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乱世の先を見通す経済・社会観相術と危険予兆

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公開日付:2016.08.12

 夏季休暇の時期を迎え、山や海への家族レジャー計画をご検討中の方も多かろうが、この時期は梅雨末期や台風が多発生する時期でもあり、急激な気象の変化や昼夜の寒暖差が大きく、山岳地帯の上り坂をドライブ中に、急に濃霧に包まれて全く先が見通せず不安を感じたり、目隠しされた西瓜割り命中率の悪さに苛立ったという体験をされたこともあるだろう。
 このように人間は誰でも、先が見通せないほど不安・不便なことはなく、先が見通せてこそ自信をもって正しい行動を起こし、安全に歩を進め、事業経営の安泰も図り得るが、激動と混迷で産業や企業、ヒット商品などの寿命が益々短縮化傾向にある現代では、なお更その感が強く、先見性や洞察力を身につけることは、生存への必須条件といえよう。
 名船長ほど、自己の操船技能を過信せず、気象予報と計器が示す数値を重視し、自動車の安全運転も、現状の正しい認識と判断があってこそ、正しい操作でリスクを回避し得る。
 本稿では経済・社会動向の先読みと企業経営の危険予兆の要点を簡潔に述べ、各位の事業の安全・成長のご参考に供しよう。


(1)なぜ経済予測を的中させることが難しいのか?

 予想を逆読みすると「うそよ」となるが、これは決して駄洒落ではなく、実際に、気象庁の気象予報の的中率は70%程度、わが国の主要民間シンクタンク20社平均の経済予想的中率は40%台であるといわれている。
 なぜ経済予測を的中させることが難しいかの要因としては、過去の体験則が当てはまらないほど、現代世界の環境変化が激しく変動していること、政治・軍事は経済に優先するが、この種の生データについては国際的な極秘情報もあり、官公庁と民間組織とでは、完全な情報資料の公開と共有化が期し難いこと、官庁公表データそのものにも政策的意図が含まれ、不都合な点は秘匿されがちなこと、地球自然環境の変化で、不時の突発的天災や事象が多発するようになったこと、グローバル化や高度情報化社会の進展で、国内的状況変化の影響だけに止まらず、国際的な変動影響を即時にもろに受けやすくなったこと、民衆の価値観や行動態様の多様化、技術革新のテンポアップ、諸種のライフサイクルの短縮化など複雑さまざまであるが、昨今はとりわけ、EDPによる統計数値的処理が主体になり、人間の動物的な直観力が鈍くなってきたこと、調査担当員の現場実査や皮膚感覚での実態認識が、効率やコスト面から排除されがちなこと、自己の保身や立身出世、知名度向上などの思惑や、関係諸官庁や所属業界・組織への配慮が働き、お抱え御用学者的になり、本音の表明が味方身贔屓や控え目になり勝ちということもあるからである。


(2)予想は連想ゲーム 動物的予知能力は万人が生得的本能として保有する

 時流の先読みや経済予測などは、「虫の知らせ」とか、「何か嫌な予感がした」などといった言葉があるごとく、人間は誰でも、その強・弱や鋭・鈍の差はあれ、動物的本能としての予知能力を有しているし、「歌は世につれ、世は歌につれ」といったように、これまでも特別に意識はしなくても、みんなが眼・耳・鼻などの5感覚器官を用いて無事に生きてきたのではないか。
 だから決してそんなに難しい高度な専門知識や技能が要求されるものではなく、日常ちょっと意識して情報入手に努め、例えば通勤途次でも、ただ物事を映像的に見るだけでなく仕事に結びつけて、通行客をみても、潜在見込み客でいくらの市場価値だとか、歩行速度が早いと買い回り顧客にはなり難い市場だとか、スーパーのレジの順番待ち時に、先の顧客の購買単価をそれとなく聞き取るなどと観察をすれば、それで立派な消費者の購買力から景気実態を体感的に掌握することが出来よう。
 また友人と遭っても、その服装や持ち物などから、彼は最近金回りが良いと感じたり、ミニスカートやアップテンポの明るい歌、ハワイアンの流行、大型高級外車の普及時は好況、黒・グレー色の服装、暗い恨み節演歌、関西出身タレントのどぎつい社会風刺ギャグの流行、タクシーの付け待列が長いのは不況の象徴などということも、無意識的に体験習得してきたのではなかろうか。
 「風が吹けば桶屋が儲かる」といったように、景気予測は、要は「何が、どうなれば、こうなる」といった連想ゲームのようなものだから興味深く、楽しく学べて役立つ生活の智恵なのである。


