ホーム > 最新記事 > 時局レポート > 2018年 > 始計第一!…混迷期に要求される先見力

始計第一!…混迷期に要求される先見力

  • RSS
  • お気に入りに登録する

公開日付:2016.01.22

 新年を迎え、「去年・今年 貫く棒の ようなもの」という詠み人の名を失念した句を思い浮かべているが、「去年・今年 紙一枚の 重さかな」ともいえ、アナログ的思考では日捲りカレンダーの紙一枚を捲ったに過ぎないことでも、新年を迎えるといった人生の句読点に当たり、「今年こその 願いこめつつ 事始め」とか、「一年の また始まりし 何やかや」といったように、初心に立ち帰った一抹の緊張感と希望に胸を昂ぶらせることも大いに意義があろう。
 また同時に、心を切り替えるだけで、いかに物事の見方や考え方、対処の仕方が大きく変わるものであることにも気づかされる。
 一月はそういった意味からも「始計第一」の月であり、年間の計画を立て、将来のあるべき姿を考えるための先見力を強める機会とすべきであろう。

(1)始計第一!~「立計は成業の半なり」

 人間の行動にとって、先の見通しがきかないほど不安なことはなく、先が見通せてこそ自信をもって歩を進めることが出来る。また、何事も明確な目的や目標を定めず、強い意志や計画的な取り組みもなく、何気なく衝動的に始めた事業が成功することはなく、何事を為すにも、見通し(計画)と仕掛け(長期計画的・戦略的な取り組み)、段取り(実践手順の確立)が肝要であり、正しい実状の認識や将来の見通しがあってこそ、正しい判断が出来、正しい対応行動がとれるので、この手順を間違わずに追うことが大切である。
 それゆえに、「始計第一」、適切で明確な計画性をもってことに当たれば、何事も半ば成功したも同じで、始め良ければ終わりもまた良しといわれるような好結果を得る。
 とはいえ現実は厳しく、言うは易く行うは難し、とりわけ近年は地球規模の激動の時代で混迷期にあり、国家経済運営や事業経営を取り巻く環境の変化がめまぐるしいので、的確な将来の長期見通しがし難いことは事実だが、それでも可能な限りの見通しに従って計画的に事に望むことは大切であり、何気なく取り組むことよりは、環境の変化に応じた機敏な対応行動がとれ、効率的に確率の高い成果が得られることは間違いない。

(2)計画の「1V6P」

 辞書の定義によれば、「計画(Plan)とは、未来に対する現代の決定」とあるが、プランのラテン語の原義は「青写真の設計図、つまりその設計図に基づき、着実にその手順通りに事を進めれば、当初に期待した通りの結果が得られるといった綿密なものでなければならない。
 また、一年の計には花を植え、十年の計には樹木の苗を植え、百年の計には土地を培養し、千年の計には人を育てるに如かずである。
 正しい計画を立てるには、先ずは、正しい過去の推移と現況の認識の延長線から将来の世情を予測する先見力を身につけ、的確な見通し(Vision)を明確に設定し、それに則った根本的な理念(Philosophy)に基づき、なんのためにどんな目的(Purpose)や目標の計画を立てるのか考え、その目的実現、目標達成のための綿密な設計図面のような計画(Plan)を長期・中期・短期に区切って立て、その遂行の基本的方針(Policy)を確立し、その具体化の事項(Program)を打ち出し、実行着手の手順(Process)を組み立てるという「1V6P」が肝要であり、単なるプランだけでは、絵に描いた餅に過ぎない計画倒れとなる。
 目標の設定に当たっては、最終的な目標と、それに到る段階目標を設定し、この段階目標は、焦り過ぎ欲張り過ぎず、到底実現不可能な一足飛びの高望みの目標でなく、むしろちょっと努力すれば実現可能なものとし、その段階目標を着実に達成し、ささやかな成功感を積み重ねることが大切であり、それが大きな最終目標の達成に導く自尊と力になる。
 近年の我が国の国政運営では、残念ながら、地方創生とか一億総括力の発揮などといったお題目だけは立派だが、その裏づけとなる長期的なビジョンがなく、従って根本理念がしっかりせず、歪みや揺るぎがあり、そのための具体的方針やプラン、プログラム、プロセスと実践段階になるほど抽象的で曖昧になっているので、なかなか良い成果が得られないのではなかろうか。

(3)混迷の時代における先見力の磨き方

 世界潮流の先を見通し、正しく読み取る先見力(Vision)を身につけた生き方が、国家運営や企業経営、個人の人生設計などいずれの場合でも、その安全と安心を得るために重要なことは申すまでもない。

