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2017年「賃上げに関するアンケート」調査

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公開日付:2017.06.14

 2017年4月に賃上げを実施した企業は約8割(構成比82.6%)にのぼった。中でも中小企業ほど、「従業員の定着」など人材流出を防ぐための賃上げに取り組ん でいる実態が浮き彫りになった。
 「従業員の定着」が目的の賃上げは、資本金1億円以上の大企業が46.6%、同1億円未満の中小企業が53.8%で、中小企業が7.2ポイント上回った 。ただ、賃上げの効果は「社員のモチベーションが上がった」が55.0%でトップだったが、「効果なし」も21.7%あった。
 効果がなくても今後も賃上げを行う企業は68.3%あっ た。大手との収益格差が広がるなか、賃上げと人材確保、収益負担の板挟みで苦慮する中小企業の悩みがにじみ出ている


  • 本調査は2017年5月12日~23日にインターネットでアンケートを実施し、有効回答5,913社を集計、分析した。
  • 賃上げ実体を把握するため「定期昇給」、「ベースアップ」、「賞与(一時金)」を賃上げと定義した。資本金1億円以上を大企業、1億円未満を中小企業と定義した 。
  • 賃上げ実体を把握するため「定期昇給」、「ベースアップ」、「賞与(一時金)」を賃上げと定義した。資本金1億円以上を大企業、1億円未満を中小企業と定義した 。

Q1.今年度、賃上げを実施しましたか?(択一回答)

 実施は82.6%(有効回答5,913社中4,890社)と、約8割を占めた。
 実施の内訳は、「定期昇給のみ」が29.6%(1,752社)がトップ。次いで「定期昇給 +ベースアップ」が15.5%、「定期昇給+賞与増額」が14.0%の順。
 資本金別では、1億円以上では86.6%(872社中755社)が何らかの賃上げを実施したが、1億円未満では82.0 %(5,041社中4,135社)と、4.6ポイントの差があった。定期昇給を実施した企業は、1億円以上では75.9%(872社中662社)に対し、1億円未満は64.6%(5,041社中3,257社)にとどまっ た。

Q1

Q2-1.「Q1で定期昇給を実施と回答した方にお聞きします」定期昇給の上げ幅(月額)はいくらですか? 

 最多は、「5,000円以上1万円未満」が27.3%(有効回答2,832社中774社)で約3割を占めた。
 平均値は5,774円、中央値は3,050円だった。
 資本 金1億円以上では、「5,000円以上」が半数に近い同44.6%(480社中214社)だった一方、1億円未満は「5,000円以上」が33.7%(2,352社中792社)にとどまり、規模により定期昇給の上 げ幅が異なった。

Q2-2.「Q1でベースアップを実施と回答した方にお聞きします」ベースアップの上げ幅(月額)はいくらですか?

 最多は、「5,000円以上10,000円未満」が21.0%(有効回答1,619社中340社)。平均値は6,679円、中央値は3,000円だった。

Q2-3.「Q1で賞与の増額を実施と回答した方にお聞きします」賞与(一時金)の上げ幅(年間)はいくらですか?(択一回答)

 「30万円未満」が75.9%(有効回答1,301社中988社)と7割以上を占めた。
 資本金別では、1億円以上は「30万円未満」が84.2%、1億円未満は「30万円 未満」が同74.8%と9.4ポイント開き、大企業ほど上げ幅が少なかった。これは元々、大企業の賞与水準が高く、中小企業が賞与水準のアップに力を注いだ結果とみられる。

Q3.「Q1で賃上げ実施と回答した方にお聞きします」賃上げした理由は何ですか?(択一回答)

 「従業員を定着させるため」が、52.8%(有効回答3,490社中1,843社)で過半数を占めた。
 資本金別では、1億円以上は「従業員を定着させるため」が 46.7%(469社中219社)に対し、1億円未満は「従業員を定着させるため」が53.8%(3,021社中1,624社)と過半数を占め、7.1ポイントの開きが出た。中小企業ほど賃上げで従業員の定 着を促していることがうかがえる。

Q4.2013年以降の賃上げ回数は何回ですか?(択一回答)

