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危ない日本の災難回避策

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公開日付:2015.05.15

(1)日本はリスクの多い国

 わが国は四季折々に変化があり、美しい花が咲き、多種の動植物や産物にも恵まれ風光明媚であるが、一方、昔から恐ろしいものは「地震、雷、火事・親父」などといわれたように、その立地環境や気候風土、国家構造などから見て、天災や火災、自給のアンバランスからの経済の不安定さ、軍事防衛、産業公害など種々の災害や危機が多発する要素を抱えた国でもあり、しかもそれが現代では、地震や津波、台風、火山爆発などの天然災害の他に、国際リスク、産業公害、情報漏洩などの人為的災害も増大し、益々多様・複雑化する危ない日本となってきた。

 このようなさまざまな危機の増大に対処し、日本を救い、国民が永久に物理的にも経済的にも精神的にも、安全・安心で安定した生活の出来る、豊かで平和な国家を確立するにはどうすべきかを本稿では考察してみよう。

(2)先知恵も後知恵も出せないわが国の危機管理体勢

 近年も、1995年(平成7年)の阪神淡路大震災に続き、2011年(平成23年)にも東日本一帯10都県の広域にわたる大地震・津波が発生し、その上に原子力発電所の破壊・原子炉の融解、放射能飛散という未曾有の大災害も併せて体験し、またつい近日にも、日本の中枢部である首相官邸の屋上に、放射性物質を搭載しているとされる自動操縦の無人飛行物体ドローン(中国製のPhantom―2型)が落下しているのを1日以上も気づかなかったという、文字通り怪しげな事件が起きたが、それに対する政府の対応は、「想定外の災難」というばかりで、常に危機回避の予防的な先知恵も、事後処理対応の後知恵も十分に発揮できなかった。
 しかも一過性の国民性もあり、過去にもこういった大災難を幾度も体験しながらも、その被災原因を探求して問題点を反省し、そこから学び、根本的に改める対応をとることもなく、このような強烈な苦難の記憶を風化させるのも早いのではなかろうか。
 事実、東日本大災害からまだ4年でしかないにも係わらず、未だに筆者が居住する区内にも数百人の東北地方の被災避難者が仮在住され、いつ帰郷できるかの見込みなどの生活設計が立たない状況であり、目下、筆者自身も、その支援ボランティア活動を継続中だが、もう既にこれに対する周囲の関心が薄れてしまっていることを痛感している。
 「自然と歴史は最も良き教科書」とか、「愚か者は失敗に懲りず、同じ過ちを繰り返し、凡人は体験して初めて問題に気づき、賢者は未萌に危機を予見・察知して、それを君子危うきに近づかず、未然に予防・回避する」といわれるが、まさにわが国は、戦後の平和の持続と経済度成長に酔ってのことか、バブル経済崩壊後の混乱など諸環境や事情の急変があっても、相変わらず過去の歴史的事実や失敗体験から、反省して学ぶことがなく、再び証券金融投資バブルに浮かれ、原子力発電の再稼働や、安保法の拡大解釈による誤魔化しで、自衛隊の軍備強化や海外や海外重武装備派兵を容易にすることを画策するなど、意識の革新も鈍く、本来的にリスクの多い国でありながら、楽観的で、危機管理対応が不適切で、後追い政策に終始している。
 東日本大災害の復興に関しても、今回の災難は1千年に1度あるかどうかの想定外の不幸な出来事と甘く受け止め、津波対策の防波堤嵩上げ基準を15m程度の高さと設定しているが、宮城県唐桑町の津波記念館には、昭和8年のチリ津波による波高は32m、石垣島でも30mほどであったとの記録も残っているので、決して想定外ではなく、自然の猛威を軽く見ず、あらゆる事態を想定して官民一体で平素から対策を講じておく必要があったのではなかろうか。
 木曾御岳山の噴火時でも、緊急退避壕の設置不十分さ、緊急時の避難通報で「どちら方向の風上に向かって退避せよ」といった行き届いた適切な誘導がなく、さらには「噴煙が舞い降り…」とのニュースを聞き、「噴煙は上空に立ち昇るものであり、噴石混じりの降灰落下だから危険性が高いのではないか?」と素人でも奇妙に感じたほどのお粗末さであったし、首相官邸屋上の無人機ドローンの落下事件に至っては、目下世界中でテロ警戒が強調され、日本もテロ攻撃の標的とするとまで警告を受けているのに、その対策が、周辺地上の常時備警体勢は容易に近づき難い状況なのに、肝心の上空警備の無防備さや、屋上を含む全館隈なくの定期巡回警備はどう考えていたのかなど、あきれ果てた全くの無防備ぶりであったし、あれだけ高度な機能を有し、現に武器や産業用にも活用されている無人操作飛行機(ロボット兵器)を、実用的機能を有しない模型飛行機扱いで放置し、法整備や許認可、登録制度を考えようともしなかった後手後手の行政対応など、稚拙で無責任過ぎると全く情けない限りである。

