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周辺国の軍事体制と日本の対応

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公開日付:2014.07.18

 昔から「歴史は繰り返す」と言われ、また「世に争いの種は尽きまじ」とか「災禍は忘れた頃に訪れる」とも言われるが、過去の歴史からは、本年はどうも時代潮流変化の過渡期で、戦乱や災難が多発する年回りのようであり、硝煙のきな臭さも漂うので、力に頼った強引な突進を慎み一抹の謙虚さと節度、冷静な対応が望まれる。
 世界情勢の大きな節目とされる60年、100年という長期周期説に基づけば、ドイツ・オーストリア・イタリアの三国同盟とイギリス・フランス・ロシアの三国協商との対立を背景に、サラエボ事件を導火線として起こった第一次世界大戦(1914~1918年)の勃発から100年目、フランス革命後、民衆の人権意識が台頭し、積年の特定権力者による絶対王政やブルジョアジーを主体とした封建的制度や貧富差別が歴然とした身分階級制度が否定されるようになり、国際的新秩序の構築を模索するウイーン会議(1814年)が開催されてから200年目を迎える。
 また60年周期では、1954年(昭和29年)に、国際的には東西冷戦激化、東南アジア集団防衛条約が締結され、わが国では、戦後の新日本再建のために吉田内閣がその勢力を架って警察法、防衛庁設置法、自衛隊法などといった重要法案を矢継ぎ早に成立させ、アメリカのビキニ環礁での水爆実験で第5福龍丸が被爆し、120年前の1894年(明治27年)には、日清戦争開戦、日英通商航海条約の調印が、180年前の1834年には、江戸幕府が老中水野忠邦により天保の改革を実施したことなどである。
 しかしいずれにしても、エゴと無理のごり押しで、自然界との調和や環境保全による共生共栄、世界の平和と安定、省資源や省エネルギーなどといった道理を失くした暴走の結末は、一時的な成果や繁栄はともかくとして、決して永続的な好ましい結果は得られなかったが、強欲で闘争を好み、優越さを誇示し、財物的な豊かさ、経済や軍事での強大さと勝敗に拘わる愚かな人類は、未だもって一向にその意識が改まらず、領土の拡大や資源の獲得競争、イデオロギーや宗教、民族間の対立は増すばかりであり、同じような過ちを繰り返しているとさえいえよう。
 にもかかわらず、安倍政権下の日本はここに来て、世界唯一の核兵器被爆体験国でありながら、今再び、軍事力の強化や自衛隊の海外派兵、国産武器の輸出容認、武力には武力で対抗しようと考えたり、原子力発電依存の政策などに歩を進め、目先の経済収益の追求のためにはカジノ観光立国にまで手をつけようというのだろうか?
 これでは骨太というより図太く狡猾な悪政、観光立国でなく歓楽亡国といえ、平和で心豊かな品格ある日本への再構築を通じた世界への貢献などといった崇高な理念は何処に置き忘れてしまったのだろうか?。この際冷静な判断の参考までに、改めて、わが国と、関係が深い周辺国アメリカ、韓国、中国、ロシア、北朝鮮の計6カ国軍事力を比較してみることも意義があろう。
 先ず国土面積の広さ(単位千キロ平米)では、ロシアが17098、アメリカが9629、中国が9597、日本が378、北朝鮮121、韓国100の順であり、自由主義圏3カ国の合計が10107、社会主義圏3カ国の合計が26816、6カ国の総計国土面積は36923であり、全世界陸地面積の約23%(日本の面積は世界の1.2%)を占める。人口(単位百万人)では、中国が1377と圧倒的な最多数、次いでアメリカが318、ロシア143、日本128、韓国49、北朝鮮25、総計2040で全世界人口7080の約29%である。
 国民総所得(単位億ドル)は、アメリカ152113、中国73298、日本60825、ロシア19978、韓国11193、北朝鮮124で合計317531、そのうち自由主義圏3カ国の合計224131、社会主義圏3カ国合計93400であり、全世界総計GNI702019億ドルの約45%を占めている。この3項目からだけでも、日本を巡る東アジア地域の政治・経済の世界における存在と影響力の大きさがご理解願えよう。
 国民一人当たりGNI(単位ドル)は、アメリカ48585、日本48084と両国がほぼ肩を並べて高生産性・効率的であり、韓国23130、ロシア12586、中国5535、北朝鮮が506であることと比し他を大きく引き離しており、経済規模では日本を上回り、数年後にはアメリカさえ追い抜くと予測される中国とはいえ、生産性ではまだ日本の10分の1程度でしかない。
 原油、天然ガス、石炭、原子力、水力などの一次エネルギー供給量(単位は石油換算で万トン)を比較すると、中国220896、アメリカ172451、ロシア129305、日本9679、韓国4492、北朝鮮2076の順で総計が538899万トンであり、社会主義3カ国65%対自由主義3カ国35%となり、概して社会主義圏の方がエネルギーの自己産出力に恵まれていることが窺える。