 その要点として先ず留意すべきことは、英語のVisionには、映像的・視覚的にものを「見る」という意味があるが、ここではただ美しい、汚い、高い立派なビルだ、ここは住宅街だ、マンションが立ち並んでいる、商店街だなどと表層的・感情的に周囲の状況を眺めるだけでなく、何のためにその未来を予知したいのかといった目的を明確に頭に叩き込んで、常に物事への新鮮な興味や関心を抱きながら、意識的な感覚と鋭い洞察力での「観」察眼、「看」破力、「診」断力と、現状から将来を予測する類推力、これがこうなればこのようになるだろうといった洞察力、類推力こそが大切である。
 従って、通勤時でも散歩の時でも、楽しみながらも、ちょっと知恵を使って頭で歩き、足で情報を稼ぎ、皮膚で実感するといった習慣を平素から身につけることが重要である。
 たとえば、俗にお金に執着し「ガメツイ」と誤解されがちな大阪商法の真髄も、実は彼らは、地域の発展と顧客の支持なくして商売繁盛はないとの正しい理念と目的意識から、家並みや、道路の車の渋滞、通行客の雑踏を見ても、単に家屋や自動車や歩行者と見たり考えず、商売に関連付けて観察し、何億円の需要があるマーケットだ。大型トレーラーや高級乗用車の通行台数が増加し、人出が多いということは、物流や顧客の移動が活発化しており、景気が上向きな証拠だ。気候の変動や寒暖差も、ただ今日は暑い、寒いでなく、厳しい気象状況の変化があってこそ、夏物・冬物など、それぞれの状況に応じた事業発展のチャンスといったように、すべて前向きに商売に絡めて捉えている洞察力と発想の鋭さ、才覚の巧みさ、「儲かりますか」の日常の挨拶も、人の懐を探る嫌らしさではなく、その返答の反応から、今景気の良い商売、これから発展するであろう事業は何かの情報交換と、お互いプロ商人同士の励まし合いの挨拶なのである。だからケチと始末とは異なり、勤勉、節約、才覚が肝要だという。
 経済予測も、「風が吹けば、埃が舞い上がり、顔や毛髪、衣服が汚れるので、水で洗い清めたくなり、したがってその水を汲む桶を作っている桶屋が儲かる」であろうといった読みの深い連想ゲームのようなものであるから興味深く、ちょっと意識すれば誰にでも出来ることでもあり、決して一部の専門家にだけに必用な難しい高度な理論や知能ではない。
 ただその的中率を高めるためには、目先の数値の机上での分析だけでなく、関連する歴史や科学技術、社会真理までの多分野の幅広い分野の知識と情報、それを収集する目と耳と足と感性、その裏付けを皮膚感覚で確認する現場志向の観察力と行動力が要求されるというだけのことである。
 次に、「歴史と自然は最も良き教科書である(フランスの思想・教育者)」といわれるように、未来の予見は。過去の歴史の延長線上と現状の中にその予兆が潜んでいるものだから、その時点のデジタル的に捉えた静止データの分析だけでなく、過去の推移と現在のデータや情報を時系列的に分析し、未来を予見すること。
 経済動向や景気変動にも、過去の体験から実証されてきた長期・中期・短期の浮沈、好調・不調の波動と、その一定の周期的循環性があり、それは人知を超越した自然界の摂理や、適者生存、適量安泰、生者必滅、新陳代謝、弱肉強食、相互作用のサイクル、共存・共生・共栄の原則に則ったもの、自然界の生態系秩序の浄化・復元作用ともいうべきものであるから、謙虚に尊重する必要があろう。
 たとえば、超長期の400~600年周期説は、人類文明の興隆・発信源の変動といえ、それは南のメソポタミア、インダス、エジプト当たりの文明に端を発し、それが漸次西に移行してギリシャ、エーゲ海、地中海文明の発祥となり、その後は南西ヨーロッパのキリスト教文明、ローマ、スペイン、ポルトガルの発展を経て、更に北上し西北アジア、北欧のプロイセン、英仏の栄光の時代から、北欧諸国、ロシア、北米アメリカの時代への推移し、それしてそれが更に東に移転して、今、日・中・韓などの北東アジア、東南アジア諸国が脚光を浴びるようになり、相対的に南欧、西欧、ロシア、北米の一時の為政が衰微することとなった。現在の争乱は、その過渡期の混迷である。
 この大局的な人類文明や国家繁栄の歴史の流れから類推すると、今後はその重心が再び南に回帰し、南アジアから中東のイスラム宗教圏が世界の政治、軍事、経済の焦点になり、欧米を主体とする自由・資本主義社会は大きな転機を迎えるであろうと読める。
 先見力に優れた過去の日本人としては、戦国時代の織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、幕末の志士、日本の近代化の基礎を築いた明治維新の指導者たちであろうが、彼らに共通することは、この国を将来、そのような国にしたいかという大志と夢を抱き、その理想像をはっきりと頭の中に描き、それに到るアイデアに富んだ戦略や戦法を大胆に取り入れて、迷うことなく強力なリーダーシップを発揮して着手実行し、それに協調・協力する実力のあるブレーンを氏や出自に関係なく登用・活用しながらも、巧みに餌と鞭、信賞必罰、緩急自在の使い分けをし、民衆に期待を抱かせ、その理解と協力・支持を得る心の掌握に長けていたことといえよう。

