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逞しく風格のある日本をめざして

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公開日付:2014.08.01

 世紀の変わり目は、「環境に大きな変化が生じ、人類の意識や価値観、政治や社会体制を根本的に刷新すべきという気運が高まり、過去の大清算と主役交代が求められる大激動・転換期であり、とりわけ400年という長期周期の節目においては、時流の地殻変動の揺れが一段と激しく、世界の様相や勢力図が大きく塗り変わるが、新しい世の中を生み出すための陣痛の苦渋とでも言うべきか、その過渡期の動乱と混迷が暫く続く」を予ねてから筆者は予見し、警告を発してきたが、まさに近年、世界的にこういった現象が鮮明になってきた。

(1)400、100年周期は世界潮流の大変節期

 今から400年前の17世紀から18世紀にかけての変節期には、欧州諸国が世界を主導し支配するようになり、宗教戦争や、欧州諸国の絶対専制王朝制度、厳然たる身分階級制度の成立、大航海時代と領土拡大戦争、世界各地の植民地化政策の促進、産業革命による機械生産システム出現、それに伴う資本主義体制の普及などが見られたが、その一方で民衆の自由と権利拡大を主張するプロレタリア革命、フランス革命などもあった。
 18世紀には、未熟な資本主義や市場主義経済、限度を超えた領土拡大競争の結果、スペイン、ポルトガルの凋落があり、その後に成長を見せたオランダもまた、投機的市場経済の反動でチューリップバブル破綻が起きた。
 19世紀にはこれにとって替わって英・仏が栄光の全盛期を迎え主役を担ったが、この繁栄の結果もまた世紀末には後退期を向かえ、その清算として海外不動産投機の挫折によるサウスシーバブル破綻が発生した。
 20世紀は、過去の数百年分を凝縮したような激動と戦乱、繁栄と混乱の世紀であったといえる。
 まず前半期には、第2のヨーロッパともいえる自由・資本主義のアメリカが台頭し、資本主義に対抗するマルクスの社会・共産主義理論が、発展から取り残された後進諸国や革新的知識人、プロレタリア層から支持されるようになり、先進欧米主要国の世界覇権争いから、第1次の世界規模の大戦争が勃発、日本もこの三国(英・仏・露)協商側に荷担して三国同盟(ドイツ・イタリア・オーストリア)側を主導するドイツと対戦、そのドイツが敗北し、欧州の各国王朝を支配した名門ハプスブルク家もついに没落することとなった。
 中期になると、新興のわが国も殖産振興・富国強兵で先進欧米列強諸国の仲間入りを果たし、ドイツ・イタリアも欧州での復権を目指し、日・独・伊の新3国同盟を結んだが、これが、その他の欧米諸国の世界における既得権益を脅かすもとになると警戒心を抱かせることとなり、日本封じ込めの不公平な海軍軍縮や、経済封鎖が露骨に連なり、その上に、米・欧・中・ソ連の排日密約、自由主義連合国軍の結成などの狡猾な戦略の罠に嵌められ、再び第2次の世界大戦が起こったが、その結末はイタリア、ドイツ、日本の相次ぐ敗戦となって終結した。
 しかしこの戦後、日本が大国を相手に孤軍奮闘の善戦をした挙句に犠牲になったことで、欧米に虐げられていた世界弱小国の士気を鼓舞し、多くが植民地国からの解放運動を起こして独立を果たし得たことも事実である。
 第2次世界大戦終結後の後半期になると、暫くの期間は戦後処理もあって世界の平和が保たれたが、その間に大国の覇権争いに後押しされた中国の内乱、朝鮮半島における南北の対立動乱が発生し、自由主義圏諸国と社会主義権諸国とのイデオロギーや軍事的対立で東西冷戦が激動化、更にはやがて社会主義国中・ソ連の対立、東欧諸国の独立要求の高まりなどから、巨大な一方の雄ソ連邦が内部分裂で崩壊し、赤い鉄の壁が破かれ東西冷戦は終結を見るに至り、アメリカが独占的に世界覇権を制し、世界のポリス国家として君臨したが、軍事戦争に替わる自由経済・貿易戦争が激化、戦勝超大国アメリカ追従の亜流で再び奇跡の急成長復興を見た日本のバブル経済発生とその破綻などがあった。
 とはいえ、東西両巨大勢力のエゴな覇権争いと曖昧な戦後処理もあり、それが尾を引いて、現在の国境や離島の領有権を巡る争乱や民族の対立を生む原因となったり、目覚ましい科学技術や物質文明の進歩発展の反面で、行き過ぎたアメリカ流自由・資本主義、金融・市場万能主義経済、グローバルスタンダードの押し付けなどの歪が露呈し、世界的な産業・資源獲得競争の激化、貧富格差の増大、地球自然環境の破綻、産業公害の多発、精神文明の荒廃などといったマイナスの遺産も引き継ぐことになった。
 20世紀末から21世紀の初頭にかけては、これらの反動として、前世紀末に独占的に世界覇権を制した超大国アメリカの繁栄に翳りが見えはじめ、その自由・資本主義、金融至上主義経済の弊害が露見するに及び、世界のポリス国家としての威圧力や世界の基軸通貨ドルの威信低下があり、EU諸国経済統合にも綻びが生じ、相対的に中国や韓国が台頭し、拝金的資本主義へのイスラム諸国の反発増大などから、「Gゼロの時代」といわれるように、世界を良識で主導するリーディング国や、国際紛争の仲裁国が存在しなくなり従来の世界の政治・軍事・経済などのパワーバランスと秩序が大きく変動すると同時に、次期の主席国の座を巡る争いが胎動し始め、今再び、過去の残滓の大清算と問題点の改善・処理、新時代の世界的主導国の主役交代期を迎え、新しい繁栄や幸福の価値尺度の見直し、世界的な新秩序の再構築、経済安定、平和の獲得へのアプローチ法の再検討などが希求されることとなった。

