2025年2月の「物価高」倒産 65件、建設業が2.5倍増 資材価格の上昇、下請け単価見直しの難しさが浮き彫り
2025年2月の 「物価高」倒産状況
2025年2月の原材料などの価格上昇に伴う「物価高」倒産は、65件(前年同月比8.3%増)で、2カ月連続で60件台と高止まりした。負債総額は833億8,000万円(同320.9%増)で、前年同月の4.2倍と大幅に膨らんだ。これは洋紙製造の丸住製紙(株)(愛媛)が負債590億円を抱え、民事再生法を申請したため。
経営体力がぜい弱な企業は価格転嫁が難しく、仕入れ価格の上昇による売上嵩上げは“利益なき成長”を招いている。過剰債務を抱え、コスト上昇を吸収できる収益力を備えていない企業に、物価高が直撃している実態を示している。
「物価高」倒産は、資本金別で1千万円未満が35件(前年同月比6.0%増)で、小・零細企業が半数以上(構成比53.8%)を占めている。
業種別では、塗装工事と内装工事などの職別工事業7件(前年同月3件)、総合工事業6件(同2件)を含む建設業が15件(同150.0%増)と2.5倍に急増した。資材価格の上昇と下請け企業の受注価格の見直しが難しいことを浮き彫りにしている。
今後も賃上げや金利上昇などコスト上昇が押し寄せてくる。物価高は収益悪化に拍車を掛けるだけに、小・零細企業を中心に「物価高」倒産は高水準での推移が見込まれる。
※本調査は、2025年2月の企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、①仕入コストや資源・原材料の上昇、②価格上昇分を価格転嫁できなかった、等により倒産(私的・法的)した企業を集計、分析した。