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地球環境の変化と未来への対応

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公開日付:2014.11.21

 地球の自然環境や市場環境が、経済活動や事業経営に大きな影響を及ぼすことは今更申し上げるまでもなく、従ってこれらの「今」の状態と「未来」への動向を適確に捉え、先取り的対応策を講じることは、国家の将来発展や企業のリスク回避、人間の生活設計などの面からも不可欠の基本的要件である。
 しかしながら時流やこの種環境の変化は、常に止むことなく万物流転、密かに徐々ながらも着実に、数十年~数億年かけて漸進的変化をし続けてきたものであり、それが極限に達した時に、結果として大きな局面の変化現象として表れるものであり、よって、たとえば地球の温暖化に伴なう異常気象などは、ある日突然に発生した状況の急変といったものではなく、気がついた時にはすっかり地球環境や状況が様変わりしていたといったものであり、知覚できる現象を見た時では、既にその対応が手遅れであるといえる。
 その上に、科学技術の進歩や人間の財物的豊かさ追求の欲望など、人為的なミスリードからの自然環境の乱開発・破壊、天然埋蔵資源の根こそぎ収奪・枯渇化、産業公害の多発などが加わり、環境の変化は加速度的に早まり、製品や産業寿命などあらゆる分野でのライフサイクルが短縮、その影響を助長することとなった。
 しかしわが国政府のこれに対応する諸施策は、目先の問題の応急処理に追われ、変化を予見した事前の環境保全の抑制や予防策にまで手が回らず、問題が深刻化してからの後手後手の対応でしかなく、ましてや収益至上主義でのバブル経済の招来やその破綻後の対応策としての急激な金融政策や税制の変更、目先の彌縫策や応急対症療法としての劇薬投与などは、改善策というよりむしろ改悪で、問題を更に複雑にして先送りする、マイナスからの苦肉の復元策で、大自然の摂理に則った時流の先取り的、積極的、根本的な未来への対応布石とはとても言い難いものである。
 だから現代の世界は、悪足掻きの悪循環でマイナス・スパイラルの渦から一向に脱出できず、生態系の秩序が乱れ、混沌、混乱を深めるばかりである。
 大自然の神は、決して人類を不安に陥れ地球を滅亡に導くために、突然的な混乱や苦難を我々に負わせているのではなく、必ず変調や異常の予兆を何らかの現象で示し、警告を発し、意識や対応手法の改革を示唆しているのであるが、誤った過剰欲望に取りつかれた我々が、それに気づかず無視しているだけである。
 本稿ではそういった観点から、主要な地球環境の変化事項を指摘し、その対応策の要点を提唱しておこう。

