• TSRデータインサイト

「ラーメン店」の倒産、過去最多の63件 前年度の2.7倍に急増

~ 2023年度「ラーメン店」倒産の状況 ~

 「1杯1,000円が上限」と言われるラーメン。だが、コロナ禍を経て、人件費や原材料費、光熱費の高騰で常識が様変わりしている。この潮流変化で打撃を受けたラーメン店の倒産が大幅に増加した。
 2023年度(4-3月)の「ラーメン店」の倒産(負債1,000万円以上)は、63件(前年度比173.9%増)で、前年度の2.7倍増と大幅に増加。これまで最多だった2013年度(42件)の1.5倍増で、過去最多を大幅に更新した。月次でも2024年3月は9件発生し、2008年度以降の16年間で月間最多を塗り替えた。
 「ラーメン店」は小規模での開業(開店)が可能で、初期の設備投資を抑えられ、他の専門料理店より参入障壁は高くない。ただ、その分だけ同業や他の飲食業との競合も激しく、およそ半分が出店後1年以内に閉店するともいわれている。
 また、コロナ禍が落ち着いた2022年以降は、円安やウクライナ情勢などを背景に、小麦をはじめとする原材料価格の高騰や光熱費の上昇、人手不足に伴う人件費高騰が著しく、急激なコスト上昇に見舞われている。また、国民食とも言われるだけに、他店と味や価格が比較されやすく、いわゆる「1,000円の壁」に象徴されるプライシングも重要になっている。ただ、インバウンドの増加もあり、潮流は変化している。コスト高をカバーする魅力を提供できないラーメン店は、生き残りは難しい時代に突入している。
※本調査は、日本産業分類の「ラーメン店」の2023年度(2023年4月-2024年3月)の倒産を集計、分析した。

◆原因別は、最多が「販売不振」の52件で、8割超(構成比82.5%)を占めた。「既往のシワ寄せ(赤字累積)」4件と合わせた『不況型倒産』は56件で、約9割(同88.8%)を占める。このほか、開業時の見通しが甘く事業を軌道に乗せられなかった「放漫経営」は4件だった。

形態別は、「破産」が58件(前年度比163.6%増)で9割超(構成比92.0%)を占めた。「特別清算」1件と合わせた『消滅型』倒産は59件(同93.6%)だった。一方、『再建型』倒産では「民事再生法」が4件(前年度1件)発生した。

資本金別は、「1百万円以上5百万円未満」が27件(前年度比237.5%増)で最多。次いで、「個人企業他」が24件(同380.0%増)で続く。5百万円未満の小・零細企業が54件で8割超(構成比85.7%)を占める。

負債額別は、「1千万円以上5千万円未満」が43件で最多、約7割(構成比68.2%)を占める。また、「5千万円以上1億円未満」が15件で前年度2件より7.5倍増と大幅に増加した。複数店舗を運営する企業にも倒産が広がっている。

従業員数別は、「5人未満」が57件(前年度比200.0%増)で9割(構成比90.4%)を占めた。一方、50人以上(前年度ゼロ)の大型倒産は前年度同様、発生していない。


ラーメン店の倒産 年度推移

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「退職代行」からの連絡、企業の3割取り合わず 有給や退職日の交渉などの通知を3割が経験

ことし2月、大手退職代行サービスの代表らが弁護士法違反の疑いで逮捕された。4月に入り、退職代行の話題も出始めたが、弁護士や労働組合以外の「退職代行」業者から連絡があっても、3割(30.4%)の企業が非弁行為が含まれる可能性があり、取り合わないことがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

「マッサージ業」の倒産が過去30年で最多の108件 大手チェーン、リラクゼーション店と競合激化

店舗乱立による過当競争や光熱費、人件費の上昇で「マッサージ業(療術業)」の倒産が増勢をたどっている。 2025年度に倒産した「マッサージ業」は、1996年度以降の30年間で最多だった2019年度の98件を抜き、過去最多の108件(前年度比14.8%増)に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年度の「医療機関」倒産 20年で最多の71件 クリニック・歯科医院の淘汰が加速、「破産」が97%超

2025年度に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院を合計した「医療機関」は、71件(前年度比20.3%増)だった。2006年度以降の20年間では、2024年度の59件を大幅に上回り、最多を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

「士業」の倒産、2年連続最多

「士業」の倒産が目立ってきた。給付金の不正受給の指南や、顧客から預かった資金の流用など、近年はコンプライアンス違反が原因で倒産するケースも目立つ。

5

  • TSRデータインサイト

食品メーカー 売上高は値上げで24兆円に 利益は物価高に値上げが追い付かず二極化

肉・魚加工や菓子類などの「食品メーカー」4,994社の2025年の業績は、売上高24兆2,824億円(前年比3.4%増)、利益は8,806億円(同9.5%減)だった。コロナ禍以降の5年間で売上高は最高を記録した。ただ、利益はコスト上昇で減益の構図が鮮明となった。

TOPへ