(2)なぜ人類は、愚かな過ちを性懲りもせず繰り返すのか?

 台湾生まれの親日家で、複雑な体制の国家を12年間も無事に統率された李登輝台湾総統が、VOICE誌に、「一触即発の極東情勢を前にして、わが友、日本への伝言」として、「なぜ人類は戦争を繰り返すのか」という緊急寄稿をされているが、非常に興味深く参考となるので、ご購読された方も多かろうが改めて、同誌の記事からその主要部分を引用し、要約してご披露しておこう。
 『人類と平和について論じるとき、「戦争はいけない」、「戦争は避けられず、止むを得ない」、「平和の獲得のためには、断じて戦うべきだ」などというのは簡単だが、現実の世界の中で、先ず、平和はどのようにして可能となるかを考察する必要がある。世界経済をダイナミックに拡大させてきたアメリカ流のグローバル資本主義には、本質的な欠陥を内包している。
 これを適切に解消させる処方箋がなければ、国際政治・経済に益々不安定な局面をもたらすであろうが、それは、①実態が伴わない投資(むしろ投機的というべきか)金融経済、市場経済への偏重・依存し過ぎがもたらす不安定要素が存在し、これで全ての関係者が常にウイン・ウインという状況が永続するという保証はなく、いつかは必ず、バブルの破綻や、その生贄にされたものからの反発を受けるであろうと懸念されること、②所得格差の拡大と、それに伴う健全な中流層の消失、社会の二極分化、③地球環境汚染の加速化、資源枯渇化の時代を迎え、国境を越えて経済資源の自由移動が可能となるグローバル資本主義の思考には、環境条件に恵まれた国にとっては有利だが、そういった環境条件に恵まれない国にとっては不利といった面があることなどといった問題である。
 人類の歴史は古今東西の別なく、異なる組織集団の分離と統合、異なる理念や価値観の対立、組織や共同体の栄枯盛衰と交代の繰り返しであり、特定国の永続の首座独占や、優越的立場にある大国の流儀だけが全て正しいと、それを相手の立場も理解しようとせず、一方的に押し付ける身勝手さも許されない。
 時流の変革期や、主役の交代期には、過渡期の動乱や混迷は避けられないが、それを和らげ円滑にする手段は講じねばならない。しかし圧倒的な実力を有し、世界から絶対的に信頼され、紛争が生じた場合に仲裁したり、倫理と良識に基づく自粛の警告を発したり、強制的抑制の法執行を行使し得る主体国や機構が存在しなくなるGゼロの時代では、争乱拡大の原因ともなり問題なので、その役が担える中立的な後継主役国の出現が待たれる。
 自分の経験からいえば、治世で最も重要なことは、全世界の人類や国家が、東洋の仏教哲学的な道徳倫理観念や行動態様を共有し、それを貫き通すことが永遠の平和実現には必要だと考える』と述べておられる。
 自由さを欲するなら、その代償は自己責任と自律であり、平和と安定を望むなら、エゴと過剰欲望や、過当競争での際限りなき弱肉強食、勝敗の決着を慎み、全世界国家、全人類一家族といった思考から互助・互恵、自然界との共生・共存・共栄の理念は不可欠となるが、歴史的体験からそのことを重々知りながらも、目先の権力や名誉欲、利欲に捉われた愚かな人間は、なぜまた同じような過ちを繰り返して止まないのだろうか?
 前記したような理想の境地に至るまでには、おそらく人類の驕りへの大自然からの警鐘として、天然大災害で全世界や人類が死活の危機の瀬戸際に立つまでは改まらないというのが人間の業のあさましさであろうか?。

