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世界の構造改革を目指す新しい経済

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公開日付:2016.02.05

 21世紀になってはや15年余となったが、今世界は、急速な財物的文明発展の反面で、地球自然環境の破壊や、その結果の温暖化に伴う異常気象、精神文明の荒廃、地域・国家間、民族、宗教・イデオロギー間の対立、経済・貿易競争の激化、アメリカに負けじと世界覇権の欲望を顕にする中国、再び強大国への復権を企むロシア、地球の供給と需要関係や世界のパワーバランス、経済・社会秩序が崩れ、貧富格差の増大や、大国のエゴで曖昧に処理されてきた領土・領海問題などの不満が一斉に吹き出すなどの不安定化を招き、新しい世界の構造改革、秩序の再構築、真の平和や、国家の繁栄、人類の幸福とは何かが改めて問われるようになってきた。

(1)構造改革とは

 構造とは、「家屋などの建造物や組織、諸制度などを、現有するさまざまな要素や素材、人間の知識、技能を巧みに組み合わせ、その置かれた環境や状況に応じ、最も適切な状態に組み立て形成するための企てや仕組み」のこと、改革とは、「現況の不具合や、現在抱える問題を是正し、所期の理想とする姿や、目的や目標を達成し得るように、更により良い仕組みに改める進歩的・建設的な考え方や実践行動」意味し、破壊的でマイナスとなる改悪であってはならない。
 例えば、マイホームを建てる場合に、ただ外観のデザインや取得費用だけに捉われるのは愚かなことであり、先ずは、どんな目的で、どんな所に、どのような人が何人で住み、どんな生活をしたいかといった理念や基本方針を明確にし、それに相応しい周囲の立地条件、生活環境、気象条件、同居家族構成、家族が望む生活様式、今後の生活設計、建設費用の調達・負担能力などの多様な要素を組み合わせ、ある程度のところで妥協し合って、その構築物の素材や間取り、デザインなどを検討し、構造を決定する必要がある。
 四季の気象変化が激しく天災も多い日本で、熱帯で年間降雨量が少ないアフリカ地域のような、粗い土壁で樹皮葉屋根家屋を建て、川辺での水上生活はしないのが常識というもので、日本には日本なりの家屋構造を考えるべきであろう。
 だから先賢たちはその貴重な体験から、「家屋を取得する場合には、不動産屋の甘言やチラシ任せにせず、自分の足と目で、現場10回を雨嵐の悪天候日に四季にわたって実際に見聞してから決断せよ」と教えてくれたものである。
 それを近年は、TVの宣伝広告やパソコンのホームページ任せや、見た目の美しさや格好の良さだけで家屋の購買決定するから、基礎土台や杭打ちの浅い不良物件を騙されて掴まされることになるケースが増加しているのだ。
 世界の政治・経済構造についても同様で、各地域・国家の置かれた環境や事情も考慮せず、恵まれた環境で優越的な地位を占める欧米先進大国の都合が良い規定を、グローバル・スタンダードなどという美名で画一的・威圧的に押し付けたり、軍事的に強力な大国だけが、国連常任理事国として君臨し、これを支配し、多数決に従わず拒否権を行使したり、自分たちの核兵器武装は既得権として正当だが、それ以外の国の核武装新規参入は許されないといった身勝手さが、世界から納得されるはずはない。そういった面では、近年の世界の志向正は拝金主義に毒され、「財貨多きは徳傷る」で、すべて根本から狂っているといえよう。

(2)構造改革に当たって先ず考慮すべき人間の理念と意識の変革

 人間のあらゆる発想や行動はその理念や意識に基づくので、根本的な心を切り替えると、志や欲望の持ち方も、平和や安心、豊さなどの価値観も変わる。
 正しい心で物事を判断し、正しい行動を起こすには、先ず、過去の歴史的推移と現状の冷静で客観的な正しい認識と、その延長線上にある正しい未来の見通しが大切であり、それに基づき正しい善悪・是非の分析と判断が可能となり、これに対応する正しい行動をとることが出来るというものである。
 現代世界の主流となっている政治的イデオロギーや経済発展の理念は、大航海時代以降の世界をリードしてきた欧米、とりわけ近年は、独占的覇権を制した超大国のアメリカ流が主導役となっている。
 彼らは、人為的な力の倫理で厳しい自然界の克服に挑み、それを破壊し、弱者を放遂して、豊かな未開発の潜在資源の発掘と活用で、財物的な富の獲得と独占で世界を支配しようとする、元来は狩猟民族やバイキングであった闘争的で自尊心や優越意識が強い欧州系ホワイトカラー民族の理念や意識であり、これまでずっと、常に自由勝手に広い領土を求めて動き回り、良い草を見つけ与えて、立派な家畜を育てるために遊牧する生活を営み、それに抵抗し障害となる弱小な原住民族を蹴散らしたり支配下に置いて隷属させてきたのである。

