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世界が多難・混迷で震えた本年の回顧

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公開日付:2016.12.22

 

 月日の経つのは早いもので、新しい時代の世界再興隆と秩序回復の見通しも立たないままで本年も暮れようとしている。
 昨年末の、本平成28年を予想し象徴的に表現した一文字は、確か「安」であったと記憶するが、これには多分に宗教家としての世界平和を祈念した期待が込められてのものであろうが、リアリストの筆者としては厳しく、過去の本稿中でも、「狂」の年になると覚悟すべきと主張し警告を発してきた。
 案の定というべきか不幸なことに、この予言通りの動乱と多難の混迷で、日本のみならず世界中が震えた本年となり、昨今になりマスコミでも、この「狂」の時代といった言葉が多く用いられるようになって来た。
 本年の主要な出来事を振り返ってみると、国際的な事項としては、
  1.超大国アメリカに対抗する存在にまで台頭した新興中国の急速な高度経済成長の頓挫、建設バブル破綻が
    明確になり、反転して下降に転じ、まさに津波のように、一時は全世界に散らばった数億人にも及ぶ中国人
    の爆買い・観光集団客が、秋頃からは一斉に引き上げ衰退するようになったこと。
  2.IS無差別テロが、中東・西アジア地域に止まらず、EU、東南アジア地域にまで拡大し、しかも日本はアメリカ
    と一体の国とみなし、テロ攻撃対象であると宣言されたこと。
  3.北朝鮮が、中国やアメリカなど強大国の度々の警告や経済封鎖を無視し、核開発と中・長距離弾道ミサイルの
    発射実験と頻繁に強行し、その急速な技術進歩と核保有を誇示し、軍事バランスが大きく変化し、西欧先進諸国
    もその事実を認めざるを得なくなったこと。
  4.パナマ文書のスクープ記事で、自由主義国・社会主義圏を問わず、世界の超富裕・権力者層のマネー管理
    の実態が暴露されたこと。
   したがって急激に強引な下手な手法をとると、国家分裂の危機さえ招きかねない危惧の念を抱かせたこと。
  5.イギリスがEU離脱の是非を問う国民投票で、僅差ながら離脱に決したが、その直後から、一時の感情的
    判断を反省し慎重に対処すべしという声が湧き上がり、離脱通告が見合わせられている状態にあること。
  6.現代世界を主導してきたアメリカ流の自由・資本主義、市場主義、投資金融主義経済体制そのものに対し
    て疑念が持たれ、信頼が薄れ、抜本的な見直し修正が求められるようになったこと。
    その結果超大国アメリカの威信が失墜し、外観的に巨大な経済の脆弱性が露顕するに至り、世界から期待
    されたFRBの本格的な金利引き上げ路線への転換が、経済の先行き不透明感から遅滞することになったこと。
  7.アメリカの大統領改選で、大方の予想に反し、政治・官僚経験も軍歴もない全く未知のトランプが、大接
    戦の末まさかの逆転勝利となり、次期大統領に推挙されたが、その暴論が世界を震撼させていること。
  8.ブラジルのリオでの五輪、パラリンピックが開催され、日本は参加選手の奮闘、とりわけ女子選手の活躍
    が目立った。
  9.アメリカ大統領としてオバマ大統領が初めて広島原爆記念日に出席、ロシアのプーチン大統領訪日など、
    東西両巨頭の訪日が実施されたこと。
続いて国内事項としては、
 10.日銀が有史以来初めて、マイナス金利を導入・実施に踏み切ったこと。つまり、従来なら市中銀行が手元
    の余剰金を日銀に預金をすれば金利がもらえるのが、逆に預かり手数料を取られ、運用元本が目減りし損
    をするようになるというもので、それで市中銀行が余剰資金を温存するより、一般民間に積極的に貸付け、
    景気刺激に連ねようと考えた施策である。
 11.アベノミクスで掲げた公約の、物価上昇2%アップ、消費税率10%への増率の目標達成が困難となり、
    達成次期をずらさざるを得なくなったこと。