(1)地球の気象環境の変化

 国家経済や企業の運営・発展に影響を及ぼす基本的な重大要素は「7気」で、その中の一つに気象・天気の「気」があると予てから筆者は強調してきた。
 地球の気象や天気は、地域や時節で変化するが、それは自転する地球の地軸の傾き加減とそれに伴う太陽熱の度合い、大陸と海洋といった地理的環境による潮流と気流の動きによる風や雲の状況などに支配され、温暖と寒冷、湿度と乾燥、晴れや曇り、豪雨、暴風、波浪の高低などが起きるが、こういった気象現象を生み出すエネルギーは太陽熱によりもたらされ、それが主として赤道付近の熱帯域で地球に吸収され、それが地球の各地域に伝播されて、さまざまな影響を及ぼす。
 現代の地球環境はこれらの変動が激しく、地域により両極端に変化し不安定化傾向にあるが、概して「温暖化進行」の傾向にあり、異常気象が急速に深刻化している。
 こういった地球自然の乱開発による荒廃や、異常気象、温暖化、それらによる気象環境の変化が深刻な問題となり、エルニーニョ現象といった言葉が普及するなど、世界的に関心が高まったのは1990年以降で、まだ最近のことといえる。
 自然環境の破壊や地球温暖化の悪影響は大きく、アメリカのNOAA(海洋大気研究機構)の予測によれば、もし大気汚染や異常気象で地球に届く太陽熱が1%カットされると地表温度は5度低下し、5%カットでは平均気温が25度低下し、地球は再び氷河期時代に戻るし、逆にこのまま温暖化が進むと、全世界の平均気温は45~50度と赤道直下のアフリカ諸国並みの灼熱地獄となり、北・南極の氷山やヒマラヤ山脈などの万年積雪溶解が進み、現に近年は毎年、四国の面積に匹敵するほどの氷河が溶解していることが確認されており、それに連れ当然、海面水位が上昇し、国土が全没消滅しかねない危機に立つ南洋諸島の国されある。
 山岳森林・緑地の荒廃や消滅は、土石流被害や、その河川の流入先の海洋汚染や潮流の変化、水産資源の供給事情にも影響する。人類などの生物を生み出した生命の海の状態は、山や陸地との関係が深く、山が荒れると海も荒れるのである。
 温暖化や経済産業優先の自然乱開発などで、地球世界の乾燥・砂漠化は、毎年ほぼ日本の陸地面積に匹敵するほど進み、異常気象による地震、津波、火山爆発、暴風・竜巻、集中豪雨、季節外れの落雷や雹・霰などの天災も多発するようになった。
 地軸の傾きの影響については、その発生は周期的なものか、現にどの程度傾きが変化し、その原因は何かなどに関しては、現在のところ諸説があり、残念ながらまだ確証を得るには至っていないが、今後の重要な研究課題である。
 地球という惑星はほぼ球形であり、太陽の周囲を平均距離約1.5億キロメートルの間隔を保つやや楕円形の軌道上を毎年1周する速度で公転しているが、地球が完全均一な球形で、地軸が太陽と地球を結ぶ直線に対して垂直であったなら、大気の循環パターンはとても単純なものであったろうが、球形が湾曲しているので、複雑な地域差が生じ、赤道から南北両側に離れるほど地球表面に降りそそぐ太陽熱のエネルギーが広まり分散するので、高緯度になるほど低緯度地域より涼しく寒いということになるし、朝晩でも太陽熱の入射量が異なるので寒暖差が生じる。赤道付近でより高度に熱せられ軽くなった空気が上昇し、上空の寒気と衝突して風や雨曇を生ぜしめ、自転に伴うその流動が各地域の気象状況や天気にさまざま変化をもたらす。
 いずれにせよ大自然の摂理やエネルギーの偉大さには、現時点の人知で対抗し得ず、恐らく将来もそれは不可能であろうから、自然の偉大さとその仕組みの巧妙さに畏敬の念を抱き、その摂理を尊重して謙虚に従い、自然環境の変化と同調して進化しつつ共生・共存・共栄を図る「道法自然」の生き方を心がけ、自然の乱開発・破壊や汚染を慎み、根源的なリスク予防に配慮し、好ましい政治・経済発展、人類の真の豊かさや幸福とは何かといった意識や価値観を根底から改めることが肝要である。
 故にカルチャー(文化)とは「適度に耕された自然」を意味し、エコノミーとエコロジーとは語源を同じくする、つまり財物的豊かさだけでなく地球環境にもやさしいことが、このましい経済発展、品格ある文化国家の条件ということになるのである。

