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2017年「全国新設法人動向」調査

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公開日付:2018.05.23

 2017年(1-12月)に全国で新しく設立された法人(以下、新設法人)は13万1,981社(前年比3.1%増)で、1年間に新設された法人数では、調査開始以来、初めて13万社を突破した。
 東北と北陸を除いた7地区で前年を上回り、ほぼ全国的に法人数が増加したことがわかった。減少した東北は、東日本大震災を受けて急増した2013年との比較では全国で唯一減少し、震災の復興事業の一服、人口減の影響が表れた格好となった。一方、東京や大阪など人口が増加している地域では新設法人も増加傾向が顕著だった。人口が増加し観光関連も活況が続く沖縄県は普通法人に占める新設法人の比率が全国トップ(8.7%)で、政府の目指す「欧米並みの開業率10%」に一番近いこともわかった。


  • 本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象333万社)から、2017年(1-12月)に新しく設立された法人を抽出し、分析した。

2017年は前年比3.1%増、8年連続増加

 2017年(1-12月)の新設法人は13万1,981社(前年12万7,974社)で、2007年に調査を開始して以来、初めて13万社を突破した。2010年以降、新設法人数は8年連続で前年を上回り、2017年の増加率(3.1%増)は前年の2.2%増を0.9ポイント上回った。リーマン・ショック後では最高を記録した2014年(8.6%増)から2年続いた増加率下落の推移に歯止めを掛けた。
 2017年の全国企業倒産は27年ぶりの低水準(8,405件)だったが、休廃業・解散(2万8,142件)との合算件数は3万6,547件で、この3.6倍(前年3.3倍)の法人が新たに設立されている。

新設法人年次推移

新設法人、休廃業・解散、倒産件数の年次推移

資本金別、5百万円未満の小規模法人が増加

 資本金別では、「1百万円未満」が2万9,080社(前年比10.0%増)、「1百万円以上5百万円未満」が5万8,481社(同2.7%増)と、それぞれ増加した。
 一方、「5千万円以上1億円未満」は581社(同13.9%減)、「1億円以上」は485社(同8.0%減)、「1千万円以上5千万円未満」は5,596社(同1.9%減)、「5百万円以上1千万円未満」は2万5,436社(同0.6%減)と前年を下回った。
 2016年も資本金1千万円未満の小規模な法人に「増加」が偏っていたが、2017年はその傾向が強まり、資本金5百万円未満に「増加」が集中した。
 最低資本金制度の廃止が浸透し、1千万円未満の小規模な資本金の法人が12万5,319社(構成比94.9%、前年94.6%)で、構成比は前年比0.3ポイント上昇した。

資本金別 新設法人

産業別、増加率トップは金融・保険業の16.5%増

 産業別では、10産業のうち、6産業で前年より増加した。増加率トップは、金融・保険業(前年比16.5%増)で、前年(同8.9%減)から反転した。次いで、不動産業(同11.5%増)、建設業(同10.9%増)、情報通信業(同1.9%増)、サービス業他(同1.2%増)、製造業(同0.9%増)、の順。
 金融・保険業は前年が減少率1位だった反動に加え、再生可能エネルギー関連など投資運用業(同25.7%増)の増加が目立った。
 一方、卸売業(同10.3%減)、運輸業(同3.8%減)、小売業(同1.7%減)、農・林・漁・鉱業(同0.8%減)の4産業は前年を下回った。卸売業は、繊維製品や飲食料品、機械器具など幅広い業種で減少した。同様に繊維製品や飲食料品が減少した小売業とともに、インターネット通販の浸透など流通構造の変化が影響を及ぼしている様子もうかがわれる。