(3)現代の世界的動乱と混迷の主要因

 従って彼らは未だに、恵まれた豊かな領土と武力や経済力を背景に、多数の力で威嚇、圧倒する、攻撃的な力の外交を展開し、優越感を誇示しようとし、それに敵対する勢力の出現を好まず、その障害になると思うと、あらゆる手段を講じて数倍の報復や排斥行動に打って出るし、道義より自己の損得、利益が優先するので、情勢が不利となればドライに変節しても恥とは思わず、巧みな情報宣伝活動で後から大義名分、正義の理由付けをすることに長けて狡猾であり、自由主義、資本主義、市場相場経済主義を信奉、堅持しようとしており、決して標榜しているような、本当に自由・平等で民主的、キリスト教の教義に則った博愛主義ではなく、結構、封建的な階級社会、弱肉強食で貧富格差がつくのは当然と考えているし、プライドと優越観念が強く、有色民族を蔑視する傾向は根強い。
 こういった欧米キリスト教国の永年にわたるエゴと横暴さ、植民地支配に対する反感と、第2次世界大戦終結後の彼らの植民地解放時における密約外交処理、更にはその後の自由・資本主義対統制的な共産・社会主義との対立と、その東西冷戦終結時の欧米とロシアによる曖昧な領土問題処理や、身勝手でエゴな各国を巻き込んだ勢力再編成争いの弊害が、近年のすべての世界的な動乱と混迷、政治・軍事・経済バランスの崩壊、社会秩序の混乱、キリスト教国対イスラム教国の対立、全世界無差別テロ事件頻発、精神文明荒廃の要因となってきたといっても過言ではない。

