日産グループ 国内取引数は1万3,283社 半年で社数5%減、生産減などで影響拡大か
2024年12月「日産自動車グループ」国内取引先調査
苦戦が続く日産自動車グループ(以下、日産G)の2024年12月9日時点の国内取引先の合計は、1万3,283社で、同年6月の調査(1万4,045社)から半年で762社(5.4%減)減ったことがわかった。
日産Gは11月、グローバル生産能力20%削減、人員9,000人削減など合理化を発表、経営再建に乗り出した。取引先社数は減少したが、1万社以上が取引を続けている。日産Gの合理化策によっては、下請けだけでなく、その取引先まで影響が広がる可能性がある。
東京商工リサーチ(TSR)の約390万社の企業データベースから、日産Gの2024年3月期有価証券報告書の国内連結子会社、および三菱自動車工業を含めた持分法適用会社の18社(日産自動車含む)の1次(直接)、2次(間接)の取引企業を抽出した。
日産Gと直接、間接に取引のある企業は、重複を排除すると合計1万3,283社に及ぶ。産業別では、製造業が5,139社(構成比38.6%)で最も多い。6月に調査した5,505社から6.6%減少しており、すでにサプライチェーンに影響が出ている可能性もある。
資本金別では、資本金1億円以上が3,653社(同27.5%)に対し、資本金5千万円未満は7,605社(同57.2%)と中小企業が多い。6月調査との比較では、資本金1億円以上は38社減(前回3,691社、1.0%減)と小幅な減少にとどまったが、5千万円未満は610社減(同8,215社、7.4%減)と中小企業の減少が大きかった。
日産Gは、国内外で巨大なサプライチェーンを形成している。日産Gによると、2024年1-10月の国内生産は54万5,105台で、前年同期比7.4%減と苦戦している。すでに6月の調査から取引社数も減少しているが、これからの合理化策でさらに影響が広がることが危惧される。
※ 本調査は企業情報サービス(tsr-van2)の企業相関図から、日産自動車と2024年3月期の有価証券報告書の関係会社に掲載している国内17社の仕入先、販売先を1次(直接取引)、2次(間接取引)に分けて12月9日抽出し、業種、規模などを分析した。取引先計は、1次、2次の仕入先と販売先を合算後、重複を除いた。
※2024年6月の調査は合併で消滅した神奈川日産自動車を含んでいなかったが、今回調査は合併後の存続企業の日産神奈川販売を追加した。このため、今回調査は対象が1社多い。
産業別、取引先計の最多は製造業
日産Gの産業別の取引先合計(仕入・販売)は、最多が自動車部品メーカーなど製造業の5,139社(構成比38.6%)だった。次いで、卸売業の3,104社(同23.3%)、配達飲食サービス業や人材派遣業などサービス業他が1,891社(同14.2%)と続く。
1次の仕入先では、製造業の1,088社(同43.3%)、販売先では小売業の420社(同28.7%)がそれぞれ最多だった。2次では、仕入先が製造業の4,123社(同48.5%)、販売先は製造業が737社(同27.9%)で、それぞれ最多だった。
売上高別、10億円未満が約4割
売上高別で分析した。仕入・販売含めた取引先計では、最多は10億円以上100億円未満が4,271社(構成比32.1%)。次いで、1億円以上10億円未満が3,561社(同26.8%)だった。
1,000億円以上の大手も888社(同6.6%)あったが、10億円未満が4,783社(同36.0%)あり、中小企業との取引も目立つ。
資本金別、1億円以上が約3割
資本金別の取引先計では、最多は1千万円以上5千万円未満の5,795社(構成比43.6%)だった。続いて1億円以上が3,653社(同27.5%)、5千万円以上1億円未満2,025社(同15.2%)と続く。
資本金1千万円未満(個人企業など含む)は、1,810社(同13.6%)と小規模事業者との取引もある。
上場・未上場別、未上場が9割超
上場・未上場の取引先計では、未上場が1万2,308社(構成比92.6%)と9割超を占めた。上場では、プライムが641社(同6.5%)、スタンダードの299社(同2.4%)、グロースの20社(同0.03%)と続く。
大手の上場企業との取引も一定数あるが、9割超は未上場で、日産Gの合理化などによる受注減が広がれば、多層的な影響が出そうだ。
都道府県別、最多は東京都、本社のある神奈川は2番目
都道府県別の取引先計は、東京都が3,949社で最多だった。次いで、日産Gの本社がある神奈川県が1,757社、自動車部品メーカーが集積する愛知県が1,350社、大阪府の1,127社、静岡県の561社が続く。
日産Gによると国内は5つの組み立て工場と2つのエンジン工場がある。スカイラインなど栃木工場のある栃木県は10位、追浜工場や日産車体湘南工場、横浜工場の神奈川県は2位、日産自動車九州や日産車体九州の福岡県は7位、エンジンのいわき工場の福島県は22位で、いずれも上位に入り、企業城下町を形成している。
取引先は全国に広がり、複層的なサプライチェーンが構築されている。日産Gの再建に向け、今後どのような事業再編が打ち出されるか、その動向が注目される。