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新世界秩序構築の課題

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公開日付:2014.06.20

国家や企業の運営など何事においても、所期の成果を得るには、何のためにそれをしようとするのかという「目的」を明確にし、誰が、いつまでに、どこまでといった目標を具体的に設定し、これをどんな方法と手順で行うのかの「計画を綿密に策定・確立」し、それを参加者全員に「明示して周知徹底」を図り、「理解と意思統一、賛同、支持」を得ることが肝要であり、そのためには、それを実現することの必要性と達成の可能性を信じさせる裏づけとしての「的確な将来ビジョン」と、「正しい理念と確固たる信念」に基づく、「強力な指導、統率力」を有する有能な指導者の「リーダーシップの発揮」、「全員の参画と協力的実践行動」が必要であることは申すまでもなかろう。
先ず、的確な将来ビジョンを描くために、今世紀の近い将来に予想される主要な変化を列挙すると、

1.地球自然環境破壊と人口問題の深刻化

…経済先進国を主体とした物質文明の進化と科学技術の向上、経済発展に伴うエネルギーや産業資源、食料資源獲得の必要性、経済低開発国を主体とした世界人口の爆発的増加、居住地の開発などによる自然の乱開発と、その荒廃の深刻さである。人口に関しては、後進国での急増の一方で、経済先進国での少子高齢化、労働力不足といった傾向も重要な問題となる。

2.地球気象状況の変化

…上記に伴う大気汚染、地球の温暖化や異常気象の招来、公害や天然災害の多発、地球自然の生態系秩序の混乱などによる。

3.教育水準の向上と科学技術の加速度的進歩

…先進国を主体とした教育水準の向上、生産・販売の自動化・省力化促進と生産性の飛躍的向上、大量情報処理技術、医療技術など、各種科学技術の更なる進歩の加速化し、製品・技術などあらゆるもののライフサイクルが短縮化で、これに人類の意識刷新や能力の開発がついて行けず、安定感がなくストレスが増大する社会、物質文明繁栄の一方で、精神文明の荒廃を増幅させるようになること。

4.世界規模の需要と供給環境の変化

…これら①~③の結果としての、好ましい経済安定的成長に不可欠な要素である需要と供給の均衡化に関して、世界の総体的視点では、第2次・3次産業製品の需要と供給の関係は、「供給>需要」で十分な生産(供給)能力があり、モノ余り状態といえ、先進国では自国内供給力の余剰分を他国の需要でカバーしようとするので、国際貿易面では、生産資源の獲得競争、製品の輸出競争が激化しているが、石油・ガス・希少金属・鉱物資源といった地球の天然埋蔵資源や食料資源など第1次産業の生産基礎資源に関しては、「需要>供給」であり、従来のままで推移すれば、今世紀の中期には、資源の枯渇化が一段と深刻化し、資源の確保難、食糧飢饉を招き、総合的な世界の需給関係は、人類の有史以来初めて、「需要>供給」という逆転が確実視されている。
一方、生産技術や産業生産性が低くく、人口だけは爆発的に増加しているといった経済低開発・後進国では、未だに「需要>供給」のギャップが大きく、貧困と飢餓で苦しみ、取り残されているというのが現状である。
しかしこれらの中には、未開発の資源は豊富に内蔵しているという国もあるので、教育水準や生産技術力の向上支援をすれば、近い将来、需要の拡大が期待し得る潜在力を秘めているともいえる。したがって人類は今、全世界・全人類的な観点から、好ましい政治や経済発展、産業活動の原点に立ち帰り、自然環境保護と経済・産業発展との調和、省力化、資源の再利用による儒給の不均衡やミスマッチ、地域間貧富格差の是正に努め、無限で安価で安全・無公害の新エネルギーを探求するなど、抜本的な幸福や繁栄に対する意識や価値観の革新、政治、経済、産業、経営などの構造やシステム、生活態様などの大きな転換期を迎えているといえよう。

