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情報保護への信頼にかかるマイナンバー制度

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公開日付:2015.11.27

(1)情報は正しく活用してこそ有益

 本年もボランティア活動で公的施設でのハローウィーンの集いに関与したが、残念ながら当初から筆者が強く提案してきた本来の目的への回帰や粛清開催案は無視され、ただ子供たちの仮装パーティーのようなものになってしまったこと、付き添いの親たちまでがハローウィーンの謂れや意義も知らずに、子供以上に派手な仮装ではしゃぎまくり、善行の手本も示さないでただ甘やかし、お土産を受け取っても「有難うとお礼を言いなさい」としつけることもしないことなどが年々高まってきたことには呆れ果て、来年以降もこのような状態が改められないなら開催への関与断念も考えねばと思っている次第である。
 しかもマスコミまでもが商業ベースに煽られ、こういった風潮に警告を発することなく、その盛況振りを興味本位に報道し、若者の街渋谷や六本木に止まらず、これが全国的に波及し、大人たちの化け物の仮装をした馬鹿騒ぎとなってしまったことは誠に遺憾であった。(まだごく一部だが、過去の反省から、進んで落花狼藉のゴミの後片付けするグループが現れるようになってきた点は結構なことである)
 付言しておくが、元来のHalloween(万聖節)は、発祥地であるスコットランドやアイルランドでは「Guy Fawkes Night」とか「All Saints’Day」と称され、聖人の功績を讃える厳粛な宗教的行事の前夜祭として11月5日に行われていたのだが、この風習がアメリカにも伝播して収穫祭と混合され、10月末日に、収穫した大きなカボチャにユーモアでお化けの顔などを彫り抜き、門口に飾り、子供たちが聖人に見習って各戸を巡回し、「Trick or Treat …(厚遇し協力をしてくれないと悪戯をするぞ)」と冗談を言って募金活動をし、そのお駄賃としてお菓子などを戴くといった、幼い頃から社会奉仕活動やジョークの大切さを教える社会行事となったものだが、日本ではその本来の主旨が全く理解されずに商業的に利用され、単なるお化けの格好をした仮装行列や子供のお祭りパーティー、さらには大人も交えお菓子のお土産を貰う馬鹿騒ぎの日というような似て非なるものとなってしまった。
 前置きが長くなったが、このように昨今のわが国では、幕末の渡欧米使節団のように、先進諸国の良い制度や社会風習などを正しく見習い導入すると同時に、伝統的自国の良い点も温存し、巧みにアレンジして普及させるといったことなく、表層的現象だけを見習い、商業的販促手段として利用し、誤った悪い取り入れ方をし、その方が定着する「悪貨は良貨を駆遂する」といった傾向が強くなってしまった。
 国家や企業などといった組織は、それを主導するトップの理念や姿勢を恐ろしいほど反映する鏡であり、その器量以上には決して成長発展しないといわれるが、こういった好ましくない現象もすべては、戦後のアメリカの似非、亜流と追従、大企業・資産家優遇、社会的弱者の煽て殺し、問題の本質的是非の論理的検討・論議でなく、些細な言葉尻を捉え大きく騒ぎ立てる過剰反応・反撃、最近巷で流行言葉となっている正しくない日本語の「私の中では…」とか、粛々が実際はひそひそ内密に謀りごとを進めること、認知することは大切で正常で病気ではなく、認知できなくなることが異常な病的問題であるのに「認知症」ということ、自己の確たる主張を曖昧にぼやかす表現方法などという悪習の横行も、「民は由らしむべし、知らしめるべからず」という名言を曲解したタイプの、国民の模範たるべき最高権威為政者たちの好ましくない姿勢の悪影響を受けた結果といえよう。
 彼らは、「民は由らしむべし…」といった名言の意味を、「民衆には余分なことを知らせる必要はなく、ただ従わせ票田として利用すればよい」と受け止めているようであり、だから国会審議でも、のらりくらりと抽象的な美辞麗句の自画自賛的なまやかしの説明に終止し、庶民にまでわかりやすく真実を伝えようとせず、十分に審議を尽くし、国民の声にも耳を傾けましたといった形をつけるセレモニーのような出来芝居を演じ、会期末になれば一気に数の論理で強引に多くの法案を可決するといった手法は、党利党略の駆け引きや国会運営の悪知恵、政権の人気取りと維持策には長けているが姑息であり、決して好ましい政治姿勢とは言い難いものである。
 この名言の正しい真意解釈は、「大部分の民衆は、難しい理論で説明し納得させようとしても無理なので、それよりも平易な言葉で簡明に要点を正確に説明し、自らの平素からの言行一致、率先垂範の正しさで、「あの人の言うことだから、信じてついて行けば間違いなく幸福にしてくれる」といった信頼を勝ち取ることの方が有効で肝要だ」と理解するのが正しい。

