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リースビジネス取引の実際

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公開日付:2015.07.10

(1)定着した感があるリース・ビジネス取引

 リース(Lease)取引というビジネス手法がアメリカで生み出され、わが国に導入されてから約半世紀を経て、近年ではこのシステムを利用している企業が多く、一般家庭でも高齢家族の介護機器の賃貸などで活用され、今ではすっかり定着した感がある。
 しかし普及の反面で、大手企業の長期大型設備投資時における慎重なリースの導入を除けば、中小企業や個人営業者、一般家庭の多くではリースの利用を、自動車やビデオをレンタルするような気軽な感覚で、レンタルとリースや、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースとの違いも理解せず、契約書の内容についてしっかり読んだり質問もしないで、初期投資負担がかからないから便利だなどと利用したものの、後日となって、賃借物件の汚損賠償責任、契約時の十分な説明責任不足などをめぐるトラブルが発生してから、関係機関に苦情を寄せるといったケースが増加している面があることも事実である。
 筆者自身もリース取引契約については、小型のオフイス・コンピューターがリース契約つきで発売されはじめた頃のことだから、もうずいぶん古い話になるが、苦い思い出がある。
 当時、小生が利用したオフ・コンのメーカーは、ワープロ機能と会計管理業務に特化した規格ソフトをパッケージにし、会計事務所を主対象に、比較的に廉価、立ち上げも簡単で早いことをセールス・ポイントとして発売し、それが受けて急成長・発展し、成功したベンチャービジネスのモデルとしてマスコミでも時代の寵児と大々的に取り上げられていた。
 この会社の営業マンから販売促進教育の依頼を筆者が受け、自らも実際にその製品を利用してみないと良い実効的教育が出来ないとの考えと義理買いといった面もあって購入したのだが、機器は早速に配送されてきたものの、肝心の主要機能の会計ソフトの開発・提供が急速な会計制度や税法の改正があって数ヶ月も遅れたので、折角高額で購入したこの機器の稼働・活用が出来ないままでいたところ、突然にこの企業がソフトの連続的な変革の経費が嵩んだことが原因となって倒産・消滅してしまい、計画倒産の詐欺ではないかと社会問題にもなったが、結局は、ない袖は振れずで、契約破棄も、リコールも、買い戻しも不可能で、機器は機能して実用出来ないままの鉄の塊と化し、この会社と提携していた企業のファイナンス・リース料の支払い負担だけが残り、高級新車1台ほどの損害を受けることとなったのである。