5.各種格差の増大と多様な競争激化からの不安・不満の拡大化

…この過程で部分的には、地域、年代、所得、国家、企業規模や業種、民族、人間の意識や価値観、宗教理念、経済的貧富などの間での競争が激化し、その勝敗次第で格差が更に増大し、やがてそれが頂点に達すると、物極必反の摂理により反転し、富の分配の不適切・公平さへの反発、不満の爆発、反動・揺れ戻しの動乱が発生することは必須となるが、現在、もうすでにその兆候が見受けられるようになっている。

6.特定巨大国の独占的世界覇権体制の崩壊

…過去の歴史を顧みても、各世紀の頭角を現し、その時代を主導する国が出現してきた。たとえば古代のエジプトとローマ帝国、中世のサラセン帝国(現シリアを中心としたアラブ諸国)などのイスラム教国対欧州のキリスト教諸国、17世紀のスペインとポルトガル、18世紀世のオランダとプロイセン(旧ドイツ、オーストリア)、19世紀のイギリスとフランスの栄光時代、20世紀の欧米自由資本主義国とソ連邦などの社会主義諸国などであるが、その栄枯盛衰の共通的な要点は、必ず二カ国や地域・勢力の並立、競い合うライバルの存在があり、やがてその並立の均衡が崩れて、特定国の独占的覇権支配となると、その過剰強大化や、驕り・慢心、後継権力者争いなどによる内部崩壊が起きて、それは永続せず、結局、両主導国共に衰微し、世紀末には主役交代期を迎え、新たな勢力に首座をとって替わられるということが繰り返されてきたが、一度栄光の頂点から転落した国が数百年の期間で再び首座に返り咲くことは困難であり、まだそういった例はない。
今世紀の前半に頭角を現し、その繁栄が持続して、後半の世界を主導する2国は、果たして何処の国になるのであろうか?
いずれにしろ、過去の世紀を主導した諸国のもう一つ重要な共通要件は、地政学的には、領土面積の広大さや保有埋蔵資源の豊かさだけが絶対的条件ではなく、むしろ地勢上も気象条件面で比較的に恵まれずに厳しく、それゆえに苦難に対する克己心が強く、不時の災害に備える危機管理意識があり、勤勉・努力、進取の気性と互恵互助の精神に富むという民族特性を有しているということであるが、そういった意味では、わが国もこれに該当する要素を多分に有しているのではなかろうか。

7.規模の大小はあれ、今世紀中も国家間の紛争は絶滅しないこと。

…本年は第一次世界大戦の勃発から100年目に当たるし、その背景や情勢が当時と現代が類似している面も多く、闘争・競争心は人類の本能でもあろうから、規模の大小はともかく、歴史的にみても争い事が根絶した例がないし、現に未だに局地戦争や領有権紛争は在続しているので、世界規模の大戦争や核戦争も含め、今世紀中に武力戦争の再発は絶対にない、戦争は根絶し得るとは言い切れない。
国際交流が活発化したグローバル化時代だとはいえ、むしろ武力戦争ではなくとも、地域や国家間の経済、貿易、産業、技術、情報、謀報、宗教、理念、イデオロギーなどと形態を変えた異質の戦争は、益々複雑・多様化し、頻発するばかりであるし、それを仲介する国際連合機構の弱体化や、信頼される国際的なポリス国家の存在が見当たらなくなっていることが気がかりであること。