 12.甘利経済再生相、舛添東京都知事など、政治・官僚の汚職多発。
 13.小池新東京都知事となり、中央市場の豊洲移転、五輪施設再検討を表明。
 14.熊本大地震など天然災害多発、異常気象深刻化。
 15.野党再編成で民主と維新が合併し民進党発足。
 16.マイナンバーカード制度が導入されたが、システム汚職やトラブルで混乱、不信感が残っており、その上
    に所在不明などで番号通知状が未配達で返送されている世帯もまだ多く残っていること。
 17.毎日のような凶悪犯罪、親族殺人、悪徳商法被害の多発。サイバー・セキュリティーを巡るトラブルや、
    新タイプの犯罪発生増加。
 18.新安保体制の下で、臨戦態勢の軍備をした自衛隊の海外派兵が実施されたこと。
 19.万一、原子力発電所事故発生の場合の放射能汚染即刻除去の技術が未整備のまま、その裏では着々と再稼
    働が画策されていることや、沖縄米軍基地移転問題などの重要課題が、国民の十分な理解と協力が得られ
    ないままで越年することとなったが、その間でも、粛々とか、ひそひそとか、密かに既成事実の積み上げ
    工事が進められ、国民は大きな不信感と不満を抱いたままで不安な歳末・新年を迎えることとなったこと。
 20.天皇の生前退位のお気持ち表明など、日本の伝統的な社会慣習、文化が大きな転機を迎え、日本語の乱れ、
    一億総幼稚化・白痴化が進行したこと。
など、多事多難な激動と混迷で、国民の多くは、未来に明るい希望が感じられず、不安と不安定な一年であったといえよう。
 このような本年を回顧してみると、安倍総理の、直ぐには解決が困難ではあっても、重要課題に対して積極的に取り組もうとする姿勢、挑戦努力と行動力、それも官僚とマスコミ、財界をうまく抱き込み、巧みなキャッチフレーズ、美辞麗句の能弁さで国民にわかりやすく説明しようと努めている点や、内政と同時に外交にも重点を置こうとしていること、新法案の国会審議通過・承認・成立率が高いこと、高支持率の維持期間が長く、支持率急落の大きな失点が少ないことなどは、確かに近年の歴代総理と比較して、優れていると一応は認められようか。
 しかし冷静にその具体的な成果を追求・検討してみると、派手な言動や話題性の割には、これといった重要問題の具体的な前進や改善成果はなく、それでも総理の任期だけはちゃっかり3期まで延長させることには成功したが、通過させた諸法案数が多いとはいえ、その大部分は目先の人気取り政策や、問題が起きてからの小手先対応の彌縫策の法案でしかなく、将来への布石としての重要法案については慎重審議中としつつも、圧倒的な与党の票決数に頼る強行採決の機を覗い、消費税率や高齢者福祉施策、日米新安保、TPPなど、難しい法案を通すためには、民衆を丸め込む甘い言葉やまやかし表現力には長けているが、法案が通れば、以後は漸次厳しい条件にすり替えて行くといった狡猾な手法であることなどは、祖父の岸信介並みであるから油断がならず、所詮は政権延命策としてのアメリカ一辺倒と財界・富裕層志向の鷹派であり、財政資金を使った株価の吊り上げなどでの景気回復演出は巧妙だが、実体経済の成果は伴わず、その増大した財政赤字の負債付回しは、次期政権に引継ぎ、庶民大増税に負わせるといった「今は良い良い、明日が怖い」というのが正体であるから、騙されることなきよう、今後を注意深く見守り、慎重に判断し評価をする必要があろう。
 いずれにしろ上記したような動乱や混迷は、わが国のみならず、現代の世界中にも存在する共通的な問題であり、その真の原因を追究してゆくと、やはり全人類のあらゆる分野にわたる根本的な意識や理念、価値観が、モア・アンド・モアの阿漕な過剰欲望となり、それが限度を超えると「物秘必反」で反動急落に転じ、「その志は、義より利となれば、国家は滅亡の途を辿る」、「財貨多きは徳傷(やぶ)る」、「無理が蔓延ると道理や正義が押しつぶされる」などといった先賢の名言が示唆するように、近年は、財物的文明、科学技術の急速な進歩の一方で、人間の意識改革がその変革のスピードについて行けずに取り残されて混乱、精神文明が荒廃し、大自然の真理や世の中の道理に反する思考と言動を取ってきたことの矛盾や弊害が一斉に露呈・噴出し、自由・資本主義、社会・共産主義、イスラム原理主義の如何を問わず、一事が万事に波及し、全てに「狂い」が生じた結果といえるのである。