(2)地球自然界の需要と供給環境の変化

 自然界の大原則には、「適者生存、適量安泰、弱肉強食、生者必滅、新陳代謝…」などといった厳然たる大原則が存在し、政治や経済、社会の安定と平和も、適量安泰の原則に則り、その「需要(生活の維持上絶対に必要だ、欲しいなと思う人間の欲求、消費購買力)」と、「供給(そのニーズや期待に応える財物やサービスの供給能力、生産力)」との均衡で安定・安泰が図られ平和が成り立つが、その均衡関係が崩れアンバランスが生じると、物価の上昇や下落、均衡を取り戻そうとする市場の調整機能や復元力、状況を改善しようとする人間の意識が生じて、自然淘汰による間引きや、人為的な生産の増強や抑制、消費の拡大や抑制、弱肉強食の競争や醜い富の確保や分捕り闘争が発生し、人心が荒んで乱れ、世の中が不安定になり、平和が保てなくなるが、自由資本主義や市場万能主義体制、諸規制緩和、競争社会の下では、この需要関係のコントロールは難しく、物価の調整や安定化には時間もかかり、反応の敏捷性が鈍くなりがちで、多分に市場参加者双方の良識と公徳心に待たねばならないので、政治的信頼や指導・統制力が乏しく、民衆のインテリジェンスが低水準の未成熟社会では機能し難いものとなる。
 大自然の動・植物界では、生者必滅の寿命に基づく自然淘汰や新陳代謝、弱肉強食による間引きなどで、見事なほどに巧妙な自然生態系のバランス感覚やリサイクルのシステム、自然淘汰や復元力を有し、その調整力や秩序の維持が図られている。
 たとえば、弱肉強食で餌食になりやすい弱者の小動物は、間引かれる率を考慮して、少食で、食事に要する時間が早くて短く、出産・育児にかかる期間や時間も短く、且つ産み落とす子供数は多産、生まれた子供は牡雌共同して守り育て、新生児の自立・走行までに要する時間も早いし、比較的に長寿命である。逆にライオンなど巨体の強者は、獲物にされることが少ないので、多食で遅食、出産期間や時間も長く、生涯に出生する子供数は少なく、牡は種族の護衛だけで子育てには参加せず、雌だけに任せる分業体制であり、子供の自立までには時日を要し、しかも牡単独での獲物捕獲率は意外なほど低く、寿命も比較的に短命といったように、強弱それぞれなりの特性を発揮した生き様で合理的といえる。
 また、いかに百獣の王ライオンといえども、力任せに全ての獲物を収奪し尽くすことを控え、自己が満腹になれば余分な殺生はせず、仲間に譲り、獲物の保持、絶滅化防止や多種族の存命にも配慮するという節度を心得ている。
 森林の樹木も、太陽光を浴びやすい背の高い樹木は、その光を独占せず低木にも成長の機会を与えるために針葉の落葉樹が多く、低木は少ない日照をできるだけ多く吸収するために枝を横に張り出す広葉の常緑樹が多く、生長しきった高い樹木が衰退すると、それに次ぐ樹木が伸びるといったように、森林の自然的新陳代謝やリサイクルの秩序を見事に心得て保っている。
 思想家ルソーは、「歴史と自然は最も良い教科書」と述べているが、近年の日本政財界の指導者は、過去の苦難や失敗の体験、レジャーで訪れたであろう歴史や厳しくも美しい自然から、一体何を学び、習得し、実際に役立てたであろうか?
 現代から近未来にかけての地球世界の需要と供給の環境は、人類の有史以来の「供給>需要」の状況とはがらりと変わり、「需要>供給」の環境に逆転し、従来のままの意識や状態で推移すれば、近い将来には、世界人口の爆発的増加、需要の拡大に対し、地球の天然埋蔵鉱物資源や食糧資源の供給が伴わなくなり、不足、さらには枯渇化しかねない危機に立たされることとなった。
 これに対処するには、アメリカ流の自由資本主義での「大量生産、大量販売、大量消費、大量消耗…」といった生産主体、バブリーな消費の創出拡大主体の発想を改め、自然界の摂理に謙虚に従い、富の分配の適正化や、リデュース、リュース、リサイクルの「3Rマーケティング」重視の姿勢に改め、実態経済面での需給関係の均衡維持に努めることが肝要であり、これを非現実的理想論と無視することは、人類の恒久的生存繁栄と世界平和を放棄することに通じる。
 こういった崇高な理念や精神は、わが国の伝統的な良風である「勿体ない(勿体とは、体裁や格好をつけて尊大ぶる傍若無人な思い上がった横柄な態度。ないはその否定)」という言葉に集約的に込められており、それゆえに、財物的繁栄主体に疑問と反省の念を抱くようになった先進経済諸国の先見的な有識者間で、今、この言葉や日本の精神文化が見直されるようになってきたのである。