 非常時での必需品は食糧とエネルギーであるが、農産物の穀類国内自給率では、ロシアが129%、アメリカが125%と他国への輸出に向ける余裕生産量を有しており、中国が103%とほぼ均衡、韓国29%、北朝鮮78%、日本は最低の23%で、資源自給難国は経済封鎖で輸入が絶たれると死活問題となる。第2次世界大戦で日本が止む得ず開戦することになった遠因も、真実は、欧米先進国が東南アジアの既得植民地権益を、新興日本に脅されないように画策した不公平軍縮要求と食糧・石油の禁輸経済封鎖をしたことによる。
 以上のような軍事力の背景となる基礎的国力・経済力の要素5項から見ただけでも、日本をめぐる東アジア地域の世界政治・経済における影響力の大きさや、自由主義圏諸国はエネルギー資源の安定的確保、社会主義圏諸国は潜在資源開発力、経済生産性向上など、各国それぞれの特性と事情、強弱がご理解いただけるであろう。
 次に軍事貿易力について考察すると(注:これらは各国の最高機密事項であるからあくまでも公表または推計概数値であること、北朝鮮は全て非公開で不明であることを前もってお断りしておく)、各国の兵役制度は、アメリカや日本は自主志願制度、韓国は年代と期間を24~27ヶ月と限った義務的徴兵制度、中国は抜擢徴兵と志願の両制度併用、ロシアも徴兵と志願制度の併用、北朝鮮は5~12年の徴兵制度である。
 陸・海・空軍の兵力(単位千人)総数では、中国は2285、ロシアが845、アメリカは1520、韓国660、日本250千人である。
 国防費支出の総額(単位百万ドル)では、世界のポリス国家を自認するアメリカが断然トップの645700、次いで中国が102436、ロシアが59851、日本 59433、韓国28987となっており、国防支出額のGDP比(単位%)でもアメリカが3.8%と最高、次いでロシアが3.0%、中国が2.6%、韓国が1.66%、日本は国際公約の1.0%を保持している。
 国防費支出を国民一人当たりの負担額で見ると(単位ドル)。アメリカが2057、韓国が593、中国が444、ロシアが420、日本は76(日本円で約8千円)である。
 国防費支出の推移に関しては、日本は経済成長に比例した横這いに止まっているのに比し、逆に社会主義諸国の急増傾向が顕著なことが問題である。
 社会主義国のロシアは、ソ連邦の末期には減少を続けてきたが、その崩壊後のロシアは再び急増に転じて強いロシアの復権を演出しており、中国は1990年~2000年の間に5倍強へと経済成長を上回る急増額で軍事力の増強を示し、2005年以降も依然として国防費の増額、軍事力の増強を続けているのは中国とロシア、北朝鮮、北朝鮮の核武装、ミサイルの脅威を痛感している韓国もそれなりの増額を示し、微増か横ばい維持は日本とアメリカである。
 このように客観的に眺めると、この地域での2大社会主義国の軍事力の威圧による支配力強化の野望が増大し、世界のポリス国家アメリカが、軍事費節減に伴う威信低下させ、それをカバーするために友好国日本に集団的自衛権と称して防衛費の応分の負担肩代わり、自主防衛努力、アメリカの世界軍事戦略との協調を求めていること、さりとてアメリカは内心で、日本が再び本格的に他国進攻を可能とする軍事大国になることは望んでいないこと、東アジア地域のみならず世界的なミリタリーバランスが大きく変容し、世界平和維持の仕組みが綻びを見せ、新世界秩序の再構築が必要になってきたことを端的に示している。
 これらは当該、防衛すべき陸地国土面積の広さに比例する傾向を示しているといえるが、以下に記述する武器の内容で、各国の地勢的環境条件、専守防衛か他国攻撃的姿勢であるかが垣間見える。
 攻撃的武器の代表的存在は、長距離爆撃機と、海軍の戦闘艦艇隻数、陸・海ミサイル、特に核弾頭の保有数であり、これらにこそ各国の軍事戦略的な真の意図が秘められているといえよう。
 広域・遠隔地外国への進攻能力を持つ長距離爆撃機の保有数は、1位のアメリカが約120機、ロシアは約80機、中国は現在のところまだゼロ機だが、近い将来は空軍の質的向上方針を示し、有人攻撃機に代わる無人攻撃機の保有を進めている。
 韓国と日本はゼロ機であるが、専守防衛のため早期警戒偵察機や対潜水艦探索機能の強化には留意していることは妥当であろう。
 海軍力の増強に関しては、その国が海洋国か内陸国かに左右される面もあろうが、現代の主役は、一昔前のような巨大戦艦から原子力潜水艦、航空母艦、それを護衛する高速ミサイル搭載巡洋艦、敵前上陸用の揚陸鑑艇などにとって替わっているが、原子力潜水艦については極秘で、保有台数や活動実態が掴み難く不明である。
 公表された戦闘艦艇の保有数(単位は隻)は、アメリカが960、ロシアが950、中国780、内空母1、近年中に3の保有を目指しており、韓国が130、日本は150で、今後も攻撃型空母の保有、建造計画はないとされている。
 問題の核武装状況については、実戦配備と予備や備蓄も含めた陸上と海上の合計長距離戦略ミサイル設置数(単位は基)は、アメリカが740、ロシア460、中国70で、北朝鮮は不明、日本と韓国は長距離攻撃ミサイルの製造・保有の能力はあっても、アメリカが保有を望まず規制するので、現保有は0であり、迎撃ミサイルでの防衛に重点を置いている。