(3)世界大戦の勃発時に類似した近年の世界情勢

 驚くほどの歴史の巡りあわせといえようか、近年のわが国を取り巻く内外の情勢は、過去の大きな変動があった世紀や、20世紀における2次にわたる世界大戦勃発時の状況に非常に似ており、とりわけ本年は、世界的にも、過去の欧米諸国の都合に振り回された旧植民地国の開放・独立容認、戦後処理の曖昧さなどの問題がここに来て各地域で一斉に噴出するようになって、民族間の紛争、宗教間の対立、半強制的に二分されたり統合させられた国の再編成気運、領有権や国境線に関する紛争、資源獲得競争の激化や、その既得権益の保持に関するトラブル、海洋や宇宙の開発権益を巡る対立、大国同士の世界覇権争い、中国の一方的な海洋権益の主張や領有権の現状変更、軍事力の強化に触発された関係諸国の対抗策、強いロシアへの復権を画策するエリツイン政権、軍事的集団自衛やTPP(経済連携)圏の再編成を巡る同盟・友好国の取り込み競争・集中豪雨な外国投資流入や産業進出、あるいは撤退、外国人労働者の処遇などを巡るトラブルの多発化など、どうもきな臭さを感じる。
 宗教間の対立に関しては、いずれの宗教も本来は、世界の平和や安定、民族の融和、博愛などを説きながらも、ユダヤ教、新約・旧約キリスト教、イスラム教は、同一宗祖や教養であったにも係わらず、その内容解釈の仕方や実践行動態様のあり方から対立し、けなしあったり、偶像崇拝の一神教で、他宗教や神の存在を一切認めようとしないこと、目には目、歯には歯の復讐を認めていること人間性悪説に立脚していることなどの頑迷な盲信性を有しており、現在も再びキリスト教圏諸国とイスラム教圏諸国との対立が激化し、残虐な無差別テロが頻発し、それぞれに大国の思惑が絡んでより複雑化しているなど、その争いは絶えない。中国は全く逆で、一切、特定宗教の信仰を禁じてきたので、古来の儒教精神などによる良き社会秩序や道徳倫理勘がすっかり薄れ、無宗教観念の、お金と権力が全てという、精神文明の面では醜い国となっている。
 世界の一般通念や常識では現在でも、なんらかの宗教信仰や、宗教的理念を持たない者は人間とみなされず、信用も尊敬もされないという。
 そんな中にあって、東洋の仏教と日本固有の神道だけは、特定の偶像崇拝でなく、神は形のない観念的な存在で各自の心の中でありとし、八百万の多数神の存在を認め、他宗教混交混信仰、人間性善説に立脚し、他者の罪を許す寛大さ鷹揚さを尊重し、自己修養による現世の利益を、因果応報を尊重し、他者や他宗教との争いを戒めてきたので、これまで他宗教との争いに首を突っ込んだり、その渦に巻き込まれることもなく、崇高な平和主義を貫き通してきたといえよう。