(2)リース・ビジネスに関する基礎知識の再確認

 リース(Lease)というビジネス手法が発案されたのは1950年頃のアメリカで、1952年にはファイナンス・リース専業企業が創業し、わが国にも1963年に導入され最初の企業が開業した。その後高度経済成長と企業の旺盛な長期設備投資意欲という時代背景もあって、都市銀行や大手商社、メーカー企業が関連事業として相次いで進出し、国家政策としてもリース企業に対する特別融資制度やリース信用保険制度などで支援する姿勢を示したこと、目覚ましい技術革新や経営合理化に柔軟に対処する企業ニーズの高まり、資産の自己所有より状況に適応する流動的な利用をといったユーザー側の価値観の変化とニーズの高まりもあって、その利用メリットが漸次認められるようになり、将来の市場拡大・発展性も期待され、約半世紀の歴史を経て、今では民間企業設備投資の約2割がリースであるといったように、経済社会と産業界での一定の位置を確保し得るようになった。
 「リース」とは、広義では「賃貸借や賃貸借契約」を意味する英語であるが、狭義では、「リース会社が、主として企業などが選択した機械設備等を購入し、その物件をその企業に対して比較的に長期的(原則1年以上)に賃貸して、これに対する賃貸料収入を得るビジネス取引の手法、企業等にとっては、自己資本による初期の設備投資負担を軽減して動産や不動産の設備調達の手段となるメリットがあるビジネス取引の手法をいう」とされ、一般的な民法の消費性格資金などの賃貸借とは区別して用いられている。
 「リースとレンタルとの違い」は、賃貸借に関する手法の言葉には、レンタ・カーやレンタル・ビデオなどレンタルの方が馴染み深いであろうが、リースもレンタルも、賃貸借という手法や法的な権利と義務、つまり「当事者の一方(賃貸人)が他方(賃借人)に、一定期間、ある特定物の使用・便益を認め、その対価とし賃借人が使用料(賃借料)を支払うという取引で、対象となる物件の所有権は賃貸人(リース会社やレンタル企業)にあり、契約期間終了後またはその期間内に、その物件は賃貸人に返還されねばならない」ことには変わりはない。
 しかし、①使用目的が、リースは、主として企業に必要な機械設備等を導入するためであるのに対して、レンタルは、日常生活、趣味、レジャーなどで一時的に使用するためであること、②従って使用する主要対象物件も、リースが不動産設備や機械設備、コンピュータやコピー機、応接家具、社用自動車などの営業・事務用機具類など、大規模・大型で高価額、当該企業の希望に沿った独占的使用であるのに対して、レンタルは、小型で比較的に低価額であり、当該物件の使用権は、契約期間中は賃借人の独占使用だが、それ以外の期間には、同一物件を不特定多数の他者にも回して賃貸し得ること、③独占的使用期間が、リースが1年間以上と長期間であるが、レンタルの方が数時間から1年以内の数時間、日、週、月単位で、最長一年以内と短期であること、④使用者(利用者、ユーザー)が、リースは主として企業、レンタルは主として個人であること、⑤リースには、ファイナンス・リース(詳細説明は後述する)という一種の金融システムもあるが、レンタルには金融システムがなく、短期の割賦賃貸料払いは認められても、オペレーティング(利用)機能だけであること、⑥物件の保守・修繕については、リースがユーザーの責任負担であるのに対して、レンタルはレンタル会社の責任負担であること、⑦物件の瑕疵(隠れた欠陥)担保責任は、リースの場合は賃貸しリース会社は免責され、レンタルの方は賃貸しレンタル会社の負担となること、⑧中途解約に関しては、リースは原則不可で、万一の中途解約では残額リース料相当額の損害賠償金の支払いが必要だが、レンタルでは随時、違約金なしで可能であることなどが大きな両者の違いである。
 リース事業を営む企業には、営業規模的には、ユーザーが希望するほとんどの幅広い物件を取り扱う総合リース業、医療器具や自動車など特定の絞り込んだ物件だけを取り扱う専門リース業、営業地域を限定した地域リース業など、母体企業の業種別では銀行・信金系、商社系、メーカー系、独立専門系などに分類され、やはり総合リース業は金融機関系と大手商社系が、専門リース業はメーカー系が主体をなし、大手グループだけで圧倒的なシエアを占めるが、ユーザー企業にとっては、リースを利用することで、長期設備投資に要する資金繰り負担、経理処理・事務管理面で負担が軽減され、リースに対する担保も不要などといったメリットがあるので、そのニーズと支持を受け、リース業界全体の発展状況は、企業のリース利用率状況が30年前には40%程度であったのが、近年では90%超という目覚ましい成長振りである。
 一般的な取引契約成立は、口頭も含めた契約合意成立時をもって効力が生じるとされ、当事者間の合意があれば、成立と効力の発生時を分けることも出来るとされているので、リース取引での契約も、物件の引渡し有無に係わらず、リース会社とユーザーとの合意締結時点をもって成立・効力発生とも考えられるが、金融が伴う取引というリース契約上は、ユーザーがリース会社に発行した物件借受証記載の借受日をもって、物件がリース会社からユーザーに引き渡されたその日から、ユーザーのリース料支払い義務と物件の使用収益を得る権利が発生することになっているので注意を要する。
 リース取引は、契約内容の違いで「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」とがあり、現在ではファイナンス・リースが圧倒的主体で、リース会社の業務と収益の大部分を占めており、民法の賃貸借とは異なる特徴を有している。
 この他に「メンテナンス・リース」や「レバレッジド・リース」と称されるのもあるが、これらはいずれもファイナンス・リースの部類に入る関連手法である。

