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新時代への過渡期で混迷した本年

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公開日付:2015.12.25

 「光陰矢のごとく学成り難し」といわれるが、世界秩序の再構築と人類平和実現への道もまた成り難く、21世紀を迎えて早くも15年を経たが、未だに新時代の世界の構図さえも描けないまま、クリスマスのイルミネーションだけは年々華やかになったが、わが国の内・外を取り巻く情勢は暗い不穏なニュースが相次ぎ、不安と不安定さを抱えて本年も暮れようとしている。
 本稿が掲載される頃には、恒例となった本年度の世相を象徴する流行語大賞の発表もされるであろうが、本年の回顧を筆者としては、新時代に移行する過渡期における混迷で生じた、「鎹(かすがい~建材の合わせ目を固く繋ぎ止めるために打ち込む二本足で『コ』の字型鉄製の大きな釘のようなもの)」が外れ、「箍(たが~桶や樽の木片をしっかりとまとめて丈夫にするために嵌める鉄や竹製の輪)」が緩み、諸秩序が乱れた「狂乱の年」であったと総括しておこう。
 なぜなら、国際的には、ISの無差別テロ攻撃と、それに対応する関係諸国の足並みが乱れた無差別的反撃や、世界各地での領土や国境を巡る紛争、TPPは何とか一応の妥結を見たが、参加各国の今後の批准承認過程では波乱・再修正さえ余儀なくされかねないことなど、国内では、大手建築関係業者による豪華マンションの不適切な基礎杭打ち、旧村上ファンドの再度の株価操作疑惑浮上、首相が自画自賛しても、実体経済の確実な体質改善や成長路線への軌道乗せが実感できず、貧富格差が益々増大するばかりであること、何をどうすることかが一向に解らない一億総活躍によるアベノミクスの仕上げ、消費税率アップに伴う軽減税率の是非、諸トラブル発生ですっかり信頼を失くしたマイナンバー制度、再び不動産バブル破綻が懸念されること、幼稚な激情型凶悪犯罪の続発や言葉使いの乱れ、社会道徳性・精神文明の荒廃などといった「一億総白痴化」ともいうべき現象が示すように、まさに年初に予言した通り、新時代のあるべき姿を模索するも曖昧模糊として、未だその具体的な姿も、それに到る道筋も紆余曲折として見出せず、ましてや着実な成果などは期待し得ない未知・未完成、中途半端のままで、むしろ、何もかもが真理から逸脱し、好ましい政治や経済、自由化や市場主義、科学技術の進歩、省力化、人間の幸福の価値尺度など、あらゆる事柄の正しい目的の理解や、それを達成するためのアプローチ手法や対応などを履き違え、言行不一致のすり替えで、間違った道を歩み、「窮すれば通じる」が、逆に悪足掻き小手先の彌縫策的まやかし対応の積み重ねで、もうどうしようもないほどの矛盾と、糸が複雑に絡み合った状態の「窮すれば鈍する」といったマイナス悪循環の混乱に陥る「狂い」が生じ、だから何事も円滑に進まず閉塞し、このままでは、下手をすれば暴走・脱線しかねないとの危険性を感じるからである。
 こういったさまざまな複雑多様で難しい問題をすべて精算・処理しきらないと、世界が全人類が、日本が希求する恒久的な平和で幸福な新時代に生まれ変わることは出来ないが、それは10年や20年といった短期間で簡単に改められる程のたやすいことではなく、通常、過った状態を改め正すには、その状態を生み出すのに要した期間や努力や経費の3倍は必要とされるし、それには全世界各国、全人類の、厳しい地球全体の深刻な現状の正しい認識と、理念や意識の抜本的な改革、競争より協調・協力、目的・目標を一にした、焦らないで根気強い努力が要求されるものと覚悟して取り組まねばならない。