(3)さまざまな角度からの環境変化先読み法のポイント

 時流先読みの正確度を高めるには、ある時点の一つの静止的情報・数値だけでは不十分であり、多角的な各種情報・数値の時系列的状況の推移を少なくとも過去3期以上を収集することが肝要である。
 1.人類悠久の歴史的推移や文明変転の周波の傾向から先を読む。
  …歴史は繰り返す!
     愚者は過去に学ばず、失敗に懲りず、同じ過ちを犯し凡人は体験して初めて気づき、賢者は歴史に悟る。
 2.過去の推移の延長線上から未来の動向を予測する。
  …過去の因果関係と現状の中に、未来の予兆が潜んでいると知れ。
 3.マクロとミクロの両面の視点で大局的に先を見通す。
  …鳥の目で大空から俯瞰的に大局を観察し、虫の目できめ細かく大衆の実態を肌で感じ取り、
     台風の眼が平穏なように、「離見の見」、つまり現場の動乱の渦から少し離れて冷静・客観的に
     眺めた方が実態を正確に診断することが出来る。(望遠鏡・顕微鏡・拡大鏡・多面鏡が必要)
 4.情報は座して待っていては入手し得ない。
  …情報は、意識して頭で歩いて観察し、心の目で見て看破し、色々な分野の人に質問を多用することで
     耳で聞きこむ問診をし、足で広範囲を歩き回って皮膚感覚で収集し、
     既成データの裏打ちとりに留意すること。
 5.過去・現在・未来、あるいは長期・中期・短期の3場面の推移から推測する。
  …歴史的背景や推移、現実の正しい認識を無視した、空想的・飛躍的未来推計、筮竹による占いなどは
     非科学的であるから慎むこと。
 6.表の公開データやニュースだけでなく、その裏と底の流れから先を読み取る。
  …何事にも裏表があり、裏から覗いた方が真実の姿が良く見え、裏打ちが出来て自信がもてるようになる。
 7.国際的な政治・軍事の動向から先を読む。
  …政治・軍事は経済に優先し、グローバル化が進展した現代では国内事情だけでなく、他国の動きが即時に
     世界に波及し大きく影響を及ぼす。
 8.過去と現時点のデータから未来を予測する。
  …近年、世界的にも最も重視され多用されているEDPを駆使した統計数値的予測法で、政府の各種白書、
     国勢調査による人口調査、景気の先行・一致・遅行指標、日本銀行経済短期観測指標などが有名。
    ただし公表されたこれらの公式データは、実際の調査時期、その集計・分析、原稿の印刷・製本、公表・配布に
     少なくとも数ヶ月以上を必要とするので、入手し得た時点ではもう既に過去の実績数値であることを
     理解し、その調整処理や判断、活用を心がけること。
    如何に高性能なコンピューター(EDP)で処理したデータとはいえ、その収集の入り口と、
     分析・評価の出口段階では人為が入り込み、誤った原数値を入力すると誤った結果を機械的に
     導き出し提供するものと知れ。
 9.俗の心理から変化の傾向を掴む。
  …経済・社会を構成する大部分の大衆の俗っぽい本能や群集心理が、世の中の動きや流れに
     大きな影響を及ぼすので、上から目線での治世でなく、大衆と同じ高さの目線と温度で、
     その実態把握に努めること。
    自社の生産・販売の現場や、得意先、下請け・仕入先、営業市場の現場自ら足で歩いて見て回らず、
     その実態に疎い経営者の企業は永続発展しないといわれる理由もここにある。
 10.経済変動のメカニズムを理解し、変化の先を見通す。
  …禍福は糾える縄の如しであり、経済変動や景気の浮沈には、山と谷の繰り返しに一定の周期的変動の
     短期・中期・中長期・長期・超長期の波動がある。
    この変動のメカニズムによれば、世紀の変わり目は、過去の諸悪の大清算と主役交代の大激動・分裂期で
     あるといえ、超大国アメリカの威信低下、ソ連邦の崩壊・分裂、英国のEU離脱論争などが
     これを立証する。
 11.大自然の摂理を謙虚に尊重すること。
  …歴史と自然は最も良き教科書(ルソー)。大自然の原則は、適者生存、適量安泰、過剰間引き淘汰、
     生者必滅、新陳代謝、弱肉強食、共生・共存。


