきだろう。ただ、交通機関や介護関連など、社会インフラに関わる第三セクター等は高齢者や社会的弱者の住民の生活支援に欠かせず、採算性だけで判断すべきでないケースもある。第三セクター等の健全化と整理は、自治体の財政面と地域特性を考慮したバランスを勘案することが、今後は一層重要になっている。

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