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万人の幸福を目ざす新自由主義経済の探求

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公開日付:2015.04.17

(1)限度を弁えた自由さの中で互いに影響しあって生きる人間

 もう数十年も前のことで記憶が確かでない面があるが、ヒマラヤ山脈の奥地で、生まれて直ぐに捨てられたのであろうか、野生の狼集団の中で育てられ奇跡的に生きている推定10歳程度の男の子らしき姿が目撃され、かすかに聞き取れた音声は、人類の言語のようではなく、狼と同じような吠え方であったとの報道に接し、これが事実なら稀有のことであり、学術的研究の課題になるであろうと世界的話題となったことがあった。
 残念ながらその後の追跡再発見報道を得ていないので、この人間の子供らしき動物が今現在どうしているのか、元気に成長し続けているのかどうかは不明であるが、その際の有識者の解説によると、「人間はただ一人だけでは、決して人間らしく立派に生きられないこと、通常、生後3~4歳頃になると、それぞれなりのジェンダー(注:生物学的・生理的・外形的な男性・女性といった性(Sex)でなく、社会的・習得的・文化的に形成された男らしさや女らしさなどといった多様性のある自己認識の性を意味する)や、性格、思考・行動など人格の原型が形成され、その後、日常最も多く接する家族や他人、周囲の環境の影響を最も多く受けて育つこと、動植物でも、各種族は最低限の一定量個体数の存在が必要で、それを割り込むと衰退を早め、生存できず絶滅することなどからも、おそらくこのような人間が心身共に健全に育ち、長命を全うすることは至難であろう」というものであった。
 やはり自然界の摂理は、「万物は個のため、個は万物のために」あり、あらゆるものは相互作用をし合い、それぞれがそれぞれなりの特性を生かしつつ、己の分を弁え互恵・互助をしてこそ、全地球総体としての生態系の秩序が保たれ、万物の共存・共生・共栄が可能となるものであり、特定者単独の優越性や永遠の存続発展は許されず、生者必滅、適者生存、適量安泰、自然淘汰の間引き、日進月歩の新陳代謝が必要であり、このような原理は野生の動物でも本能的に心得ており、阿漕で無駄な殺生与奪は慎んでいるといるということであろうか。
 このように人間は誰しも、お互いに交流し、助け合い、影響し合いながら生き、成長を遂げつつも、一方では自我に目覚め、諸種の制約や全体主義的・画一的な統制管理、他者からの強制や圧迫、過度な干渉を受けることを好まず、自分の思いのままに自由闊達な生活態様で幸福感を得たいと望むものでもあり、その傾向は、動物的本能ともいうべき安全・安心を求める低次元の基本的欲求が満たされると、次第に人並みに公平な生活が出来ることや、公正さを望むようになり、さらには他者から、己の優越性を認められ賞賛を受けたいと望み、漸次、自分なりの能力や努力と判断でより良い境遇を得る機会を求めるようになり、その結果、知性や技能が更に向上し、経済的にも豊かで高度に発展し、最終的に高次元の欲求レベルに至ると、自主裁量や自己実現をめざそうとする思いが強くなる。
 そういった意味からも、現代の世界は、一部の経済・文化低開発国や政争や戦乱に伴う気の毒な難民など、こういった高度な欲求レベルにまで至っていない国や人達を除けば、一応、人間としての最低限の健康で安全な生活が維持し得るほどの個人の生活水準や政治・経済・社会の発展レベルに達しているというのが主体となったので、段階的には封建的で統制的な社会・共産主義経済体制が必要で民衆の支持を得た時代もあったであろうが、近年では、これは活力や成長発展を阻害する時代遅れの理念や国家・社会・経済体制であり、自由・資本主義、市場経済主義経済体制こそが現代の世界を主導する優れた理念や・国家・社会・経済体制であるとされ、既に数百年に至って受け入れられてきた。
 しかし自由の代償は、あくまでも自律と自己責任であるから、制度的に明文化されて規制されなくても、高度に成長した人間個々人の理性と知性、道徳律で、自発的に節度が保たれ、自主的にコントロールでき、極端な貧富格差の不公平・不公正感がなく、世の中の動乱や不安定さが排除され、社会・経済秩序が維持され、万民が安全で安心出来るような泰平の生活確保と実現、世界や世の中の平和と発展が図られ、将来にも夢が持てるものであることが大前提となる。
 ところが近年の世界の人間社会の現実の姿は、この大前提を逸脱し、崇高な人類の理想とした姿とは異なった歪な成長発展となり、広大な領土や豊富な天然資源など恵まれた環境条件にあり強大な国家として発展した優越者に支配され、そのエゴで主導されるようになり、先賢が示唆した名言の通り、「過ぎたるは及ばざるが如し」とか、「何事も極限に達すると必ず反転し衰微に転ずる」、「巨大化し過ぎたことの弊害」、「財貨多きは德傷る(やぶる)」などといった現象が見受けられるようになり、「経世済民、最大多数者の最大幸福の実現が好ましい政治や経済の原点であることを失念した政治権力闘争、経済発展、科学技術の進歩」、「物で栄えて心が滅ぶ」、「過欲の裏での理性や道徳倫理観の貧窮、欠如」、「富の獲得や勝ち誇るためには手段を選ばず、他者の不幸や犠牲を顧みないといった風潮の増長」、「人間意識の刷新を上回る、あまりにも急速な社会の変革や科学技術の進歩」、「限度を超えた貧富格差、地域格差の増大」、「かけがえのない地球自然環境の破壊と、その結果の異常気象、天然災害多発の招来」、「自然界の需要と供給環境の不均衡化」、「許容限度を超えた世界人口の爆発的増加の一方で、先進国を主体とした少子高齢化の加速によるその構成のミスマッチ」、「貿易や資源獲得などを巡る国際間の過当競争」、「イデオロギーや宗教理念の対立鋭化」、「テロや凶悪・卑劣犯罪の増加」、「世界情勢の不安定化と第3次世界大戦勃発の危険性の高まり」、「財物的文明繁栄の反面での精神文明の荒廃」などといったことで、現行の行き過ぎたアメリカ流主体の自由・資本主義、投機的市場経済市場主義、金融資本主義、拝金主義的・数量的な幸福の価値尺度の弊害が露呈するに至り、これまでのその理念や政治・経済体制、手法の大修正と、更には、将来の世界のあるべき姿を深慮遠望した抜本的な新しい自由・資本主義、世界秩序の再構築、そのための人類の意識や価値観の刷新・改革の必要性がもとめられるようになってきた。