 1)ファイナンス・リース 

 ファイナンス・リースとは、金融的側面を有する賃貸借取引のことで、法人税法施行令やリース会計基準で定義づけられるが、

  1. 契約期間中での途中解約が出来ない(中途解約禁止)こと
  2. ユーザー(使用=賃借人)は、リース会社(賃貸人)がその取引に投資した機械設備等の取得価額や資金調達コスト、固定資産税、保険料、管理費などの資金の全額をリース契約期間中に支払う(フル・ペイアウト)ものとする
という二大要件を備えたリース(賃貸借)をいう。

 つまり、機械設備等の充実を図りたい企業が、独自でその取得のための自己投資や資金調達で物件を購入・取得し、保有することなく、企業が購入する代わりにリース会社が企業のニーズにあった希望する機械設備等を購入・取得し、当然その所有権はリース会社にあり、それを長期にわたって賃貸(リース)し、借り手の企業は解約が禁止されているリース期間中に、上記代金に相当する全額を長期的に分割し賃借料(経費)として支払い、貸借の決裁をつけるシステムなので、ファイナンス・リースは「金融的側面が付加されている賃貸借取引」といえるものである。
 借り手のユーザー企業側としては、設備投資のための初期投資にまとまった資金を調達する必要がなく、自身の資金繰り負担、金融コスト負担が軽減されるメリットはあるが、反面、リース物件は自己保有の流動資産または固定資産の充実、それを担保として信用の裏づけには出来ず、もちろん減価償却の対象物件ともならず、費用項目が金融費用からリース料に代わるともいえるので、その導入にあたっては、自己投資した場合の資金調達コストとリース料とのいずれが損得かを考慮する必要もあろう。
 ファイナンス・リースの契約書には、ユーザーの、

  1. リース物件保守・管理・修繕義務条項
  2. 瑕疵担保責任(行為や物、権利、性能などに本来あるべき要件や性質の隠れた欠損の存在が明確に立証された場合、売り主や貸し手側の担保責任となり、それが履行されないと、契約取り消しの意思表示も可能になる)条項
  3. 危険負担(盗難、火災などによりリース物件が滅失・毀損した場合の損失の負担)に関するリース会社の免責条項
など、民法の賃貸借規定とは異なる内容が含まれている。
 その上に、ファイナンス・リース取引を賃貸借取引として処理するためには、税法の規定に従う必要があり、リース期間が耐用年数の70%~120%(耐用年数が100年以上の場合は60~120%)の範囲でなければ、税法上、その取引は売買として扱われる。
(注:現行のリース取引期間の平均は約6年といわれており、たとえばパソコンの耐用年数は4年であるから、その70~120%として、ユーザーは2~5年以内の範囲で希望するリース期間を決めることとなる)
 このようにファイナンス・リースのリース期間は耐用年数を基準に決められるので、比較的に長期間になる。また、後述するオペレーティング・リースと異なり、ユーザーが希望する全ての機械設備等が対象となるため、わが国ではリース市場の9割以上をファイナンス・リースが占めている。

 2)オペレーティング・リース 


 オペレーティング・リースとは、ファイナンス・リース以外のリースサービスをいうが、リース会計基準でも、ファイナンス・リースのような「中途解約禁止」と「フル・ペイアウト」のいずれかの要件を含まないリースを、すべてオペレーティング・リースとすると規定している。
 オペレーティング・リーズは、