(3)日本が抱える諸リスクとその対応要点

 1)天然災害

 わが国が抱える種々の危険な要素問題で、やはり第一に考えることは、自然災害の多発とそれに対する対策である。

 世界最大規模の面積と最深の海溝を有する太平洋、その海底に潜み常に変動し続ける太平洋、フイリピン、アメリカの3大海洋プレートの上に乗っかっている海洋国で、しかも世界を構成する陸地で最大の面積を占め、地球の屋根とも称される最高峰の山脈や広大な砂漠地帯、寒冷な氷雪に覆われたツンドラ高原地帯などから、複雑な気候風土を生ぜしめるアジア地域の最東端に位置し、その上に南北縦に細長く亜熱帯から亜寒帯まで約3千Kmにわたり約7千弱の小島からなる火山列島地帯という立地条件にある島国日本国は、当然、その複雑で寒暖の差も大きく変化するといった厳しい気象条件の影響を受けるので、地震、津波や波浪、火山爆発、台風、多雨・多湿、土砂崩れ、隆起や浸食、灼熱・乾燥の夏期と豪雪の冬期など、本来的に天災が多発する要素を抱えている。

 こういった自然災害は、残念ながら現代の科学技術では完全に抑制・排除し得ない侮れない猛威を有するものであるということを予め想定し、可能な限りの人知を尽くした予防策を講じることももちろん重要だが、同時に、それに謙虚に従い、調和的に適応して共生することを考えねばならない。

 毎年のように全国各地で発生する土砂崩れや浸水被害、地盤液状化被害の多くは、大自然の摂理や地形風土、先人の貴重な体験からの警告を無視し、人為的に自然を乱開発した急造成地で発生していることも事実であり、逆に、元は入り江や湿地帯であった所を、計画的に長期間かけてじっくりと取り組み、木材の杭を地中深くまで打ち込んで埋め立てた、日本を代表する東京の大手町や丸の内(俗に三菱オフィス街)や、山腹の傾斜地であっても自然の地形や地質に逆らわず、治水への配慮もして建設した住宅地は堅牢で災害にも耐えているのである。

 「土地を買うなら豪雨の後の現地を見てから買え」とか、「埋立地には30年余を経てから家を建てよ」、「人は小高い丘陵に住んで眠り、低地に降りて働け」、「家屋は耐火・暴風性があり、いざの場合の食材も供する樹木で囲め」、「西陽と北西風が当たる西北急降下斜面の商業地は栄えない」、「北に山があって寒い風を防ぎ、東に水利を供する母なる川が流れ、南は太陽光が差し込む海に面し、西に西日を遮る丘陵を有する、緩やかな東南斜面で平坦部や後背地が広いという地形が、中心的大都市として栄える最高立地の要件」、「水と道を制するものが世の中を治める」、「点から線、面へと繋がり、安全が図られてこそ街は発展する」などといった昔の人の自然と同化して四季折々なりに生活し、人間の行動心理を読んだ知恵や言い伝え、適度に人為的に耕され整備され自然こそが真の文化(Cultureの語源は耕す)といった生き様の正当さ、徳川家康の江戸開発の検眼の素晴らしさを今一度見直す必要があろう。

 なぜなら、こういったことは、名君上杉鷹山公の教えを守る「山形県民は冬場に生垣の葉と養殖鯉の甘露煮を食べて飢えを凌ぐ」ということや、萩の街の屋敷には夏蜜柑樹が多く植えられていること、空風が強い群馬の農家の防風林囲い、台風銀座沖縄の石垣積み塀の民家、古都京都や江戸・大東京の繁栄などの例がこれを立証するからである。

