2024年の「倒産発生率」大阪府は佐賀県の4.8倍 全国平均0.19%、前年より0.03ポイント上昇
2024年全国の「倒産発生率」調査
2024年の全国企業倒産は1万6件で、2013年(1万855件)以来、11年ぶりに1万件を超えた。全国9地区すべてが2年連続で前年を上回ったが、倒産発生率は地域格差が拡大していることがわかった。
「令和3年経済センサス」(2023年6月)の515万6,063事業所と都道府県別の倒産件数から算出した「倒産発生率」は、ワーストの近畿(0.30%)と最低の四国(0.11%)では2.7倍の差があった。
2024年の全国の倒産発生率は0.19%で、2023年の0.16%から0.03ポイント上昇した。
都道府県別の倒産発生率は、ワーストが大阪府の0.35%。次いで、京都府0.31%、東京都0.283%、兵庫県0.280%、滋賀県0.25%の順で、近畿勢が上位を占めた。全国平均は0.19%で、大阪府は1.8倍、京都府は1.6倍上回っている。
大阪府は個人企業が倒産の39.1%を占め、全国平均16.5%を大きく上回っており、経営不振の小・零細企業の押し上げが特徴になっている。近畿以外の上位では、3位が東京都0.28%、7位が福岡県0.23%、8位が愛知県0.20%で、大都市圏での倒産発生率が高い傾向にある。
業種別では、ワーストが「繊維・衣服等卸売業」の0.89%。次いで、「映像・音声・文字情報制作業」の0.74%が続く。一方、最低は「不動産賃貸業・管理業」の0.03%、次いで、「医療業」の0.07%だった。「繊維・衣服等卸売業」と「不動産賃貸業・管理業」 では、倒産発生率は29.6倍の差があり、コロナ禍以降の市場動向が格差につながっているようだ。
コロナ禍の支援策の縮小と同時に、企業倒産は2022年から3年連続で増勢をたどり、2024年は11年ぶりに1万件を超えた。物価高や人手不足に加え、今後は日銀の政策金利引き上げ決定で借入金利が上昇し、住宅ローン上昇の影響も懸念される。これまで比較的堅調だった不動産市況の変化にも注意が必要で、倒産発生率はさらに上昇する可能性が高まっている。
※本調査は、令和3年経済センサスの事業所数と負債総額1,000万円以上の倒産件数で「倒産発生率」を算出し、分析した。発表は今回が初めて。
倒産発生率のワースト大阪府、近畿2府4県がワースト10位内
2024年の倒産発生率は、近畿圏と九州の対比が際立った。都道府県別は、ワーストが大阪府の0.35%で、全国平均0.19%の1.8倍だった。近畿2府4県すべてがワースト10位内に入り、近畿の倒産発生率の高さが際立った。
一方、最も低かったのは佐賀県の0.07%。このほか、鹿児島県0.083%、沖縄県0.084%、長崎県0.089%、宮崎県0.100%と下位5県を九州勢が占めた。
九州以外では、四国も総じて低く、西日本で上位と下位の二極化が鮮明になった。
【地区別】近畿がワースト、最低の四国とは2.7倍差
地区別の倒産発生率は、上位10位に2府4県がすべてランクインした近畿が0.30%で2年連続でワースト。次いで、関東0.20%、中部0.16%と続く。上位には、いずれも大都市が入っており、コロナ禍で痛手を受けたサービス業や小売業が多い都市部での倒産増が要因とみられる。
4位以下は、東北0.148%、九州0.144%、中国0.143%、北陸0.140%、北海道0.12%、四国0.11%の順。前年7位から4位に浮上した東北の悪化(0.035ポイント上昇)が目立った。
一方、北海道は前年0.124%から0.005ポイント上昇と差が最も小さく、前年4位から8位へ後退した。
【業種別】アパレル卸や映像制作業、広告業が上位に並ぶ
業種別(倒産30件以上)の倒産発生率は、アパレル業の「繊維・衣服等卸売業」が0.89%で最も高かった。次いで、「映像・音声・文字情報制作業」0.74%、「広告業」0.70%、ソフトウェア業などの「情報サービス業」0.60%、「道路貨物運送業」0.51%が続く。
一方、最も低いのは「不動産賃貸業・管理業」の0.03%だった。このほか、病院の「医療業」0.07%、学習塾やスポーツ教授業などの「その他の教育,学習支援業」0.08%、スーパーやパン屋などの「飲食料品小売業」0.090%、美容室やエステなどの「洗濯・理容・美容・浴場業」0.093%が低かった。
2024年の倒産では、上位、下位ともコロナ禍以降、最多を記録した業種が並ぶ。しかし、事業所数では上位が10万件未満にとどまるのに対し、下位には歯科医院やコンビニ、美容室など事業所数の多い業種が並び、倒産発生率を押し下げた格好となった。