 筆者が20世紀末期のバブル経済破綻前から、今日の姿を予見し、「世紀の変わり目は、主役交代の激動と過去の大清算期」であり、「環境が違い過ぎるアメリカとは、少し間をおいて付き合い、脱アメリカで日本の独自性を発揮すべきである」、わが国としては、「外観の体格的大きさの優越性より、内容的質の充実での優位性で勝負すべきである」と予てから主張・提言してきた真意も根拠もここにあり、過去の残滓の一掃大清算で最も注力すべき重大な課題は、人間の成功や幸福に対する誤った拝金至上主義の理念や価値観の根本的な切り替えと整理で、本来の正しく好ましい政治や経済の原点への回帰することであり、そのためには一旦は、「屈を以って伸となす」ことも止むを得ず、それは決して消極的な縮小均衡の弱気策ではなく、当然行うべき正しい対応行為であり、過去の汚れた空気をすっかっり吐き出して、新しい綺麗な空気に入れ替えることで、鬱病の迷いも晴れて治癒に向かうということと同じであり、その進路設定と、その目的達成に至る実践努力手法の2025年までの適否次第が、それ以降の新時代の地球と世界、各国と全人類の将来を決定づけると強調する所以である。
 残念ながら、これまでは新世紀に転じる過渡期の動乱と混迷とはいえ、その過去の問題点の大整理は遅々と進んでおらず、差し当たりの環境変化への対症療法も、従来の微修正でしかなく、狂ったままでさらに深刻化する傾向にあり、新しい将来に向けての進路設定も、新世界像の設計図も未策定で、それに向けての対応努力も適切なものとはいえず、このままでは、地球の、全人類の未来が心配である。
 これまでに何度も本稿でも触れてきたことだからくどいようだが、わかっていながらも実践されていないようだからあえて再度申し述べるが、正しく好ましい政治や経済の原点は、あくまでも、
  1)「経世済民」~世の中を平穏に治め、民衆生活の安全・安心・安定を図ること。
    「経」は道徳の枠と物事の正しい筋道を辿ること、「済」は、モノやおカネの取引の決済をきちんとつけること。
  2)需要(消費)と供給(精算)とのバランスを保つこと。
  3)「Economy」の語源の意味は「いい家庭管理」のことであり、「Ecology」とも同じ語源で<あり、
    自然環境との調和的発展こそが大切と示唆する。
  4)「最大多数者の最大幸福の実現」が目的であり、ごく一部の特定権力者や優越者の富が、国家の富の大部
    分を支配するといった所得再分配の不適切、貧富格差の増大を抱えた経済規模の拡大化競争は妥当ではない。
  5)人間の科学技術や資本力万能という驕りを戒め、大自然の摂理や真理を尊重して謙虚に従うこと。
  6)自然界の基本原則である、①適者生存、②適量安泰、③過剰整理のための間引き自然淘汰、④生者必滅、⑤新陳代謝、
    ⑥弱肉強食、⑦共生・共存・共栄、⑧自然生態系秩序維持、バランス復元のための互助・互
    恵の循環サイクルの存在、⑨アクセントをつけて活性化を図る好調・不調の周期的波状があること、⑩万物は流転して
    止まないことという10原則を理解し、これに順応すること。
などあることを忘却したり無視しては、「道徳的に正しいことは経済的にも正しい報いを受けるが、非道徳的な行為は、決して良い成果を得ず、永続発展は望めない」のであり、現代世界の狂いは、全てこの基本理念の狂いから生じた「豊かさの弊害」の混乱と閉塞、悪因悪果の「自損自窮」といえる。
 現代の地球環境は、西欧産業資本主義による自然の破壊と資源収奪により荒廃が進み、温暖化から異常気象、天然災害の多発、自然生態系秩序の混乱を招くこととなり、地球総体としては、人類の有史以来初めて、限りある天然埋蔵鉱物資源や食料資源の供給能力に対し、経済低開発国での人口大爆発におる需要の拡大もあって、その需要(消費)と供給(精算)の関係が「需要>供給」と逆転するようになり、産業・エネルギー基礎資源や食料資源の将来の枯渇化、獲得難と確保のための競激化が予想されるようになった。一方、生活消費物資としては、産業革命以来の大量機械生産能力の進歩で「供給>需要」となり、需要を上回る大量生産品を売り捌くための生産コストダウン競争、販売競争の熾烈化を招くようになり、大量生産→大量販売→大量クレジット→大量過剰負債→販売不振→販売価格破壊→長期デフレ不況→経済閉塞化っというマイナスの悪循環を招くこととなった。
