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(株)マキノ出版

マキノ出版の本社が入居しているビル(TSR撮影)

マキノ出版の本社が入居しているビル(TSR撮影)

 (株)マキノ出版(中央区)は5月29日、民事再生手続廃止決定と保全管理命令を受けた。今後、破産手続きに移行する見込み。保全管理人には安藤信彦弁護士(安藤総合法律事務所、千代田区永田町2-14-3)が選任された。
 負債総額は債権者90名に対して15億7217万円。

 健康、美容関連をテーマに取り扱う「壮快」、「安心」、「ゆほびか」等の雑誌をはじめ、家電などの製品情報を取り扱う「特選街」(2021年10月休刊)、ムック本、書籍等の出版を手掛けていた。シニア層をターゲットとした事業展開で、健康ブームも背景に1996年2月期には売上高約38億5400万円をあげていた。
 しかし、以降は紙媒体の需要低迷や出版市況の低迷が進むなかで売上減少が続いていたうえ、コロナ禍以降はさらに業績が悪化。2022年2月期は売上高約15億円にまで落ち込み、採算悪化による赤字決算も続いた。この間、コロナ関連融資の利用などにより資金繰りを維持する一方で、WEBサービスなどへの注力、本社移転や人員削減などを進めていた。
 こうしたなか、2022年以降は紙価格の上昇に伴うコストアップなども重なり、資金繰りも悪化。2023年3月に東京地裁に民事再生法の適用を申請したが、再生手続の作成にあたってスポンサー交渉が進展せず、自力での再建も困難となったため、事業継続を断念した。

※(株)マキノ出版(TSR企業コード:291648541、法人番号:1010001007273、中央区日本橋茅場町3-4-2、設立1977(昭和52)年10月、資本金5000万円)

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