(4)新時代に要求される新しく、正しい理念と意識

 しかしこれからの新時代では、過去のこういった諸大国主体の理念や意識では適切でなく、世界から納得と支持がえられなくなるので、根本的な理念の刷新と大幅な意識転換が求められるようになる。
 それは先ず第1に、これまで政治や経済の真の目的を忘れ、それらを手段と考えて目先の損得や自国の利害に拘り、小手先の対応や問題が発生してからの事後の処理に重点を置きがちであった事を改め、あらゆる分野で、その真の目的は何かという原点に立ち帰り、理念や意識を見直すこと。
 第2に、その原点を過去の体験則からの原理に止まらず、見えざる神の思し召しとも言うべき自然界の摂理、つまり「真理」にまで立ち帰った理念や正しい意識にまで改め直すこと。
 例えば、好ましい政治や経済の原点は、最大多数者の最大幸福の実現、経世済民、需要と供給の均衡などということも、すべては自然界の摂理に則ったものであり、従って永遠不変の真理であると理解すること。
 第3に、弱肉強食が自然界の法則だといわれるが、自然界の法則では、いかに百獣の王ライオン、水中の王者である鰐、海中の最大動物鯨といえども、巨体や力任せに、すべての弱者や他の種族を絶滅するまでに捕食し尽くさず、自己保全の適量だけを捕食したら満足するといった「満ち足りる知る」という万物の共生・共存・共栄を心得ており、それに比べると人間の欲望は、阿漕で浅ましい限りといえよう。
 第4に、地球自体の自然荒廃が限度に達し、異常気象が人類の生存にまで悪影響を及ぼすまでに深刻化し、その供給と需要関係が、有史以来初めて、需要>供給に逆転し、天然埋蔵資源の枯渇化、食糧危機が現実の問題化してきた現代、最早や自国だけの損得や、地域ブロック化による経済・貿易戦争での優位性確保と繁栄といった視野が小さく狭い次元での発想や対応でなく、全地球・全世界・全人類といった視点での平和と安全・安心を図る理念や意識の転換が要求される。
 ましてや核武装による国際的優位性確保と存在価値の効用などといった考え方は時代遅れであり、世界から受け入れられない理念や意識といえ、結局は見せ掛けの脅し効果だけで実際には使えず、その安全維持や万一の事故処理、廃棄処理に要する費用などを考えると、採算的にも高くつくし、もし実際に使えば、当事国だけでなく、全世界・全人類の滅亡に連なるので、絶対に許せない愚かな暴挙である。
 第5には、世界的にに永年にわたる戦乱や争乱により疲労感、その無意味さと、それを予防・回避しようという厭戦気運が出始め、世界平和と、財物的豊かさや経済的優越さより、精神的な安心・安全・安定化の方を幸福と考え、競争より協調、自国だけの平和や繁栄より、全世界の共生・共存・共栄こそが重要であるといった風潮が高まりつつあり、今こそが平和や幸福い対する理念や価値観、意識転換の好機になってきたといえ、GDPに変わる国家の平安・品格指数(GNH)を設定すべきであろう。
 第6に、ある権威ある経済学者の「経済構造の変革」という定義づけでは、「市場経済の仕組みを変えること」とあり、これでは抽象的過ぎ無味乾燥で、具体的に何をどう変えることが必用で、それで世の中がどう変わり、国家経済や人類の生活にどのような良い成果が生じるかが不明であるが、当たり前のような単純な言葉ほど定義づけが難しいといったこともあり、また物事はそう単純明快に割りきれるものでないことも事実であり、ましてや経済には両面性があり、例えば株高は売り手にとっては差益を得る好機であっても、買い手にとっては高値買いで損を背負い込むことにもなり、公定歩合の利下げは、借金をする企業側にとってはお金の仕入れが安くなり、企業利益が増加、景気上昇にも連なるプラス効果であるが、預金者側にとっては、預金金利が下がり、金融運用収益源のマイナス効果、元金は安全だが、安い預金金利で銀行に預けるより、景気上昇、株価高騰で、多少リスクはあっても高利回りになる株式市場で運用しようということになり、投資運用の余力を有する富裕者には有利であり、お金が証券市場の方に流入することとなる。
 従ってどちらを重視優先・重視するかという理念や意識次第で状況が変わるが、貧富格差が増大し、生活貧窮者層が増加し、その不満が強くなった現代では、株価の乱高下といった社会経済の不安定化や、ハイリスク・ハイリターンより、先ずは緊急性のある庶民生活の保護と社会の安全・安定・安心確保優先、頭寒足熱政策への経済構造転換が重要といえ、世の中の情勢変化のテンポが早くなった近年では、要は環境や状況の変化に適応する機敏で、きめ細やかな構造や政策の転換が必要ということになろう。

