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ビジネスマン必須の初歩的経済常識

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公開日付:2014.12.04

 「文字は体を表す」とか、「言葉の乱れは世の中の乱れ」などといわれ、それを用いる人が内在する意識や感情を無意識的・間接的に表に出して表現する、所謂延長自我の発露だとされ、またコミュニケーション、すなわち意思の疎通を図るには、双方に通じ合える共通の符号(言葉や態度などの通信交流媒体)が必要で、相手が英語で発信しても受け手が日本語しか理解できなければ意思は円滑に通じず、それを手振りや動作で示せば通じ、この両手法を同時に用いれば、更に理解され易すく印象も強く残るという体験をされたこともあろう。
 しかし近年の日本では、その定義や字義を深く理解することなく、何を目的や主要本業としている会社なのかが万民に正しく理解され難いカタカナ和製略英語の社名の企業や製品が横行し、また同類の仲間内だけでしか通用しないような、たとえば「ゆるキャラ、婚かつ、イタメシ」などといった言葉、あるいは特定の有識者にしかわからないような、「GDP(国内総生産)、NISA(少額投資非課税制度)、メタボ(メタボリック症候群)、AED(Automated External Defibrilator、自動体外除細動器)」などといった専門用語がマスコミなども多用され、大部分の民衆には何のことだか一向にわからないが、それでいて発信側の為政者やマスコミは、国民や消費者に広く理解と支持、協力を求めると言ったり、受信側の庶民も、そんな小難しい真意や定義などには無関心で、ただそれを感覚的に粋がって、なんとなく「目立ちたいから、ナウイ、格好良い、進歩的で時代の最先端を行っている」と無定見に流行語として多用し、得意になっているような風潮が蔓延している。
 だからわが国は、名匠や表面的システムだけは、NPO、ベンチャー・キャピタルの導入、アベノミクスによる近代経済化だなど改められても、肝心なその本質的理解や意識の改革はなされず、進歩しないのである。
 大学で担当している講義や、生涯学習の社会人教養講座の場で、冒頭に「経済という言葉から受けるイメージは?」と問うと、「お金儲けの手法だ」と答え、では「お金儲けをしたいか」重ねて質問すると「したい」という回答が圧倒的だが、「それでは経済学の勉強には興味・関心があるか?」との問に対しては、「難しくて理解し難い学問と感じる、一般庶民には縁遠く関係がないもの」などと無知・無関心である。
 それには学会側の机上の理論の教条主義的な講義、実際に役立つ知恵としての興味深い説得や、受講者のレベルやニーズに応えようとしない「こんなことも知らないのか」といった権威主義的な指導者の教え方にも問題があろう。
 我々は、特別に意識しなくとも、好む好まないに係わらず、既に経済社会の中に組み込まれて生活し、その生産・消費・分配・貯蓄や再投資といった何らかの部門に直接・間接的に一員として参加し、役割を分担し恩恵を受けているのだから、決して無関係だ、関心がないでは済まされないのであり、従って経済常識は万人必須のもの、とりわけその主体を担うビジネスの分野に携わる者にとっては必要不可欠な基礎的常識といえよう。本稿ではそういった見地から、案外知っているようで知らない政治・経済の常識、知っておれば得をし、損失を避けることも出来るといった項目について平易に解説しておこう。