8.国際的威信が低下したアメリカの苦難は続く

…20世紀末になって社会共産主義のソ連邦が分裂し冷戦が終結して、独占的に世界を支配する事となった超大国アメリカは、その後、政治は共産党独裁支配、部分的には自由主義経済システの導入という複雑な一国二制度を導入し、自由主義圏へも足を踏み入れた中国の急速な経済発展とライバル国としての台頭があったこと、大国の威圧で自国に都合が良い規制緩和や貿易の自由化、グローバル・スタンダードの強引な押し付けに対する欧州その他諸国からの反発を受けるようになったこと、90年代のIT産業による高度成長と、その反動でのミニ・バブル破綻招来、それを打開するためのネオ・エコノミー政策としての財政出動の積極化、投資金融経済、市場万能主義経済の推進、その挙句の赤字の増大、貧富格差の更なる拡大、一般民衆の不満増幅、その上に、サブプライム・ローンの挫折に端を発した投資金融会社リーマンブラザースの経営破綻ショック、株価の暴落などで世界中を震撼させたことなどもあって、超大国アメリカの威信が揺らぎ、国際的支配力の低下と信頼の失堕、自国の収益本位と大企業や大株主の収益至上主義といった行過ぎたアメリカ流の自由・資本主義、市場万能・投資金融主義経済の綻びが露見し、その見直しと修正要請が高まるなど、外憂内患を抱えるようになり、金融の緩和策などの配慮などで一時的な景気回復場面も見られようが、これらの経済政策の効果が薄れた場合には、その影響がどうなるかとの不安感も払拭できず、株価の乱高下、経済成長率の低迷基調は今後も暫くは続くものと慎重に考えるべきであり、投機的とさえいえる金融市場経済が主流である限り、これが影響し世界経済の不安定化は避けられないであろう。
日本のアベノミクスも、この轍を踏まねば良いがと願うばかりである。

9.EU経済の混迷、東・南アジアの経済発展と緊張の増大

…EUの経済統合は、その構成各国それぞれの事情や理念、経済の体格や体力、体質の差異が大きいことなどから、一部の実力がある主導国が理想とするような祟高な理念で一枚岩にまとまり、歩調を揃えて歩むことは非常に難しく、今後は脱落する国もあり、加盟国の入れ替再編成が余儀なくされよう。21世紀がアジアの世紀であり、世界から注目され、関心が持たれることには変わりないが、労働力の豊富さと安さなどから、中国と同様に世界の工業生産地として脚光を浴びるようになり、急成長を見た東アジア、東南アジア諸国は、中国や韓国に蹂躙されることを嫌い少し間を置くようになり、緊張感が高まる。その中国、韓国の経済繁栄にも翳りが顕著になってきた。

10.今後の世界が、前世紀よりも確実に良くなるとはいえないこと。

…ここまで記述してきたような地球自然環境の変化や、世界の政治・軍事・経済動向、社会情勢の推移などを総括的して考察して、これからの世界像を思量すると、これまでのような、人間のモア・アンド・モアという飽くなき貪欲、無限の財物的欲望の追及、他者よりもより優越的な地位を得たいといった闘争心や競争心、他人の立場や事情への配慮もなく、自分さえ良ければいった我欲や利己心が存在し、それをホモ・サピエンス(知識ある種族の意味)である人類ならこその理性や良識、自律心、当事者相互の対話、法律(万民が必要と認める約束事)や原理を遵守することなどでコントロールし得ず、しかもそれが人間の本能で卸し難いもの、現実的に妥当な行為で、世界平和の実現などは単なる理想論に過ぎないなどといった考え方が主流として罷り通り、人類の意識や、真の幸福や繁栄に対する価値観が根本的に改められない限りは、いつまでたっても従来のままで、真理に反した過ちや、醜い対立・紛争の種は尽きずに繰り返され、地球自然の荒廃、貧富の格差増大、一部の勝者とその反面での多数の敗者の輩出などはなくならず、精神文明の衰退を招くばかりであり、世界の平和や全人類の幸福、経済の安定などは、とうてい実現しない絵空事で終わってしまう。