(5)世界の構造は今後どう変わるか

 善悪両面の評価はあろうが、これまで世界の政治・軍事・経済のトップに立つ圧倒的な超大国として君臨し主導をしてきたアメリカの活力が今世紀になって低下する傾向を示していたところに、オバマ大統領自らの「アメリカは世界のポリス国家ではなくなった」との発言もあり、その威信が揺らぎ、世界秩序を統制する重しや主柱がないという「Gゼロ」の世界となったが、その機会をついて新興中国が強気でアジアの支配だけでなく世界覇権を狙うようになり、ロシアもまた強国への復権を目指して画策するようになり、北朝鮮も、アメリカの圧力や同盟国中国を警告を無視して核兵器開発を進め、ついにアメリカの東海岸部さえ直接攻撃し得る水爆保持国になったと声高々に宣言するようになり、目下の世界は、主軸のない多極分裂の構造と東西二局のイデオロギーと軍事対立だけでなく、根源を同じくするキリスト教国、ユダヤ教国、イスラム教国間の対立、平和保持のパワーバランスの崩壊など、各種問題が多様に絡み合った複雑な対立が交錯する構造となり、その結果、世界の統制が取れず、各種秩序が大混乱し、各地域での動乱・戦乱の増大、無差別テロが頻発し、これらに伴う難民の大量発生、その受け入れを巡り、これまで安泰であった国まで、国内民意が2分する混乱に巻き込まれるなどといったマイナス要素の連鎖現象を見るに至り、世界中が一層、動揺と混迷を深めることとなった。
 そこで今後の世界は、取り敢えずの対応策として、その沈静化と、新たな世界秩序の再構築が緊急の要務となり、したがってその役割を担い主導する国の出現を希求するようになる。
 また長期的には、これまでの特定大国による世界制覇と、自国に都合が良いような主導といったグローバリゼーションでなく、地球自然の危機が深刻になってきた今世紀では、自国だけの利益や安全といったエゴな発想でなく、すべてを全世界・全人類一国家といった観点での協調姿勢で対処しないと何事も解決できないし、勝ち組も負け組もない共倒れ、全地球全人類の滅亡になると認識を新たにし、世界平和と人類の共生・共存・共栄を図るという意味でのグローバリゼーションを志向することが肝要となろう。
 そういう新時代において世界を主導する資格を有する国家の条件としては、これまでのような武力と経済力の強大さでなく、平和哲学的に優れた理念を有し、中立的観点と姿勢で、外交調整能力を発揮し得る、特定の灰汁が強い排他的な宗教色が薄く、道徳・倫理観、良識と信頼があり、品格もあって、世界の多くの大・小国からも支持が得られるような国でなければならない。そうとなれば、今後の日本も、アメリカ従属国のイメージや姿勢を改め、国際外交力を強め、うまく対応して国際的信頼を得るなら、新世紀を主導する国としての有力候補国となる可能性は十分にある。

(6)日本経済・産業構造と今後の改善課題

 経済・産業構造を論ずる場合、通常、資本金別や従業員規模別に見た大企業・中企業・小零細企業といったように、外形的体格の大から小まで階層別に統計分類上は5階層分類され、ピラミッド構造などと称され、その格差が問われることが多い。
 しかしこれは、生物にはすべて体格的な大小があるよう、それほど大きな問題ではなく、大切なことは、例えば従業員一人当たりの収益生産性や所得水準別世帯構成などといった体質的な格差とその程度問題である。
 産業分類別事業所数構成では、第1次産業が約10%、第2次産業が約35%、第3次産業が約65%で、経済成熟国家になるほど第1次産業比率が低下し第3次産業の比率が高くなるが、第1次産業の農業比率の低下は食糧自給率の低下を示し、万一の食糧危機には弱くなるので、最低限度の主食自給率は維持する必要があり、だからTPPでも日本はこれには拘った。
 所得別構成では、最高度ランクの1階層、第2階層の両者合計の俗にいう上流層が約20%、第3階層、第4階層の両者中間層合計が約75%、最下第5階層が約5%といった中間層が最多を占める独楽型構造が理想だが、近年の日本は、この中間層が痩せ細り、第5階層が増加すというレールの断面図のような構成になる傾向にある。
 所得分配の適正さを示すジニ係数は45%と、50%超過の危険ラインに近づきつつあり、経済大国アメリカはこれが64%、つまり約2割弱の富裕層が国家の富の約6割強を占めるという、実は大変な階級格差社会の国家といえる。
 経済・産業構造でもう一つ懸念されることは、グローバル化に伴う主要産業の海外流出、無国籍化で、自動車王国日本の自動車の約6割は海外生産である。
 それに、実際の国内生産活動や国内需要の活発化で、実体経済のパイが大きくなることが大切だが、近年は実体経済より投資市場経済の好・不調に頼りすぎている点が問題である。
 こういった経済・産業や、その発展の根底を為す人口構成問題の調整や、富の再分配の適正化を税制などでいかに先手を打つ巧みな手綱捌きで処理し、国民に将来の夢を抱かせ、安全・安心を保証するかこそが政治家の最大使命である。

著者プロフィール

経済評論家・ビジネスドクター 芦屋 暁(あしや さとる)

幼少期の貧苦体験から「十分な教養があれば民族も国家も企業も個人も安泰」との信念を抱き、一生涯を人間能力の開発と日本経済・産業の発展に捧げる1本の杭になろうと決意し、都市銀行勤務を中退してフリーの経済評論家・経営コンサルタントの道に転身、大学の教鞭やマスコミ出演を経つつ、過去通算で全国約3千市町村を講演歴訪した実績を持ち現在に至る。庶民派で皮膚感覚の簡明率直な解説がモットー。

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