公開日:2010.07.22
東証1部 2010年3月期決算
「役員報酬」1億円以上 117社・233人(最終集計)
2010年3月期決算の東証1部上場企業(以下、上場企業)1,338社のうち、役員報酬1億円以上の個別開示があった企業は117社(構成比8.74%)。1億円以上の役員報酬等を受け取った取締役・執行役は233人だった(ヤフーの井上雅弘社長はソフトバンクと重複)。
「改正企業内容等の開示に関する内閣府令」に基づき、2010年3月期決算より報酬等の総額、報酬等の種類別(基本報酬・ストックオプション・賞与・退職慰労金等の区分)の総額を有価証券報告書に記載することが義務付けられた。
これにより役員報酬が、役員の実績や会社業績に見合った額か客観的に問われることになる。また、これまで役員に対する報酬基準が曖昧だった企業にもコーポレートガバナンス(企業統治)のあり方を「可視化」で求める一つの方法ともなった。賛否両論が渦巻いた「役員報酬」の開示だったが、ディスクロージャーに一石を投じたことは間違いないだろう。
◎役員報酬1億円以上企業 60.3%が増益企業
東証1部の3月期決算企業1,338社(うち、10年3月期が1期目決算6社、決算期変更2社を除く)の10年3月期業績(連結売上高・連結営業利益)は、増収増益が204社(構成比15.3%)、増収減益が45社(同3.3%)、減収増益が559社(同42.0%)、減収減益が522社(同39.2%)だった。
役員報酬1億円以上の開示企業117社(うち、10年3月期が1期目決算1社を除く)は、増収増益が33社(構成比28.4%)、増収減益が7社(同6.0%)、減収増益が37社(同31.9%)、減収減益が39社(同33.6%)で、増益企業が60.3%を占めた。
セグメント別に役員報酬1億円以上をみると、増収増益企業が33社で開示率は16.1%と最も多く、業績を反映した格好となった。一方、減収減益企業の開示率は7.4%だったが、39社が高額報酬を支払っていたことがわかった。

◎役員報酬1億円以上 製造業が59.8%占める
役員報酬1億円以上の開示企業117社の業種別では、製造業が70社(構成比59.8%)と圧倒的なトップ。次いで、卸売業10社(同8.5%)、小売業、金融・保険業各9社(同7.6%)の順。
ただ、開示率では小売業が47社中9社で、開示率は19.1%と10業種中で唯一10%超だった。次いで、情報通信業71社中7社(開示率9.86%)、製造業711社中70社(同9.85%)、卸売業107社中10社(同9.3%)と続く。
1億円以上の報酬を受け取った役員数のトップは、製造業の139人(構成比59.6%)。次いで、金融・保険業31人(同13.3%)、卸売業20人(同8.5%)、情報通信業15人(同6.4%)、小売業13人(同5.5%)の順。一方、不動産業は4人、建設業は2人、運輸業は1人だった。

◎開示人数 トップはソニー 野村ホールディングス 日産自動車の各7人
役員報酬1億円以上の開示人数では、1人だけだった開示企業が63社(構成比53.8%)と半数を占めた。開示人数は、ソニー、野村ホールディングス、日産自動車が各7人で最多。次いで、みずほフィナンシャルグループ、大和証券グループ本社、ファナック、任天堂(各6人)、三菱商事、ソフトバンク、信越化学工業、日本板硝子(各5人)と続く。
今回の改正では、提出会社以外に連結会社の報酬等の総額・種別の額等を有価証券報告書に記載することが義務付けられた。開示された233人のうち164人(構成比70.3%)は提出会社からの報酬のみだった。しかし、提出会社及び連結会社から報酬を受け取っていた役員が63人(同27.0%)、連結会社からのみ報酬を受け取っている役員は6人(同2.5%)いた。上位10人では6人が提出会社及び連結会社から報酬を受け取っている。

◎役員報酬の最高額 日産自動車のカルロス・ゴーン氏の8億9,100万円
役員報酬額のトップは、日産自動車社長のカルロス・ゴーン氏が8億9,100万円だった。次いで、ソニー会長兼社長のハワード・ストリンガー氏が8億1,400万円、大日本印刷社長の北島義俊氏が7億8,700万円と続く。役員報酬1億円以上を受け取っていた233人のうち、外国人は18人(構成比7.7%)だったが、報酬額上位5人中3人を外国人が占めた。
このほか上位には、大日本印刷社長の北島義俊氏(3位)、信越化学工業会長の金川千尋氏(5位)、双葉電子工業前会長の細谷礼二氏(6位)、日本調剤社長の三津原博氏(7位)、セガサミーホールディングス会長兼社長の里見治氏(8位)など、創業者(家)や長年役員として従事した取締役・執行役が目立つ。
役員報酬には、基本報酬、賞与、ストックオプション、退職慰労金などがある。今回の開示では、過年度に引当てた退職慰労金は金融庁指針で開示を求めていない。このため、一部では実際の開示額以上の役員報酬を受け取っていた役員も存在した。
233人の役員報酬の総額は389億5,400万円。内訳は「基本報酬」251億8,500万円(構成比64.8%)、「賞与」49億7,000万円(同12.8%)、「ストックオプション」39億3,900万円(同10.1%)と業績変動にリンクしない安定的な「基本報酬」を柱にしている。だが、上位100人では、「基本報酬」が58.9%と5.9ポイント低く、逆に業績連動の「ストックオプション」が1.6ポイントアップしており、役員の実績を反映した報酬体系となっていることがわかる。
◎役員報酬1億円以上 赤字5社、無配4社
10年3月期決算で役員報酬1億円以上を開示した企業のうち、営業赤字(銀行は経常赤字)は5社(新生銀行、富士フイルムホールディングス、日本板硝子、双葉電子工業、住友金属工業)。また、株主配当が無配は4社(東芝、日産自動車、新生銀行、日立製作所)だった。新生銀行は赤字で無配ながら4人が1億円以上の役員報酬を受け取っていた。


※階層:高額報酬ランキングの上位人数
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