産業別 新設法人

業種別、不動産業が6年連続で増加

 設立数500社以上の業種別を対象にした伸び率をみると、最も高い伸び率を示したのが金融,保険業の前年比16.5%増(3,865→4,503社)。次いで、電気機械器具製造業が同14.6%増(944→1,082社)、不動産業が同11.5%増(1万4,518→1万6,186社)、電気・ガス・熱供給・水道業が同11.5%増(1,803→2,010社)、金属製品製造業が同11.1%増(583→648社)と続く。なかでも、不動産業は2012年以来、6年連続で前年を上回っている。
 一方、飲食料品卸売業は同15.7%減(1,226→1,033社)、繊維・衣服等卸売業は同15.1%減(677→575社)、織物・衣服・身の回り品小売業は同13.9%減(861→741社)、機械器具卸売業は同11.2%減(1,419→1,260社)の順で前年を下回った。

地区別、増加率トップは北海道

 地区別では、全国9地区のうち、東北・北陸を除く7地区で前年を上回った。増加率は、北海道が前年比5.6%増(4,318→4,560社)でトップ。次いで、関東が同4.2%増(6万3,862→6万6,568社)、九州が同2.9%増(1万2,906→1万3,286社)、中部が同2.7%増(1万1,905→1万2,226社)、四国が同2.3%増(2,427→2,483社)、近畿が同2.2%増(2万605→2万1,049社)、中国が同0.9%増(4,779→4,823社)の順。
 一方、減少したのは東北が同2.6%減(5,345→5,207社)、北陸も同2.6%減(1,827→1,779社)だった。なお、2013年からの5年で減少したのは東北(4.0%減)だけだった。

地区別 新設法人

都道府県別、30都道府県で前年を上回る

 都道府県別では、東京都が4万311社(構成比30.5%)で最多、2007年の調査開始以来、初めて4万社を超えた。次いで、大阪府が1万1,767社(同8.9%)、神奈川県が8,569社(同6.4%)、愛知県が6,373社(同4.8%)だった。
 これに対し、新設法人数が最も少なかったのは島根県の315社。次いで、鳥取県335社、高知県390社、秋田県407社、福井県447社、徳島県460社、山形県462社の順。
 新設法人数の増減率は、30都道府県(前年度31都道府県)で前年を上回った。増加率トップは沖縄県の9.5%増で、観光を中心に景気好調で宿泊業が22.0%増(59→72社)だったほか、全国トップの地価上昇率を背景に不動産業も25.2%増だった。次いで、奈良県9.4%増、佐賀県9.1%増、茨城県7.8%増、長野県7.7%増と続く。
 一方で16県が前年を下回り、福島県の11.9%減を筆頭に、富山県9.5%減、山口県9.2%減、青森県7.6%減、山形県7.4%減、岐阜県7.3%減、新潟県5.9%減、徳島県4.2%減と続く。

 新設法人数を人口で対比すると、法人設立には人口動態も少なからず影響していることがうかがえる。人口一人当たりの新設法人比率は、東京都や大阪府などの大都市圏が上位に軒並みランクインしている。一方、東北4県(秋田、山形、岩手、青森)や中国2県(島根、山口)など、人口減少率の上位の県がワーストに並ぶ結果となった。
 こうしたなか新設法人増加率トップの沖縄県や8位の熊本県(6.6%増)が上位に入った。熊本県は建設業の21.0%増など、2016年の熊本地震の復興事業が法人設立を促したとみられる。

都道府県別 新設法人の人口対比

新設法人率、都道府県別で沖縄県がトップ

 2017年の新設法人数を「国税庁統計年報」に基づく普通法人数(最新は2016年度データ)で除して算出した「新設法人率」では、沖縄県が8.7%で最も高かった。
 沖縄県は、好調な景気を追い風に法人設立ペースは全国トップだった。ただ、創業100年以上の企業割合は最も低く(2017年全国「老舗企業」調査より)、比較的に若い企業が多い。
 次いで、東京都7.0%、福岡県5.6%、千葉県5.1%、大阪府5.1%の順。これに対し、低かったのは、山形県2.4%、新潟県2.4%、秋田県2.5%、島根県2.6%の順。人口減少率(総務省人口推計・2017年10月現在)が大きな地域ほど新設法人の割合が低いことがわかった。