  1. 一定の解約禁止期間は定められているが、それ以後は原則として予告をして随時解約できる(一部、中途解約できない契約の場合もある)
  2. リース物件の残存価格を控除してリース料が算定されている。即ち中古物件を再リースを受けて利用した場合などは、ユーザーは、リース期間中に、リース物件の新品取得価額と諸費用の全額を支払う必要がない(ノン・フル・ペイアウト)
  3. 比較的少額物件の短期間のリースとして利用される
  4. 上記の②③から、税法上の特別な規定が無い
  5. 従って税法上からのリース期間の制約を受けず、当事者間で自由に決められるなどといった金融的側面を有する取引のファイナンス・リースにはない特徴があり、ゆえに、「より賃貸借に近い取引」といえる。

 ユーザーにリース物件の保守・修繕義務条項や、瑕疵担保、危険負担に関するリース会社の免責条件が契約書に定められている点はファイナンス・リースと同様だが、フル・ペイアウトではないため、一定の条件で中途解約が認められ、また契約違反をした時にユーザーが支払う損害賠償の額も異なり、比較的軽度となる。
 したがってオペレーティング・リースは、「必要とする期間だけ、物件を一時的に賃借して利用したい」というユーザーのニーズに対応するためのリース・サービスであるから、ファイナンス・リースより格段にリース期間が短期である。
 一方、リース会社としては、オペレーティング・リースでは、リース物件の残存価額を控除してリース料を算定するため、契約終了後あるいは中途解約後、ユーザーに残存価格で買い取ってもらうか、別のユーザーにその物件をリースするか、または売却処分するかをすることにより残存価額を回収する必要が生じる。
 それゆえに、このリースの対象物件は、汎用性があるもの、中古市場が整っていることが前提となり、例えば日本では、ベビーベッドやベビーカー、介護器具など、レンタル・サービスの旅行鞄、キャンピング用具、スポーツ用具、イベント用グッズなどと競合しない、もう少し中・短期の物件に限られることになるので、リース業におけるシエアがファイナンス・リースより圧倒的に低くなっていたが、近年では日進月歩の技術革新でライフ・サイクルが短縮し、所有するより利用する方が便利と感じられるようになったこと、中古市場が発展したことなどもあって、小型オフコン、パソコン、建設重機や機器、工作機械などと対象が広がり、オペレーティング・リース市場の拡大発展が期待されるようになっている。
 そういった意味では自動車や飛行機などは中・短期利用の好対象物件ではあるが、これらは特別に高度で複雑な専門的保守・管理・一般修理・事故修理・定期検査などが要求されるので、「その他のリース」として分類され、ファイナンス・リースの一種としての「メンテナンス・リース」でカバーされており、今日の日本では、企業利用の自動車リースの60%以上はメンテナンス・リースであるといわれている。
 その他のリースには「レバレッジド・リース」というのもあり、これは飛行機のような高額な物件を対象としたリースで、賃貸人が複数の投資家からの資金提供をレバレッジ(梃子)にして高額物件を取得し、その物件をユーザーにリースするものであり、わが国の航空会社のほとんどがこのリースを活用している。
 リース・サービス事業のメリットはこのように、金融機関の関連業容拡大、メーカーなどサプライヤー、借り手企業の設備投資促進や経営合理化、リース料の経費処理など、国家経済や産業活動などの多方面に好影響を及ぼすが、反面、企業としては、直接借り入れより割高、リース会社から物件の保守・修繕が受けられない、リース料は固定などといったデメリットもある。要は目先の利得だけでなく、企業のニーズや信用に対する価値観、直接資金調達とリース期間による利用料との損得などを慎重に検討し、利用の是非を判断することが肝要である。

著者プロフィール

経済評論家・ビジネスドクター 芦屋 暁(あしや さとる)

幼少期の貧苦体験から「十分な教養があれば民族も国家も企業も個人も安泰」との信念を抱き、一生涯を人間能力の開発と日本経済・産業の発展に捧げる1本の杭になろうと決意し、都市銀行勤務を中退してフリーの経済評論家・経営コンサルタントの道に転身、大学の教鞭やマスコミ出演を経つつ、過去通算で全国約3千市町村を講演歴訪した実績を持ち現在に至る。庶民派で皮膚感覚の簡明率直な解説がモットー。

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