 本年は、戦後日本が再び重大な変化を示した年であったといえる。それは、安倍政権下で一強多弱の独裁政治体制となり、その多数の勢力に頼って一気に、①新憲法の否戦・平和主義、国民主権、自由・平等という基本的で崇高な3大理念が軽視され、憲法改正論議をして国民の納得と承認も得ず、為政者の解釈の仕方だけで都合よく大きな方向転換の舵を切って、集団的自衛のためという美名と屁理屈で、専守防衛の自衛隊を、武器を持って海外に派兵し、必要なら交戦も可能な軍隊にするという、再び実質的な軍事国家に変質・転換させたこと、②主権在民を尊重せず、アメリカの意向に従う米主権の属国化、政・官・財が主体、民衆従の行政となったこと、③自由・平等を、無視し、事実上、大企業や富裕者優遇、社会的弱者の福祉カット、同一労働をしながらも正規と非正規社員との待遇格差などの政策で差別化し、貧富格差の増大を助長するシステム、例えば消費税の軽減税率導入論議でも、所得の如何に係わらない一律扱いでは、購買額が高い所得者の減税感の方が強く逆不公平となるし、その穴埋め財源確保策として、法人関係税制の見直し案でも、赤字中小企業にまで外形標準課税をし、その分優良大企業など主体の業績に応じた法人税率の軽減処置というのでは、所得再分配の適正化とはならず、優越者優遇、弱者切捨てとなる意図的な階級・差別社会としたことの3点である。
 本年に起きた重大な事柄に関しては、先ず第1に、世界的にも国内的にも、世紀転換の節目での主役交代が着実に地殻変動的に進み、それを実感できるまでになってきたことである。
 たとえば、人類の意識変化では、財物的豊かさだけが幸福のすべてではないと気づき始めたことや、厭戦感の高まり、イデオロギーの面では、自由志保運主義と社会主義のいずれについても、その両極端な行き過ぎに批判的になって修正を求められるようになり、従来のような統制・締め付けが効かなくなってきたこと、主導国とその指導者の面では、20世紀を主導した超大国アメリカに対する信頼と、その威圧力が相対的に低下したこと、もう一方の覇権国であったソ連邦の崩壊で冷戦が終結したが、そのロシアが本年になって再び復権を目指し強気な行動を起こすようになってきたこと、今世紀に入って急躍進して日本を抜きアメリカを追い上げ、世界的影響力を持つに至った中国が、早くも成長の頂点から停滞・下降に転じたことが確実になったこと、事実に反した難癖をつけて日本苛めをし、それで国内統制力を強め、経済発展と存在価値を高めてきた中国や韓国が、本年後半からその方針を少しづつ改め、日本との友好回復、欧米と距離を置き、再びアジア重視にスタンスを移したこと、これらにより世界を主導し統制してきた突出したグレートな国や指導者がなくなるGゼロ状態となり、その覇権的主導の善悪は別として、世界の枠組みと統制と秩序が再び大混乱したこと、地球温暖化に伴う異常気象などで、地球の生態系がが狂い待ったなしの深刻な状態になったことなど、世界の基盤構造大変化である。
 第2は、こういった世界的秩序混乱の隙をついてIS国(注:ISを国家と表現することは、国家自治運営主体、国民、領土と国境、国際的認知などが未確定・不明で、国家としての基本条件を満たしいていないので不適切であり、無国籍者のテロ集団というべきもの、またイスラム国やその信者すべてが、好戦的なテロ主義との捉え方も間違いである)などによる卑劣なテロの暴挙が続発、拡大するようになったこと。
 第3は、経済システムや産業・エネルギーの主役交代で、アメリカ流の行過ぎた新自由・資本主義、投資金融市場至上主義経済に疑問が持たれ、その修正が求められるようになってきたこと。
 第4に、家電やIT産業にとって変わるハードとソフトの牽引産業はまだ見当たらないが、わが国が依然としてアメリカ亜流の収益や効率至上主義、人間を機械的に取り扱い切り捨てる経営を追随しているのに反して、むしろ欧米の方が逆に、従来の日本的なビジネス、すなわち多少は高額でも精密な職人芸の手づくりや、効率追求一辺倒でない家族主義的で心の通う人間性尊重の経営、道徳倫理感と信用重視の経営を評価し、それに見習おうとする風潮が高まり、日本ブームが起きたこと。
 第5は、とりまとめで難渋していたTPP問題が、なんとか基本的合意を見たことだが、これに関しては、大国のエゴへの反発や、太平洋圏だが、その仲間から除外された中国の妨害などから、今後の国内での審議・批准過程での難航が予想される。
 第6は、エネルギー政策面で、各国が将来を展望し、漸次、石油、原子力発電からシェルガスや天然エネルギー重視へと転換し、公害規制の強化を図っているのに対し、わが国は相変わらず目先の対応で原子力発電再開を密かに画策していること。
