• TSRデータインサイト

環境経営総合研究所、「ヤバイ人」と金融機関の立ち回り

入居ビル

入居ビル

 (株)環境経営総合研究所(TSR企業コード:294046615、渋谷区、以下ERI)への問い合わせが止まらない。
 8月20日に日本政策投資銀行(以下DBJ)に会社更生法を申し立てられてから1カ月以上が過ぎた9月30日に開始決定が下りたが、破たんの真相や再建の行方など問い合わせの種類は多様だ。
 異例の展開を辿るERIのこれまでの経緯をまとめた。



 8月20日夜、東京商工リサーチ(TSR)情報部に第一報が入った。「ERIが会社更生を申し立てられたようだ・・・」。
 ERIが公表してきた決算数値は、売上高519億円、最終利益36億円(2023年8月期)。環境に配慮した新素材「紙マスターバッチ」や「MAPKA」を扱い、長年にわたり順調に売上高を伸ばし、黒字を維持する優良企業だ。誰がこんな結末を想像できただろう。
 だが、ERIを巡っては、ある金融機関が数年前から警戒しているとの話があり、今年8月に入るとバンクミーティングの噂も飛び交った。虚像と実像が入り乱れた企業でもあった。検索サイトの検索候補(第2ワード)には「粉飾」が並ぶ。優良企業と目された一方、関係先が注目していた証拠だ。
 2023年末、TSRのERI担当者が代表者に接触した。すると十数年前の報告書(TSR REPORT)に添付されていた「推定業績」に激しい抗議を受けた。昔の推定業績にクレームをかける。異常な事態だが、複数回にわたる代表者とのやり取りは埒が明かなかった。
 なぜ、代表者は自ら過去を蒸し返すのか。一見優良にみえるERIに何が起こっていたのか。その答えと思える背景が、TSRが独自入手したERIとDBJとの面談記録に記されている。

「ヤバイ人たち」と「粉飾」

 面談記録によると、7月29日にERIの代表者と弁護士1名がDBJを訪問した。面談記録に弁護士名の記載はない。ただ、関係筋によると、本件を担当したのは事業再生に精通し、倒産村では名の知れた有力な弁護士だ。
 席上、ERIの代表者は「(今年)4月に関係先より、当社が粉飾しているとの指摘を受けた」と切り出した。粉飾を暗に認めた上で、理由について「15年以上前にマスコミに出ていない事件に巻き込まれ、ヤバイ人たちに取り付かれ、相当な金額を吸い上げられた。その穴埋めのために粉飾した」と説明。同席した弁護士は粉飾について、実際の売上高は対外公表の10分の1以下であり、少なくとも3パターンの決算書があることを明らかにした。
 衝撃の告白をした後、代表者は「引き続き最前線でやっていきたい」と続投への意欲と受け取れる発言をしたという。ただ、面談記録は、DBJ担当者による「不正額が大きく、このまま業務執行を続けることは難しい」との発言で締めくくられている。
 すでに15年以上前から粉飾決算をしていた。しかも売上高の乖離は10倍もあり、代表者自ら優良企業を装っていた。2014年には経済産業省の「グローバルニッチトップ企業100選」に選出されている。

交流先と情報管理

 ERIをめぐっては、5年以上前に補助金詐欺で逮捕された企業と親密だった人物が出入りしていたとの話もある。
 また、政府系金融機関を含めた複数の金融機関がERIにファイナンスし、好事例として各行のホームページ(HP)でPRしている。だが、8月20日夜、第一報を受け、これらを確認するとすでに閲覧できない状態にしていた金融機関もあった。ある金融機関の担当者は、DBJ以外の金融機関がHP上のPRを速やかにクローズしていた事実に驚きを示す。
 ERIの代表者が、DBJに話した内容にどれほどの信憑性があるか不明だ。仮にあったとしたら、過去の事件はどういったものだったのか。

 事実は小説より奇なり――。大型粉飾の真相は、まだ藪の中にある。



(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2024年9月30日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

破産の秀和グループ、9億円の債務超過

6月17日に東京地裁から破産開始決定を受けた(株)秀和グループ(TSRコード:027747050、江東区)の財務内容が一部判明した。

2

  • TSRデータインサイト

止まらない建設業の倒産、職別工事が総合工事を抜く ~ 施工力が「希少資源」、動き始めた内製化 ~

2025年の建設業の倒産は、2,014件(前年比4.6%増)で、4年連続で前年を上回り、2013年(2,421件)以来、12年ぶりに2,000件を超えた。 コロナ禍の2021年に1,065件と2000年以降では最少を記録。その後は増勢に転じ、わずか4年で約2倍に増加した。

3

  • TSRデータインサイト

倒産データからみる「倒産が多い住所」 ~ 一等地のイメージと与信リスク ~

「倒産が多発する住所」は、現代のビジネスモデルの結果だ。ネット全盛期のいま、企業の実体が見えにくいのは普通なのかも知れない。だが、そんな風潮のなか、登記上住所の一等地に惑わされず経営実体をいかに見極めるか。ここでもまた、外形に惑わされない“目利き力”が問われている

4

  • TSRデータインサイト

【2026年3月期決算】役員報酬額1億円以上の開示 過去最多の934人に 社数も387社で最多を更新 上位5人中、外国人4人

2026年3月期決算の上場企業2,198社のうち6月26日12時までに有価証券報告書の提出を確認できたのは9割(90.7%)の1,995社だった。例年と異なり株主総会前に有価証券報告書を提出する上場企業が増えた。報酬額1億円以上の役員を開示した企業は387社、人数は934人で前年の364社・887人を上回った

5

  • TSRデータインサイト

環境経営総合研究所の「粉飾の手口」

(株)環境経営総合研究所(TSRコード: 294046615、渋谷区、以下ERI)が3月26日、東京地裁から破産開始決定を受けた。東京商工リサーチ(TSR)が独自入手した資料や関係者が「実際の売上は100分の1程度」と語る粉飾の実態がみえてきた。

TOPへ