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銀行107行(2017年3月期単独決算) 休眠預金の「払戻損失引当金」調査

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公開日付:2017.08.08

 預金者本人と連絡が取れず10年以上資金移動のない預金は「休眠預金」と呼ばれる。これまでは所定の手続を経て、銀行の利益金に計上されていた。国内銀行107行の2017年3月期決算では、長期に亘り活用されない休眠預金の払戻し請求に対応した「睡眠預金払戻損失引当金」が、総額951億円に達することがわかった。
 なお、2016年12月に休眠預金を活用、推進する法律が国会で成立した。今後、休眠預金は法律施行から1年後の2019年から福祉・健康増進・地方活性化など、社会的事業などへの助成・貸付が可能となった。


  • 本調査は、銀行107行の2017年3月期決算で、貸借対照表の「負債の部」に計上された「睡眠預金払戻損失引当金」を抽出、集計した。「休眠預金」は、「睡眠預金」、「休眠口座」とも呼ばれる。
  • 決算書の勘定科目に「睡眠預金払戻損失引当金」がない、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行、近畿大阪銀行、新生銀行、あおぞら銀行、筑邦銀行は、調査対象に含まない。

毎年700億円以上にのぼる休眠預金

 金融庁によると、金融機関に預金者が預けたままになっている休眠預金は、2014年3月期では1,187億円(うち、払い戻し460億円)、15年3月期が1,278億円(うち、払い戻し518億円)、16年3月期が1,308億円(うち、払い戻し565億円)と1,000億円超の高水準で発生している。払い戻し額を差し引いても2014年3月期以降の休眠預金は、毎年700億円以上に達する。

払戻損失に対応した「睡眠預金払戻損失引当金」

 金融機関では、最終取引日以降に長期間異動のない休眠預金を実務上「睡眠預金」と称している。全国銀行協会では、実務上の取扱いとして、最終取引日以降10年を経過した睡眠預金について、所定の手続を経て利益金として計上することとして差しつかえない旨のガイドラインを設けている。
 法定上は、銀行預金は最後に資金の出入金があった日から5年間(商法第522条)、信用金庫等の預金は10年間(民法第167条)を経過すると預金の消滅時効にかかる。
 ほとんどの金融機関は、預金者からの請求があれば期間に関わらず、何年経過しても休眠預金の払い戻し請求に応じている。利益計上した休眠預金について、預金者からの請求に基づく払戻損失に備え、過去の払戻実績に基づき「睡眠預金払戻損失引当金」などの勘定科目を設け、多くの金融機関が会計処理を行っている。

「睡眠預金払戻損失引当金」は総額951億円

 107行の2017年3月期決算で、「睡眠預金払戻損失引当金」は総額951億4,800万円(前年同期比3.4%増、前年同期919億9,600万円)にのぼった。
 引当金額が最も多かったのは、みずほ銀行の175億7,500万円。次いで、三井住友銀行136億200万円、福岡銀行47億300万円、三井住友信託銀行35億8,300万円、伊予銀行29億7,900万円、千葉銀行29億2,000万円、常陽銀行25億8,500万円と続く。
 「睡眠預金払戻損失引当金」の計上が10億円以上は21行(前年同期20行)だった。

銀行107行 「睡眠預金払戻損失引当金」調査

約6割の銀行で引当金増額

 107行のうち、2017年3月期決算で「睡眠預金払戻損失引当金」が前年同期を上回ったのは64行(構成比59.8%)と約6割にのぼった。
 前年同期に比べて増加率の最大は、但馬銀行の96.4%増(5,700万円→1億1,200万円)だった。次いで、青森銀行45.7%増(4億2,200万円→6億1,500万円)、大正銀行41.6%増(1,200万円→1,700万円)、武蔵野銀行39.8%増(5億3,900万円→7億5,400万円)、長野銀行35.8%増(8,100万円→1億1,100万円)の順。増加率10%以上が34行にのぼった。

銀行107行 「睡眠預金払戻損失引当金」前年同期比増加率

預金総額に占める引当金比率は0.02%

 107行全体の預金総額に対する「睡眠預金払戻損失引当金」の比率は、0.02%だった。
 個別行で預金総額に対する引当金比率のトップは、宮崎太陽銀行の0.09%。次いで、佐賀共栄銀行0.06%、伊予銀行0.05%、大分銀行0.05%、福岡銀行0.05%、親和銀行0.05%と続く。
 全体の比率0.02%を上回ったのは23行(構成比21.4%)だった。


 2016年12月、国会で「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」が成立した。法律施行は原則2018年1月1日で、対象となる休眠預金は法施行から1年経過後の2019年1月1日以降のもの。この法律により休眠預金が、福祉・健康増進・地方活性化などの社会的事業への活用が可能になった。実際に休眠預金による助成・貸付が開始されるのは、2019年秋頃となる見通しである。
 これまで口座管理コストはかかるが、一定の手続きを経て金融機関の利益に計上されていた多額の休眠資金が、社会的事業への助成、活用の財源として供給されることが可能になった。
 この一方で、資金活用分野など使途が限定され、特定団体への利益誘導になる可能性も指摘されている。もともと休眠預金は、預金者一人ひとりが預けた民間資金であり、休眠預金の活用には公正さと透明性の確保が重要で、かつ使途の説明責任が強く求められる。
 また、休眠預金を単なる「助成・貸付」としての利用にとどまらず、経済成長のための「成長資金」として位置付けて活用することも必要だろう。

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