(3)太陽光エネルギーの重要性と生態系の循環システム

 東日本大地震に伴う原子力発電所の放射能漏洩・拡散の甚大な被害と恐怖からまだ3年余でしかなく、その被災地復興も放射能汚染の除去も遅々として進まないまま、もうその苦難を忘れたのか、性懲りもせず、核燃料発電の再開だけは既に着々と画策されている。
 エネルギー事情がわが国より恵まれ安定している国でありながら、日本の悲惨な状態を対岸の火事と看過せず、将来の世界のエネルギー事情を深慮して原子力発電の全面的廃止、自然エネルギーの開発・活用重視に転換した先進的な国があるというのに、日本は相変わらず目先の経済性優先で原子力発電に執着しており、将来のエネルギー政策をどう考えているのだろうか?
 重大事故が発生し、その解決に要する費用と労力は、事件を起こさせないためのリスク管理や予防にかける費用や労力とでは、比較にならないほど高負担となり、信頼や信用の失墜はお金では計れない損失となることを理解すべきであろう。
 わが国の一次エネルギーの供給状況(平成20年)は、供給が国内産出量3,885PJ(注:PJはエネルギー源の共通単位で、灯油1リットルが約37メガジュール)、輸入量が19,976PJ、合計22,813PJ、国内産出量は総供給量の約17%でしかなく輸入依存型といえ、供給の種別では1位の原油が約42%、2位の石炭が約22%、3位の天然ガス約18%、原子力発電は2,317PJと約10%程度に過ぎないのである。
 しかし、天然の無公害・無限で再生可能なエネルギーでは、現在の供給量比率では約3%弱でしかなく、気象状況の変化が激しい国土であるだけに、太陽熱、地熱、風力、水力、潮力、海底エネルギー資源などでは比較的に恵まれているといえるのに、この開発・実用化で他国に遅れをとっているというのは納得がいかない。
 全ての動植物は、生命体の成長と維持を図るのにエネルギーが必要だが、そのエネルギーの根源は太陽光エネルギーであり、これは30億年以上も前の地球創世記から利用され続け、近年、最も人類に役立っている石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料も、全て太陽の光合成により作り出されたものであり、それでも未だに燃え尽きることなく、将来も無限に供給し続けてくれる。
 炭素化合物はあらゆる生物の体の主要構成物質であるが、これが太陽光の光合成作用で炭水化物や酸素、水などに分解されたり合成されてよりエネルギー状態が良く効率的な炭水化物などの化学結合エネルギーに加工されるのである。
 植物は太陽光を浴びて、自分が順調に成長するだけでなく、その呼吸作用で大気中の炭酸ガスを吸収したり酸素を輩出したりして大気の浄化に役立っており、自分が消化して生産した養分を地中に送り出し、土壌を豊かにし、自らが草食性動物の餌を供給し、昆虫に蜜を与え、その昆虫がまた他の草花に花粉を運び、その成長に役立つといったように、太陽熱の光合成でいろいろな元素がエネルギーとなり、再配分を連鎖的に広げてゆくといった、所謂カーボンサイクルの相互作用で世の中は成り立っているともいえる。
 このように追加連想的に物事を掘り下げて追及してみると、世の中は決して人類だけ、その人類もまた、ただ自分一人だけで生存し得るものでなく、動物も植物も鉱物も人間も、万物は全て「万人は一人のため、一人は万人のために」という相互作用で成り立ち、関係しあって生存環境を作りだし、その環境の中で、さまざまな影響をし合って生きている、いや、それでこそ生きられるのだとさえいえ、ここに地球自然の営みの偉大さに畏敬の念を持ち、自然の摂理を尊重、自然環境を大切にし、自然の中の構成の一員として存在しているということを自覚し、その保全・維持に努め、その環境と調和しながら共生・共存・共栄を図ることの重要さがあるのだ。
 「周囲の環境と過去は変え難いが、自己と未来は意識を改めれば変え得る」し、一人一人の意識の刷新が、周囲の環境や未来にも影響を与え、変え難い周囲の環境を改めることさえ可能になる。
 高度情報化や交通移動手段の発達で地球が狭くなるなど、大きな地球環境の転機を迎え、海外からの観光客誘致策としてカジノを何処に設置するかとか、女性新大臣のスキャンダルなど、そんな品格のない低次元な問題が国会の重要議題になるとか、自国の立場だけで小さな離島の領有主張で面通に拘るといったような愚かなことを許容するほど、現代の世界は安泰でのんびりとできる時代ではない。その間にも、西欧資本主義対新イスラム原理主義のテロ活動、限りある地球資源の適正配分法、貧富格差の拡大が極限に近づきつつあることなど、時流は大きく変動し続け、緊急対応に迫まられているのだから、いつまでも過去の経緯に捉われず、グローバルな世界国家の時代といった見地から、前向きな、明るい地球世界の将来像や全人類の平和と幸福実現への道を探求すべき時期に至っていると認識すべきであろう。

著者プロフィール

経済評論家・ビジネスドクター 芦屋 暁(あしや さとる)

幼少期の貧苦体験から「十分な教養があれば民族も国家も企業も個人も安泰」との信念を抱き、一生涯を人間能力の開発と日本経済・産業の発展に捧げる1本の杭になろうと決意し、都市銀行勤務を中退してフリーの経済評論家・経営コンサルタントの道に転身、大学の教鞭やマスコミ出演を経つつ、過去通算で全国約3千市町村を講演歴訪した実績を持ち現在に至る。庶民派で皮膚感覚の簡明率直な解説がモットー。

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