(4)日本の節目は「15、30、40、60、100、400年」

 過去の体験則から見て、わが国には以下のような変動の節目があり、それを巧みに乗り越えつつ発展してきたといえる。
   15年節…社会の主要課題や関心事が、攻勢的成長期、絶頂成熟期、反転衰退期、停滞・苦難期、
            あるいは政治、経済、文化、格差是正と改革などの
           「4課題×15年=60年」で一巡する還暦となる。
   30年節…経済を牽引する根幹産業や花形製品の寿命で、戦後は重・厚・長・大から軽・薄・短・小の
            時代へと変化・進展してきた。
   40年節…国際外交試練の周期ともいえ、戦乱、平和・復興、経済、貿易競争などの試練を
            繰り返し受けてきた。
   60年節…技術革新、エネルギー革命、異常気象、農作物不作、物価高騰、天災などが
            要因となってきた。
 100年節…先に述べた世紀末の大精算と主役交代期。
 400年節…政治体制の変化、人心刷新のための遷都、世界東西文明の交互興隆など。
 事業としてはこの他に、3年のベンチャービジネス創業エネエルギーの燃え尽きか持続かの分かれ目、10年のトップ後継・交代を巡る内紛の危機などといった節がある。


(5)経済発展の諸要素面から先を読む

 国家や経済が存続発展するには、それを支える要素が整っているかどうかが大きく影響する。
 1.基本的要素(7気)
  …士気、鋭気、勇気、根気、活気、才気、天気
    (主として人間の意識や資質、それに語呂合わせで気象条件を加えた)
 2.直接的要素(5M)
  …モノ、カネ、ヒト、土地(市場、領土)、制度(情報力や各種制度の適否)
    (注:憶えやすく、この英語頭文字から5Mとまとめた)
 3.コスト的要素(3安)
  …エネルギーや精算基礎資源、労働、金融の3種のコストが他国と比較して安く、
     安定的に保有され、国際競争力に優れていること。
 わが国は人的資質が勤勉・誠実・高度熟練技術を保有し優秀であるとされ、それが戦後の高度経済成長を支えてきたが、さて、明日の日本を支える現代の若者たちは、高度成熟技術の継承は、高等教育水準の国際レベルは如何なものであろうか?


(6)経済発展、景気浮上の推進力から将来を予見する

 国家経済や景気が成長・向上し続けるには、「3段階の推進ロケットが順調に完全燃焼し、正しい宇宙軌道に乗ることが必要であり、その燃焼順序も重要である。
 第1段ロケットはGDPの約13%を占める①輸出の好調さ、第2段目のロケットは、同じく約14%を占める②国内向けの民間企業設備投資が活発であること、第3段目のロケットは、同じ約60%を占める最大級の推力といえる③国内での個人消費が旺盛であることであり、この合計で約87%の推力ということになる。
 しかしこれでは100%の完全燃焼で十分な推力があるとはいえず、期待する打ち上げ軌道から外れて失速・墜落しかねない。その不足分をカバーし軌道修正をしようとする補助ロケットが④財政投資ということになるのだが、近年は産業の海外脱出、現地生産、逆輸入、為替相場の円高基調などということもあって、①の輸出は低調傾向を示し、それに連れ当然②の国内企業投資の減退傾向にあり、頼りとするのは③の個人消費需要の拡大だけということになるのだが、これは①②が順調で実質賃金アップ、雇用の拡大がないとかなわないという悪循環の連鎖となる。
 そこで最後の頼りは④の補助エンジンということだが、これはあくまでも軌道修正の緊急処置であり、恒常化させてはならず、しかも赤字国債頼みの、いわば借金で株価を吊り上げ派手な生活を演出し続け、その上の金融まで無制限の超緩和という不健全さでは、当面は凌げても、将来の付け払いで苦しむことになるのが怖い。