 2013年から5年間の賃上げでは、「5回(毎年)」が64.2%(有効回答3,490社中2,240社)で6割を占めた。次いで、「3回」が12.5%(437社)、「2回」が8.9% (311社)と続く。「実施したことはない」は2.8%(96社)だった。
 賃上げは多くの企業で定例化しているようだ。「実施なし」は1億円以上は6.4%(30社)、1億円未満は2.2 %(66社)で、中小企業の実施率が上回った。

Q5.「Q1.で賃上げを実施したと回答した方にお聞きします」実施の結果、人手不足は解消できましたか?(択一回答)

 「分からない、どちらとも言えない」が54.0%(有効回答3,490社中1,885社)で過半数を占めた。「解消できた」は18.4%、「解消できなかった」は27.6%で 、賃上げが必ずしも人手不足解消に繋がっていないことがわかった。
 資本金別では、「解消できた」は1億円以上で16.0%、1億円未満は18.8%と、各階層で2割に届かなかった。
 また、「解消できなかった」は1億円以上が27.3%に対し、1億円未満は同27.6%と、それぞれ「解消できた」を上回った。大企業、中小企業とも賃上げに取り組む中で、賃上げ だけで雇用改善は難しくなっているようだ。

Q5

Q6.「Q1.で賃上げを実施したと回答した方にお聞きします」実施の結果、どのような効果がありましたか?(択一回答)

 最多は「従業員のモチベーションが上がった」が55.0%(有効回答3,490社中1,920社)と過半数を占めた。ただ、「効果なし」も同21.8%(759社)あり、賃上 げでも約2割の企業は厳しい結果になった。

Q6

Q7.「Q6.で効果はなかったと回答した方にお聞きします」貴社では、今後も賃上げを実施する予定ですか?(択一回答)

 「実施する予定」が68.4%(有効回答756社中517社)と約7割を占めた。次いで「分からない、状況をみて判断」が29.9%(226社)、「実施しない予定」は1.7 %(13社)にとどまった。
 資本金別でみると、1億円以上は「実施する予定」が63.0%(92社中58社)、1億円未満は「実施する予定」が69.1%(664社中459社)だった。ともに7 割近い企業が実施意向を示すが、中小企業が6.1ポイント上回った。

Q8.「Q1.で賃上げ実施したと回答した方にお聞きします」賃上げによる社員1人あたりの経費負担増額(年間)はいくらを見込んでいますか?

 「10万円以上20万円未満」が25.3%(有効回答2,247社中568社)で最多。次いで、「5万円以上10万円未満」が25.1%(564社)、「5万円未満」の23.6%(531 社)が続いた。
 平均値は527,052円、中央値は100,000円。一部企業が大幅な賃上げを実施し、平均値が底上げされたようだ。

Q9.「Q1.で実施しなかったと回答した方にお聞きします」理由は何ですか?(複数回答のため構成比合計は100%を超える)

 「業績低迷」が1,023社中361社(構成比35.2%)で最多。資本金別では、1億円未満の「業績低迷」(342社)は、1億円以上を(19社)を大きく上回り、中小企 業の状況を反映している。また、「その他」では「(能力に応じた)評価昇給にした」、「新しい人事評価で行う予定」など、能力に応じた評価に取り組む企業も出てきた。

Q9

 雇用環境が好転する中でも、中小企業は人手不足を払拭できず、小売業、運送業、サービス業などで経営に支障が生じるケースが報道されている。
今回の調査では、賃上げは人材確保の意味が大きく、従業員のモチベーション向上を果たした反面、効果がなかったとの回答も約2割でみられた。ただ、人手不足で売手市場が進む中、これ までの労働環境は賃上げありきから変化している。自由回答では、「(休日や残業などの)労働条件が人材定着に繋がる」(岩手県・トラックほか販売業・中小企業)、「求職者は賃金 より休日などの労働条件を重視する傾向が強い」(鳥取県・漁業・中小企業)など、社会情勢を反映したワーク・ライフ・バランスに経営者側の意識も移りつつある。
 ただ、中長期的に人口の減少傾向が続くため、潜在成長率の引き上げの観点などから多様な人材の労働参加は避けられない。外国人労働者や女性、高齢者の雇用、福祉面の充実など、金額面だけ でなく労働環境の再構築に向けた取り組みが求められている。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年6月16日号、19日号に詳細な分析結果を掲載予定)


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