(1)アメリカの2大政党「共和党」と「民主党」

 政治は経済に優先し、とりわけアメリカに追従するわが国では、アメリカの施政方針や経済政策が日本の経済に及ぼす影響は甚大で、主権在米とさえいわれるほどであり、現に今でも、毎年、アメリカ政府から日本政府に突き付けられる「日米規制緩和及び競争政策イニシアティブに基づく、アメリカ政府から日本政府への本年度の改革への要望書(略称:年次改革要望書)」により、わが国の政治・経済が運営されているといっても過言ではない。
 そのアメリカの政治は、民主党と共和党の2大政党により運営され、それぞれの党から推挙された者が候補者となり、一般有権者によって選出された選挙人の投票によって審判を受け選定されるという所謂間接選挙方法で、議会から独立した国家の代表者である大統領が選定されて就任し、国家を統率する。
 同じ国家のリーダーであっても、日本の首相は、所属する党の首長であると同時に内閣を構成する複数の各閣僚のトップでもあり、行政を指揮監督する役目も担っているという点が、日常行政は各州任せというアメリカ大統領との大きな違いである。
 大統領の任期は4年で、毎回、世界オリンピックの年に実施され、就任2年目には中間選挙が実施され、その結果で上院と下院の議員の入れ替わりが行われるが、これまでの歴代大統領は、第14代以降約160年にわたりこの民主・共和の2大政党から誕生し、その回数では両党がほぼ均衡している。
 現オバマ大統領は民主党から推挙されたが、その与党民主党が今次の中間選挙で上・下両院に共和党に負けて過半数を割り込み弱体化し、大統領は民主党系、議会の多数派は共和党というねじれ状態となったので、オバマ政権の後半期は難しい政権運営を強いられることとなる。
 概して、民主党は、アメリカ合衆国の主に南・西部の州を優勢的地盤とし、中小企業業者、中間層や労働者層、低所得者層、ラテンアメリカ系のヒスパニックに支持され、したがってそれらを救援する国内産業や労働者保護、福祉政策や環境問題、人権保護などに政策の重点を置き、銃規制にも前向きというリベラル派である。
 もう一方の共和党は、合衆国の主として北・東部の諸州を優勢な地盤としホワイト・アングロサクソン系とユダヤ系アメリカン、軍需産業や資源メジャー、情報通信などの大企業や財界、富裕・資産家層に支持され、従って当然、強いアメリカの主張、自由金融・市場重視の資本主義経済、産業振興、経済効率性の向上に政策の重点を置く保守派といえる。
 このどちらが政権を主導するかで、アメリカの世界戦略や対日姿勢などが変わり、多方面に大きな影響を及ぼすが、現代のアメリカ流資本主義を実質的に主導し、産業界や富の大部分を支配しているのはユダヤ系アメリカ人であり、その根本的理念は「2:8の原理」、つまり世の中は2割の優越者が8割の愚衆を支配し、その愚衆を下層労働者として働かせ貢がせて、8割の富を独占し、世界制覇を画策するとするものでこれが西欧的な物質文明を否定するイスラム教崇拝民の国家とキリスト、ユダヤ教崇拝民国家との基本理念的な根深い対立となって世界のあらゆる紛争の原因となっている。

(2)国際紛争を調停する国際司法裁判所の実効力は?