 最重要な核弾頭の保有状況では、ロシアが8500発、アメリカ7700発、中国350発であり、北朝鮮も推計5発は既に保有しているのではと見られているが、日本と韓国は前記と同様の事情で長距離攻撃ミサイルの保有はない。
 核爆弾の保有については米・露2大国が話し合い、1985年以降漸次廃棄減少化の努力をし現状にまで至ったが、逆に社会主義の発展途上小国の核武装に拡散する傾向が見られることは、抑止管理がし難くなりより危険なので、残念なことである。
 近年は世界のTVニュースを見ても、アメリカ以上に関心がもたれ、採り上げられることが多いのは、急激に強大化した新興中国の動向についてであるが、一国二制度の都合の良い併用と使い分け、厳格な言論・情報統制、狡猾で強力な表裏の二面外交、発展した沿岸部と取り残された奥地少数民族との所得格差、教育・生活水準や価値観の格差が大きいこと、党や行政と一般民衆に意識や感覚の違いがること、自由主義圏諸国とは趣を異とする社会制度や諸公表データの処理法、政治的思惑で粉飾された情報しか伝えない、あるいは伝えられないマスコミなどといった複雑な事情もあり、まだまだ実態が掴み難い不気味なところがある。
 過去に世界の先進地域として繁栄をみながらも、常に国内に権力者と民衆との対立・内紛が続き、内部崩壊で衰退した国が、再び世界の首座に返咲いた例がないことなどからも、現在の奇跡のような高度急成長が果たしていつまで続けられるのか、近年の急成長は、基本的に豊富な資源に恵まれた国土を有しながらも、これまでの内政混乱から開発にまで手がつけられず潜在していた経済発展力が掘り越されたまでのものともいえ、本当の経済先進国としての自立的発展実力は、現在のバブル経済状態が破綻した後の再興能力ではじめて試されること、多分に海外からの経済援助や技術支援による投資金融バブルであり、それはもう既に頂点に達し、下り局面に入っており、バブル崩壊の予兆が多々見え始めていること、それを察した外国の大手投資金や企業が一斉に引き上げる可能性も多分にあり、極端な貧富格差からの民衆の不満も爆発寸前であるから、自力でどう対処し得るのか、株式市場相場は維持しえるのか、現在の兵力など量的な軍事力はともかく、その兵器の質や兵員の士気などで、本気で自由主義国連合軍と闘って勝ち得る自信があっての恫喝外交の展開なのか、模造生産と価格競争面で世界の生産工場として台頭し貿易市場の主役になったが、独自の新製品研究開発能力や品質管理面での競争優位性、信用は確保し得るのか、世界のルールとの協調性を欠いた強引さが、いつまで世界市場で見逃され許され続けられるか、政党・政権の安定性などなどから、中国は信頼と品格、自国の利害抜きの国際的貢献度で世界から評価され、そのリーディング国家とし君臨し得るか、まだまだ解決すべき問題点や公明さが乏しく不明確で、疑念や不安感が払拭されない点も多く、得たいが知れず扱い難い異端の国であるが、「中華」という国名が「世界の栄耀栄華の中心地」という意味であることが示すように、お金と権力だけが頼りと考え、プライドや名誉に拘る強欲な国であることだけは間違いない。
 中国の外交姿勢は、政治と経済の分離を貫き、政治信条や手法への他国の干渉は一切受け付けず、それを曲げての妥協はしないが、自国や自己の利得に連なる経済取引については、地域もイデオロギーも宗教理念も関係なく、何処とでも付き合い、何処へでも出向き、貪欲に取り組みが、この点は世界的にも商売がうまいと評される華僑とユダヤ人の商法にも通じる。
 ちなみに華僑(中国人)やユダヤ人の商売上手の秘訣とされる共通点は、①世界各地に散在しながらも民族間で情報ネットワークを形成し、②情報通で機を見るに敏で、相場感覚に優ること、いざとなれば直ぐに転進できるよう、③設備投資金の回収に期間を要する製造業には手を出さず、日銭が入る飲食業、利息先取りの金融業などを志向し、④不時の災害に備え、携行可能で換金性に富む金のアクセサリーを常に身につける拝金主義、⑤謀略を常とし、⑥企業を安く買い叩いて買収しても、それを自分の事業として永続的に経営するより投機物件とみなして転売し差益を稼ぎ、⑦見知らぬ土地で信用を得るために当初は低姿勢を振る舞うが、⑧決して自己の信条は捨てず、いつの間にか仲間が結集し彼らの専用区域の中華街を形成しそれを既成事実として事後承認を強要、⑨定住農耕民族のように土地には執着せず、良い市場を求めて常に移動し侵略もする北方騎馬・遊牧民型で、所詮は⑩「兵(戦争)も事業競争も詭道(人を欺く行為)なり」と割り切り、戦況不利となれば掌を返すことも厭わず、逃げ足も速い。
 現中国の広大な領土も他民族の集合体としての巨大人口も、古代からの周辺諸国武力侵略・統合の結果で得たものであり、現代アメリカのネオエコノミストにも、ユダヤ系アメリカンが多く、これに似た発想と行動をとるし、いずれも下手な治世をすれば内部分裂の危険性が潜在していることなど、この両国間は通じ合う点もあるのだ。
 現在、世界各地で多発している民族間の対立、国境・領有権などを巡る紛争や局地戦争の根本原因を辿れば、狩猟民族型欧米諸国や大国の、過去のエゴな領土拡大、植民地化政策に伴う資源獲得競争の名残であり、第2次大戦後の植民地解放と独立化の過程で、これらの問題処理を曖昧にしてきた結果だと言えよう。