 最初に需要を予測し、それに見合った供給(生産)、販売計画を立てるというのが健全な経済や事業運営の原則であり常識である。それを需要を無視した無定見な生産拡大でコストダウンを図り、その需要拡大を考えようというのは順序が逆である。また、景気がよくモノが売れると物価も上がるが、この異常な暴騰を抑制するために貸出金利引き上げや貸し出し量の抑制、増税を図るなどして需給関係や物価の安定化、景気の過熱化を予防し、ひいては国民生活の安定化を図るというのが正しい政治・経済政策の常識であったはずである。
 それを長期不況、デフレ脱却を図るべき時期に、需要を抑制する消費税の導入や、その税率のアップを図ったり、割高な国内での生産基地拡大の資金需要がないのに、超低金利で無制限な貸し出し拡大を推奨するから、資金に余裕のある大企業や富裕層は、安い優遇金利で借りたお金を、国内生産設備投資より、海外投資金融市場でより有利なものに投資するマネーゲームに向け、さりとて本当に資金に困窮し融資支援を必要としている中小企業や庶民には、信用力がないからと貸し渋るといったミスリードの政策を講じる。これではアクセルを踏む一方でブレーキも踏むといったちぐはぐな下手な運転だから、国民は安心して乗っておれず楽しいドライブとはならない。満腹の富裕層にはさらに美食を与え、低所得で粗食、栄養失調、貧血の庶民には餌を与えず、さらに血を取るというのもおかしなことであり、これなども根本的に狂っている例といえよう。
 過去に侵略を繰り返しあったことから対立するキリスト教徒とイスラム教徒、ユダヤ教徒であるが、起源は最も古いユダヤ教の教典に則る同一神を崇拝するが、その教義の解釈相違から分派したものであり、偶像崇拝の禁止など共通する要素も多く、本来は平和を愛し、他者を受け入れ、博愛の精神に富んだものであって、「法は人を殺すな、傷つけるな、騙すなの3章で足りる」とした人間性善説に基づくものであったのであり、現在のような武力による闘争、目には目、歯には歯の相応以上の倍返し報復、カリスマ性のある特定権力・指導者の独裁支配などを許容するものではなかったはずであるが、この点も、自己の主張を通すためには手段を選ばず、聖戦などといった屁理屈で暴力無差別テロを煽り立てているが、これも狂っている例である。
 科学技術や医療技術の進歩、生産システムの効率化などは、全て人間の健全な欲望を満たし、利便性や生活の安定、向上に役立つためのものであるべきであり、それにより、人間の本来の崇高な精神性や理性、知能や身体の発達が阻害されたり、職を奪われたり、能力の退化に連なるというのでは本末転倒である。意思も能力の無いのに、機械的に無理に延命させようとすること、まやかし表現の乱れた言葉遣いの流行などは心の乱れの象徴であることなども、全て狂っている。こういった前世紀から引き継いだ問題を、すべて根本的に改め正す大清算の決済をつけてこそ、新時代への道筋も見えてこよう。本年は過去の過ちを謙虚に反省し、狂いを修正しそれを来年の正しく新しい世界の再構築への基礎固めに資すべきであろう。

著者プロフィール

経済評論家・ビジネスドクター 芦屋 暁(あしや さとる)

幼少期の貧苦体験から「十分な教養があれば民族も国家も企業も個人も安泰」との信念を抱き、一生涯を人間能力の開発と日本経済・産業の発展に捧げる1本の杭になろうと決意し、都市銀行勤務を中退してフリーの経済評論家・経営コンサルタントの道に転身、大学の教鞭やマスコミ出演を経つつ、過去通算で全国約3千市町村を講演歴訪した実績を持ち現在に至る。庶民派で皮膚感覚の簡明率直な解説がモットー。

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