(2)近未来の世界予測から回顧する21世紀のあるべき姿やニーズの探求

 先が見通し難い混沌とし、未知との遭遇といった現代なので、当然、今世紀のこれからは未踏社会への創造的・探検的挑戦を余儀なくされるであろうから、通常は、現代から過去の歴史を回顧するものだが、ここでは奇抜な発想でちょっと大胆に、期待する未来の姿から、現代のあるべき姿や実践すべき事柄を考察・探求してみよう。

 近未来に期待する世界のあるべき姿、いや、人類が求める究極の理想の姿や、実現させねばならない事項(ニーズ)とは、

    1. 自然界との共存・共生・共栄と調和的な発展・進化。
    2. 地球自然環境の保全と安泰。
    3. 世界の恒久平和の実現。
    4. 全世界・全人類が一つの国家であり、みんなが家族や兄弟姉妹、親族、信頼し合える友人ということと、そのための人的交流、国際結婚の促進・推奨。
    5. 物心一如、財物的な豊かさと精神的豊かさの調和的確保。
    6. 日常生活上の不安や不満がなく安定し、未来にも夢が持てること。
    7. 病気や苦痛・苦難からの開放。
    8. 極端な貧富格差や差別扱いがなく、公正で公平な社会であること。
    9. 人並み以上に勤勉努力したものが、それなりに認められ報われる社会。
    10. 適度な変化や進歩向上の機会と刺激があること、適度な言論や職業選択などの自由さが認められていること。
    11. プライバシーの保護が守られていること。
    12. 社会公共福祉が充実し、不時の災害や障害に対する安全・安心が補償されていること。
    13. 道徳・倫理観が優れ、公共生活マナーが良いことなどから、快適な周囲の環境や人間関係であること。
    14. 大国のエゴな世界覇権欲や貿易障壁撤廃などの利害関係絡みからのグローバル化でなく、④や⑮の理念に基づき、国境の線引きや領土の確定を必要としない真の世界は一つの国家という意味でのグローバル化達成。
    15. 最大多数者の最大幸福が実現されるシステムが構築されていること。

