• TSRデータインサイト

2024年の「負債1,000万円未満」倒産 536件 連鎖倒産の増加などで4年ぶりに500件を超える

2024年(1-12月)「負債1,000万円未満」倒産状況


 2024年の負債1,000万円未満の倒産は536件(前年比8.2%増)で、2年連続で前年を上回った。負債1,000万円以上の倒産が11年ぶりに1万件を超えたが、負債1,000万円未満の倒産も4年ぶりに500件を超えた。
 負債1,000万円未満の倒産は、コロナ禍の影響を大きく受けた2020年に630件と急増した。以降、2021年472件、2022年410件と2年連続で減少したが、2023年は495件と増加に転じ、高水準が続く。

 産業別では、最多がサービス業他の243件(前年比6.1%増)で、全体の45.3%を占めた。以下、建設業81件(同8.0%増)、小売業77件(同20.3%増)、卸売業44件(同10.0%増)の順。
 形態別は、破産が523件(前年比8.9%増)、特別清算が11件(同120.0%増)で、この2原因を合わせた「消滅型」倒産は534件(構成比99.6%)で、大半を占めた。
 原因別は、最多は「販売不振」353件(前年比3.5%減)だったが、2年ぶりに前年を下回った。一方で、倒産の増加に伴い「他社倒産の余波」(連鎖倒産)が71件(同69.0%増)に急増した。
 資本金別は、1千万円未満が496件(前年比7.1%増)で、全体の92.5%を占めた。

 東京商工リサーチ(TSR)が12月に実施した企業アンケートで、自社業界の倒産が「増える」と回答した中小企業(資本金1億円未満)は6割(63.6%)を超えた。物価高や人手不足に苦しむ企業が多いなか、政府は最低賃金1,500円の目標を2020年代に前倒しし、賃上げ機運も小・零細企業にプレッシャーをかけている。
 倒産が増える環境に向かうなか、人材確保や生産性向上への取り組みが後手に回り、収益悪化に歯止めをかけられない企業を中心に今後も負債1,000万円未満の倒産が増加する可能性は高い。
※本調査は、2024年1-12月に全国で発生した企業倒産(法的、私的)のうち、企業倒産集計(負債1,000万円以上)に含まれない負債1,000万円未満の倒産を集計、分析した。

負債1,000万円未満の倒産 件数推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