しかしこういった崇高な人類の理想というより真理を実現しようとする程は厳しく、言うは易く行うは難しであるし、武力や財力などで獲得し得るものでもないので、根気強い長期間の、人間の意識や理念、価値観の改革のための対話や教育、啓蒙などの努力を要するものであるから、新世紀の世界が前世紀より確実に良くなるという保証は現段階ではまだし難い。
したがって21世紀の前半期には、外観的経済規模や物質文明の進歩はあっても、世界の争乱、不安、混沌状態は続くであろうが、少なくとも後半期までには、切実な現実のものとなった地球環境の激変に対応し、未来も先取りした、新しい時代の世界と人類社会のあるべき姿、そのための針路、経済発展の手法、社会秩序再構築、人類の幸福実現などのための設計図の明示ぐらいまでには漕ぎつける必要に迫られており、またその適否次第に、地球と全人類の将来の命運がかかることとなろう。
国民や社員など社会生活の参加者すべてが、所属する国家や社会や企業の将来発展に夢が持て、安定と安心が保たれ、幸福を実感し、今後ともその維持のために頑張ろうという気にさせるような新世界の未来像設計と、その夢を実現するアプローチ計画策定にあたっては、二つのアプローチ法がある。
一つは、従来からよく用いられてきた手法で、過去の実績や体験を振り返り、問題点と現状を把握し、その推移の延長線にそって未来を予測し、改善すべきを改め、不足を補強して、段階的に下から上へと漸次積み上げて、期待する目標達成に近づこうとする手法で、簡略平易にいえば、「売り上げ増進努力一必要経費の節減=利益又は損失(成功又は失敗)」という成り行きの功名狙い、積み上げ足し算型、結果の追求管理重視主義である。
もう一つは、絶対に達成しなければならない夢や目標を、先ず諸般の環境変化や情勢、自己の現有能力などを冷静に調査・分析し、未来を予測した上で確立し、それを必達成するための仕掛け(戦略)や手法、手順を考究し、現有能力のフル活用だけに止まらず、潜在あるいは未知の資源や能力の探求と、掘り出し、引き上げ、それらの総動員と最適な組み合わせ発揮を図ろうとするもので、いわば「必要とする成果(夢や利益目標など)=長期戦略的・設計的販売促進一経費予算管理」といった、夢の先取り、目標による創造的成果管理、計画や戦略の適否、能力の引き上げと最適組み合わせを工夫する、組織総合力の掛け算的集積効果(シナジー効果)を狙う、計画と戦略の遂行過程の創造的管理重視主義であり、その達成の義務と責任は、一般民衆よりむしろ強力な権力を握る支配・指導者層のリーダーシップに置かれる。
今後の新世界秩序再構築にあたって必要とされるのは、後者のようなアプローチ法と指導者である。
また、あらゆる改革の理念の根幹を、「自然界の摂理と、物事の心理を尊重し、それに謙虚に従うこと」に置き、今一度、好ましい政治や経済、企業の使命と存在価値、全世界の平和や人類の真の幸福などの原点とは何かを素直に問い直すこと。狭溢で近視的な思考で、エゴな自国利益や既得権益の保持、覇権の主張などに固執せず、すべてが全世界、全人類の観点で、「幸福の探求に発想の原点を切り替える」こと。人間の浅はかな知識や技能で、大自然を開発し克服することが可能だ、近代文明だ、経済先進性だなどといった「人間の強欲や傲慢さを慎み、払拭する」こと、あらゆる事業の成否は人間の心と能力にあるのだから、先ずその「意識革新と、創造的能力の開発教育」から着手することが肝要である。
多様な人間の意識の革新や世界の恒久平和の実現は理想論に過ぎず不可能だと思われるが、確かにそう簡単ではないが、過去の世界規模の戦争勃発も、一部の人間の意識が波紋のように伝播して他国まで巻き込む大戦争にまで発展したように、近い将来の地球自然の危機や人類の窮状を十分認識し、一人一人の意識を少しづつでも共通利益の目的に向けさせ、一点に収斂させれば、想像以上のスピードと大きさの世界革新の波になって伝播するので、決して実現不可能でもなく、日本がその主導国、発信源となることも可能である。

著者プロフィール

経済評論家・ビジネスドクター 芦屋 暁(あしや さとる)

幼少期の貧苦体験から「十分な教養があれば民族も国家も企業も個人も安泰」との信念を抱き、一生涯を人間能力の開発と日本経済・産業の発展に捧げる1本の杭になろうと決意し、都市銀行勤務を中退してフリーの経済評論家・経営コンサルタントの道に転身、大学の教鞭やマスコミ出演を経つつ、過去通算で全国約3千市町村を講演歴訪した実績を持ち現在に至る。庶民派で皮膚感覚の簡明率直な解説がモットー。

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