 有史以来世界から戦争や紛争が絶えて無くなったことないといわれる。その発生要因は、目的としては支配権力争い、民族間の対立、宗教的価値観の違い、国境や領土を巡る争い、石油など地球の天然資源や食料資源の奪い合いで、近年はこれに宇宙開発問題が加わりつつあるが、根本的動機としては、人間の安全・安心を求める心、闘争心、競争心、優越感、向上欲などの動物的本能と、無限の社会習得的欲求にあり、これらの発生地を地政学的に見ると、東西・南北の人種と文明の接点で多く発生しており、目下は西アジアと東ヨーロッパとの接点に問題が集中しているが、わが国も東アジアと西欧との接点に位置するといった面からは、決して安全圏にあると平和ボケしてはおれず、社会主義諸国と資本主義諸国の新東西冷戦の狭間に立たされており、むしろ危険性が強くなるといえよう。
 このような世界中で頻発する国家と国家間や国際的な諸紛争問題を、中立的立場で裁いたり、勧告的見解を表明する役割を担い平和的に解決するために、1921年に当時の国際連盟の下で常設され、それを第2次世界大戦後、国際連合が引継ぎ多少改組して、その主要な機関の一つとなっているのが国際司法裁判所(ICJ)で、オランダのハーグに本部が置かれている。
 国連総会と安全保障理事会によって選出される15名の裁判官で、それぞれが違う国籍であることが義務づけられ、目下の出身国別では西欧・北米人が5名、東欧人2名、中南米人2名、アジア人3名、アフリカ人3名で構成されている。
 紛争当事国の国籍を持つ裁判官は、裁判に出席する権利を認められており、その該当者が存在しない場合、その当事国は特別に、自国籍の特別裁判官を1名指名選任することができ、紛争当時の両国どちらにも裁判官がいない場合は、それぞれが1名づつ、特別裁判官を指名選任できることとなっているので、最大17名の裁判官で裁判が行われることとなる。
 このようにいうと国際裁判所の権限は偉大なようだが、実際的には機能し難い骨抜きにされた弱点があり、たとえば、この国際裁判所に訴え出ることが出来るのは、国際連合に加盟している国の「国家」だけ、またその紛争当事国であることで、無関係な第3国が中立的正義の立場から訴え出ることは出来ず、更に、その際、紛争当事国の双方が裁判に同意することが必要であり、どちらか一方の国が裁判に同意せず応訴しないと裁判案件として取り上げ実施することが出来ず、それを強制的に法廷に引き出す権限は有しないので、国際的な裁判を通じた紛争解決の道が閉じられてなくなるし、裁判の結果の判決に従うことを一応形式的には誓約させられるが、その強制力や違約制裁力がないため、判決に従わず、実質的には無視する国が多いことなどと問題点も多い。現に米・露・中国・独・仏などは受諾宣言を拒否している。
 裁判官数の地域別割り当てについても、そもそも発足当時から、弱小後進国の植民地化政策を促進してきた西欧・米の先進的列強国が主導して設立したものであるから、現在の実質的裁判官の構成においても西・東欧と米国色が強い感がある国の裁判官が9名(60%)に対してアジアとアフリカの裁判官は6名(40%)でしかなく、地域別の国家数や人口などは全く考慮されておらず、裁判はあくまでも公平・公正、中立的で公明に実施するため、紛争当事国関係裁判官は除外するのが妥当といった原則からも、依然として欧米先進大国主導のエゴで不公正といった感が拭い去れないといえよう。事実、過去にもソ連・アメリカ・中国などは、不都合な事項については裁判に合意しなかったり、国連安保決議などの重要案件においても横柄に拒否権を行使し、骨抜きにされた案件も多いのである。
 近年、わが国も含めた領海・領有権を巡る紛争、イスラエル国の建国やウクライナの独立問題、イスラム教とキリスト教、ユダヤ教との対立など、国際的な難題が顕在化している折から、国際司法裁判所の存在は絶対に必要であり、むしろなお一層その権威と権限、機能や存在価値を高めるべきだが、そのためには現体制の大幅な改善がない限り、現在のところ、これを通じた重大問題の平和的解決には、それほど期待できそうにない。

(3)揺らぐ国際的基軸通貨ドルの威信

 国際的取引の決済では、通貨の為替交換比率を決めなければならないが、その中心的役割を果たす通貨が基軸通貨であり、昔の国際通貨は金であったが、資本主義発達後の現在は、その圧倒的な経済安定力からアメリカのドルが世界の基軸通貨となっており、市場の自由な取引で相場が変動する自由変動する自由変動相場制でドルの相場価格が決まり、それに連動してドル高・円安、又は逆の円高・ドル安といったように各国の通貨相場価値が流動的に決まることとなった。
 しかし近年になり成熟したアメリカ経済の不安定化からドルの威信が揺らぎ、新たな基軸通貨や、その交換価値の決め方が模索されるようになり、中立国で戦争をせず経済的にも安定しているスイスフランを基軸通貨にしてはという考え方や、通貨をモノの取り引きのように相場で変動させることの是非が論議される動きも見え始めているが、その相場価値の変動が各国の経済や輸出・輸入産業に与える影響は非常に大きい。