 それに比して近年の都市乱開発ではこれに反し、高台に超高層高級マンションやビルが林立し、低地の嵩上げ開発や、防火・防災の区画整理が見放され、その結果高地居住者の排水が、ちょっと雨が降れ続けば低地のマンホールからの逆噴出洪水を引き起こしたり、風害、日照権の障害をもたらすこととなったし、特定地域だけの点のミニ開発でショッピング・モールが建設され、在来商店街が寂れてしまうなど、点でなく線から面へといった視野の広い計画的セーフ・コミュニティー建設が忘れられ、乱雑で合理的統一性を欠く歪だらけで過密な街づくり、好ましくない意図的な土地価格のつり上げ、地域格差増大を招くこととなってはいまいか。

 防災力のある安全で快適な都市再開発といった見地からは、逆転の発想で、低地には堅牢構造の高層ビル化、それで生じた余地の活用で防災道路整備、区画整理と緑化を促進し、一方、高台地域の乱開発防止、建築物の高さ規制などで安全格差の更なる増大是正を検討する必要があろう。


 2)国家経済と財政的危機への対応

 今年は1995年1月に発生した阪神淡路大地震の被災から20年目を経たことになるが、それから15年後の2010年に来日したIMF(国際通貨基金)の高官は、当時からもう既に、バブル経済の処理や天然災害の復興財源を公債の発行に依存し続けて、国債と地方債とを合わせた公債残高がGDP比で約200%(2010年度)、1995年のそれが約85%であったことから、わが国の国家財政と経済の将来に危惧の念を抱き、「これ以上は裁量的政策をやれる余地はないので、早急に消費税率を少なくとも10%に引き上げることを決断すべきだ。それがないとIMFが規定する信用・倒産リスク基準から見て、日本に対する保証料率を100%(阪神大地震前までは60~70%程度であった)に見直さざるを得ない」と警告し、日本の国家経済と財政の将来を心配していた。

 その後に東日本大地震・津波に原子力発電所の倒壊・放射能飛散の大災害が重なったし消費税率アップの進捗も、経済浮上もデフレからの脱却も遅々としてままならず、アベノミクスの正体も露顕し、当初期待した心理的景気浮上効果も薄れてきたが、さりとて経済成長を具体化する第4・第5の矢は手詰まりで妙案なしとなった現状と将来の経済と財政事情深刻化の不安増大はなお更である。

 このような危なさを抱えた日本を根本的に改め、健全な国家に再興させるには、これまでのようなマスコミを抱き込んだ口先の宣伝効果、国民の関心を国際的・軍事的危機に向けさせ、消費税率アップと一部大企業の輸出業績向上だけに頼ろうとする小手先対応では通用せず、抜本的な国家のポリシーと体質改善が必要となる。

 そのためには、従来のアメリカ流の自由・資本主義の修正、思い切った税制の見直しを通じた富の再分配の適正化、攻撃的軍備不要、石油・原子力に代わる新しい天然の無限エネルギー実用化促進などに重点を置く政策に転じることが国益と同時に、健全な経済国家、財政再建にも有効となろう。また長年にわたる貧困政治で失われた結果の国家の危機状態を正直に明確に国民に説明し、将来を展望した近未来の日本再興隆のビジョンと目標、それに至る具体的政策を明示し、国民の信を問い、理解を求め、意識を鼓舞し、その支持と協調を図ることが肝要であろう。


 3)国際的軍事・防衛危機への対応

 大局的に考察した現代の世界情勢は、もはや目先の経済・軍事力で量的競争で自国の優位性を誇示してうまく治まる状態ではなく、地球規模の自然環境荒廃と異常気象、人口増大、エネルギー・生産・食料資源などの需要・供給関係の変化と近い将来の枯渇化、先進経済圏諸国の成熟化と成長率の鈍化、高度情報化社会となりその自由交流で情報統制が効かなくなり、実質的国境が消滅するなどといったグローバル化が進展したこと、低成長地域や国、階層と一部の巨大優越的富裕国や階層との極端な貧富格差が危険限界域に達し、その不満が鬱積し爆発寸前にあること、足し算的な統合による巨大化の弊害露顕と、それに反発する新しい民族ナショナリズムの台頭、世界を統率・良導する指導・調整的役割を担う信頼される国が存在しなくなったことなどから、現在のところはまだ各国が虚勢を張り合って威嚇し合い覇権を争っているようだが、アメリカも中国もロシアも、EUも東・南アジア圏もイスラム諸国も、全ての国が、17世紀以来の永年にわたる紛争と競争の連続という歴史からの国際的緊張疲労症状とでもいえようか、少しは量的成長のスピードを落としても安全と安定と安心を得たい、公平感と精神的安らぎ、物質文明より心のゆとりを大切にした精神文明の健全性を取り戻したいといった風潮が高まりつつあり、もはや他国のことなどに構っている余裕はなく、自国の安全と生存維持だけで精一杯といった状態にあるのが正直なところであろう。

