• TSRデータインサイト

1月の「円安」関連倒産は3件、31カ月連続で発生 輸入コスト上昇で収益悪化、卸・小売、運輸業で各1件

2025年1月 「円安」関連倒産(1月31日現在)


 2025年1月の「円安」関連倒産は、前年同月と同件数の3件だった。2022年7月から31カ月連続で発生している。負債総額は5億3,700万円(前年同月比12.1%増)だった。
 日本銀行が1月24日、政策金利を0.5%程度に引き上げることを決定し、日米金利差が縮小した。1月10日に一時、1ドル=158円45銭に円安に振れたが、1月30日には1ドル=154円29銭まで円高が進んだ。
 ただ、2月に入り1ドル=155円台を挟んで推移している。

 円高による製品や商品の価格値下げまでにはタイムラグがあり、すぐに物価高が改善されるわけでない。経営体力がぜい弱で、価格転嫁が難しい中小企業は、物価高が続くなかで厳しい展開を余儀なくされている。

 1月の「円安」関連倒産は、卸売業、小売業、運輸業で各1件発生した。
 円安基調が続くなか、海外からの製品や商品の輸入価格が高止まりする一方で、販売価格への転嫁が進まず企業収益に大きな影響を及ぼしている。
 事業規模が小さい企業ほど価格転嫁が難しいだけに、企業は価格競争力の強化が求められるが、一方で適切な価格転嫁を促す環境づくりが急務になっている。


円安関連倒産月次推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