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銀行112行「2018年3月期決算 総資金利ざや」調査 ~「逆ざや」の銀行が、調査開始以来で2番目に多い16行 ~

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公開日付:2018.08.08

 銀行112行の2018年3月期決算は、日銀のマイナス金利政策の影響を受け、軒並み厳しい収益状況だったことがわかった。112行の「総資金利ざや」は、資金調達が運用よりも金利が高くなる「逆ざや」が調査を開始以来、2番目に多い16行(前年同期20行)と高水準だった。
 「総資金利ざや」の中央値は0.15%で、前年同期(0.13%)を0.02ポイント上回り、一服した。だが、これは主に有価証券の受取利息や配当金の増加で上昇した「有価証券利回り」が寄与したもので、金利収入の中心である「貸出金利回り」の低下は続いている。
 銀行は安定的な経常収益である貸出金利息の上昇が難しい。このため、投信などの手数料収入やコンサルタント業務など、非金利収入を新たな収益源に育てることが急務になっている。


  • 本調査は、銀行112行を対象に、2018年3月期決算で国内業務部門ベースでの「総資金利ざや」を調査した。総資金利ざやは、「資金運用利回」-「資金調達原価」で算出した。基礎資料は、有価証券報告書や決算短信、ディスクロージャー情報の利ざや(国内業務部門・単体)の項目から抽出した。
  • 三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行の信託銀行3行は調査対象から除外している。
  • 文中の▲は、マイナスを表す。

銀行の収益状況を示す「総資金利ざや」

 銀行の「総資金利ざや」とは、貸出金や有価証券で稼ぐ資金運用利回りから、預金や債券、コールマネー、借用金などの資金調達コストを差し引いた数値で、銀行収益を示す指標の一つ。数値のプラスは資金運用で収益を上げ、マイナスは「逆ざや」で貸出や運用で利益が出ていないことを示している。

「総資金利ざや」の中央値は0.15%、減少傾向が一服

 銀行112行の2018年3月期決算で、「総資金利ざや」の中央値(全データを昇順または降順に並べ、真ん中に位置する値)は0.15%だった。調査を開始した2009年以来、最も低率だった前年同期(0.13%)より0.02ポイント上昇し、落ち込みは一服した。
 3月期決算の過去比較では、調査を開始した2009年は0.28%だった。その後、年々低下を続け、15年(0.17%)に初めて0.20%を割り込んだ。16年は投資信託の配当増、保有投信の解約益などが寄与して横這いだったが、マイナス金利実施後の17年は、総資金利ざやの落ち込みが目立った。こうした中で、18年は調査を開始以来、初めて前年同期を上回った。

銀行112行 3月期決算 総資金利ざや 中央値推移

過半数の銀行で「利ざや」拡大、「有価証券利回り」改善が下支え

 2018年3月期は、112行のうち過半数の61行(構成比54.4%、前年同期33行)が前年同期より「総資金利ざや」が拡大した。ただ、これは貸出等の本業回復を反映したものではない。
 112行の中央値比較では低金利が続き、主に「貸出金利回り」(1.23→1.13%)の落ち込みにより「資金運用利回り」(1.13→1.08%)が低下し、同時に「預金等利回り」(0.03→0.02%)の低下もあって「資金調達原価」(0.99→0.96%)も前年同期を下回った。
 このように運用と調達がともに利回りを下げる中で、「資金運用利回り」のうち、有価証券の受取利息や配当金などは増加した。このため、「有価証券利回り」(1.03→1.11%)が前年同期より上昇し、落ち込みを下支えしたことで相対的に「総資金利ざや」が前年より改善したケースが多くなったとみられる。一方、「総資金利ざや」が前年同期より縮小したのは43行(構成比38.3%、前年同期73行)で、前年同期より30行減少した。前年同期と同率は8行(前年同期6行)だった。

「逆ざや」は、調査を開始以来で2番目に多い16行

 2018年3月期決算で「総資金利ざや」がマイナスになった「逆ざや」は、16行(大手銀行3行、地銀6行、第二地銀7行)だった。前年同期より4行減少したが、2009年3月期に調査を開始以来、2017年年同期の20行に次いで2番目に多かった。
 これまで「逆ざや」は、2009年が3行、10年が1行、11年が2行、12年が8行、13年が12行、14年が8行、15年が11行、16年が12行と推移していた。しかし、マイナス金利政策が導入された17年は20行に急増し、銀行の本業収益の深刻な低迷を反映した。

地区別の総資金利ざや、九州21行が最高の0.27%

 地区別では、「総資金利ざや」が最も高かったのは、地銀・第二地銀の統合連携が進み、預貸率が高い九州21行の0.27%。次いで、中国9行0.24%、四国8行0.18%、関東19行0.16%、北海道2行と近畿17行が各0.13%と続く。前年同期比では、10地区のうち、5地区で前年同期より上昇した。中国の0.08ポイント上昇(0.16→0.24%)を筆頭に、北海道0.03ポイント上昇、東北・近畿・九州の各0.01ポイント上昇と続く。東京(▲0.02→▲0.04%)と関東(0.17→0.16%)の2地区だけが前年同期より縮小し、中部・北陸・四国が前年同期と同率だった


 銀行の2018年3月期決算で、「総資金利ざや」の逆ざやは16行にのぼった。調査を開始した2009年以降で2番目に多い数字で、日銀のマイナス金利の導入後に一層厳しくなった銀行の収益環境の厳しさを映し出した。この一方で、堅調な株式や債券市場に支えられ、有価証券利息配当金等が増加した。これにより「有価証券利回り」が上昇し、「総資金利ざや」の低下が一服した。しかし、貸出金利回りの低下にはストップがかかっておらず、これは一時的な状況の可能性を否めない。今後も厳しい収益環境は続くとみられ、資金運用力の格差は拡大しており、これまで以上に銀行の連携や統合・合併が加速される可能性も高くなったといえる。

銀行112行 3月期決算 総資金利ざや 「逆ざや」行数

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