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2012年新設法人 10万3,074社で3年連続増

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公開日付:2013.06.13

2012年(1-12月)に全国で設立された法人(新設法人)は、10万3,074社(前年比1.2%増)で、3年連続で増加した。地区別の増加率トップは被災地の東北で、復興への確かな足取りを示した。業種別の特徴では、原発事故を背景に再生可能エネルギー関連の法人が急増した。

  • 本調査は、東京商工リサーチ(TSR)の企業データベース(対象366万社)から、2012年に設立された新設法人データを抽出し、分析した。

新設法人年次推移

2012年の新設法人 前年比1.2%増

2012年(1-12月)に全国で新しく設立された法人(新設法人)は、10万3,074社(前年比1.2%増、前年10万1,865社)だった。2009年は、リーマン・ショックに端を発した世界同時不況の影響で前年を下回ったが、2010年以降は3年連続で前年を上回っている。

新設法人月次推移

産業別 小売業が前年比15.7%減

産業別では、サービス業他が4万4,919社(構成比43.6%)で最も多かった。前年比では、10産業のうち5産業で増加した。増加率トップは農・林・漁・鉱業の22.0%増。次いで、製造業10.2%増、不動産業9.1%増、金融・保険業6.5%増、サービス業他4.4%増の順。一方、減少率は、小売業が15.7%減で最も大きかった。小売業は参入しやすい産業の代表格だったが、ネットショッピングやPB(プライベートブランド)商品が定着するなか、価格競争や消費者の選別が厳しくなり、他社との差別化が難しくなったことも影響したとみられる。

業種別増加率 電気・ガス・熱供給・水道業が前年より10倍に急増

業種別では、前年比で電気・ガス・熱供給・水道業が907.3%増(82→826社)で著しい増加をみせた。福島第一原発事故を受け、風力や太陽光など再生可能エネルギーによる発電を目的とした法人が多く設立された。また、農・林・漁・鉱業も22.0%増(1,561→1,904社)と増勢をみせた。このうち、農業は2割増(1,304→1,617社)で、地区別では東北(96→197社)が2倍増と伸びが目立ち、震災からの復興を反映した。高齢化社会を迎えて有望業種とされる医療・福祉事業は8.9%増(6,718→7,316社)、不動産業は9.1%増(8,251→9,004社)だった。
一方、減少した主な業種は、建設業1.6%減(1万216→1万54社)、宿泊業6.1%減(427→401社)、印刷・同関連業11.5%減(260→230社)など。

資本金別 「1百万円未満」が増加

資本金別では、「1億円以上」が321社(前年比15.3%減)、「5千万円以上1億円未満」が513社(同3.2%減)と大きな資本規模で減少した。一方、「1百万円未満」が2万1,179社(同3.9%増)と増加した。2006年5月1日の会社法施行に伴う、最低資本金規制の撤廃が浸透し小規模な資本金の法人設立が目立った。

地区別 復興する東北の増加率がトップ

地区別の前年比増加率では、東北が24.9%増(4,149→5,182社)でトップだった。復興需要に加えて、支援に関わる非営利団体の設立も相次ぎ、法人設立を後押しした。このほか、増加したのは四国4.0%増(1,845→1.919社)、九州3.6%増(9,769→1万124社)、中部1.6%増(9,944→1万99社)で、合わせて4地区だった。一方、減少したのは北陸3.7%減(1,511→1,455社)、中国1.6%減(4,008→3,945社)、北海道1.4%減(3,874→3,819社)、近畿0.5%減(1万6,600→1万6,523社)、関東0.3%減(5万165→5万8社)の5地区だった。

都道府県別の増加率 震災の被災県が上位に並ぶ

都道府県別では、東京都が2万9,399社(構成比28.5%)で最多。次いで、大阪府が9,327社(同9.0%)、神奈川県が6,834社(同6.6%)、愛知県が5,152社(同5.0%)だった。 
一方、新設法人数が最も少なかったのは鳥取県の260社。次いで、島根県298社、高知県324社、福井県340社、徳島県365社の順。
前年との増減率をみると、28府県で前年を上回った。増加率トップは、福島県の48.2%増(859→1,273社)。次いで、青森県29.1%増(413→533社)、宮城県22.7%増(1,598→1,961社)、岩手県20.0%増(504→605社)、高知県16.1%増(279→324社)、長崎県14.7%増(552→633社)、秋田県10.4%増(395→436社)と続く。東北が上位に顔をそろえ、着実に復興への息吹が根付いてる。
減少率は富山県の9.8%減(529→477社)を筆頭に、福井県8.4%減(371→340社)、滋賀県5.0%減(702→667社)、大分県4.8%減(751→715社)、新潟県4.1%減(913→876社)の順。