    などであろう。

     これを実現可能にする過程としての今世紀のこれからの主要な課題は、

     
    1. 正しい先見情報の収集と正しい判断・行動。
      情報を制する者が世の中を支配するといわれる通り、人間のあらゆる判断に基づく行動は、先ず正しい情報の入手があってこそ、正しい状況判断が可能となり、それに対する正しい行動をとることも出来る。近年の高度情報化社会で、情報収集・伝達の手法が多様化し、スピードも速く、提供される情報量も格段に増大したが、反面、送・受信者の顔と氏名が秘された間違った情報の流布として悪用されることも多く、風評被害さえ起こるようになった。
      ここでいう情報はあくまでも、中立的な真実の正確な情報であり、その公開と共有、正しい分析、判断、洞察、活用、対応行動の重要性である。
    2. 人間の意識と能力の革新的向上
      あらゆる事業の成果は、人材(財)の有無により決定付けられるので、改革の成否も、先ず人間の意識と能力の開発向上、啓蒙教育重視にかかる。
    3. 成熟した自由さを身につけること。
      自由で自主裁量の余地が認められることは、人間の自発性や能力の開発、社会や組織の活性化にとっても有益であるが、それは勝手気儘な好き放題、やりたい放題ということではなく、各自の理性に基づく自律と自制、自己責任など、成熟した自由を身につけることをベースとする。
      よく、自由資本主義や市場経済は「暴れ馬のようだ」といわれる。その意味は「乗り手の腕次第であり、未熟な乗り手では振り落とされる危険性もあるが、上手に扱えば良い結果を出すことも可能」ということである。但しそこでは、フエアなルールと道徳律といったノブレス・オブリージュ、公明・公平性が求められ、自由主義を悪用し、その隙間で勝手な利得行為の投機的価格操作をする輩も存在するものなので、その排除絶滅は短期的には困難であろうから、過渡期の政策としては、多少の良識ある規制も残すべきであろう。
    4. 国際交流と、武力でなく対話による外交の積極的展開を最重視し、相互理解を深めること。
    5. モノ・カネの自由化より、人的国際交流、移住や国債結婚の推奨など、ヒトの自由化を最優先させること。
    6. 前世紀から引き継がれた現代の社会・経済秩序や混乱や戦乱の真因は、すべて行き過ぎ、誤った自由主義の結果の富の偏在、貧富格差化の増大、敗退者の貧困の発生にある。
      良い意味での進化への刺激となる競争や、その努力・責任・成果に応じたある程度の評価・報酬の差は認めるべきだが、それには適切な上下の振幅幅を設け、底辺の引き上げ、貧困層の生活安定的維持を可能とする最低限の補償制度などで、その不満解消と絶滅を図ること。
    7. 利は元にありとされるとおり、現行の制度では、豊かな基礎資産を有する恵まれた富裕層は、働かなくても資産運用で益々富が自然増殖するが、元本資産のないものは、0から1にするのが困難なように、いくら努力しても、よほどの幸運さがないと一生涯浮かび上がれない体制になっている。
      これを改め富の再分配を合理的に調整するには、不労に対する課税主体から不労所得の資産課税や不要な高級贅沢品への富裕・物品税課税強化、画一的税率で逆累進性のある消費税制を是正し、生活基礎物資の非課税や所得に応じた軽減を考慮すること、一生涯の所得税負担の不公平さの修正清算ともいうべき贈与・相続税の優遇見直しなどの税法の大胆な改革を行うこと。
    8. 巨大国主導を改めて国際連合機能の強化・充実を図り、各国単位の核兵器武装や攻撃的軍事費の全面的一斉廃絶、防衛的軍事行動の中立的国連平和維持活動への統合一本化で、世界の連帯と協調による恒久平和体制を構築すること。
    9. 自然環境保全と安全のために、万一の放射能漏洩の場合の完全消去対策技術が未開発な段階での原子力発電の一斉停止と、この代替としての天然の枯渇しないクリーンエネルギーの開発、実用化促進。
    10. 経済先進国の経済・文化低開発国からの資源搾取や利権支配を改め、むしろ逆に、経済・技術・教育的支援を積極化することで、これら諸国の地政的環境のハンディキャップを是正し、豊かな市場に育て上げることで、地域経済格差を平準化し、新たな需要創出を図ること。