 第7は、大手建設業者による大型マンションの基礎コンクリート打ち工事に偽装などの不正が発覚したこと。これは氷山一角でしかなく、これを契機に建設業界のみならず、多くの大手業績優良とされた企業まで、その不当な収益確保の手口や多層な下請けと丸投げ構造が明るみに出て、信頼に疑問がもたれるようになったが、この事件は、アベノミクスの背伸び姿勢と、意図的情報操作や演出による景気回復、物価の吊り上げなどを象徴する出来事であったといえよう。
 第8は、マイナンバー制度の施行だが、これは事前の説明や周到な準備不足の拙速導入であったため、出足から印刷・配送が予定より遅れるなどで躓きケチがつき、所轄機関の個人情報セキュリティー管理にまで不信が持たれることとなった。
 第9は、急速な外人観光客の来日数増加と、中国人の爆買い現象である。これは、差し当たっては外貨獲得で結構なことではあろうが、長期安定的な将来の経済発展から見ると、ご当地ドラマがTVで放映されている時期には観光客が殺到してみやげ物が売れ地元に好景気感を抱かせるが、その時機が過ぎると急退潮し、宴の後始末、反動不況の方が深刻になるので要注意であるし、中国人買い物観光客の傍若無人さとマナーの悪さは迷惑千万といえる。
 第10に、明るい事項としては、国産の小型ジェットや本格的旅客機の開発再開が成果を見せ、国際的にも日本の航空機産業が認められるようになったことと、もう一つの希望として、純国産宇宙ロケットの打ち上げ成功率の高さが国際的信頼を得て、衛星の商業打ち上げを受注するに至ったことと、これらを支える中小企業の技術水準の高さが健在であることが確認できたことである。
 以上に縷々申し上げてきた現代の多くの世界的問題、今世紀に入ってからの混迷と争乱の発生とその要因を歴史的に振り返って辿ると、宗教理念の解釈の相違から対立に起因するといえ、古くは、世界の3大宗教であるキリスト教・イスラム教・仏教のうちの、根源を一にするビッグ2、即ちキリスト教徒とイスラム教徒によるユダヤ・民族(Jew~これはキリスト教徒の側からの彼らの蔑称)の聖地エルサレムやヨーロッパ大陸からの放遂に端を発するともいえる根深いものがあるが、ここでは11世紀から13世紀にわたる7回にも及ぶ欧州キリスト教徒の十字軍による、イスラム教徒などの異教徒に占拠されていた聖地奪回攻勢と、それに対抗するイスラム勢力との宗教的対立が発生時点と要因であったとしておくが、それだけに留まらず、それに続く宗教目的の争いにより、現実的な経済的利害関係に変容し、実質的にキリスト教勢力が勝利して、以降繁栄を独占し、世界を主導し植民地支配をしてきたこと、元来一神教で他宗教や他民族の存在を認めようとしない独善的な欧米人のカラード(有色人種)に対する優越、蔑視、差別化意識で行ってきた身勝手で強引な国家や民族の分断、領土や国境の設定などが加わって一段と複雑化し、その巨大さと豊かさの弊害の結果が未だに尾を引いて現在にまで到っているものといえよう。
 彼らは元来、常に広大な豊饒の地を求めて移動し続けながら狩猟や遊牧生活をしてきた騎馬民族やバイキングの末裔であり、従って闘争的、競争好きで、リスクテイクを恐れない投機志向が強い民族である。
 従って、彼らこそが最も多く現在の世界的な混迷と紛争に関与してきたので、当然その問題処理と改善についても、ノブレスオブリージュを発揮し、その義務を果たし責任を負うべきであり、わが国がそれに口を挟んだり手出しをしたり、そのいずれかに積極的に荷担する義務も、進んでその渦に巻き込まれる必要もない。
 むしろ中立的公正・公平な立場を貫き通し、もし仲介の労を依頼されたら、十分に是非を検討した上で引き受け、その存在価値を世界に示したことが得策であろう。
 それに対して、仏教や儒教の感化や影響を受けて育った本来の日本人は、八百万の神の存在を認め、他宗教の混合習得で、それぞれの良い点を選別的に受け容れ、宇宙の真理を尊重し、自然界の法則に従い、共生・共存・共栄を図る互助・互譲の精神がある、平和と安定が強い農耕民族であった。それが戦後アメリカ流に洗脳されてから、日本の社会秩序が乱れ精神文明の荒廃が加速したともいえる。