だから日本は、彼らが先進大国が蒔いた種子、因果応報の後始末や紛争に巻き込まれたり、ましてや集団的自衛などという美名に騙され付き合い荷担する必要もなく、彼ら当事者国間の責での解決に任せるべきであろう。
 むしろ、今世紀の世界は2025年頃までは、過去の歴史の大清算と新時代の世界秩序再構築の過渡期としての動乱と混迷状態が続き不安定となり、さりとてそれを仲裁したり先導する特定ポリス国家も存在しなくなろうが、もはっや戦争の勝敗で利得の差が出ないゼロサムの時代となるから、今、日本こそが、良識と品格のある永世中立国的に世界平和を希求する国として、世界から信頼・支持され、将来の新世界を指導する国家となることを志向し、もっと偉大で崇高な国際貢献を果たすことこそが得策と考える。



著者プロフィール

経済評論家・ビジネスドクター 芦屋 暁(あしや さとる)

幼少期の貧苦体験から「十分な教養があれば民族も国家も企業も個人も安泰」との信念を抱き、一生涯を人間能力の開発と日本経済・産業の発展に捧げる1本の杭になろうと決意し、都市銀行勤務を中退してフリーの経済評論家・経営コンサルタントの道に転身、大学の教鞭やマスコミ出演を経つつ、過去通算で全国約3千市町村を講演歴訪した実績を持ち現在に至る。庶民派で皮膚感覚の簡明率直な解説がモットー。

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