(2)混迷する拙速導入されたマイナンバー制度

 こういった典型的な例が、今次国会の安倍内閣での安保関連諸法案やマイナンバー制度の導入などにおいても多々見受けられた。
 わが国は議会制民主主義、自由主義の国であり、その理念の具現化のために必要な諸種の法規に基づき運営される法治国家である。その主要な法は、「①憲法、②民法、③商法、④民事訴訟法、⑤刑法、⑥刑事訴訟法の6法で、これで国民としての遵法の義務と権利が定められ、現代の時流への対応としては資本主義体制が好ましいとされ、それ則って運営されている。
 この6法の中で②~⑥の5法は、国が、国民にその尊重と遵守を要請するものであるが、最重要な基本法である①憲法だけは、逆に国民が、国とその行政の行動を規制、監視し、その厳格な尊重と遵守を要請するものであるが、この主体である国や為政者には、憲法に反したり逸脱した判断や行為があっても、裁判所から違法の指摘、忠告、改正要請を受けるだけであり、公僕としての良識での自己修正を信じることや選挙での審判を仰ぐということで、罰せられることはない。
 従って国民や国家の将来に重大な影響を及ぼすような重要な決定事項に関しては、国民に十分説明し理解と納得を得ること、国民の審判を仰ぐことが重要であり、それを曖昧にしたり、勝手な拡大解釈だけで済まそうとするような姿勢は、公明正大で妥当な行為とはいえず、決して看過、容認し得るものではなかろう。
 このような観点からすれば、今月からスタートするマイナンバー制度の導入については、政府や行政側はもちろんのことだが、国民側にも、どちらもどちらといった感がある。
 国民側の姿勢としては、国民健康保険にしろ年金手帳にしろ母子手帳にしろ、国民としての存在や生存する実態を明確に立証して届出る義務を果たし承認を得てこそ、国民としての存在と地位が確立し、安心・安全が保証され保護される権利も生じる。
 そのために政府としてもその確認と不正を排除し公正・公平を期するために、定期的に国勢調査や事業所経済調査などといった悉皆調査を莫大な費用をかけて実施している。
 にもかかわらず、その調査に対して、プライバシーの護持に無影響な姓名だけの表札や看板の表示もせず、国政の基礎的な調査であったも、自分には関係ない、政府は庶民生活の実態を理解しようとしないと非難し、非協力的に拒否し、国家や地域社会の恩恵を受けながら、その運営経費の分担金、社会共同生活の会費ともいえる納税や勤労、学習の義務には無関心で果たさず、脱税や不正受給さえもするといった姿勢で、それでいて公的な保証・保障や保護の権利だけは強力に主張するといった身勝手さは許さないであろう。
 近年、プライバシーということを感情的に曲解し、自己本位に、個人的なことに干渉するなと抵抗感を抱く傾向が強いようだが、さりとて自由さを主張する代償として、自己の責任ですべてを処理、解決できるのかといえばそうでなく、友達に薦められたから、皆がやっているから、テレビで言っていたからなどと他者のせいにし、事の善悪を自己責任で正しく判断せず、良いことより、エスカレーターの駆け下し、嫌がらせメールの横行、スマホを見ながらの歩行、付け火、ストーカー行為、凶悪犯行など、むしろ社会の悪い面の方を真似しがちで、陰湿、卑劣化しており、悪事でもテレビ報道されると英雄になったと勘違いしているなどといった大人の幼稚化が目立つが、これでは真に自我に目覚めた立派な人間の判断や行動、真の自由・民主主義国とは言い難い。
 自己主張や企業PRはしたいが、表札は出さず自分の住所を聞かれるとプライバシーだからと言いたがらない、どんな事業なのかが一見してもわからないカタカナ和製合成英語のカタカナ社名などは、何か知られたくない胡散臭さを秘めていることの裏返し、心に矛盾のねじれがあることの延長自我現象といえよう。
 それでも、身近で受益を実感し得る健康保険や年金への加入には積極的であるのだから、マイナンバー制度に関しても、この点の十分な説明で理解と納得が得られ、これに関与する行政関係機構への信頼さえがあれば協力は得られ円滑な運営が可能となろう。
 行政当局側の姿勢に関しても、昨今は、憲法解釈の見直しや集団的自衛権の行使を巡る安保諸法案の改正、領土紛争問題の解決、マイナンバー制度の導入などに関して、こういった事前の十分な研究も理論武装も、内政・外交共に含めた周到な準備も根回しも、善悪両面の公明な説明など「理解を求めるに言葉と時間と努力を怠るな」といった鉄則を無視し、安倍首相の思いつきのような独断専行で拙速導入し、国民の声はその代弁者である与野党の議員を通じて十分に聞いたとし、実際には形式だけで聞き流し、聞き入れようとしなかったこと、これまでも消費税率のアップなどで、選挙に勝つためや法案を通すために、不利なことには一切秘めて触れず、都合の良いことだけを強調し、その後漸次福祉のカットなどに態度を豹変させたという苦い体験と不安もあり、その上に行政関係筋の個人情報漏洩や不祥事件が重なり、実施前にケチがつき、すっかり信頼を失し、それを強引に数に力で押し通したところに無理解と混乱、不信、抵抗感を抱く原因があったといえよう。