2017年新設法人の最多商号は「ライズ」、急増したのは「ファースト」

 2017年の新設法人で、最も多かった商号は「ライズ」(前年2位)の54社だった。「ライズ」は英語で「上昇する、飛び立つ、そびえ立つ」などを意味する「RISE」があり、活気みなぎる企業理念を表しているとみられる。
 次いで、2位が「さくら」と「ファースト」の各39社、4位が「アシスト」(前年1位)35社、5位が「フロンティア」33社と続く。
 前年比較で最も増加したのは、「ファースト」(17→39社)の22社増。2017年の流行語大賞にノミネートされた「○○ファースト」にあやかった可能性もある。次いで、「ライズ」(37→54社)が17社増、「縁」(15→31社)、「NEXUS」(12→27社)、「ACE」(16→29社)と続く。一方、最も減少したのは前年トップの「和」で、13社減(28→15社)だった。
 商号の文字種類別では、カタカナのみの商号が全体の約3割(構成比28.9%)を占めたが、前年(30.0%)より構成比は1.1ポイント下落した。

新設法人商号ランキング

法人格別、「合同会社」が初めて構成比20%超え

 法人格別の社数では、株式会社が9万1,694社(構成比69.4%)で全体の約7割を占めた。次いで、合同会社が2万7,039社(同20.4%)、一般社団法人が6,379社(同4.8%)、特定非営利活動法人(NPO法人)が2,091社(同1.5%)、医療法人が1,291社(同0.9%)と続く。
 合同会社は低コストでの設立が可能で経営の自由度が高く、前年比14.4%増(2万3,627→2万7,039社)と、2007年の調査開始以来、初めて構成比が20%を超えた。また、有限責任事業組合(LLP)も同31.1%増(354→464社)と大幅に増えた。
 一方、前年比で減少率トップは、集落単位で農家が農地を持ち寄り、農機具の共同所有や農作業を行う農事組合法人の同26.8%減(583→427社)。次いで、宗教法人が同18.4%減(76→62社)、昨年大幅に増加(前年比194.9%増)した社会保険労務士法人が同13.0%減(292→254社)、特定非営利活動法人(NPO法人)が同12.3%減(2,383→2,091社)などだった。

法人格別 新設法人


 政府は2013年6月に新成長戦略「日本再興戦略」を閣議決定し、開業率を欧米並みの10%台に引き上げることを目標に設定。企業の新陳代謝を促進し、経済を活性化する方針を打ち出している。だが、同成長戦略において、開廃業率の実績値として用いられてきた「雇用保険事業年報」によれば、直近の2015年度でも開業率が5.2%にとどまっており、目標達成は道半ばだ。
 東京商工リサーチがまとめた2017年の新設法人数は、2007年の調査開始以来、初めて13万社に達し、最高を記録した。しかし、普通法人数全体に占める新設法人率は4.7%に過ぎず、この計算方法においても政府の成長戦略目標の半分にも達していない。
 総務省人口推計(2017年10月1日現在)における人口減少の著しい地域では、法人設立は頭打ち傾向にあり、新設法人率の低い特徴が表れている。年齢別人口をみても、65歳以上の人口割合が全国(27.7%)を上回る秋田県(35.6%)、島根県(33.6%)、山形県(32.2%)などに新設法人率の低い傾向がみられる。そこからは、起業促進と人口減少や高齢化との間に高い関連性がうかがわれる。
 政府は2018年度から法人設立手続きの簡素化を進める。オンライン申請を一本化して登記完了までの期間を現行の10日間から最短1日に短縮するなど、起業家の負担軽減を狙う。
 現状の低迷する開業率引き上げには制度改正や公的な補助金などのサポートに加え、地方創生を含む経済環境の改善が必要で、起業家が求める機動的な政策支援のあり方が問われている。

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