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証券会社の業績 株高を背景に8割が増収

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公開日付:2013.09.27

「アベノミクス」効果による株高で、全国の証券会社108社の2013年3月期決算の総営業収益は3年ぶり前年同期を上回り、8割の証券会社が増収を果たした。2008年秋のリーマン・ショック以降、急激な業績低迷で地場証券を中心に廃業が続出したが、地方に本店を置く地場証券44社のうち、42社(構成比95.4%)で営業収益が前年同期を上回り、息を吹き返した。

  • 本調査は2008年3月期から比較可能な全国の証券会社108社を対象に、2013年3月期単独決算を分析した。資料は、東京商工リサーチの企業情報および各社がディスクローズした「業務及び財産の状況に関する説明書」に基づく。

8割の証券会社が増収

証券会社108社の2013年3月期決算の総営業収益は総額1兆9,789億100万円(前年同期比23.8%増)で、3年ぶりに前年同期を上回った。108社のうち営業収益が前年同期を上回ったのは90社(構成比83.3%)に達し、証券業界の業績回復を強く印象づけた。
総営業収益は2008年3月期に2兆2,097億9,700万円を計上したが、リーマン・ショック直後の2009年同期は1兆5,112億2,700万円に急減した。その後、2010年同期は1兆8,320億8,100万円と底打ち感がみられたが、2011年同期が1兆6,786億8,600万円、2012年同期が1兆5,973億7,300万円と再び低迷した。だが、2013年同期は国土強靭化などの積極投資を表明した安倍政権の経済政策、「アベノミクス」効果で株高に転じ、その恩恵が増収をもたらす格好となった。

証券会社108社の業績推移

当期純利益 2008年3月期以降で最高

これに伴い108社の2013年3月期の当期純利益は総額3,709億9,400万円と、2008年以降で最高を記録した。
過去推移では、2008年3月期は2,059億9,500万円の黒字だったが、2009年同期は1,113億3,700万円の赤字。続く2010年同期は1,244億8,400万円の黒字、2011年同期が975億6,800万円の赤字、2012年同期も86億7,500万円の赤字と、収益はめまぐるしく増減を繰り返した。
当期純損失の計上は、2008年3月期は49社(構成比45.3%)だったが、2009年同期は80社(同74.0%)に急増し、4社に3社が赤字に陥った。その後も、52~65社とほぼ半数が赤字の状態が続き、地場証券の廃業が相次ぐ事態を招いた。ところが、2013年同期は空前の好業績に沸き、赤字は15社(同13.8%)へ激減した。

大手、中小地場ともに業績回復

営業収益をみると、野村證券など営業収益100億円以上の大手22社は前年同期比24.0%増と大きく伸ばした。一方、営業収益100億円未満の中小・地場証券86社も同22.3%増と伸び率は大手と遜色なく、規模による業績格差を解消し証券業界全体の活況を裏付けた。
中小・地場証券86社のうち、大都市圏の東京・大阪に本店を置く42社(独立系21社、銀行系3社、証券系など18社)と、それ以外の地区に本店を置く44社(独立系29社、銀行系7社、証券系など8社)の2013年3月期の業績を比較すると大都市圏以外の健闘が際立った。
大都市圏の地場証券42社の総営業収益は1,164億7,500万円(前年同期比19.1%増)で、29社(構成比69.0%)が前年同期を上回った。一方、大都市圏以外の地場証券44社の総営業収益は755億8,200万円(前年同期比27.5%増)で、増収率は大都市圏を8.4ポイント上回った。
また、44社のうち42社(構成比95.4%)が前年同期を上回り、44社のうち35社が減収だった前期から大きく様変わりした。大手を巻き込んで競争が激しい大都市より、地方の地場証券会社の改善が目立ったが、これは長く業績低迷に喘いでいた反動と見ることもできる。
地方の地場証券で、営業収益の増収率トップは銀行系の八十二証券(長野県)の前年同期比68.9%増(14億1,500万円→23億9,100万円)だった。次いで、三豊証券(香川県)の同68.0%増、愛媛証券(愛媛県)の同63.2%増、豊証券(愛知県)の同58.1%増、光証券(兵庫県)の同57.6%増の順。

中小地場証券86社の業績推移

地場証券が息を吹き返す

証券業界は、大手が法人営業や大口個人取引、海外進出で実績を伸ばす一方で、地場証券は地域に密着し、個人投資家との対面営業を中心にしてきた。このため地場証券の顧客の大半は、景気動向に敏感に反応し、リーマン・ショック後の厳しい業績に直結した。
さらに売買手数料の完全自由化で、手数料の割安なネット証券にも個人顧客を奪われた。法人営業の大口取引先に頼れない地場証券は、自己売買によるディーリングに活路を求めたが、東証が2010年1月に導入した新取引システムで売買スピードが格段に高速化され、株価を視認しながら売買する伝統的な手法では太刀打ちできなくなった。業界自体の変化に対応できず老舗証券の廃業が加速し、事業譲渡する事例も増えていた。しかし、「アベノミクス」効果で証券業界は一変した。2割を割り込んでいた個人投資家の株委託売買代金シェアが3割を突破し、地場証券と取引してきた個人投資家の投資が活発になってきた。これまで対面取引で信頼関係を築いてきた地場証券に再び光が差し、売買注文の増加につながったようだ。

業績回復下でも進むコスト削減

証券業界は活況を取り戻したかにみえるが、日本証券業協会に加盟する証券会社は2008年末の322社から、2013年6月末は260社に約2割減少している。
日本証券業協会によると、営業所数(本支店、営業所、事務所)も2008年末の2,336から2013年6月末には2,114に減少した。業績(営業収益、当期純利益)は前年同期より伸長したが、証券各社が厳しいコスト削減策に取り組んだことも増益につながったとみられる。
厳しいコスト削減は、従業員数の推移にも現れている。リーマン・ショック直前の2008年6月末に10万3,148人だった従業員数は、2012年12月末は8万3,056人まで減り、4年半で2万92人(19.4%減)が削減された。業績が回復した2013年6月末は、従業員のうち営業担当の外務員が7万1,916人(2012年12月末6万9,684人)と半年前より2,232人増員したのに対し、内勤社員は1万2,348人(同1万3,372人)で減少に歯止めがかからず、証券業界のコスト削減の姿勢に緩みはない。

まとめ

証券業界は、東京証券取引所グループと大阪証券取引所が合併し、大きな転換期を迎えた。来年から始まる「少額投資非課税制度(NISA)」への対応は、顧客囲い込みとシステム投資なども絡み、地場証券には大きな課題でもある。
ただ、2020年東京オリンピック開催の決定をバネに、さらなる株価上昇に期待がかかる。地場証券の業績は、地域経済の浮揚を測るバロメーターの一つにもなる。今後も大手を含む証券会社の業績動向に目を離せない。

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