• TSRデータインサイト

2024年7月の「負債1,000万円未満」倒産 コロナ関連支援の終了で、4年ぶり60件超え

2024年7月「負債1,000万円未満」倒産状況


 2024年7月の負債1,000万円未満の倒産は65件(前年同月比140.7%増)で、前年同月の2.4倍に急増した。2010年以降の15年間では、コロナ禍の2020年6月(94件)、同年7月(83件)、2011年8月(68件)に次ぐ、4番目の高水準となった。
 経済活動が平時に戻るなか、コロナ禍の資金繰り支援策は終了・縮小した。一方で、ゼロゼロ融資等の返済を迎えて、借入依存度が高い小・零細企業に淘汰の波が訪れている。

 産業別では、最多がサービス業他の30件(前年同月比150.0%増)。次いで、建設業の10件(同400.0%増)、小売業の9件(同125.0%増)と続く。
 原因別は、販売不振が42件(同75.0%増)で、6割以上(構成比64.6%)を占めた。
 資本金別は、1千万円未満(個人企業他を含む)が60件(前年同月比140.0%増)と、9割(92.3%)を超えた。
 形態別では、破産が63件(同133.3%増)、特別清算2件(前年同月ゼロ)で、すべてが消滅型の倒産だった。

 負債1,000万円未満の倒産は大半が小・零細企業で、コロナ禍は関連支援に下支えされていた。政府は今年6月、コロナ禍の各種資金繰り支援について、コロナ前の水準に戻して、経営改善・再生支援に重点を置く資金繰り支援を打ち出し、コロナ借換保証などの支援も原則終了した。
 物価高や人件費の上昇などが収益を圧迫するなか、価格転嫁は容易に進まず、資金繰りに苦慮する小・零細企業は多い。こうした状況で、自立が難しい企業の生き残りには、金融機関や外部支援機関などによる事業再生への手助け、そして廃業支援も重要だ。

※本調査は、2024年7月に全国で発生した企業倒産(法的、私的)のうち、企業倒産集計(負債1,000万円以上)に含まれない負債1,000万円未満の倒産を集計、分析した。

負債1,000万円未満の倒産 件数推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