(4)日本銀行の金融政策とその経済、ビジネスへの影響

 日本銀行は、日本中のお金を管理している銀行だが、万一の災害に備え、その保有管理する通貨に対し、果たして保険を掛けているのだろうか?
 この質問に対する正解は「NO」で、その理由は以下の記述からご理解いただけよう。
 わが国の中央銀行である日本銀行は、文字通り一国の金融の中枢的地位を占める唯一の銀行で、中立性を保つため、国家行政機構から独立した半官半民の資本で運営され、金融の円滑化や物価の安定を図る良識の府として存在し、金融政策を通じて間接的に国策に協調し、経済の安定的発展や国民生活の向上に寄与することを目的とし、そのために①市中銀行など民間の各種銀行の元締めの銀行、②政府資金の管理と出納を代行する政府の銀行、③法的に通貨の発行・供給権を付与された唯一の銀行、④国家全体的な金融の調整機能という4大機能を有しており、とりわけ④を通じて国家経済や国民生活に大きな影響を及ぼす物価の安定化を図る「物価の番人」とされてきた。
 冒頭の質問に対する回答に関しては、紙幣や補助硬貨などは日本銀行内ではまだ市場流通価値のない単なる「物(ぶつ)」として扱われ、市場に供給・流通してこそ、初めてそれに応じた価値が生じるので、日銀内で万一火災で焼失しても、発券銀行としての権限で再度発行すればよいだけのことだから、保険を掛ける必要がないのである。
 ④の金融調整機能としては、大きくは、金利の上げ下げの面からの金融・景気を調整する「公定歩合操作」と、金融の量的流量をコントロールする調整の二つがあり、流量による調整には、水道の蛇口を閉めたり緩めたりで水量を調整する「支払い準備率操作」と、市中銀行が保有する有価証券を日銀が買い取ったり、逆に日銀が売りつけたりすることで、市中銀行の手元資金の量を調整し、これにより民間銀行が顧客への貸し出しを積極的に実施したり抑制するという「公開市場操作(売オペレーションと買いオペレーション)」などの使い分けによる景気調節手法がある。
 今回のアベノミクスによる景気浮上緊急対策では、本来は中立的で慎重な保守政策をとるべき日銀が、黒田総裁が安倍政権の一発逆転を狙う賭けに積極的に荷担し国策に協調的な姿勢を示し、金利面でのゼロ金利という超低金利政策のみならず、蛇口の一斉開放でお金の流出量を大幅に多くする大胆で無制限な超金融緩和策を全て動員することとなったが、これは異例なことで、それだけ日本の経済が失速崩壊寸前の深刻な状態に追い込まれ、その崖っぷちに立たされていたということである。

(5)インフレ・ターゲット

 第2次安倍政権になった2012年にデフレ脱却策の一環として、日本銀行に物価上昇率2%を政策目標として設定し、その実現を図るように指示したが、それをインフレターゲットという。
 近代の経済成長の過程においては、旺盛な消費需要から物価が上昇し続けたが、それが供給との均衡を崩して高騰し続けることは国民生活を圧迫し、やがて経済秩序を混乱させるので好ましいことではなく、これまでは悪性インフレの抑制に重点を置く政策が重視されてきたが、バブルの崩壊後は急転して需給関係が逆転し、逆に長期持続的に物価が下落するデフレ経済となり、経済不振が深刻化するに及び、逆にデフレからの脱却が急務となったが、それを人為的に適度に調整しながら上昇目標に導くといったことは過去に世界でも例がないので、これもまた危険な実験的な取り組みといえ、巧みなアクセルとブレーキの踏み分け操作が要求され、下手をすると、超金融緩和で余ったお金が実体経済の投資に回らず、海外投資で流出したりマネーゲームに回り、株式相場の乱高下や経済混乱の増幅、アルゼンチンやスペイン、ギリシャのようなブレーキの利かな急速で激しいスーパーインフレを招来しかねない。またこの種の急激で強烈な緊急対応策は、その反動の影響も大きいし、副作用も怖く、いずれは多額な公的債務の解消のため、民衆に多大な負担が強いられる可能性が強くなる「今は良い良い、明日が怖い」といった政策といえよう。
 いずれにしろ政治や経済には、これさえ実施すれば絶対に安泰といった妙策はなく、好ましい政治・経済の原点に立ち帰り、時流に応じたベターの策と真理に基づく正道を歩むことに尽きる。

著者プロフィール

経済評論家・ビジネスドクター 芦屋 暁(あしや さとる)

幼少期の貧苦体験から「十分な教養があれば民族も国家も企業も個人も安泰」との信念を抱き、一生涯を人間能力の開発と日本経済・産業の発展に捧げる1本の杭になろうと決意し、都市銀行勤務を中退してフリーの経済評論家・経営コンサルタントの道に転身、大学の教鞭やマスコミ出演を経つつ、過去通算で全国約3千市町村を講演歴訪した実績を持ち現在に至る。庶民派で皮膚感覚の簡明率直な解説がモットー。

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