• TSRデータインサイト

民事再生の丸住製紙、事業譲渡を否定せず ~ 債権者説明会を開催 ~

 2月28日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した丸住製紙(株)(TSRコード:810006448、四国中央市、星川知之社長)は3月3日午後1時から四国中央市内で債権者説明会を開催した。会社側から星川社長のほか、申請代理人の大川剛平弁護士(長島・大野・常松法律事務所)らが出席し、オブザーバーとして監督委員の伊藤尚弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所)が参加した。数百人の債権者が出席した。
 冒頭、星川社長が謝罪し、その後民事再生法の申請に至った経緯が説明された。説明要旨は以下の通り。



 2023年4月下旬から16行の金融機関に借入金の元本返済の猶予を依頼し、私的整理を開始した。一部金融機関から追加で融資も受け、2023年12月に全行の同意を受けて計画案が成立した。しかし、原材料高騰などから赤字が続いたため、新聞・出版印刷用紙事業の継続は困難と判断し、事業継続しながらスポンサー選定を継続するため申請した。
 スポンサー候補について、米国のバイオ燃料などを扱うPetron Scientech Inc.(ペトロン社)がパルプ事業と売電事業、その資産に興味を示している。スポンサー選定に尽力し、可能な限り多くの事業についてスポンサーに支援頂き、継続させるよう努める。



 その後質疑応答に移り、午後2時35分頃に散会となった。
 主な質疑応答は以下の通り。

Q.撤退事業以外の部門ごとの収支状況は。
A.部門の明細を出すのは難しい。

Q.スポンサー、資金繰りについて
A.(スポンサー候補として)名前を出せるのはペトロン社。並行して探索も続ける。(選定には)一定程度時間がかかるが、その期間の資金繰りは持つ見通しだ。

Q.バランスシートの概要や現預金の状況は。
A.出すのは難しい。

Q.事業譲渡について。
A.可能性はある。柔軟に協議していきたい。

Q.用紙事業のスポンサーは。
A.探索していたが、赤字が大きく見つからなかった。

Q.ペトロン社とのスポンサー交渉の目途は。
A.デューデリジェンスの目途は3カ月。シミュレーションではそれまで資金繰りは持つ。交渉がうまくいなかい可能性もゼロではない。民事再生したので、もしかしたら興味があるところが出てくるかもしれない。

Q.パルプ事業と売電事業の収益は。
A.パルプ事業は利益が出ている。売電事業はこれまでより利益が上がっていくのではないか。

Q.税金や従業員の給料の未払いは。
A.未払いはない。ミスがあり、少し遅れたことがあったが、すぐ支払っている。

Q.株主の丸紅(株)(TSRコード:570197708、千代田区)との関係は。
A.丸紅の当社への支援については従前と変わらない。


丸住製紙の本社(TSR撮影)

丸住製紙の本社(TSR撮影)


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2025年3月5日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【解説】秀和システムの法的整理、異変察知は「船井電機より前」

(株)秀和システム(TSRコード:292007680、東京都)への問い合せは、船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府)の破産の前後から急増した。ところが、あるベテラン審査マンは「ERIが弾けた時からマークしていた」と耳打ちする。

2

  • TSRデータインサイト

2025年3月期決算(6月27日時点) 上場企業「役員報酬1億円以上開示企業」調査

2025年3月期決算の上場企業の多くで株主総会が開催された。6月27日までに2025年3月期の有価証券報告書を2,130社が提出した。このうち、役員報酬1億円以上の開示は343社、開示人数は859人で、前年の社数(336社)および人数(818人)を超え、過去最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

1-6月の「訪問介護」倒産 2年連続で最多 ヘルパー不足と報酬改定で苦境が鮮明に

参議院選挙の争点の一つでもある介護業界の倒産が加速している。2025年上半期(1-6月)の「訪問介護」の倒産が45件(前年同期比12.5%増)に達し、2年連続で過去最多を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

船井電機の債権者集会、異例の会社側「出席者ゼロ」、原田義昭氏は入場拒否

破産手続き中の船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府)の第1回債権者集会が7月2日、東京地裁で開かれた。商業登記上の代表取締役である原田義昭氏は地裁に姿を見せたものの出席が認めらなかった。会社側から債務者席への着座がない異例の事態で14時から始まった。

5

  • TSRデータインサイト

1-6月の「人手不足」倒産 上半期最多の172件 賃上げの波に乗れず、「従業員退職」が3割増

中小企業で人手不足の深刻な影響が広がっている。2025年上半期(1-6月)の「人手不足」が一因の倒産は、上半期で最多の172件(前年同月比17.8%増)に達した。

TOPへ