(7)危険な企業の予兆

 
 技術革新などの環境変化が激しく、諸種のライフサイクル短縮化傾向にある近年、それに機敏に対応し得るようにとの配慮から、リスク・マネージメントに注力し、トラブルが発生してからの治療策より予防策に重点を置く企業が増加している。
 君子は危うきに近寄らず、そのためには、取引先企業の信用状態や危険な予兆を如何に早く察知し、先手を打った対応をとるかにかかるが、金融機関や専門調査機関でもない一般企業が、相手先企業極秘の信用状態や業態の通信簿ともいえる財務諸表の閲覧を要求することは困難であろうから、関係者が資料によらない問診・見診能力を十分身につけておく必要がある。
 1.ワンパターンのマンネリ訪問を戒め、毎回、信用調査を意図した意識的訪問を心がけ、訊問調でなく、
   何気なく世間話を通じて相手に多くを喋らせるような間接的な問診・見診に努めること。
 2.前記した経済発展の要素5M(モノ・カネ・ヒト・市場・制度)は企業の健全成長にも通じるので、
   常にこの5項目を頭に叩き込んだ意義ある訪問と対話が肝要だが、
   とりわけ「企業は人なり、トップなり」であるから、経営実権者に面接し、社是などを話題として、
   その経営理念やビジョン、具体方針、人柄や器量を理解すること。
 3.最も掌握したいのが財務状態であろうだが、売上げ額や利益を直接ズバリと聞くことは無礼でもあり、
   はぐらかされやすい。
    しかし税務負担の苦労話には案外乗ってくるものだから、そこから財務状態を推計するなどの
   工夫も大切である。
 4.応接間での儀礼的対話より、工場や倉庫の何気ない観察、現場作業員との会話、仕事振り観察の方が
   むしろ有益な情報を得、実態把握が出来る。


(8)国家・社会・企業の「荒廃の兆」

 古代中国の賢者で、治世の思想家、戦略家としても有名な荀子は、国歌や社会・企業の荒廃・衰微を予見する兆しとして
 1.その装(服装)は、「華」…服装や言動は延長自我であり、人間の心の状態や世相を露顕する。
 2.その容(容姿)は、「婦」…ここでいう「婦」は女性蔑視の差別語ではなく、なよなよとし、
    キビキビしたところがないだらけた所作や行動態様をいう。
 3.その声(音声、歌詞)は、「奇」…退廃的で奇妙な歌詞、自信のなさそうな話し方。
 4.その俗(風俗)は、「淫」…淫乱で下劣な風俗の流行。
 5.その志(志望)は、「利」…道義的大志より、自利中心、拝金主義が主体の世相。
    いずれにせよビジネスでは、「敵を知り(顧客、取引先)、
    己を知れば(自社の身の程や持ち味)、百戦するも危うからず(企業戦争での敗退)」(孫子の兵法)であり、
    「情報を制するものが世の中を支配する」といえる。

著者プロフィール

経済評論家・ビジネスドクター 芦屋 暁(あしや さとる)

幼少期の貧苦体験から「十分な教養があれば民族も国家も企業も個人も安泰」との信念を抱き、一生涯を人間能力の開発と日本経済・産業の発展に捧げる1本の杭になろうと決意し、都市銀行勤務を中退してフリーの経済評論家・経営コンサルタントの道に転身、大学の教鞭やマスコミ出演を経つつ、過去通算で全国約3千市町村を講演歴訪した実績を持ち現在に至る。庶民派で皮膚感覚の簡明率直な解説がモットー。

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