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第4回 地ビールメーカー動向調査

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公開日付:2013.10.16

「地ビール」ブームが再到来している。全国の主要地ビールメーカーの2013年1-8月の累計出荷量は前年同期比14.6%増となった。過去3年間の調査でも1-8月の累計出荷量は前年を上回り、右肩上がりで推移してきたが、2013年同期の増加率は、前年同期(同7.7%増)より倍の伸びで好調ぶりが目立った。
国内ビール大手5社のビール系飲料(ビール・発泡酒・新ジャンル)が、1-8月累計出荷量で前年同期比0.5%減と「ビール離れ」で苦戦しているのを尻目に、地ビールメーカーの勢いは加速している。 
地ビールメーカーは、飲食店・小売店ルートの開拓や首都圏への販路構築、新興国への輸出拡大に取り組んでいる。だが、原材料の高騰や地ビールの需要増に対応する生産性向上が課題に浮上している。また、消費税率引き上げについては、「価格転嫁が困難」などの理由から、経営に「影響がある」とするメーカーは約7割に達した。

  • 本調査は東京商工リサーチが2013年9月、全国の主な地ビールメーカー171社を対象にアンケート調査を実施。有効回答は76社(有効回答率44.4%)。このうち出荷量が判明した68社を対象に、出荷量の推移などをまとめた。調査は2010年、2011年、2012年に続き4回目。

出荷量 8割のメーカーで増加

有効回答76社(出荷量が非公開で増減のみ回答を含む)の2013年1-8月の出荷量を、前年同期と比較すると、出荷量が「増加」は63社(構成比82.9%)、「減少」は13社(同17.1%)だった。 
出荷量が「増加」した63社のうち、増加理由では、「飲食店、小売業者等の地ビール扱い店増加」が26社(構成比41.3%)で最多だった。次いで、「観光客の増加」が15社(同23.8%)、「気候が暑かった」が6社(同9.5%)と続いた。
首都圏の高価格商品を扱うスーパーや専門店への販路拡大に加え、国内観光客数の回復、さらに今夏の猛暑も出荷増を後押しした。
出荷量が「減少」した13社では、「イベント参加の減少」が5社と最も多かった。「東日本大震災の後遺症」を要因にあげたのは1社にとどまり、時間の経過とともに震災の影響は薄まっているようだ。

地ビールメーカー76社の出荷量増減

2013年1-8月の出荷量 前年同期より14.6%増

出荷量が前年と比較できる68社の2013年1-8月の出荷量合計は6,724.9klで、2012年同期(5,866.5kl)から14.6%増加した。月別で増加率が最も高かったのは1月(前年同月比21.5%増)で、次いで4月(同20.1%増)、5月(同18.1%増)の順。小売店への積極的な販路開拓で消費者の目に触れる機会が増し、季節を問わず毎月の出荷量を伸ばした。
2013年1-8月までの出荷量合計が100klを超えたのは前年の7社から8社に1社増加した。この8社はすべて出荷量が前年を上回っている。出荷量が多い地ビールメーカーは、欧米や近年は新興国など、海外への輸出に注力しブランド価値の向上に努めている。

地ビールメーカー68社の出荷量月次推移

地区別 東北が反転増加

出荷量が前年と比較できる68社の2013年1-8月の地区別出荷量の増加率は、中部が前
年同期比33.6%(230.2kl増)で最多。次いで、関東が同18.8%(463.2kl増)、四国が同11.4%(7.9kl増)と続く。全体では、北陸を除く8地区で前年同期の出荷量を上回った。
増加率トップの中部は、増加した主な理由を「観光客の増加」(10社中4社)、「猛暑」(同2社)と回答している。また、前年に出荷量が減少した東北は、震災復興後の観光客数の回復に加え、震災により破損・休止していた醸造設備の再稼動、イベント開催の増加などで、今年は前年同期比6.1%(97.2kl)増となった。唯一、出荷量が減少した北陸は、夏場の「観光客減少」「イベント参加の減少」を主な理由としている。

地ビールメーカー68社の地区別出荷量増減

販売方法 飲食店への卸売とネット通販に期待

地ビールメーカーの販売方法では、「直営の飲食店・売店等での小売」が76社中40社(構成比52.6%)でトップだった。次いで、「酒販店、コンビニ等小売店への卸売」18社(同23.7%)と続く。大半の地ビールメーカーが、地元の直営レストランや売店での小売を中心にする一方、販路拡大に向けて地元の酒販店・コンビニへの卸売にも力を注いでいる。
今後の販売方法については、「伸びている」、もしくは「今後伸びが見込まれる」販売方法として「飲食店への卸売」が26社(構成比34.2%)と最も多く、次いで「直営の飲食店・売店等での小売」22社(同28.9%)、「酒販店・コンビニ等小売店への卸売」13社(同17.1%)と続く。直営の飲食店・売店等での直販をベースに、飲食店・酒販店・コンビニ向け卸売で成長を見込んでいる。「ネット通販」に取り組んでいるメーカーは2社(同2.6%)にとどまったが、「伸びている」、或いは「今後伸びが見込まれる」販売方法として10社(同13.1%)が回答しており、地ビールメーカーが販売方法として「ネット通販」に期待していることがわかった。