 こういった歴史的背景や国際環境の変化があったにもかかわらず、安倍政権では、アメリカ一辺倒のスタンスをさらに強め、アメリカが日本に毎年突きつける、内政干渉とも言うべき政策要望書に盲従し、アメリカとの同調と連携重視で、国家の運営と安全、経済の発展と国際社会での存在誇示をしようと企図し、憲法の解釈を強引に変えてまで安全関連法の改定、集団自衛での自衛隊の海外派兵を可能とし、民衆の多くもまた、その是非を深く考えず、勝ち馬に乗り遅れないことや、体制迎合でそのおこぼれにあずかろうとする愚かさである。
 自主独立国日本としての主体性を積極的に発揮しないばかりか、アメリカとの連携と協同活動を深め、その主導に従い手先となって、軍事的対抗力を強めようとすることに舵を切り変えたことで、世界は日・米一体の政治・外交・軍事・経済とみなすようになり、これまでの平和愛好の良識あるイデオロギー面での中立的な経済大国、純粋なOECD支援・貢献国といった日本のイメージを改めることとなり、折角戦後からこれまでに築いてきたわが国に対する信頼が揺らぎ、今後は警戒され、当然テロ攻撃の対象ともなり、中国、ロシアはもちろん、韓国やその他の東・南アジア、中東アジア諸国との関係も微妙なものとなるであろうから、アメリカに振り回され、都合が悪くなれば見捨てられるという、プラスよりマイナス面の方が多いのではなかろうか。
 歴史的事実からも、アメリカはプライドの高い独善的で狡猾な、情宣謀略を得意とするご都合主義の国であり、自国より上に立とうとする国の存在を嫌い、難癖をつけて叩き、後から巧妙な正義の理由付けをして恥じず、攻撃をされたらその2倍返し以上の報復をする、執念深く、都合が悪くなると冷淡に見限り、切り捨て、変節するエゴな国である。
 わが国はこれまでにも幾度も、脅かされ、煽てられ、その巧妙な戦略的な罠に引きずり込まれ、その挙句に煮え湯を飲まされ、褒め殺されてきたのではないか。
 日本の対米貿易競争力が強まると、日本製品や安いが悪い、安い給料で収益採算外視で外貨稼ぎの輸出をしている、日本人は働き過ぎだなどとケチをつけ、日本の家電製品や自動車を壊したり、突然の為替相場制度やルールの変更、グローバルスタンダードの押し付けをするなどの露骨な日本叩きをし、その対抗力を弱めるために、バブル経済とその破綻を仕掛け、資本取引の自由化を図って、金融の証券化というビッグバンで、安定志向の強い多額の郵便貯金の証券業界への吐き出しを謀り、対米投資を進めて差益のボロ稼ぎ、相手国日本には差損を背負わせ、TPPでも、自国が主食として必要としないコメの増産・輸出拡大を迫るなど、やりたい放題であり、負ける戦いは挑まず、勝てる見込みが立つと、理屈をつけて戦わざるを得ない状況に追い込み、強引に叩き潰すが、利がないとなれば素早く見捨てて手を引くなどといったことを常套手段としてきたのだ。
 だからTPPの貿易交渉なども、弱小国にとっては両派の剣、大国のエゴ丸出しで、幕末の黒船来航・砲艦外交による開港や不平等条約の締結と同じようなもの、集団的自衛といっても、たとえ不利な戦局になっても、最後まで日本のためにアメリカが血を流すといった保証はなく、その盾として利用され、見捨てられるのは明らかである。
 その裏取引の真実を、外交・軍事的秘密として知らされない国民こそが一番不幸、安倍総理一人だけが陰で「クスッ」と笑む「安倍のみくすっ…アベノミクス」で終わるのではなかろうか。
 来年こそは、過去と本年の問題点を反省し、それを改め、将来への正しい筋道をつける良い年となることを願って止まない。
 本年中のご購読ご支援を深謝し、どうぞさらに良い新年をお迎え下さい。

著者プロフィール

経済評論家・ビジネスドクター 芦屋 暁(あしや さとる)

幼少期の貧苦体験から「十分な教養があれば民族も国家も企業も個人も安泰」との信念を抱き、一生涯を人間能力の開発と日本経済・産業の発展に捧げる1本の杭になろうと決意し、都市銀行勤務を中退してフリーの経済評論家・経営コンサルタントの道に転身、大学の教鞭やマスコミ出演を経つつ、過去通算で全国約3千市町村を講演歴訪した実績を持ち現在に至る。庶民派で皮膚感覚の簡明率直な解説がモットー。

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