(3)マイナンバー制度の概要と問題点

 既にパンフレットなどでご承知であろうし、もうマイナンバーの通知書を受け取られた地域の方もあろうが、念のため改めてその概要を述べておこう。
 マイナンバー制度とは、政府の事前説明用の小冊子によれば、「①マイナンバーとは、正式には「個人番号」、行政上の専門的には「社会保障・税番号制度」といい、②本年の10月現在で住民登録をしている国民の老若男女を問わず全員を対象に、③一人一人に12桁の特定番号を割り振って付け、一生涯この番号は変えられることなく(事故対応の場合などは除く)、④税務署などの国家機関や地方公共団体、健康保険組合などがもっている個人のさまざまな分野の情報を、同一人の情報かどうかを確認する社会基盤で、⑤基本的に、社会保障、税、災害対策の3分野で活用することにより、⑥この番号を記した証書やカードを提示することで、⑦実存する本人であることを行政側は確認、国民側は立証できるIDカードとなり、⑧申告・申請等が簡単でスピーディーに済ますことが可能となり、⑨ひいては国民サービスのより一層の向上に繋がるものである(注:一部筆者の注釈的説明を補足)」とされているが、比較的に抽象的で、国政の簡便と機能化が主眼、その結果、間接的に国民生活の利便にも役立つものといった国民が従の説明となっている感が強い。
 しかも何か奥歯のものが挟まったような表現の説明であり、ここでも欧州先進国の多くでも韓国でも既に同様な制度を実施しているから日本でもやるという姿勢が見受けられ、この制度を良しと主体性を持って判断し導入を決断した理由、その理念や目的、行政側及び国民側それぞれにはどのような問題もあるが、それを上回るこのような利点があるのかないのか、そして国民が何より危惧している、個人信用情報保護への取り組み、万一の場合に備える守秘・安全管理体制をどうするかといった具体的対策、違反した場合の罰則などの説明は不十分である。
 カード化するかどうかは個々人の自由選択で、改めて別途、後日の申請提出が必要というのも中途半端な妥協の産物なのであろうが、本当に便利で安全性があるものなら全員カード化又はアメリカ軍兵化の認識証のようなペンダント形式、常時携帯の義務づけ、総括的保険加入で安全性をカバーし、無料公布とすべきものであろうし、基本的に3分野に限っての活用となっているが、これも法案を通すための方便でしかなく、あくまでも基本的であって、その導入後の経過を見て、近い将来には、例外・応用活用の分野拡大、他分野との連携活用ともなりかねないのではと危惧する。
 政府の本音の目的をはっきりいえば、個々の分野ごとの利便性では、これまでの制度での個人の固有番号と加入者証書・手帳、管理体制でも特別に問題はなかったのであるから、要は行政の合理化、機能化、特に財政確保のための国民のフロー所得と資産管理の掌握厳格化、脱税防止と摘発強化(欧州や韓国など、この制度導入の先進国における導入目的も、善意を信じた自主申告納税制下での脱税・不正案件増加への対策である)、国民生活の実態の総合的掌握感、縦割り行政の弊害が指摘されきたことを逆手にとった、各省庁間の情報交換と共有化、行政により国民総括管理の強化にあるといえ、実際上は「マイナンバー」、「個人認識カード(ID)」というよりも、国家や行政による「国民個人情報・生活実態の総括管理制度」というべきものであり、これも為政者による都合の良い法の拡大解釈や悪用があれば、国民は丸裸にされ、すべてを監視・管理されることとなりかねず、特定権力者による独裁的な権力と武威、圧力、情報統制よる国家統制管理といった社会・共産主義国の国家運営体制以上に、実質的には数値的事実に基づく冷徹で厳しく実効的な国家や為政者による国民の掌握と管理、国家運営体制ということになろう。
