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「くい打ち業者」動向調査

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公開日付:2015.10.30

 旭化成建材(株)(TSR企業コード:291364748、千代田区)の「くい打ち」データの偽装を受け、国土交通省は旭化成建材以外の業者にも調査の対象を広げる検討に入った。今回、東京商工リサーチは、保有する日本最大級の企業データベースを活用し、「くい打ち業者」の動向を調査、分析した。
 全国に「くい打ち業者」は454社あることが確認された。従業員10名未満が5割を上回り、資本金1,000万円未満が3割を占めた。また、前年と業績が比較可能な313社では、最新期の売上高5億円未満が約7割で「くい打ち業者」の大半は小規模企業である。前年の当期純利益と比較して減益となった企業は5割を超えている。建設市況の復調で案件数は増加している反面、工期は以前よりもタイトになっており現場作業員を通常よりも多く配置する現場もあるとの声も聞かれ、人件費などの経費負担が利益率を押し下げている可能性がある。また、為替環境の変化により輸入資材の価格高騰も影響しているものとみられる。
 「くい打ち」は建物の工事の基礎部分であり、建物や構築物の中で重要な部分の一つである。調査範囲の拡大に伴い、施工の瑕疵が見つかり補修工事や損害賠償請求がなされた場合、小規模の「くい打ち業者」の経営を逼迫する可能性がある。


  • 本調査は東京商工リサーチが保有する企業データベース398万社から、主扱い品として「くい打工事」、「くい打業」、「コンクリートくい打業」が登録されている企業を抽出し分析した。
  • 副業(従扱い品)として、「くい打工事」、「くい打業」、「コンクリートくい打業」が登録されている企業を含めると1,161社該当する。

従業員数別、10名未満が半数を超える

 抽出454社の従業員数別では、10~50人未満が182社(構成比40.1%)と最も多かった。次いで、5人未満が143社(同31.5%)、5~10人未満が106社(同23.3%)と続く。10名未満が全体の54.8%と過半数を超え、工事が重なると、人手不足に陥りやすい状況にある。

くい打ち業者454社 従業員数別

資本金別、1千万円未満が3割

 資本金別では、「1億円以上」が4社(構成比0.9%)、「5千万円~1億円未満」が15社(同3.3%)にとどまった。
 一方で、「1千万~5千万円未満」が245社(同54.0%)と半数を超え、「1百~1千万円未満」が137社(同30.2%)と少額の資本金の企業も目立った。

業歴別、30年以上が約4割を占める

 業歴別では、30年以上が183社(構成比40.3%)と4割を占めた。次いで、20年以上・30年未満が107社(同23.6%)、10年以上・20年未満が76社(同16.7%)の順。
 6年未満は13社(同2.9%)にとどまり、比較的業歴の長い企業が多かった。

売上高別、5億円未満が約7割

 前期と業績が比較可能な企業(全313社)の最新期(2014年5月期~2015年4月期)の売上高別では、1億円~5億円未満が128社(構成比40.9%)で最多。次いで、1億円未満が86社(同27.5%)となり、5億円未満の中小企業が全体の約7割を占めた。
 一方で、50億円~100億円未満と100億円以上はともに2社にとどまった。

くい打ち業者313社 売上高別

売上高対前年増減収別、増収が約6割

 対前年増減収別では、最新期の増収が180社(構成比57.5%)と6割を占め、減収の123社(同39.3%)を上回った。公共工事の前倒しなど建設市況の改善から、増収企業が6割に迫った。

損益別、最新期の黒字は約8割を占める

 損益別では、最新期の黒字が241社(構成比77.0%)となり、赤字は39社(同12.5%)。前期は黒字が257社(同82.1%)、赤字が38社(12.1%)だった。

  • 黒字は当期純利益、赤字は当期純損失を指す。
  • 対前年増減益別、減益が5割を上回る

     対前年増減益別では、増益が117社(37.4%)となり、減益は174社(55.6%)だった。黒字率は8割近くを占めているが、減益企業が5割を上回るなど採算性が厳しくなっている様子がうかがわれる。

  • 当期純利益を比較した。
  • まとめ

     大規模マンション「パークシティLaLa横浜」のくい打ち工事の施工不具合が発覚して以降、「くい打ち」業界への不信が広まっている。今回の調査で、全国に454社の「くい打ち業者」が確認され、大半が小規模企業であることが分かった。これら業者の大半は、元請ではなく、2次や3次、4次とみられ、売主や元請の意向に業況は大きな影響を受けやすい。業界特有の多重下請構造が、今回のデータ偽装の根底にある可能性がある。
     データ改ざんは、「パークシティLaLa横浜」の現場責任者以外の人物が担当した物件でも発覚しており、業界全体に波及する兆しを見せている。消費者の不信感払しょくや業界の信頼回復に向け、現場監理体制が強化された場合、その費用のしわ寄せが2次請以下の業者に及びかねない。その場合、下請けの小規模企業の利益率はさらに悪化することになる。「安心・安全」を確保するには、どのような監理体制が最良で、それを維持するための費用負担は業者間でどう応分するべきなのか。業界全体での合意形成が待たれる。

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