(4)今後の世界を主導する好ましい理念は?

 このような世界潮流の大きな変化に伴い、近代世界を主導・支配してきた欧米風の自由主義、資本主義、市場主義、収益至上・拝金主義などの理念(Philosophy)にも、その行き過ぎからの力の論理による威圧的支配、過当競争と排他性、貧富格差の増大などの歪が生じ、それが問題視されるようになり、大きな転機を迎え、修整・是正を余儀なくされ、原点回帰といったパラダイムシフト、つまり人類の真の幸福、真の豊かさとは何かが問い直され、改めることが求められることとなってきた。
 好ましい政治や経済の不変の原点は、「経世済民」、「最大多数者の最大幸福の実現」であり、それこそが真の目的、政治や経済は、その目的達成のための手段・手法であり、この目的と手段とを取り違えてはならない。
 真の国力の増大や経済発展とは、各国それぞれなりの置かれた環境条件や事情を無視し、大国の都合が良い画一的なグローバル・スタンダードによる外観的・体格的なGDPやその成長率、貿易量などといった数値の巨大さだけでなく、その内容の質的充実度、環境に即応した成果、即ち国民一人当たりのGDP、所得分配の適正さによる極端な貧富格差の是正、需要と供給の均衡、借金による消費経済の活況より国家財政の健全性、人為的な市場経済好況より実体経済の健全性維持、自然への挑戦的破壊と障害の克服といった近代欧米流の財物的文明の発展だけでなく、自然との調和的経済発展と精神文明とのバランス感覚が良い物心一如の発展、万物との共生・共存・共栄など、GDPよりGDH(Happiness)で評価すべきだ。
 競争より協調と共生、背伸びの数値的経済成長より安定と安心、権威の誇示より善意の互助、目には目とか核兵器には核兵器武装といった武力による対決や解決より、対話と相互信頼、互譲により解決が大切であり、また「財貨多きは徳傷(やぶ)る」ともいわれ、お金が溜まると、かえって人心が荒廃するので、財物的な豊かさだけが幸福や豊かさの価値尺度ではなく、むしろ「人は乏しきを憂へず、等からざるを憂う」ものであると認識し、真の幸福とか豊かさとは何かを考え直すべきであろう。

(5)時流観相術~経済・世相を先読みする要点

 古代中国の賢者である荀子は、社会荒廃の兆しとして、①その装は、華美…民衆の服装が装飾過剰で華美となること。近年のTVタレントのメーキャップやコスチュームを見ていると、基本の修練を積んだ芸の巧みさを売り物にするタレント(有能者)というより、見かけの奇抜さだけで売っている芸NO人といった感があり、このような者がスターと持て囃されるわが国の将来が思いやられ、一億総白痴化の象徴である。②その容は、婦女…男性の容貌・姿態が女性っぽくなると危険ということ。この婦女を蔑視した表現には抵抗があるが、昔の男尊女卑時代の中国社会での表現そのままの引用なのでお許し戴きたいが、物事は陰陽が併立しカバーしあってこそ成り立ち、男女同権は認めるが同質ではないので、それぞれなりの役割分担や振舞い方も必要であろう。③その声は、奇妙…世の中で流行っている歌の歌詞や音曲が、奇妙で潤いや情緒を欠いて厭世的であること。④その風俗は、淫乱…社会風俗でエロやグロテスク、暴力的な犯罪ものドラマが受ける傾向は危険。⑤その志望は、利益…志が小さく低く、拝金主義的、道義より損得が優先すること。⑥その居宅は、豪奢…社屋や居宅などの建造物の外観が必要以上に豪奢で、虚勢を誇示しようとする風潮の6項を示唆している。
 このような経済・世相の先読み法として、以下にその主要な観点を列挙してまとめに代えておこう。