 国民にとっては、所得を厳格把握され、副業収入などの脱税がし難くなるといた不埒な不満は論外だが、分野ごとの個人番号やカードが一枚のカードに統括されるので簡便になると言われても、分野ごとの数枚のカード管理も統括カード一枚の保安管理にも、それほどの簡便性向上のメリットは感じず、むしろそのカード一枚を万一紛失したり盗難に遭った場合に悪用される被害、情報漏洩、プライバシー保護の心配といったことや、個人のプライバシーがそこまで監視・管理されることへの不快と不安の抵抗感、心理的負担の方が重いし、公的福祉保護の受給者などの一部を除く大部分の者にとっては、身分証明書の提示など、日常それほど利用頻度があることではない。
 事実、導入当初の国民の理解不足と不安心理の混乱につけ込んでのことであろうが、もう既に数件・数百万円ものマイナンバーに関する詐欺事件と被害が発生しており、今後も、この重要な個人情報が豊富に盛り込まれた、企業の販売促進のためには喉から手が出るほど美味しいデーターベースの入手を巡る情報漏洩や汚職事件が絶対に発生しないとも言い切れないし、現に導入先進国では、病歴を理由に就職が制約されたり、退職を迫られたという例も出ている。
 企業の経理や給与支払い部門などこの制度に関係する分野では、むしろ制度導入への対応としてのシステム変更の当初費用負担、企業内制度や管理規定の改定、支払い長所の克明な提出などといった平素の事務処理頻雑化の負担が余分にかかるので大変であろう。
 行政側自体のこれに関する当初の制度導入費用投入、事務負担、民間費用負担の助成などを考えると、税脱防止や徴税の厳格化により得られる税収増と徴収費用との関係ではそれほどの得策ともいえず、従来の制度の改善だけで済むことも多いことなどを深慮すると、この拙速導入を図った安倍政権には、次の手として、近い将来に、さらに多種多様な分野の情報の収集と、その多様な目的での利用など、何か奥に秘めた意図が隠されているのではないかと疑いたくもなる。
 従ってマイナンバー制度導入の成否は、情報を総括管理する行政や関係当事機関の守秘義務の徹底、情報漏洩防止体制強化、安全・危機管理体制の整備、適正な情報収集・活用の良識と姿勢、道徳・倫理観などを通じ行政が国民の信頼をどう獲得し得るかの如何にかかっているといえよう。

著者プロフィール

経済評論家・ビジネスドクター 芦屋 暁(あしや さとる)

幼少期の貧苦体験から「十分な教養があれば民族も国家も企業も個人も安泰」との信念を抱き、一生涯を人間能力の開発と日本経済・産業の発展に捧げる1本の杭になろうと決意し、都市銀行勤務を中退してフリーの経済評論家・経営コンサルタントの道に転身、大学の教鞭やマスコミ出演を経つつ、過去通算で全国約3千市町村を講演歴訪した実績を持ち現在に至る。庶民派で皮膚感覚の簡明率直な解説がモットー。

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