    などが肝要と考えるが、これには人類意識の根本的刷新と、そのための世界的な啓蒙教育運動が必要であろう。

(3)新自由・資本主義社会の構築を目指して!

 20世紀末から21世紀の当初にかけては、予見した通りの主役交代が起こり、社会・共産主義圏と自由・資本主義圏の双方で、それもそれを代表する大国において、従来の体制の見直しを迫るような挫折や破綻など、モア―&モアーと欲張り、スピードを速め過ぎたことの歪や弊害がほぼ同時的に生じたことは興味深く注目に値しよう。
 そこには為政者の失政だけは済まされない要因が潜在していたといえよう。それは、目立たないが着実な世界の環境情勢や時代潮流の大きな変化・変質があったこと、東西両勢力の覇権争い激化の結果、過当な軍事、経済競争の鞭を当てられ続け走り続けた一般民衆の、あたかも過酷に使われた続けた機器の金属疲労事故のような、そのあまりにも限度を超えた規制や自由競争の煽りの厳しさ、スピードに、意識の切り替えや能力の向上がついて行けなくなり、心の疲労や不満が累積され、その限界に達して一斉に故障が続発してエンジンが突然にストップしたことに起因していたといえようか。
 阿漕な欲望の追求から、突っ走り続け、疲労して転倒し、ふっと気がつけば、地球の自然環境が荒廃し、異常気象を招き、天然大災害や産業公害が多発するようになり、天然埋蔵エネルギーや産業基礎資源が枯渇し、人口の爆発的増加に見合わない食料資源の確保難となり、飢餓の不安が増幅、地球総体としての需要と供給のバランスに異常が生じ、財物的文明の繁栄の反面での精神文明の荒廃、政治・経済・社会秩序の混乱、貧富格差の増大など、人類の共生・共存・共栄のための諸事項が許容限度を超えた危険水準に近づき、今、人類は現状への不満や将来への不安を抱え、混沌として先の見通しがつけ難く、道に迷った状態にある。
 こんな情勢下では、焦って悪足掻きをせず、一息入れて呼吸を整え直し、冷静になって周囲を見回し、原点に立ち帰り、新しい進路を見出すことが鉄則である。
 また、将来に向けての国家や経済、企業や個人生活の体質改善や、構造の改革や新体制の再構築に当たっては、従来の家屋の部分的補修だけでは不十分であり、根本的に、堅牢な地盤の上に、頑丈な土台から作り直すことから手をつけ、耐震性のある構造の家屋を建築することが肝要である。
 近未来を展望した世界と人類の再構築を目指す段階としいての21世紀の今後の取り組み方としては、過去の反省に立ってその残滓を清算し切り、じっくりと腰を入れ、「ゆっくり、ゆったりと余裕を持った、譲り合う、豊かな世界と人類社会」の「4ゆ」をモットーに、長期設計に基づき、計画的・戦略的に、着実な一歩一歩の前進とささやかな成功の連続を累積したいものである。

著者プロフィール

経済評論家・ビジネスドクター 芦屋 暁(あしや さとる)

幼少期の貧苦体験から「十分な教養があれば民族も国家も企業も個人も安泰」との信念を抱き、一生涯を人間能力の開発と日本経済・産業の発展に捧げる1本の杭になろうと決意し、都市銀行勤務を中退してフリーの経済評論家・経営コンサルタントの道に転身、大学の教鞭やマスコミ出演を経つつ、過去通算で全国約3千市町村を講演歴訪した実績を持ち現在に至る。庶民派で皮膚感覚の簡明率直な解説がモットー。

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