今後の懸念 「原材料の高騰」がトップ

今後、考えられる課題や懸念としては、回答のあった71社のうち、「原材料の高騰」をあげたメーカーが33社(構成比46.5%)と最も多く4割超を占めた。次いで「需要増に伴う生産能力の限界」23社(同32.4%)、「醸造家の育成・確保」7社(同9.9%)の順だった。
数年来の麦芽価格の上昇を警戒する声が最も多く、電気料金の値上げなどのコストアップ要因も含め、体力の乏しい中小・零細規模の地ビールメーカーの経営環境は厳しさを増している。
また、需要増に追いつけず生産量に限界を感じている地ビールメーカーも少なくない。長野県内のメーカーは今年2月に缶ビール用の生産設備を新設し、2種類の新製品を投入。出荷量は76社中トップの増加率に達した。しかし、夏場に早々に生産が追いつかず、来シーズンに向けて醸造用タンクを増設する計画を立てている。「醸造家の育成・確保」を回答したメーカーでは、即戦力となる人材確保が困難なことから、今年4月に新卒採用で新人の醸造者を補充し、「長期の事業計画に基づき一から人材を育てる」としている。
「その他」の主要な課題や懸念としては、「製品開発力と宣伝強化策」、「年間60klの生産量の壁」、「ビール離れの傾向」、「消費税8%の動向、価格」、「設備の修繕」など、外部要因や人的・資金的問題からすぐに解決できない問題を抱えている実態も明らかになった。

消費税増税 7割が「影響あり」

2014年4月から消費税率8%への引き上げが決定した。消費税増税については、76社中51社(構成比67.1%)が「影響あり」と回答した。もともと地ビールの価格は大手ビールメーカー商品より高価格帯が多いだけに、購入意欲に水を差されることを懸念しているようだ。
「影響あり」とした51社では、「価格転嫁が困難」が32社(同42.1%)、「購入者の減少」が19社(同25.0%)を占めた。
このほか「わからない」が11社(同14.5%)だった。「実際に消費税が上がってみないと影響を見極められない」や、「酒税と消費税の二重課税」、「この先消費税率が10%に上がった時のことを懸念する」などの回答もあった。地ビールメーカーは、大手に比べ格段に出荷量が少ないだけに、売価に占めるコスト比率は高い。価格転嫁が容易でない中小の地ビールメーカーにとって、消費税率の引き上げは製造コストの上昇だけでなく、需要減退につながることを懸念する地ビールメーカーが多かった。

消費税増税の影響

地ビールメーカー 8割超が「ブームを感じる」

地ビールブームが再び話題となっているが、地ビールメーカーの実感の度合いを尋ねた。
回答があった75社のうち、「やや感じる」が48社(構成比64.0%)で最多。次いで、「大いに感じる」が15社(同20.0%)、「感じない」が12社(同16.0%)だった。「やや感じる」と「大いに感じる」を合わせると8割超がブームを実感しており、前年(同72.2%)を11.8ポイント上回った。
一方、「感じない」は前年(同26.4%)から10.4ポイントダウンした。「感じない」とした12社の出荷量は前年同期比2.0%増と、全体平均の同14.6%増を大きく下回った。

「地ビールブーム」を感じますか?

地ビールメーカーの展望

1994年4月、酒税法改正で全国各地に飲食店や酒造メーカーなどを中心に、地ビールメーカーが次々に誕生した。当初、地域活性化の担い手としても期待され、独自の口当たりもブームを巻き起こした。だが、目新しさ以外の魅力に乏しく、高価格もネックになり第一次地ビールブームは終焉した。
その後、生き残った地ビールメーカーは“品質”と“味わい”を究め、商品価値を高めた。
また、小売店や酒販店などの外販や輸出拡大に取り組み、現在はコンビニエンスストアの店頭にも地ビールが陳列されるまでに普及した。メディアも脚光を当て、ビア・フェス開催なども拡がりをみせ、第二次“地ビールブーム” が到来している。
だが、地ビール業界が抱える課題は少なくない。中小・零細業者が多く、ギリギリの生産体制の中で、イベント出店重視の経営では慢性的な人手不足の打開策が見出せない。限られた経営資源でいかに“品質”を守り、“消費者に愛される商品”を生み出せるかが今後のテーマになっている。ブームを一過性で終わらせないために、地ビール業界は次の戦略が求められる。

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