(4)逞しく風格ある日本をめざして

 近年の日本の領海や領土の近辺への中国や韓国の軍船の出没や、領海侵犯行為は、まさに現代版の黒船襲来(中国船だから赤船か)の恫喝外交といった、国際外交上許されざる不当な蛮行であり、もっと国際的な関心と非難が高まって然るべき大問題といえ、昔ながら当然、武力開戦の立派な正当性がある動機となり得たであろう。
 しかし現代の国際社会では、こんな無謀な挑発に感情的になって乗せられ、空威張りの意地で本気になって武力的対抗に訴えることは、かえって事を荒立て相手の思う壺に嵌ること、日本も同類項の品格なき国と国際的評価と信用を下げる事となるだけなので、冷静に慎んだ対応姿勢をとる方が望ましかろう。
 大東亜戦争は、欧米連合のこういった謀略に引きずり込まれた結果の悲劇というべきものであったと深く反省し、学んだはずではなかったのか。再び同じような身の程知らずの愚かな過ちを繰り返してはならない。
 それよりもむしろ、その挑発を無視して鷹揚に軽く受け流し、国際外交戦略で国際的世論を味方につけた方が、仕掛けてきた相手国を苛立たせ、国際的非難を浴びさせ、油断ならぬ国と信用を失墜させ、孤立化を図れるので賢明な策といえるのではなかろうか。
 スイスは、陸続きで昔から戦乱が耐えなかった中部ヨーロッパに立地し、ドイツ、フランス、イタリア、ベルギーの4カ国と国境を接し、国土面積約4万キロ平米、人口約750万人と日本より小規模で、天然資源には恵まれないという厳しい環境にありながらも、精密加工製品、酪農製品に優れ、専守防衛に徹しながらも、他国から侵攻を受けたり、戦乱に巻き込まれることもなく、世界唯一の永世中立国として立派に平和と豊かさを保ち、国民の幸福感も良好、世界諸国からの信頼もあり、だから国際的な機関の本部が多数存在する。環境や国民性など、わが国と似通った点が多いが、それでいて日本のように、グローバル経済に非協調的、貿易不均衡、閉鎖的で独善的だなどと非難されることもない。
 このような日本に対する国際的評価は、小さな大国日本への羨望の裏返しといった面も多分にあり、決して正しい日本の実態認識ではないが、わが国の謙虚さが、自己主張やPR上手な諸外国から誤解されていること、国際外交力、対外情報宣伝の拙劣さ、国家ビジョンや方針の不明確さに問題があることも否めない。
 独立主権国家としての確固たる見識で、毅然として自国の安全は自分で守るという決意と、専守防衛、非核兵器・非対外攻撃軍事政策の平和希求国家、世界の最先端高度技術研究開発国、精密加工産業立国、エネルギー資源や食料資源の自給自足率の向上、経済の体格より内容面での健全さと優越性重視、精神文明先進国を志向するなどといった国家の姿勢を明確に諸外国に発信し、理解を求めることこそが、真に逞しく風格のある日本への再構築を目指す上で肝要であろう。

著者プロフィール

経済評論家・ビジネスドクター 芦屋 暁(あしや さとる)

幼少期の貧苦体験から「十分な教養があれば民族も国家も企業も個人も安泰」との信念を抱き、一生涯を人間能力の開発と日本経済・産業の発展に捧げる1本の杭になろうと決意し、都市銀行勤務を中退してフリーの経済評論家・経営コンサルタントの道に転身、大学の教鞭やマスコミ出演を経つつ、過去通算で全国約3千市町村を講演歴訪した実績を持ち現在に至る。庶民派で皮膚感覚の簡明率直な解説がモットー。

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