• TSRデータインサイト

接待と二次会離れ? 「バー,キャバレー」の倒産1.6倍増 2024年1-11月「飲食業」倒産 すでに年間最多の908件

2024年1-11月の「飲食業」倒産


 2024年1-11月の飲食業の倒産(負債1,000万円以上)は、908件(前年同期比11.0%増)に達した。これまで年間最多の2023年(1‐12月)の893件を15件上回り、11月までで年間最多を更新した。
 コロナ禍が落ち着き、年末年始のかき入れ時を迎えている。だが、深刻な人手不足が解消しないまま、人件費や食材費、光熱費などの物価上昇が続き、小・零細規模の飲食業者の経営を圧迫している。

 飲食業の倒産は、最多がラーメン店や焼肉店などの「専門料理店」224件(前年同期比10.8%増)、増加率では「バー,キャバレー,ナイトクラブ」80件(同66.6%増)で1.6倍に増加した。
 飲食業のうち、「食堂,レストラン」(204件)、「専門料理店」(224件)、「そば・うどん店」(17件)、「すし店」(27件)、「バー,キャバレー,ナイトクラブ」(80件)の5業種は、11月までに2023年の年間倒産を超えた。

 資本金別は、1千万円未満が810件(前年同期比15.3%増)と約9割(89.2%)に達した。また、形態別は、再建を諦めた破産が860件(同11.2%増)と94.7%を占めた。

 「物価高」倒産は、60件(前年同期54件)。「人手不足」関連倒産は、人件費高騰11件(同7件)、求人難6件(同5件)、従業員退職3件(同2件)の合計20件(同14件)。
 コロナ禍で痛手を受けた飲食業界に、インバウンド需要や賃金上昇などでお客が戻ってきた。だが、物価高を反映した値上げで来店回数が落ち込み、物価上昇に見合う売上増が厳しい飲食店も多い。小・零細規模の飲食店は人手不足、物価高、値上げが重くのしかかっている。

※本調査は、日本産業分類の「飲食業」(「食堂,レストラン」「専門料理店」「そば・うどん店」「すし店」「酒場,ビヤホール」「バー,キャバレー,ナイトクラブ」「喫茶店」「その他の飲食店」「持ち帰り飲食サービス業」「宅配飲食サービス業」)の2024年1-11月の倒産(負債1,000万円以上)を集計、分析した。


飲食業の倒産 1-11月推移


業種別 10業種のうち、5産業ですでに前年の年間件数を超す

 業種別は、最多が「専門料理店」の224件(前年同期比10.8%増)。以下、「食堂,レストラン」の204件(同11.4%増)、「酒場、ビヤホール(居酒屋)」の172件(同8.8%増)の順で、「喫茶店」「宅配飲食サービス業」を除く8業種で前年同月を上回った。また、「食堂,レストラン」「専門料理店」「そば・うどん店」「すし店」「バー,キャバレー,ナイトクラブ」の5業種は、すでに前年の年間件数を超えた。
 増加率が最大の「バー,キャバレー,ナイトクラブ」(前年同期比66.6%増)は、コロナ禍を挟んで、接待や飲み会などの変化が影響しているようだ。

2024年1-11月 飲食業 業種小分類別倒産状況

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