新設法人率 都道府県別で沖縄県がトップ

2012年の新設法人数を「国税庁統計年報」に基づく普通法人数(最新は2011年度データ)で除して算出した「新設法人率」でみると、沖縄県が7.0%で最も高かった。
沖縄県は全国平均より高い失業率を背景に起業意欲が高いほか、創業時に家族・親族などの支援が得られやすい土地柄などが影響しているとみられる。業種別では製造業が少なく、医療福祉、飲食業などのサービス業が多かった。次いで、東京都5.6%、宮城県5.2%、福岡県4.8%の順。一方、比率が低かったのは、福井県2.0%、山形県2.1%、新潟県2.2%、徳島県2.3%の順だった。

2012年新設法人の商号の最多は「ライズ」 「ネクスト」の増加も目立つ

2012年の新設法人で最も多かった商号は、「ライズ」の49社だった。「ライズ」は英語で「上がる、立ち昇る」などを意味する「Rise」があり、躍進のイメージから商号に多く使用されたとみられる。次いで、「ネクスト」46社、「サンライズ」37社、「アシスト」36社の順。
前年比較では、「ネクスト」が17社増(29→46社)で最も増加した。次いで、「Next」が14社増(14→28社)、「結」が14社増(7→21社)、「トラスト」が13社増(22→35社)、ブリッジが12社増(5→17社)と続く。一方、最も減少したのは「アシスト」の25社減(61→36社)だった。震災後の再建や復興の象徴で前年多かった「絆」は17社減(48→31社)で、前年を下回った。
商号の文字種類別をみると、2012年5月発表の「全国261万社の商号調査」で漢字のみ商号が構成比44.1%を占めたのに対し、2012年の新設法人では、カタカナのみの商号が全体の34.7%を占めた。依然としてカタカナ商号へのシフトが続いている。

法人格別 農事組合法人の増加が目立つ

法人格別では、株式会社が8万266社(構成比77.9%)で全体の約8割を占めた。次いで、合同会社が1万755社(同10.4%)、特定非営利活動法人が3,818社(同3.7%)と続く。
2008年12月施行の「一般社団法人および一般財団法人に関する法律」(注)に基づき設立された一般社団法人が前年比23.0%増(2,990→3,679社)、一般財団法人が同12.6%増(340→383社)といずれも増加した。また、集落単位で農家が各自の農地を持ち寄り、農機具の共同所有や、農作業を行う農事組合法人は、法人事業税が非課税のメリットもあり、同19.4%増(325→388社)と増加した。
一方、医療法人は同1.4%減(1,220→1,203社)、介護老人保健施設や有料老人ホーム経営などの社会福祉法人も同17.7%減(322→265社)と、そろって減少した。医師不足や介護従事者の人手不足などを背景に低迷したとみられる。
(注)従来の社団法人や財団法人の設立は、主務官庁による許可が必要で、「法人格の取得」「公益性の判断」「税制上の優遇措置」が一体の制度だった。このため許可を得ること自体が難しく、また逆に公益法人として似つかわしくない営利法人が税制上の優遇措置を受けるという問題も指摘されてきた。しかし公益法人改革により、「法人格の取得」と「公益性の判断」を分離した新制度に変わった。これによって公証人による定款認証と法務局への登記のみで設立できるようになった。


まとめ

政府は成長戦略を決定した。目標の中に現在約5%にとどまっている企業の開業率を米・英国レベルの10%台へ上昇させることを盛り込んだ。融資制度を拡充してサポート体制の整備や、ベンチャーの起業などを支援し、産業の新陳代謝を促進する計画である。
2012年の新設法人の動向をみると、被災地の東北で新設法人の増加が目立った。厳しい現実はあるが、中小・零細規模の法人が相次いで設立され立ち向かう姿勢がうかがえる。また、原子力発電の代替エネルギーの開発に取り組む法人も多く起業されている。
政府は、成長戦略に掲げた目標の実現に向け、秋にも具体策を講じる予定という。景気拡大とともに、新設法人を今後いかに活性化させるか、スピード感ある政策の実施が注目される。

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