 
  1. 過去の悠久の歴史的事実、数値の推移や人類の貴重な体験から、未来を見通す。歴史は繰り返すものだから、失敗・成功体験の歴史から学ぶことも多い。愚か者は失敗に懲りず、同じ過ちを繰り返し、凡人は体験して初めて気づき、賢者は歴史から未然に危機を悟る。昨今の日本人は、過去の歴史を懐かしむが、そこから学ぶ謙虚さを忘れてはいまいか。
  2. 過去の歴史的流れの延長線上から未来を予見する。そのためには最低でも過去と現在の3期以上の情報やデータの時系列的な分析で、今後の傾向を見通すこと。この場合コンマ以下の細かな数値に拘らず、傾向と程度だけはしっかりと認識することが肝要である。
  3. 表向きのニュースからだけでなくその裏と底に潜む情報を読み取り、1の情報だけでなく2種以上の組み合わせで3~5を学び取ること。
  4. 政治・軍事・経済などの国策から変化を読み取る。政治・軍事は経済に優先する。
  5. 新しい科学技術の発見や製品から、世の中の変化を類推すること。
  6. 俗っぽい大衆の本能や心理の動きから世の中の変化を掴む。
  7. 少し専門的になるが、各種の政府白書や日銀の景気短期観測資料のような官公庁の統計資料から未来を予見する。
  8. 先進的大国の動向から未来を予見すること。アメリカの景気や流行は、ほぼ半年遅れで日本にも伝播してきたが、近年はこの期間が短縮し早くなりつつある。
  9. マスコミタレント評論家には、どうしても所属機関や業界には無難で有利な評価や表現をしがちで、大手シンクタンくといえども、その見通しの的中率は3割程度であるから、これに騙されず割り引いて判断すること。むしろ無名でフリーの評論家の方が、率直で正しい見解を述べ、的中率も高いことが多い。
  10. 経済変動のメカニズムや変動の周期を理解し、変化を予測すること。また一人当たりのGDPや売上額など、一人の単位の基礎データを理解しておき、それと他のデータとの組み合わせをすると、新たで多角的判断のデータや情報が得られる。
  11. マクロとミクロ、自己と相手などといった違った見地からの見方をすることと、自分なりの過去の予測と現実との対比で、その誤りの原因探求と反省を繰り返せば、自然に的中率を高める能力が身につく。

 この他に、ちょっと身近で俗っぽいようだが案外によく当たる景気予測の知恵としては、歌は世につれ世は歌に連れで、泣き節や恨み節の演歌が流行れば不況、明るくアップテンポの曲が流行れば好景気とか、ミニスカートや派手な原色のドレス、アロハシャツの流行は好景気、くすんだ中間色や地味な単色、淡色の小柄模様や無地の服装の流行は不況、ファッション性のある長髪は好況、ショートカットは不況の証、黒・白・グレー無地のスーツは混迷の時代、タクシー運転手の賭け事が盛んになるとどん底不景気などなどである。各位も予測に挑戦してみませんか。

著者プロフィール

経済評論家・ビジネスドクター 芦屋 暁(あしや さとる)

幼少期の貧苦体験から「十分な教養があれば民族も国家も企業も個人も安泰」との信念を抱き、一生涯を人間能力の開発と日本経済・産業の発展に捧げる1本の杭になろうと決意し、都市銀行勤務を中退してフリーの経済評論家・経営コンサルタントの道に転身、大学の教鞭やマスコミ出演を経つつ、過去通算で全国約3千市町村を講演歴訪した実績を持ち現在に至る。庶民派で皮膚感覚の簡明率直な解説がモットー。

資料請求・お問い合わせはこちら。お気軽にお申込み下さい。

製品詳細・資料請求・お問い合わせに関して

製品に関する詳細情報、料金体系につきましては、「資料請求・お問い合わせ」ボタンをクリック後、以下の手順でお問い合わせください。

  1. お問い合わせ種別:「お問い合わせ」を選択
  2. お問い合わせの内容:「○○○」(任意:質問事項・要件など)とご記入
  3. ご連絡先:必要事項を入力し、送信してください。
このページを見ている人はこんなページも見ています

重要な経済指標である倒産をベースに国内経済を把握できます。
倒産月報・企業倒産白書

倒産情報や債権者リストなど経営判断に欠かせない情報誌です。
TSR情報誌(倒産情報誌)

国内を含めた世界最大級の多彩な企業情報をオンラインでご提供!
インターネット企業情報サービス(tsr-van2)

1日2回、最新の倒産情報をメールいたします。
TSR express(TSR情報Web) -倒産情報配信サービス-

TSRネットショップ TSRの商品がオンラインで購入できます!

インターネットエラベル TSRがオススメする就職・営業に役立つ地域の優良企業紹介サイト

TSR Express 1日2回の倒産情報配信・検索サービス

メルマガ登録 無料セミナーやイベントを優先的にご案内!

ページの先頭へ