 このような状態になった今こそが、世界国家構想と人類の恒久平和実現へと導く好機、中立的な日本の存在と真価を世界に示し、新時代の先導的モデル国家を目指すべきではなかろうか。

 今後の世界では、戦勝は勝っても負けても、双方に大義も利もなくマイナスが衰退を招来するのみとなる。また国も企業も、足し算統合的巨大だけが良いことでなく、外観的体格や量の競争より、内容的質の充実こそが問われることとなる。


 4)社会福祉体制崩壊の危機対策

 急速な少子高齢化の進展で、1960年以降に目指したわが国が高福祉・国民皆福祉政策の頓挫と危機が叫ばれ、転換を求められることとなってきたが、公的福祉においては、憲法が保証する法の下での平等主義を尊重し、職業や雇用形態で、共済・厚生・国民年金と3階建て構造の格差、それも役人最優遇、収入不安定で自己の健康と努力次第という自営・自由業者が加入する基礎的国民年金だけでは生きられないといった差別化状況は容認できず、各種年金の総括一本化と不平等の是正、親譲りの不労資産所得のある富裕者まで保障される過剰優遇福祉政策、治療福祉重点などは改め、公的福祉の充実は必要だが、治療より予防的健康福祉に重点を置くことや、過剰な企業福祉は一種の賃金収入とみなし課税すべきもの、伝統的に優れた社会風習の家族福祉が可能な生活態様への改善、欧米福祉先進国並みの生活必需物資非課税制度や高齢者医療負担無料制度は是非見習い、「“好・幸”高齢化社会」の実現を目指したいものである。


 5)国家構造的危機への対応

 現代のわが国国歌構造の危機的問題点は、急速に進む少子高齢化、総人口・労働力人口減少への転換、貧富間格差の増大、地域間人口・経済・産業の過密・過疎二極分化、首都一極集中、産業規模の多重・多層構造、産業構造の変化と農・林・漁業など第一次産業の衰退、食糧自給率低下、伝統工芸・技術の後継者難、間接金融から直接金融比率増大への変化、産業海外移転・空洞化、直接納税から関節納税制重視傾向への移行、諸規制の緩和・自由化、国際収支における経常収支の黒字から赤字への転換と資本収支の赤字増大、財物的文明繁栄の反面での精神文明の荒廃と公衆道徳心の衰退、伝統的家族制度崩壊など、実に改革の必要が迫られる難問山積であるが、前向きな発想や意識の転換で積極的プラス思考をすれば、温暖で変化が乏しく刺激が少ない島に棲息する動物や、安穏な深海の岩穴に逃隠れて生きる魚の進化はないが、厳しい刺激や競争に耐えてこそ、動植物が逞しく育ち進化するように、国家も社会も企業も人間も同じで、厳しい逆境や苦難、危機は、巧妙な適応努力をすれば成長・進化へのチャンスとなる。

 但し「万変を処するに一敬を主とせよ」、つまり変化に対応する際には、一抹の謙虚さと慎重さが肝要であり、また、表層的な物真似移入や、根を地中にしっかり張らない樹木の成長はなく、幹に適応しない接木は成功しないように、自己の持ち味を生かした独自性の発揮もわすれてはならない。「豊かな稲の収穫は、先ず良い田づくりから」という格言もあるが、あらゆる改革の成否は、先ずしっかりとした理念と基盤づくり、人間の意識改革と能力の開発向上の如何にかかっている。

著者プロフィール

経済評論家・ビジネスドクター 芦屋 暁(あしや さとる)

幼少期の貧苦体験から「十分な教養があれば民族も国家も企業も個人も安泰」との信念を抱き、一生涯を人間能力の開発と日本経済・産業の発展に捧げる1本の杭になろうと決意し、都市銀行勤務を中退してフリーの経済評論家・経営コンサルタントの道に転身、大学の教鞭やマスコミ出演を経つつ、過去通算で全国約3千市町村を講演歴訪した実績を持ち現在に至る。庶民派で皮膚感覚の簡明率直な解説がモットー。

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