• TSRデータインサイト

2024年度の「後継者難」倒産 過去2番目の454件 代表者の健康リスクが鮮明、消滅型倒産が96.6%に 

2024年度の「後継者難」倒産


 2024年度の後継者不在が一因の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は、過去2番目の454件(前年度比0.8%減)と高止まりした。
 原因別で、代表者などの「死亡」が過去最多の251件(同14.6%増)、「体調不良」が149件(同6.8%減)発生し、経営者の高齢化が進むなかで代表者の健康状態が大きな経営リスクに浮上している。
 2024年の代表者の平均年齢は過去最高の63.59歳(前年63.35歳)に延びている。

 資本金別は、1,000万円未満が272件(前年度比0.3%増)で、約6割(59.9%)を占めた。
 形態別は、破産が428件(同2.1%増)で全体の94.2%を占めた。小・零細企業は、代表者が資金面や営業面など、経営の根幹を掌握している分だけ不測の事態への対応が難しいのが実状だ。
 政府は「円滑な廃業」を打ち出し、金融機関やファンドによる第三者承継の支援も動き出している。しかし、物価や人件費などのコストアップで、過剰債務の解消が遅れている企業は多く、突然の代表者不在が一因の倒産は今後も高止まりが続くとみられる。

※ 本調査は2024年度(2024年4月-2025年3月)の「人手不足」関連倒産(負債1,000万円以上、後継者難・求人難・従業員退職・人件費高騰)のうち、「後継者難」を抽出し、分析した。

「後継者難」倒産推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